魔法少女リリカルなのは~天を穿つ深緑の狙撃手~   作:グリューン

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第2話 ガンダムデュナメス

 

 

―機動六課が設立され、訓練が開始されてから数日後の訓練のことだった。

 

連日隊長陣と模擬戦(特にシグナムが暇を見つけては誘ってきた)をやっていたせいか疲れてしまい、今日の訓練はあまりやらないことになった俺はなのはたちの訓練を見学していた。

 

デュナメスはヴィータを相手した時に少し破損してしまい、デバイスマイスターのシャーリィに預けている。

 

「じゃあ、今日の朝練はこれでおしまい。朝御飯を食べたら、ちょっとシャーリィの所へ行こう。」

 

「丁度いい、俺もシャーリィに呼ばれていたところだ。」

 

「あ、ニールさん。」

 

朝の訓練を終わらせたなのはが後ろにいた俺に気付いて反転する。

 

「最初はぎこちないところがあったのに、もうなくなってきたな。」

 

数日でここまで動きが良くなるとは、流石だな。何より、熱心に覚えようとしているのも良い。まあ、ティアナの余裕のなさが引っ掛かるが、それは追々どうにかしよう。

 

「……ん、焦げくせえな。」

 

「あ、スバル、あんたのローラーブーツ!」

 

スバルのローラーブーツから煙が上がっている。よく見るとローラー自体ボロボロだ。

 

連日の訓練で酷使してたし、確か何年も使っていたんだよな?

 

「あ〜あ、イカれちゃった……。」

 

「そっか、二人とも自前のデバイスなんだっけ。ティアナもまずいいんじゃない?」

 

「私のアンカーガンも騙し騙しですね。」

 

ティアナの銃もよく見るとボロボロで内部も大分削れてしまっているだろう。

 

「なら、今から行こう。シャーリィの所へ行くのは、皆の新しいデバイスを渡すためなんだ。」

 

シャーリィのデバイスのメンテナンスや開発をする部屋に着いた俺たち。

 

そこにはシャーリィ本人とリインがいた。

 

シャーリィは今机で作業をしているようだ。

 

「あ、皆さん来たですよぉ。」

 

先にリインがこっちに近付いてくる。

 

「シャーリィ、フォワードの皆を連れてきたよ。」

 

なのはに呼ばれ、立ってこっちを向くシャーリィ。

 

シャーリィは茶色の長い髪に眼鏡を掛けている。ヴァイス曰く、眼鏡のデバイスオタク、略してメガネオタらしい。

 

「新しいデバイスを渡すんですね?」

 

「うん、皆に渡してくれる?」

 

「はい。あ、それとニールさん、デュナメスの修理はたった今終わりましたよ。」

 

それぞれ、

 

青く縦長で六角形のペンダントをスバルが

 

中心に朱色の赤い丸にバッテンの紋様が入ったカードをティアナが

 

青い腕時計をエリオが

 

ピンクの二つの宝石のようなブレスレットをキャロがそれぞれ手に取る。

 

エリオもキャロも嬉しそうだが、特にスバルとティアナの二人が一番嬉しそうに自分のデバイスと話している。

 

スバルもティアナも最初にデバイスが喋った時は驚いたが今では和気藹々とデバイスと話している。

 

「おお、サンキュー。」

 

俺のデュナメスはシャーリィから手渡される。

 

[おはようございます、マスター。機能は全てオールグリーンです。]

 

「おう、今日も一日頑張ろ……事件か!?」

 

その時、隊舎中でアラートが鳴り響いた。

 

 

 

.

 

 

 

アラートが鳴り、俺たちは緊急出動となった。

 

内容はロストロギアの積まれたトレインが、山岳地帯を移動中にガジェットたちに因る襲撃を受けているとのことだった。

 

緊急出動の命を受け、なのはとフォワード陣全員がヘリへと乗り込んでいく。

 

俺の部隊の隊長であるフェイトは別方向からの出動になる。

 

「ニールさん以外は皆、初の実戦でデバイスを新しくしたばかりだけど、思い切って望もう。」

 

なのはの言葉をスバルたちはただ真剣に頷きながら聞く。

 

俺はただ黙って聞くだけ。

 

俺は確かに戦いを知っているが、俺が言おうと思っている言葉はなのはとほとんど同じだ。

 

だから、そこはなのはに任せることにする。

 

「スバルとティアナはトレインの停止、エリオとキャロはレリックの確保。私、フェイト隊長はガジェットの迎撃。ニールさんはガジェットを迎撃しながら場合に依ってはスバルたちの援護をして。ちょっと大変かもしれないけど、いい?」

 

隊長陣は制限を架けられているが、俺はランクがB+だから制限がない。

 

その上、飛ぶことも出来るし、いざという時はMGドライヴをGNドライヴの機能に切り替えることも出来る。

 

ならば、隊長陣二人より俺がフォワード陣寄りにいれば速く対応が出来るって訳か。

 

「了解だ、きっちり面倒見てやるさ。何せ俺は、成層圏を狙い撃つ男だからな。」

 

「なのは隊長、目標ポイントに着きましたよ。」

 

気付けば、既に山が見えていた。

 

「了解。私が先に出るから、皆はその後に飛び降りてね。」

 

ヘリのハッチが開き、地上の光景が眼下に広がる。

 

「スターズ01、高町 なのは、レイジングハート、行きます!」

 

なのはは飛び降り、バリアジャケット姿へと変わる。

 

バリアジャケットを着たところで足からピンク色の羽、アクセルフィンが出て敵陣へと飛び立っていった。

 

俺も行かねえとな。

 

「よし行ってこい、ニール!」

 

「了解だ!」

 

俺は出口の目の前に立つ。

 

ガンダムデュナメスで大気圏突入とかをやっていたおかげでほとんど怖さを感じない。

 

ふと気になってチラッとスバルたちを見る。四人ともガチガチに緊張していた。

 

「お前ら、なのは隊長の言っていたことを聞いていただろ。

 

大丈夫だ、全力で自分の思い付く限りにやってみせろ。なのは隊長、フェイト隊長…俺が付いている。」

 

四人は俺の言葉を聞いて「はい!」と元気よく答える。

 

「…ライトニング05、ニール・ディランディ、デュナメス、出撃する!」

 

俺は思い切り飛び降り、デュナメスへと視線を移す。

 

「デュナメス、セットアップだ!」

 

[Stand by ready set up.]

 

俺の姿が機動六課の茶色の制服からバリアジャケット姿へ変わる。

 

セットアップが終わったところに、400m先にガジェットがトレインへの道を阻むかのように立ちはだかる。

 

「行くぜ、デュナメスとニール・ディランディ、機動六課での初陣だ!!」

 

[stinger ray.]

 

狙撃銃の銃口が火を吹き、ガジェットを一体貫く。

 

 

 

.

ガジェットを一体堕としたところで、残りのガジェットもスティンガーレイで全て貫いていく。

 

俺が以前に相手したガジェットよりも動きが緩慢な気がするが今は気にしてられない。

 

数十機撃ち終わったところでトレインに近付いて状況を確認する。

 

スバルたち全員、トレインに乗り込めたようだ。

 

だが、ガジェットが障害になっているため、迎撃に移っている。

 

スバルは右腕に装備しているリボルバーナックルでガジェットを殴り倒す。

 

ティアナは新デバイスのクロスミラージュで覚えたばかりのヴァリアブルシュートを主軸にガジェットを貫いていく。

 

こっちは大丈夫だな。

 

エリオとキャロは内部に入ったところでガジェット型と戦っていた。

 

正確には、エリオがおどおどしているキャロを庇いながら応戦していた。だが、エリオにはまだきつかったのか、押されている。

 

[マスター、キャロの後ろに!]

 

エリオとキャロは気付いたが、あれでは避けられない!

 

「!?不味い、デュナメス!」

 

直ぐにゴーグルを装着して、照準を合わせる。

 

[stinger ray.]

 

ガジェットがキャロを撃とうとしたところで俺のスティンガーレイが命中、爆散する。

 

「ふぅ〜、危ねえ。」

 

[マスター、少し反省ですね。]

 

「…そうだな。」

 

敵の位置をちゃんと把握していなかった俺のミスだな。

 

がそれで終わりではなく、何とエリオがガジェットⅢ型を倒した時の爆発で車両から投げ出されたのだ。

 

エリオを助けようとしたところ、キャロがエリオに手を伸ばし掴む。

 

しかし、それでも落ちる速度は止まらない。

 

「くっ、エリオ、キャロ――――――!!」

 

邪魔してくるガジェットをピストルで撃ち落としながらキャロたちを助けようと全速力で向かう。

 

<待って、ニールさん!>

 

そこでなのはから念話が入る。

 

<止めるな、なのは!落ちちまったら死んじまうぞ!>

 

<キャロにはフリードが付いているから!>

 

フリードってあの小さな……

 

ん?大きくなれたんだよな。

 

と思った次の瞬間、フリードが巨大化し、エリオとキャロを背に乗せて飛んでいた。

 

キャロが以前に何の魔法が使えるか紹介していた時にフリードは竜魂召喚で巨大化出来ると言っていたのを忘れていた。

 

<俺が忘れてどうすんだよ…。>

 

<にゃははは…。>

 

念話でもなのはが苦笑いしているのが解る。

 

その時、トレインが急に止まりだした。

 

スバルとティアナが操縦席に着いたのだ。

 

<なのは隊長、フェイト隊長、ニールさん、トレインの暴走を止めました。>

 

<うん、大方ガジェットも撃墜したからレリックの回収に入ろう。>

 

そうして、隊長二人と俺も回収作業に入る。

 

 

 

 

.

 

 

 

だが、これで終わりではなかった。

 

<北側からアンノウン接近、この反応は……ガジェットじゃ……ガガッ、ピピー……。>

 

ルキノの通信が妨害され、切れてしまった。

 

俺はその反応のあった方向へ目を向けてみるとそこには…

 

「あ、あり得ねえ…。」

 

「ニールさん?」

 

フェイトが俺に聞いてくるが、俺には答える余裕もない。

 

見間違えるはずがない。

 

あれは、

 

疑似GNドライブ搭載型のガンダム

 

黒いガンダムスローネ

 

ヨハン・トリニティが乗っていたスローネだ。

 

黒いスローネはこちらを確認したのか、いきなり俺にバックパックから右肩の上にまで伸びた砲身から砲撃を浴びせてきた。

 

その砲撃の色はあの時の真紅ではなく、朱色ともオレンジとも取れる色だった。

 

「ちっ!」

 

舌打ちしながら避ける。

 

だが、その砲撃はフリードに乗ったエリオやキャロに向かっていた。

 

「しまった!」

 

何てことだ、あんなの喰らったら一堪りもねえ!!

 

[protection powerd.]

 

そこになのはが防御魔法で防ぐ。

 

どうにか凌いだが防御を破られ、なのはの右手が火傷でボロボロになっていた。

 

相当な威力な上に堅い防御を誇るなのはのプロテクションパワードを破った!!

 

 

 

.

 

 

 

「なのは!?」

 

フェイトが近付くが、なのはは首を横に振る。

 

「ダメ、今はあの敵に集中して!こっちは回収作業を急ぐから。」

 

それに、さっきのでなのはが怪我をしてしまった。細胞に障害が出る可能性があるから、戦わせない方がいい。

 

「分かった。ニールさん、一緒にあの敵を抑えましょう。」

 

「そうだな。それと、あの敵…どうにか捕獲出来ないか?」

 

「やってみる?」

 

「質問に質問で返すなよ。……俺はやる。こいつを捕まえて確かめたいことがあるんだ。」

 

そこに黒いスローネがビームライフルを撃ってくるが、気付いた俺たちは左右それぞれに飛んで回避。

 

「なのはの防御が抜かれたってことは私たちが受けたらダメってことになる。だから、私から近接に持ち込むからニールさんは援護して!…バルディッシュ、カートリッジロード!!」

 

フェイトの黒い斧型のデバイス、バルディッシュからリボルバーのシリンダーのようなものが露出し、そこから薬莢が飛び出す。

 

バルディッシュは形を変え、鎌の形の黄色の魔力刃を出す。

 

ハーケンフォームというバルディッシュの第二形態だ。

 

フェイトがスローネに接近していく。

 

「了解だ!」

 

俺は首に掛けてあるゴーグルを装着し、射撃態勢に入る。

 

[stinger ray.]

 

狙撃でスローネの左肩を狙い撃つ。

 

しかし、事も無げに避けられてしまう。

 

「はああああ!」

 

そこにフェイトが一太刀入れようと懐へ入り込み、振り下ろした。

 

フェイトが振り被った魔力刃は黒いスローネに当たる。

 

「なっ!?」

 

しかし、あろうことか黒いスローネには傷一つも付いてない。疑似GN粒子の恩恵も手伝って、装甲が堅いようだ。

 

「避けろ、フェイト!」

 

 

更にフェイトが驚いて隙を見せているところに、俺たちのガンダムより人から離れたような形状の足でフェイトの腹に蹴りを入れる。

 

「かはっ!」

 

気付くのに遅れたフェイトはまともに受けてしまう。

 

腹に直撃を受けたフェイトは岩盤へと直行する。あの速度で叩きつけられたら無事じゃすまない!

 

「フェイト!」

 

「あああああああ!!」

 

咄嗟に回り込んでフェイトを背中からキャッチするも、それでも止まりきらずに俺が変わりに岩盤に叩きつけられる形になる。

 

「ぐっ!」

 

「はっ、ニール!?」

 

「大丈夫だ。それより、奴を抑えねえと!」

 

思っていた以上にあの黒いスローネは強敵だ。

 

[マスター、ここはマスターと私で奴を迎撃しましょう。]

 

 

 

 

.

 

 

 

突然のデュナメスの提案に俺とフェイトは驚く。

 

「待って、それは危険過ぎるよ!」

 

[あの機体は、マスターの出身世界にあった機体です。大きさは違えどほぼ同じ性能と見て間違いありません。]

 

「えっ、あれが!?」

 

「それは本当だ、フェイト。俺はあの機体を知っている。それで、俺が中心に戦った方が倒せるんだな、デュナメス?」

 

[はい。GN粒子をそのまま使う比率を50%にすれば破壊出来るはずです。]

 

なら、やるしかねえな。

 

「フェイト、サポートを頼む。…俺がきつい一発、お見舞いしてやる!」

 

本気であることを目で訴えかける。

 

フェイトの顔が赤いのは気にしない。

 

「う、うん、分かった。」

 

さあ覚悟しろよ、スローネ!

 

「デュナメス、スローネを狙い撃つ!」

 

[stinger ray.]

 

「トライデント、スマッシャー!」

 

スティンガーレイとフェイトの三つに別れる直射型魔法、トライデントスマッシャーで迎撃する。

 

すると、攻撃もせずにどちらも回避した。

 

 

「どうやら、相手もさっきのは耐えられないと分かったようだな。」

 

フェイトが頷いたところで、黒いスローネがビームライフルで反撃してきた。

 

俺たちは左右に避け、スティンガーレイとプラズマランサーで反撃する。

 

プラズマランサーは避けきるが、今度はスティンガーレイが奴の左腕に直撃する。

 

左腕はもげ、右腕だけになる。

 

「よし、効いてる!」

 

「いけない!あの機体、スバルたちに標的を変えてる!」

 

見ると、今度はスバルたちに顔を向けている。

 

そして、折り畳まれた肩の砲身を長く展開、一番近いスバルとティアナに照準を当てた。

 

「畜生!」

 

黒いスローネの砲撃が無情にも放たれる。

 

「!?ニールさん、ダメ!」

 

フェイトが制止をかけようとするが、止まらない。

 

スバルとティアナは気付くが、目を瞑っている。

 

そこに俺が割り込む。

 

こんなの喰らったら、死んじまうな…。

 

二度目の死を感じて目を閉じる。

 

[…ック…ン、…だあ…たは…んではい…ない。]

 

[Awakeninng code "gundam form".]

 

次の瞬間、俺の体が燃えたように熱くなるのを感じた。

 

 

 

 

.

 

 

 

ティアナside

 

ガジェットと実戦でぶつかるのは初めてだった。

 

ただ、なのはさんの訓練を受けたおかげでどうにかガジェットを何体か倒すことが出来、暴走していたトレインを止めることが出来た。

 

ここまでは順調だった。

 

しかし、ここで予想外のことが起こった。

 

黒い人に近い機体が一体強襲してきたのだ。

 

なんとかなのはさんが防御魔法で守ってくれたけど、なんとなのはさんの魔法を突き破って右手を負傷させていた。

 

私たちは初めて恐怖を覚えた。あの黒い機体が怖く感じた。

 

それでも、恐怖を無理やり押し込んで回収作業を続けるために急いで動く。

 

ところが、あの機体が私たちを見て私とスバルに砲撃を浴びせてきた。

 

回避は、もう間に合わない。

 

ウソ、やっと始まったばかりなのにもう終わりなの?

 

まだお兄ちゃんのことを何も証明してないのに…。

 

涙を目に浮かべる暇もなく迫る砲撃をただ見つめる。

 

なのはさんが私たちに叫ぶけど返事する余裕は私たちにない。

 

もうダメと目を瞑ったところで、何かが私たちを覆った。

 

次の瞬間に爆発が起こり、私はショックのあまり、意識を手放す。

 

意識が飛ぶ前に一旦目を開いてみたのは……

 

「ニール、さん……。」

 

緑と白の機械のようなニールさんだった……。

 

 

 

 

.

 

 

 

ニールside

 

俺に直撃し、爆発が巻き起こる。

 

だけど、まだ死んでない。

 

むしろ、痛みを感じない。

 

「スバル、ティアナ、ニールさん!」

 

どこからか、なのはが叫ぶのが聞こえてスバルとティアナの方を向く。

 

二人とも気絶したのか、倒れている。

 

だが、外傷は特に無いようだ。

 

「良かった。」

 

爆発の煙が晴れてなのはの顔が見えた。

 

「なのは、俺たちは無事だぞ!」

 

「ティアナ、たちの無事……は?」

 

心配そうに聞いてくるなのはの表情が何故か驚愕に変わる。

 

「ニールさん、どうしたの、その姿。」

 

「姿?」

 

言われて手を見てみる。

 

手は俺が見慣れたガンダムの手…マニピュレーターと同じ手だった。

 

「は?」

 

気になって肩や足を見てみると、緑と白を基調にした装甲が全身を覆い、胸部中央が円形のガラスのようなカバーが付いていてその上に縦長の装甲が付いている。

 

さらに武装を確認すると、

 

右肩にはスナイパーライフル

 

両足の膝の外側サイドにビームピストルが入ったラック

 

後ろの腰の辺りに付いたスラスター外部下にビームサーベルがマウントされている。

 

頭部には額の辺りに狙撃のメインカメラが内蔵されている。

 

狙撃の時にそのカメラが出て目にあたるサブカメラがアンテナで隠れる仕組みだ。

 

つまりは、

 

俺はデュナメスそのものになったのだ。

 

「デュナメス、これは一体どうなってんだ!?」

 

[今のマスターは、GUNDAMフォーム…つまりはガンダムそのものになるフォームを使ってます。]

 

マジかよ!

 

刹那みたいに俺がガンダムとでも言ってみるか!?

 

何てふざけてる場合じゃねえな。

 

「デュナメス、魔法は使えるのか?」

 

[勿論です。装甲自体はバリアジャケットよりも頑丈に出来てます。その変わり、防御魔法は使えませんのでご注意下さい。詳細もありますが、それは後に…。]

 

「分かった。…デュナメス、ニール・ディランディ、目標を…狙い撃つ!」

 

俺はスティンガーレイで黒いスローネを攻撃する。弾速が一瞬というくらいに速い。

 

黒いスローネは避けれずに右足に命中し、破壊される。

 

「もういっちょ!」

 

[stinger ray.]

 

今度は右肩のメガランチャーに命中する。

 

黒いスローネはそれでも、ビームライフルで反撃しようとする。

 

「させるかよ!」

 

またスティンガーレイで攻撃。

 

放たれた攻撃は頭部を破壊。

 

頭部が破壊されたからか、黒いスローネは機能を停止させて地面へと墜落した。

 

「ふう、どうにか…だな。」

 

GUNDAMフォームを解除させて、スバルとティアナの近くに降り立つ。

 

「あれ、力が…。」

 

が、突然足元がふらつく。

 

「あ、危ない!」

 

そこになのはが俺の手を掴んで支える。

 

 

 

 

.

 

 

 

「悪い、なの…!」

 

ビシッ!

 

突然、なのはからビンタを喰らった。

 

「なのは!?」

 

近付いてきたフェイトが困惑した表情でなのはの名前を呼ぶ。

 

俺は何故叩かれたのかが分からず、なのはを見る。

 

なのはは、痛めた右手を抑えて涙を目に浮かべながら、俺を睨んでいた。負傷した右手で叩くなんて無茶しやがってと言おうとしたが止めた。

 

「スバルとティアナを助けてくれてありがとう。でも、もうあんな無茶はしないで!」

 

俺のことをそこまで心配してくれたのか。

 

それになのはからすれば、俺ら三人が死ぬことは誰よりも耐えられないのだろう。

 

それともラーナのことで今でもショックから立ち直れていないのだろうか?

 

「咄嗟のことだったんだ。……心配させてすまない。」

 

俺は謝りながら、安心させるようになのはの頭を撫でる。

 

「私の方が上司なのに…。」

 

なのはは拗ねながらも頭を撫でられるのを受け入れている。

 

「二人とも、早くレリックを回収しよう。あと、気絶したスバルとティアナも運ばないと……。」

 

フェイトがこちらを睨みながら任務が終わってないことを注意してくる。

 

「おっと、そうだな。さっさとやっちまわねえと。」

 

俺は疲れがありながらもどうにか回収作業を行い、任務を完遂した。

 

特にエリオとキャロが俺たちに負担をかけまいと俺たち以上にきびきび動いていた。

 

まだ小せえのにすげえな…。

 

そんな二人に皆感心していた。

 

その光景を、誰かに見られていると知らず……

 

 

 

 

.

 

 

 

サーシェスside

 

俺が大将に雇われてから2年経った。

 

弱い魔導士ばかりでそろそろ飽きてきている。

 

あの盾持った嬢ちゃんを殺してからは大した相手と戦ってない。

 

あったとすりゃあ、ゼストとかいういけ好かねえおっさんとシグナムとかいうピンクの髪の女とやりあったぐらいだな。

 

どっちもなかなか強え、退屈しなかったのはその時ぐらいだ。

 

ピンクの髪の女の方はすぐに邪魔が入っちまったがな。

 

あとは、大将が作った嬢ちゃんたちに戦い方を教えたりもしたな。

 

ガラにもなくクルジスの時のことを思い出しちまったぜ。

 

あの時は、まさかクルジスのガキだった奴がガンダムに乗ってるなんざ思わなかったなあ…。

 

で今は休みがてら俺の部屋で酒を飲みながら暇を持て余していた。

 

……あ〜あ、つまんねえ。

 

「サーシェス、ちょっと見てほしいものがあるんだが…。」

 

とそこに大将がモニターに映された。

 

「おお、何だ大将。」

 

「君にこれから相手してもらう者たちを見てもらいたいんだ。相手もなかなか強いから君にとってもいいんじゃないかと思うんだけど。」

 

モニターに映る映像が変わる。

 

ほとんど女ばっかじゃねえか。

 

しかもガキもいやがる。

 

「おいおい、また女ばっかか?」

 

いつだったか、女ばかりの部隊と戦ったこともあったが、男は弱いとのたまっておきながら弱かったなあ。一人殺したぐらいで、皆頭に血上らせて隙だらけで突っ込んできやがった。

 

当然、全員殺したがな。

 

「君からすれば大したことはないだろうが、一人だけ男がいるんだ。君には特にその男の相手をしてもらう予定なんだけど。」

 

またモニターの映像が変わる。

 

その映像を見た瞬間……

 

「こいつぁ……まさか。」

 

俺は驚きの余り、固まってしまった。

 

「…どうしたんだい、サーシェス。」

 

面白え、面白え面白え面白え面白え!!

 

忘れもしねえ、あのムカつく顔は一生忘れねえ!!

 

「くくく、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

 

こいつは傑作だ、野郎がこっちに来てたなんてな!

 

しかも、野郎自身が俺と同じようにガンダムになってやがる!!

 

こりゃ楽しい楽しい戦争をおっ始めることが出来そうだぜ!!

 

「最高だ、今の俺はとことんツイてやがる!!」

 

そういや、大将は野郎の相手をしてくれつってたな!

 

「いいぜ、野郎は俺の獲物だ!」

 

俺の体を吹っ飛ばした兄だろうと、俺を殺した弟だろうと関係ねえ。

 

どっちも絶対、ぶっ殺してやる!

 

 

 

 

.

 

 

 

 

スカリエッティside

 

サーシェスに機動六課の映像を見せたところ、やけにやる気を出していたね。

 

それは結構なのだが、あまりのテンションの高さにせっかくの計画が台無しにならないか一瞬心配になったよ。

 

でも、この二年間で彼がどんな人間か分かったからどうにか出来るけどね。

 

しかし、今日ガジェットと一緒に送った新開発のヒューマンガジェット(以後、HG)は改良の余地がある。

 

サーシェスが持っていたガンダムとやらのデータから造り上げた機体だが、ガジェットよりコストが掛かってしまう。

 

そのコストには、私がデータを元に造り上げた疑似GNドライヴも入っている。

 

ただしサイズに合わせて小型化したせいで、私が予想したよりも性能は良くない。

 

ガジェットとは全く違う部分が多いからね。

 

それにしても、これの大元のGNドライヴを造ったイオリア・シュヘンベルグとやらはすごい科学者だったようだね。

 

私でもこんな動力は想像が着かなかった。私から見てもとんでもなくレベルの高い技術で、おそらくは私ぐらいでなければ再現は難しいだろう。何せサーシェスの持っていたデータがなければ存在を知っていても造れた自信がないのだ。

 

私の計画が成功したら、彼がいた世界へ行って彼が何をしようとしていたのかを考えてみるのもいいだろう。

 

「ドクター、破壊されてしまったスローネアインなのですが、時空管理局に回収されてしまったようです…。」

 

色々思案しているところでウーノが話しかけてくる。

 

「まあ仕方あるまい。あれは私からすればただの試作品でしかない。捕獲されたところで大した損害にはならないさ。たくさんは造れないが、同じ機体をさらに性能を上げたものをまた造ればいいだけの話だ。」

 

ただでさえプロジェクト『F.A.T.E』のことで楽しみであるというのにサーシェスから得たデータでここまで面白いことが分かるとは…

 

私はこの後の未来が楽しみで楽しみでたまらない!

 

全ては無限の欲望のままに…

 

 

 

 

.

 

 

 

フェイトside

 

どうしてしまったんだろう。

 

ニールさんに庇われてから、彼を見てると苦しくなる。

 

ニールさんがスバルとティアナを庇うときも、自分の時間が止まりそうな錯覚を覚えた。

 

でも、なのはがニールさんに頭を撫でられている時、私は切なくなった。

 

三年前、初めて会った時はこんなことなかったのに…。

 

惚れっぽい?

 

そうだったら、私はとっくに誰かと付き合っている。

 

どうなっているのか、今の私には分からない。

 

もしかしたらただ何か勘違いしたのかもしれない。

 

昔からうっかりしちゃうところがあるし…。

 

でも、この切ない、苦しい、でも暖かい気持ちは何なのだろうか?

 

今の私にはそれが何なのか、まだ分からなかった……。

 

 

 

 

.

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