艦娘、PMCと共に水平線にて戦えり   作:休日ぐーたら暇人

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題名からわかる通り灰田さんの事です。
コラボ作品と言う事で先方には許可を取って書き上げました。
では、どうぞ。


9 ミスター・グレイ

2日後 TJS社事務所内 社長室

 

 

「えっ、潮と由良の出向!?」

 

社長室に呼び出された後藤は要件を聞いて驚いた。

何せ、TJS社所属となった潮と由良が元帥からの要請で出向してほしい、と言われたからだ。

 

 

「えぇ、理由については『2人をこちらで練成するから』だそうよ」

 

 

「……うーん…こんな事を露骨に言うのもなんだけど…明日、明後日には潮と由良には艦船との連携訓練を始めようかと調整してたんだけどな…」

 

 

「でも、元帥からのありがたい申し入れよ? それに、ウチに艦娘を練成出来る要員なんていた?」

 

 

「……だよな。ちなみに期間は?」

 

 

「1週間程ね」

 

 

「1週間か…連邦の再攻勢が何時始まってもおかしくない時期に正直言うとキツイんだが…仕方ないか」

 

こうして、潮と由良の出向が決まった。

 

 

 

その日の夜 副司令執務室

 

 

「はぁ…スケジュールの組み直しだな。しかも、根本からだよ」

 

そう呟きながら、パソコンに向かい呟く後藤。

そして、応接ソファーにはお気に入りの日本酒を開けて御猪口でチビチビと飲むケイシーがいた。

 

 

「まあまあ、いいじゃないの。私達にも出来ない事があるんだし」

 

 

「まあ、そうなんだけど…うーん…でもな〜…」

 

 

「今回は結構こだわるのね。どうしたの?」

 

 

「共に戦う仲間だから、その癖をわかっておきたいの。後は…まあ、交流も兼ねてね。しかし、こうなると連邦が何時出てきてもおかしくない状況なのに戦力が心配だな。鎮守府の提督と違って建造出来ないし…」

 

 

「建造出来ても、育成要員が居ないわよ。しかも、まだ整備施設とかのメンテナンス機能も整ってない。どっちを見ても無理よ」

 

 

「だよな……あぁ、これだと態勢作りなんて無理だよ〜。これ以上、忙しい元帥達に協力をお願いする訳にもいかないしさ」

 

弱音とも取れる呟きを吐いた時、部屋の異変に気付いた。

それはケイシーも同様だった。実際、部屋の空調は省エネ節電の自動空調システムで管理されており、部屋の温度が急激に変わる事はない。

なのに後藤もケイシーも急激に下がった室温を感じ取った。

しかも、部屋の中が霧に覆われると言うありえない状況付きだった。

 

 

「て、敵襲!?」

 

 

「……いや、これは霧だ。今のところ、害は無い」

 

慌てるケイシーに対し、懐の拳銃に手を伸ばしながら後藤が答える。

その時、2人の正面……正確に言うと執務室のドア……からまるで透明人間が現れたかの様に人が現れた。

 

 

「おっと、懐の危ない物は出さないで下さい。怪しい者ではありません、と言ってもこの様な出てき方では意味がありませんね。私は元帥の友人で協力者の灰田と言います」

 

霧の中から出て来た全身灰色のスーツを着た人物……灰田がそう言って2人の前に現れた。

 

 

「元帥の…友人で協力者?」

 

 

「そんな方は聞いた事が無いけど…」

 

 

「それはそうでしょう。私の存在は国家機密に該当していますから、元帥も簡単に口には出せません。更に言うなら、最近の日本の装備…十勝の重爆などは私が未来技術を使って皆さんに提供していますからね」

 

後藤やケイシーの言葉に答える灰田。

後半部分を聞いたケイシーは驚愕しながら言った。

 

 

「じゃ、じゃあ、貴方は未来人!?」

 

 

「えぇ、それなら、十勝への核攻撃が失敗に終わった事や、最近の日本の奮闘ぶりも納得いただけるのでは?」

 

 

「「…………」」

 

まるで心を読んでいるかの様な物言いに2人は沈黙する。

 

 

「あっ、えっと、御用件の方は?」

 

 

「あぁ、そうでしたね。1つは今回の出向に対する説明です。特に後藤副司令、貴方の疑問を解く為です」

 

 

「疑問…あぁ、訓練の一件ですか?」

 

 

「はい。実は潮さんや由良さん、今後貴社に来る艦娘、そして

いま各提督の指揮下にいる艦娘は別世界の日本の戦闘記録を基にした各種シミュレーションシステムで訓練され、あなた方の下に来ます」

 

 

「そのシミュレーションは私達にも出来るの?」

 

 

「御希望と有れば体験出来ますよ。なお、艦娘が体験すれば数日で最高レベルに引き上げられます」

 

 

「なるほど…それなら、艦艇との連携訓練も数度で大丈夫…と」

 

 

「それに関しては私が保証します。そして、もう1つの用件…重要なのはこちらですな。元帥より、あなた方への支援を相談されましてね。元帥達の現状はあなた方もご存知の通りです。更に契約とは言え、普段より日本の為に動いている貴社に対して、艦娘関連の支援が出来ていない状況。これらの事を相談され、私がこうして出向いてきました」

 

 

「つまり、私達も支援してくれるの?」

 

 

「もちろんです。それが元帥との約束ですからね。まず、艦娘や艤装の整備等を行うメンテナンス・バックアップ設備をこの基地用と海上母艦のワスプ型用の簡易型の2セット。それらを動かす整備員教育用シミュレーションシステム。そして、別世界の日本で戦っている艦艇の艦娘を十数名とこれを支援する工作艦型艦娘1名。これらをあなた方に資源・資材と共に提供します」

 

 

「なっ…」

 

 

「あらあら、随分と破格な支援ね」

 

 

「これでも軽いぐらいですよ。それとも、まだ何か要りますか?」

 

 

「いえ、せっかくの支援な上に元帥の厚意に甘え過ぎるのも問題よ。それに状況次第でどうなるかわからない以上、『貯金』はしておかないとね」

 

 

「適切な判断ですね。これらを明後日の朝、こちらにお届けいたします。ただ、設備の配置場所は予め決めておいて下さい。また、ワスプ型用の簡易型は向こうの準備が整ってからになります。また、艦娘はどうしましょうか?」

 

 

「私達が矢面に立つ可能性は少ないし、まだ決戦には早いから、駆逐艦・巡洋艦・潜水艦タイプの艦娘からお願い出来ないかしら? 手の内を全て見せる必要もないでしょうし」

 

 

「わかりました。工作艦と駆逐艦・巡洋艦・潜水艦の艦娘を送ってから、またタイミングをみて後続を送りましょう。では、長々と失礼いたしました」

 

そう言って灰田は現れた時同様に透明人間の様に消えていった。

そして、後藤は部屋の時計を見て驚いた…10分以上は話していた筈なのに時間が進んでいなかったからだ。

 

 

「……未来人って言うのは本当だな」

 

 

「そうね。さて、やる事が出来たし、明日は忙しいわよ」

 

 

「まるでやる事が無かったかの様な言い方だね」

 

 

 

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