魔法少女リリカルなのは~天を穿つ深緑の狙撃手~   作:グリューン

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第7話 破壊と再生と罪

―予言を聞いてから翌日、俺はいつものようにヴァイスと共に食堂で食べていた。

 

ヴィヴィオは既になのはたちと食べて、部屋へ戻っている。

 

そんないつもと変わらないことをおかしく思ったヴァイスは俺を見つめてくる。

 

「なあ、いいのか?あの子と一緒に居なくて。お前、保護責任者になったんだろ?」

 

そう、本当ならヴィヴィオと出来るだけ一緒に居るべきなのだ。

 

だが、今回はどうしてもヴァイスに話したいことがあったからわざわざ時間をずらしてまで会ったのだ。

 

「本当ならそうしている。だが、どうしてもお前に聞いてほしいことがあるんだ。」

 

「何だ?」

 

朝食のパンを置いて真剣な表情で聞く姿勢を取る。

 

「今日、お前を含めた全員に俺の過去を見てもらおうと思う。」

 

事前に話していなかったため、ヴァイスは驚きのあまり立ち上がる。

 

「ちょっと待て、見てもらうってそんなこと出来るのかよ!?」

 

見てもらうというのは、デュナメスが俺の過去に関する映像記録が入っており、それを皆に見せることが出来るというものだ。

 

昨日、内容を見たが俺のガキの頃のまでが入っていた。

 

何故、そんなものがデュナメスにあるのかは分からないがおそらく俺をこの世界に送った奴が原因だろう。

 

「ああ、出来る。そして、過去のことを話すのは俺が避けて通ることの出来ないことだ。」

 

これは、ガンダムマイスターとしても人としても受けなければならない責任だ。

 

「話は分かったが、大丈夫なのか?」

 

一通り話を聞いたヴァイスが心配そうに俺を見る。

 

「正直に言えば恐いというのが本音だ。だが、ティアナやなのはの過去を知って俺の過去を教えないなんていう一方通行なことはしたくないんだ。

 

場所はブリーフィングルームだ。」

 

そこは俺は見てないが、以前にフォワード陣がなのはの過去の画像を見せてもらった場所だ。

 

因みに皆には昨日に言っておいた。

 

俺は今からそこへ行くため、朝食の食器を片付けて食堂を後にした。

 

 

 

.

 

 

 

ブリーフィングルームに着いた俺は早速、デュナメスをモニターの端末に繋げた。

 

[宜しいのですか?いくらなんでもマスターがここで逮捕される事態は避けなくてはならないのですが……。]

 

「これも俺がやってきたことの咎なら、あいつらになら見せてもいい。そして、咎だというなら受けるべきだ。」

 

元とはいえ俺はソレスタルビーイングのガンダムマイスター。

 

そこは逃げてはいけない所だ。

 

[では、本当に宜しいですか?]

 

デュナメスは相変わらず抑揚のない口調で聞いてくるが、心配しているのが分かる。

 

「ああ、もう決めた。」

 

デュナメスを繋げ終わったところで、ザフィーラを誘う為に一旦ブリーフィングルームを後にする。ブリーフィングルームを出てザフィーラを誘いに行った。

 

約束通り、聞くということでブリーフィングルームへ戻ることにした。

 

中に入ると六課フォワードメンバー、隊長陣全員とシャマルとシャーリィにヴァイスが既に来ていた。

 

「……それに何でシャーリィがいるんだ?」

 

シャーリィがいることが意外だったのか、ヴァイスは当の本人に聞く。

 

「だって、気になるじゃない。ディランディ空曹長の機械技術がどうなってるか。」

 

俺としてはシャーリィに俺の新しいデバイスに何か使えるものがあったらという狙いがある。

 

「なのは、ヴィヴィオの方は大丈夫なのか?俺からもアイナに頼んでおいたんだが…。」

 

ヴァイスは壁に寄り掛かって座る。

 

「それならアイナさんから聞いたよ。わざわざありがとう。」

 

それを聞いた俺はモニターの横へと移動する。

 

「何しとるんや、ニールさんの過去について話すんやろ?」

 

一番近くに座るはやてが聞いてくる。

 

「そうだ。そしてそれをより分かりやすくする為にデュナメスに入ってるらしい映像データを見せる。」

 

それを聞いたなのはは不安げに俺を見つめる。

 

なのはにだけはソレスタルビーイングのことを話している。

 

気付いた俺はなのはに大丈夫と念話を送る。

 

その間にコードを繋げ終わり、立って皆を見る。

 

「……じゃあ、皆聞いての通り、これから俺の過去の話をする。」

 

 

 

.

 

モニターの電源を点ける。

映像はまだ出てない。

 

「俺は地球のアイルランドっていう国で生まれた。ディランディ家の双子の兄で長男だ。」

 

「ニールさん、双子の兄弟いたんですか!?」

 

スバルが驚くが、隣のティアナに叩かれて黙る。

 

「家族は他に妹と両親がいて合わせて五人家族だった。」

 

後ろの映像で俺の家族がクリスマスパーティーをやっているところが映し出されている。

 

ヴァイスの方を見ると俯いている。

 

……やっぱり自分の妹のこと気にしてやがるな。

 

「なんだか、楽しそうですね。」

 

エリオが自分のことのように楽しそうな表情で見る。

 

「ああ、この時は確かに幸せで楽しかった。」

 

「ニール、一つだけ皿が余ってるんだけど。」

 

フェイトがテーブルで誰も座ってない席があるのに気付いた。

 

「そこは、俺の双子の弟のライルの席だ。」

 

そういえばライルは……今どうしているのだろう。

 

「その…ライルさんは今は?」

 

キャロが遠慮がちに聞いてくる。

 

「ライルは、ある日家を出て別の学校に入った。それっきり顔をほとんど見てないから分からない。デュナメス、次へ飛んでくれ。」

 

映像があのテロの日にいたデパートへと変わる。

 

「……その日は家族全員でデパートに出掛けていた。」

 

 

俺は外にいて、妹と両親がデパートの中にいた。

 

だが突然……

 

 

「デパート内で爆発が起こって、妹と両親が亡くなった。」

 

映像で当時のテロをそのままに流す。

 

デパートは瓦礫と化し、中にいた家族含めて人々が下敷きにされ犠牲になっていった。

 

無事だった俺はそれを茫然と見つめ、涙が涸れるまで泣き、犯人への怒りと憎しみを抱いた。

 

それが、今に至るまでの俺の原点となった。

 

それを聞いた全員が悲しそうな表情になる。

 

「後にアイルランド自爆テロと呼ばれる。犯人は、テロ組織KPSA…当時リーダーだったアリー・アル・サーシェスが指示を出して行われたテロだ…!」

 

悔しさで手を握る。

 

「だからサーシェスをあそこまで憎んでいたんやな……。」

 

 

はやては納得したように顎に手を当てている。

 

 

「無関係な人をそんな風に巻き込むなんて……。しかも映像を見る限りでは子どもに爆弾を持たせていた。なんていうことを……!!」

 

フェイトも悔しさで手を強く握る。いや、エリオとキャロのような子どもを可愛がっていたからこそ自爆テロに子どもを使ったのがなおのこと許せないんだろう。

 

「それで、俺は生きていく為に暗殺を仕事とするスナイパーをやり始めた。」

 

当時のスナイパーとしてライフルを持って標的の男の急所に狙いを定め、撃ち殺す俺の映像が流れる。撃ち殺された40代の男を見て、妻らしき女性が発狂する姿も映る。

 

自分のしたことが悪行だったという確たる証拠だ。たとえ、その男が他人を貶めたとしても俺が殺した事実と罪は変わらない。

 

「暗殺、稼業?」

 

シャマルはショックを隠せずに口に手を当てる。命を大事にする彼女には俺が人殺しをしていたことの衝撃が大きかったんだろう。

 

「そんな…だってニールさん前に狩猟をやっていたって!」

 

ティアナが顔が真っ青のまま信じられないと言わんばかりに叫ぶ。

 

こんな俺を慕ってくれた彼女に、尊敬していた人が裏切っていたことを告げるのは本当に心苦しい。

 

「あれは嘘だ。俺は10年近くはその仕事をやっていた。」

 

それを聞いた全員が黙ってしまう。

 

「これを聞いた時点で分かると思うが、俺はあっちの世界では犯罪者だった。今ここで逮捕されたって文句は言えねえ。」

 

俺は自分のしたことから逃げねえ、忘れねえ。

本当に逮捕されるっていうんなら、大人しく捕まって裁かれよう。

 

「いや、もっと話を聞かせてもらう。まだ肝心なところが分かってへん。」

 

はやての言う肝心なところというのは何なのか分からないが次に進もう。

 

ソレスタルビーイングの話を……。

 

 

 

.

 

 

 

「18歳になったある日のことだ。俺が街の中で歩いていたら、後ろから人が付いてきたんだ。そいつらは俺を組織に入って欲しいと言ってきた。名前はソレスタルビーイング。俺がミッドチルダに飛ばされる前にいた組織だ。」

 

映像に当時、スーツにコートを着ていた俺とその後ろで当時のガンダムマイスター二人とおやっさん……イアン・ヴァスティがいた。

 

全員がソレスタルビーイングという名前を呼んだりする中でなのはは黙って俯く。

 

「その組織の目的は?」

 

フェイトが質問をする。

 

「組織は私設武装組織で武力による紛争根絶で平和にすることを目的としていた。」

 

それを聞いた皆が驚愕する。

 

「おい…そんな目的、完全に矛盾してんじゃねえか!!」

 

「それに世界全体に対して戦いを挑んだということだろう!?何故そんなことを…。」

 

ヴィータが怒鳴るように矛盾を、シグナムが世界の敵になることを訴えた。

 

それは正論であり、事実でもある。

 

「そうだ。俺は、いや俺たちは、世界中の紛争に武力介入して世界と戦った。」

 

映像が最初の武力介入の時のものに変わる。

 

たった4機のガンダムで挑んだ。

 

エクシア、キュリオス、ヴァーチェ。

 

そして…俺が乗っていたデュナメス。

 

エクシアが当時新型だったイナクトを斬り、キュリオスがティエレン宇宙型を追い抜いて軌道エレベーターを狙うミサイルを撃墜、ヴァ―チェが特攻するヘリオンを塵も残さず消し飛ばし、デュナメスが空を飛ぶエクシアを狙うヘリオンを撃ち抜く。

 

ある時は軍と、またある時はテロリストと、それぞれの紛争の原因となる相手を定めて戦った。

 

時には民間人を助けたり、麻薬の畑を焼いたり、降ってくるデブリを破壊したりもした。

 

だがテロリストには特に容赦なく攻撃した。

 

「だが、決して俺たちは民間人を巻き込むのは望まなかった。それでも巻き込んちまった人もいるがな。」

 

それもまた俺とその仲間たちの罪だ。

 

逆に助けたこともあったが、それが罪滅ぼしになるとは思っていない。

 

「にしても、これがMSっちゅうもんなんやね。」

 

はやての目がシャーリィみたいにキランと光っているのは何故だろう。

 

「あの青い機体、七つの剣を持っているな。一度手合わせ願いたいものだ。」

 

それを刹那が聞いたらどう思うだろう?

 

刹那がシグナムと切り結ぶ光景が目に浮かぶ。

 

「おいニール、もしかしてお前ら4機だけで戦ったのか!?」

 

「そうだ。理由があって4機だけで戦っていた。……おっと、その理由だけについては聞くなよ。聞いても答えるつもりはないからな。」

 

こればかりはソレスタルビーイングでのレベルSの情報、オリジナルの太陽炉の情報になっちまうからな。これを喋ったら、あいつらを裏切ることになっちまう。

 

「分かった、ならそれについてはうちらの誰も聞かへんようにする。ええな?」

 

流石はやて、話が分かる。

 

「話を戻すが、俺たちは4機で世界を相手に戦った。最初は圧倒的な性能差、アメリカ中心のユニオン、ロシアと中国中心の人類革新連盟、ヨーロッパ中心のAEUの3勢力の足並みが揃わなかったことで負けることはなかった。」

 

次はモラリア軍事基地襲撃の時の映像に変わる。

 

エクシアがGNソードでヘリオンを斬り、キュリオスがミサイルで弾幕を張り、ヴァーチェがGNバズーカとGNキャノンで消し飛ばし、俺が乗ったデュナメスは四方八方に敵を撃ち落としていく。

 

「だが、半年近くになってさっき言った3勢力が足並みを揃え始めた。物量にものをいわせてほぼ24時間の長期戦を仕掛けられた。」

 

映像もタクラマカン砂漠での戦いへと変わっていた。

 

一機ずつ離され、キュリオスは人革連、エクシアとヴァーチェはAEU、俺がユニオンに屈していく。

 

「私たちでも一人ずつであんなに長期戦の圧倒的な物量で攻められたら保たないよね。」

 

なのはの言葉に隊長陣全員が同意する。

 

当然か、誰にでも限界がある。

 

俺も指先も動きづらいぐらいに疲弊した中で黒いフラッグの突撃を食らってダメだった。

 

以前に似たような模擬戦をやったが、それも本当に限界まで体力が無くなった。

 

「だがその時に、スローネの奴等が乱入してきた。」

 

エクシアが攻撃を受けているところで赤いビームがイナクトらしき機体を貫き、イナクト自体は脱出した。

 

エクシアを助けたのは、

 

スローネドライだった。

 

 

 

 

.

 

 

 

「あいつは…!」

 

ヴィータは映像に映るスローネドライを睨み付ける。

 

いや、全員が睨み付けている。

 

「奴等によって俺たちは助かった。とはいえ休息を取らなきゃならなかったがな…。」

 

奴等が何したかを思い出し、気持ちが沈んだ。

 

「何かあったの?」

 

そんな俺をなのはが心配そうに声を掛ける。

 

「あのスローネ、チームトリニティっていうんだが奴等もまた武力介入を開始した。ただし、過激なやり方で民間人を巻き込んだ。」

 

ユニオンの軍事基地の襲撃の辺りもおかしなところがあったが、民間人が働いている工場、挙げ句の果てにはスペインで民間人しかいない結婚式の会場まで…!

 

最早紛争根絶とは程遠い、むしろ紛争幇助と言われてもおかしくない、ただのテロリストと変わらない武力介入だった。

 

映像に誰だか知らないが、ティアナぐらいの年の女の子の左手が無くなっていてそれを見た同じぐらいの年の男の子がショックを受けている場面が映っていた。

 

こういうことを防ぎたかったのに……俺たちがやったことではないとはいえ、俺たちのせいであることは変わりない。

 

「チームトリニティっていうんは…何でこんなこと平気で出来るん?」

 

悲しそうに呟くはやて。

 

「それが一番いいと思っていたからだ、俺にはそれしか言えない。」

 

質問に答えるが、はやての顔は悲しさを帯びたままだ。

 

「奴等のやり方に我慢出来なくなった俺たちは、奴等を紛争幇助者と見て戦いを挑んだ。」

 

刹那の駆るエクシアがスローネに牽制をかけ、GNソードを展開して突撃する。

 

<エクシア、スローネを紛争幇助者と断定、目標を駆逐する!>

 

突然、音声が入るようになって俺も含めて皆がビックリする。

 

「デュナメス、これ音声聞けたのか!」

 

[はい。破損の影響で使えなかったのですが、投影中まで自己修復した末に漸く直りました。]

 

「そういうことは最初に言ってくれ。」

 

デュナメスを叱責した俺は映像に向き直る。

 

映像では既にヴァーチェがナドレになっていて、トライアルシステムでスローネの動きを止めていた。

 

<チームトリニティ、君たちはガンダムマイスターにふさわしくない。>

 

ナドレが左膝からビームサーベルを取る。

 

<そうとも、万死に値する!>

 

そしてスローネへと突っ込んでいく。

 

しかし、突然トライアルシステムが解除され、スローネ二体は簡単に避けてしまう。そう、スローネが登場した時から明らかに計画がおかしくなった。

 

スローネの介入は勿論、トライアルシステムの強制解除と使用不能、疑似太陽炉搭載型MSが敵に出現、ヴェーダが何者かに掌握、そして…サーシェスがスローネツヴァイを奪取したことなどたくさんあった。

 

「ディランディ、あの少年のことを説明して欲しい。」

 

シグナムが刹那を指差して聞いてくる。

 

[本当なのか、刹那。]

 

場面は、俺が刹那に銃を向けてKPSAにいたことが本当かを確認して恨みを晴らさせろと言っている所だ。

 

「あいつの名前は刹那・F・セイエイっていうんだが仲間の中で一番の利かん坊だった。その変わり、人一倍意志も心も強いガンダムバカだ。」

 

本当にあいつはガンダムと言われると褒め言葉ととるぐらいにガンダムバカだった。

 

エクシアを自分で整備したがったりもしたしな。

 

けど、俺はあいつのガンダムで世界を変革する意志に気付き、後を託した。

 

「そうか。すまないな、話の腰を折ってしまって。」

 

シグナムの言葉で咳払いをして仕切り直す。

 

若干和んでいた空気が沈黙で掻き消される。

 

映像は既にスローネが疑似太陽炉搭載型MSに追い込まれているところだ。

 

「んっんん。見ての通りだが、スローネが介入してから暫く経って組織の裏切り者によって3勢力側に疑似太陽炉が渡ってしまった。」

 

「それでニールたちに襲撃は?」

 

フェイトが心配そうに聞いてくる。

 

「勿論あった。」

 

そこから戦いは激しさを増した。

 

 

 

 

.

 

 

 

「宇宙にいた俺たちは襲撃された。性能差が埋まったことで数に劣る俺たちは劣性を強いられた。」

 

そこから更に、追い討ちをかけるようにガンダム全機の機能が停止した。

 

<おい、俺たちはまだ何もしてねえぞ!>

 

グリップを動かしてもうんともすんともいわない機体に焦る俺。

 

<そんな……ヴェーダに見捨てられた……。>

 

ヴェーダに見捨てられたと思い、絶望するティエリア。

 

<僕たちの滅びも計画の一部だというのか…?>

 

滅亡が計画の一部かもしれないと嘆くアレルヤ。

 

だが、刹那だけ何も諦めていなかった。

 

<動け、動いてくれ…ガンダァァァァァァァァァァム!!>

 

刹那の叫びと同時にガンダムが全機動くようになった。

 

ヴァーチェ以外は。

 

そういや、ティエリア自身はヴェーダと直接リンクしていたんだったな。

 

<ティエリア!?>

 

ヴァーチェが動かないことに気付いた俺はGNビームピストルで敵を撃墜しようとしたが、間に合わない。敵が赤いビームサーベルをヴァーチェに突き立てながら突進する。

 

<ティエリア!>

 

そこに俺が割り込んでティエリアの盾になり、シールドで防御する。しかし、Eカーボンの素材で出来たシールドではビームサーベルを受けきれない。

 

次第にシールドが輪になるように溶解し…

 

デュナメスの胸部に突き刺さった。

 

更に突き刺さった場所は運悪く、コクピット付近だった。

 

<ぐっあああああああああああああああああああああああああああ!!!!>

 

あまりの痛さに叫び声を上げる俺。

 

「ひっ!!」

 

スバルが驚愕で悲鳴を上げる。

 

あまりの光景になのは、フェイト、キャロ、シャマルは目を背ける。

 

残りはただただ見つめるだけだ。

 

<そんな、僕を、庇って……ロックオン・ストラトス!>

 

…これは見せなくてもよかったんじゃねえか?

という目線をデュナメスに送る。

 

[申し訳ありませんマスター、編集を失敗しました。]

 

やっちまったもんは仕方ねえか。

 

でも間は置いた方がいいな。

 

皆が落ち着くまでデュナメスに一旦映像を切ってもらった。

 

「…皆、大丈夫か?」

 

「な、なんとかな。いくらこういうのに慣れていても、お前が死ぬかもしれない光景を見たら流石に堪える。」

 

返事をしたヴィータだが、顔が少し青い。歴戦の騎士とはいえ、駄目なものもあるということだ。けど、戦いに慣れても人としての心を持ち続けたヴィータは素直に凄いと思う。

 

だからといってこういう仲間が死ぬかもしれないというシーンを簡単に見せてもいいという訳ではないが。

 

「私たちのことはいいので続けて下さい。」

 

ティアナが続けるよう促す。

 

言われた俺は映像を付けて再開する。

 

「さっき見せた戦いで俺は右目を負傷していた。今は何ともないから心配しないでくれ。」

 

再開した映像には3勢力で結成された国連軍によって追い込まれていくスローネが映っていた。

 

「その後にスローネが襲撃に遇い、追い込まれた奴等の前にサーシェスがやって来た。」

 

今度はイナクトから降りたサーシェスが映る。

 

<ああ、ラグナ・ハーヴェイ。奴さん死んだよ。……俺が殺した。>

 

そして降りた奴は、ミハエル・トリニティを銃弾一発で心臓を撃ち抜き、殺した。

 

「酷い…!」

 

スバルが声を振り絞って怒りを顕にする。

 

いくら咎を受けるべきだったとはいえ……こんな死に方じゃ、流石にあんまりだ。

 

ミハエルを殺したサーシェスはヨハン・トリニティに機体の肩慣らしをする為に、腕を撃っておきながらわざと乗せて自らもスローネツヴァイに乗った。

 

そして戦闘のプロだった奴に敵うはずもなくヨハンもまた機体と共に爆散した。

 

「その後は刹那が初めて以前俺も見せたトランザムを発動させてサーシェスを撃退。スローネは一機残ったらしいが、その後は知らない。」

 

「何だか、いくら酷いことしたからってこれじゃ生きてきた意味が分からなくなるですよ。」

 

沈んだ表情で映像を見るリイン。

 

実質、あいつらは捨て駒にされたんだからな。

 

だが、それよりも……手引きしたのは誰だろうか?

 

 

 

 

.

 

 

 

次は、俺があっちの世界で最後にサーシェスと戦った場面だ。

 

「こっからが、こっちの世界に来る前にやった俺の最後の戦いだ。」

 

場面は最後の戦い、ソレスタルビーイングVS国連軍へと移る。

 

その時にティエリアにドアをロックされたんだっけな。

 

だがその時の俺は復讐と自分だけ戦わない訳にはいかないという頭しかなく、ハロにロックを解除してもらい出撃した。当然、戦術予報士であるスメラギ・李・ノリエガが止めても聞かない。

 

<悪いが狙い撃てないんでね……圧倒させてもらうぜ!!>

 

デュナメス専用のGNアームズと合体したGNアーマー typeDの火力で敵MSを堕としてキュリオスとヴァーチェを助けていく。

 

そのまま戦艦を討ちに行ったが、横からGNアームズが破壊されてしまう。やったのはスローネツヴァイ、アリー・アル・サーシェスだった。

 

<あれはスローネ……アリー・アル・サーシェスか!>

 

目標を発見し、そのまま追撃する。

 

しかし、スナイパーライフルで狙っても絞りきれずに外してしまう。

 

しかもサーシェスは簡単に避けていく。

 

<くっ、効き目のせいで…!>

 

やむを得ずビームサーベルでサーシェスに斬りかかる。

 

鍔迫り合いでサーベルの余剰エネルギーがスパークで飛び散る。

 

<へっ、クルジスのガキにでも聞いたか!?>

 

<アイルランドでテロを指示したのはお前か!?何故あんなことを…!>

 

<俺は傭兵だぜ!それになあ、AEUの軌道エレベーター建設に中東が反発するのは当たり前じゃねえか!!>

 

<関係無い人間まで巻き込んで…!>

 

<テメェだって同類じゃねえか、紛争根絶を掲げるテロリストさんよぉ!!>

 

<咎は受けるさ、お前を倒した後でな!!>

 

鍔迫り合いから腰のフロントアーマーに内蔵したGNミサイルを発射するも後ろに下がって上昇することで簡単に避けられる。そこから再び追いかけていく。

 

だが奴の小馬鹿にした動きに苛立ち、狙撃用のカメラを展開して左手に持ったスナイパーライフルで撃つ。

 

右目が使えないだけでなく、動きながら撃っているために簡単に避けられてしまう。

 

<てめえは絶対に許さねえ!>

 

接近し、何度も、何度も何度も剣と剣をぶつけていく。

 

<てめえは、戦いを生み出す権化だ!!>

 

また離れたところに来た攻撃を掻い潜り接近していく。

 

<喚いてろ、同じ穴の狢(むじな)がぁ!!>

 

同じと言われ、俺は憤慨する。

 

<てめえと一緒にすんじゃねえ!!>

 

激しい怒りと共に左手の逆手に持ったビームサーベルの一撃でスローネの右腕を切り落とす。

 

<俺はこの世界を……!>

 

優位に立ち、更に追撃しようと左手にスナイパーライフルを持ち直す。

 

<テッキセッキン、テッキセッキン。>

 

そこにハロの警告に気付いて左を向くと、別の敵MSが急接近をかけてきていた。

 

あれが特攻だとすぐに分かった。

 

<何!?>

 

<見つけたぞガンダム、ハワードの仇ぃ!>

 

誰かは知らないが、仲間を殺されて怒っているのは明白だった。

 

<邪魔すんじゃねえ!>

 

GNミサイルで撃墜を狙う。

 

敵に当たり、ボロボロになるもそれでも勢いが止まらない。

 

流石に俺も驚いた。

 

<俺はユニオンの…フラッグファイターだぁぁぁぁ!!>

 

そのまま敵MSはデュナメスの右腕を丸ごと持っていき爆散する。

 

<しまった!>

 

これにより、形勢が逆転してしまった。

 

 

 

 

<…右側が見えてねえじゃねえか!!>

 

 

 

 

サーシェスはファングを飛ばし、俺に追い討ちをかける。

 

左手にビームピストルを持ってファングを幾つかを撃ち落とす。

 

しかし、片腕で更に右目が見えないせいでファングのスピードに追い付かなくなっていく。

 

<ロックオン、ロックオン。>

 

<見えねえ!!>

 

それを嘲笑うかのようにビームの刃を展開したファングに頭部と両足を串刺しにされてしまう。

 

<ぐっあああああああああ!!>

 

機体が爆発し、戦闘がまともに出来る状態ではなくなってしまう。

 

<ソンショウジンダイ、ソンショウジンダイ、セントウフノウ、セントウフノウ、。>

 

爆風を利用して一時撤退する。

 

それでも俺の心はまだ復讐の炎をたぎらせていた。

 

<仕留め損なったか、しぶてえ野郎だ!>

 

俺を見失ったサーシェスが探し回る。

 

 

 

一旦戦場を離れた俺は、デュナメスに付いている銃型のスナイプシステムを取り出し、コクピットを出ようとする。

 

<ハロ…デュナメスをトレミーに戻せ。>

 

体は満身創痍、普通だったら撤退するべき状況だ。

 

<ロックオン、ロックオン。>

 

ハロが俺に戻れと言わんばかりに呼ぶ。

 

<命令だ。>

 

だが、野郎をこのまま逃す訳にはいかなかった。

 

それでも太陽炉はしっかりトレミーの皆に返さなきゃいけない。

 

<ロックオン、ロックオン。>

 

ハロがもう一度俺の名前を呼ぶ。

 

俺が何をやるのか分かっていたのだろう。

 

<心配すんな、生きて帰るさ…。>

 

ハロの頭の部分を撫でる俺。

 

そしてハロの乗った機体から離れる。

 

<ロックオン、ロックオン。ロックオン、ロックオン。ロックオン、ロックオン。>

 

行っては駄目だと言わんばかりにハロは何度も俺を呼ぶ。

 

<太陽炉を頼むぜ……あばよ、相棒……。>

 

相棒に聞こえないように呟く。

 

…こんな狡いことして、ごめんな。

 

 

 

 

GNアームズに付いていたGNキャノンに目を向ける。

 

俺はそこに向かって跳んでいく。

 

着いたらすぐに、GNキャノンに内蔵されたリボンコードを引っ張り出し、スナイプシステムに繋げて射撃体勢に入る。

 

<何やってんだろうな…俺は。>

 

爆発で負った傷が痛み、息が荒くなる。しかもスーツが肩だけ破けているため、そこから酸素が抜けている。

 

自分がやっていることがどれだけ勝手なことなのか、仲間の勝機と自分が生き残る可能性を潰しているのか解っていた。

 

<けどな、こいつを殺らなきゃ……仇を取らなきゃ……前に進めねえ。世界とも、向き合えねえ…。>

 

俺の家族との時間はあのテロで止まったままだ。

 

それをサーシェスを討つことでその時間を動かさなきゃならないと思った。

 

つまりは過去の清算、或いは払拭。

 

復讐を成す事で、初めて世界と向き合うことが出来ると思っていた。

 

<だからさ…>

 

少し黙り、所々で起こっている痛みを荒い息遣いをしながら堪える。

 

野郎が気付いて接近しているがもう遅い。

 

照準は、合っている。

 

 

 

 

 

 

<狙い撃つぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!>

 

 

 

 

 

精一杯叫び、引き金を引く。

 

光の柱がスローネの下半身を吹き飛ばす。

 

しかし、大破する前にビームガンを発射し……

 

俺が乗っているGNキャノンを貫く。

 

GNキャノンが爆発し、光の粒子が雪のように舞い散る。

 

俺もまた爆発に巻き込まれて宙に投げ出される。

 

体が動かない。

 

すぐにGNキャノンは爆発する。

 

もう、助からない。

 

<父さん、母さん、エイミー…。>

 

あの頃の幸せな時間を思い出す。

 

<解ってるさ、こんなことしても……変えられないかもしれないって……元には戻らないって…。それでも、これからは……明日は……ライルの生きる未来を……。>

 

涙もまた十年前に枯れたのか、出ることもない。

 

だが一つ気になったのは今も生きているライルだった。

 

そういえばライルは、他人に俺と比べられるのを嫌がっていたな。

 

それでもお前一人にしちまうけど、勘弁してくれ。

 

どこまで続いているのか分からない宇宙を眺めていると、一条の光がこっちに迫ってきているのが見えた。

 

エクシア……刹那だった。

 

<刹那……答えは出たのかよ。>

 

もっと生きていたかったが、もう後を頼むしかない。

 

世界を、ソレスタルビーイングを頼むと刹那が駆るエクシアを見る。

 

GNキャノンから小爆発が起きる。

 

せめて死ぬ前に俺が生まれた世界、地球へと最後の言葉を贈る為に目を向ける。

 

「地球は青かった」と20世紀に出た世界初の宇宙飛行士ユーリイ・アレクセーエヴィチ・ガガーリンが言っていたがその通りだ。

 

争いがあるもないも関係ないようだ。

 

 

 

 

 

世界は変わるだろうか?

 

 

 

 

 

<よう、お前ら……満足か、こんな世界で……。>

 

GNキャノンが小爆発を起こし始める。

 

もうまともに動かない左手を伸ばし、地球に狙いを定める。

 

<俺は……嫌だね。>

 

最後の言葉を言い切った瞬間に爆発に巻き込まれる。

 

聞こえないはずなのに刹那が、ティエリアが叫ぶのが聞こえたような気がした。

 

そうして俺は文字通り、俺が生まれた世界を去った。

 

 

 

.

 

 

 

 

映像を一旦止めて周りを見てみると、全員が泣いていた。

 

「うう、辛い思いしたんやなあ……。」

 

「ふえええん、はやてちゃ〜ん!」

 

抱き付くリインを受け止めるはやて。

 

「ニール、お前って奴は…!」

 

拳を握り締めながら男泣きをするヴァイス。

 

「勝手なことしたのは誉められたものではないが……気持ちは解る。」

 

そっぽを向きながら泣いていることを隠すシグナム。

 

「ニールのアホォ、仲間のこと考えろよぉ!!」

 

 

それに対して泣きながら俺に罵声を浴びせるヴィータ。今にも掴みかかりそうだ。

 

「ヴィータ副隊長、落ち着いてください!」

 

そんなヴィータをティアナと共に抑えるスバル。

 

「ううっ、ひっく。」

 

「キャロ、大丈夫?」

 

泣くキャロを心配するエリオ。

 

「ニールさんがこんなに悲しい人生送っていたなんて…。」

 

口元を抑えて涙を流すシャマル。

 

それぞれ反応が違うがまさか皆泣くとは思わなかった。

 

俺はそう内心で慌てるもすぐに落ち着き、なのはとフェイトに近付く。

 

「……二人に、聞きたい。」

 

二人とも涙を流しながらこっちを向く。

 

「こんなに人を殺した俺をお前らは受け入れられるのか?」

 

これは二人の気持ちに気付いてなお、ずっと曖昧にしてきた俺が聞かなければならないことだ。

 

「……分からない。ニールがやったことは酷いけど、世界を変えたいという気持ちは解る。」

 

フェイトは困惑していて答えも整理が着いてないという具合だ。きっと、立場が立場だから余計に迷っているんだろう。

 

誰だって見せられたら整理が着かないのは仕方ないが、逮捕というなら抵抗せずに受け入れるつもりだ。

 

「…なのはは?」

 

なのはは俯いている。

 

もしかしたら、優しい分厳しいところもあるから、嫌われちまったかもしれないな。

 

皆が落ち着いてきたところでなのはが顔を上げる。

 

「確かにニールさんたちがしたことで不幸になった人もいて良いとは言えないよ。」

 

やっていること自体に矛盾が生じているから否定されるのは仕方のないことだ。

 

「でも、十分すぎるぐらいに辛い思いをして……世界を変えたいという気持ちが本物で……今のニールさんは私たちの仲間で……何より辛い思いをした分、幸せになって欲しい!!」

 

まさか、ラーナと同じことを言われるとは思わなかった俺は口を開けて茫然としてしまう。

 

「だが、実際俺なんかが幸せになっていいのか!?俺は人をたくさん殺してきたんだぞ!!」

 

思わず本音が漏れてしまった。

 

「咎はもう、払っただろ。もう自分を追い込むなよ!」

 

涙を拭いたヴァイスが真っ直ぐ俺を見て訴える。

 

ヴァイスは『もう生まれた世界に行けなくなったこと自体が既に咎を受けたことになっている』と言いたいのだろう。

 

だが俺はそれで納得出来ない。

 

「納得出来ないとは思っているかもしれないけど、幸せになることをラーナちゃんと約束したよね?」

 

なのはに俺が思ったことがすぐに見抜かれてしまった。

 

それに、ラーナの約束……か。

 

「俺は、奴を殺すまで幸せを、ぐっ!!」

 

次の瞬間、俺はヴァイスに殴られた。

 

口の中が切れて血の味がする。

 

 

 

.

 

 

 

「ヴァイス君!?」

 

なのはが止めようとするが、ヴァイスには聞こえていない。

 

「いい加減にしろよ!!てめえがそんな態度ばっかだから、なのはさんも皆もスッゴい心配しているのがまだ解らないのか!!」

 

ヴァイスは倒れている俺の胸ぐらを掴み、無理矢理立たせる。

 

「止めてヴァイ……シグナム?」

 

フェイトが止めに入ろうとするが、シグナムがそのフェイトを手で制する。

 

「黙って見ていろ、テスタロッサ。ここで止めてはディランディの為にならない。」

 

フェイトは大人しく引き下がる。

 

「分かっていたさ、皆が心配していることは!だが、奴をもう一度倒さなきゃ、仇を取らなきゃ、今度はお前らが標的にされる!!」

 

苦し紛れに言い放つ俺。

 

不恰好だが今は気にしていられない。

 

「だったら守り抜けよ!復讐心にばかりいつまでも持ってるんじゃねえよ!!それに…復讐を成し遂げることが世界と向き合う唯一の方法じゃねえだろ!?」

 

胸ぐらを掴む手で俺の体を揺さぶる。

 

ヴァイスの言葉が胸に深く刺さる。

 

……そうか、やはり復讐心を捨てた方が良いのか。

 

だが、サーシェスはどうあっても逃してはいけない。

 

[マスター、失礼ですが彼らがその後どうなったのか見てもらいます。]

 

その後、だって?

 

「…何故だ?」

 

[貴方のしたことでどんな結果になったのかを知ってもらう為です。]

 

……誰か亡くなったのか。

 

それも、一人じゃない。

 

「分かった、見せてくれ。」

 

見たくはないが、これは見なくてはいけない。

 

[皆さんは見るも見ないも自由です。]

 

皆はシャマルとエリオとキャロ以外は見ることになった。

 

キャロは顔面蒼白で、エリオはそのキャロの付き添い、シャマルは医者として念のために診察するということで断念した。

 

キャロにはきつかったか……。

 

 

 

 

.

 

 

 

 

映像はナドレとキュリオスの出撃から始まった。

 

エクシアはラッセの乗るGNアームズと共に金色で疑似GNドライヴを7基も搭載した巨大MAへと向かう。

 

最初は踏ん張っていた二人だったが、巨大MAの砲撃のせいで損傷する。

 

それと同時にトレミーも砲撃を受け、ドクターモレノが巻き込まれてしまった。当然、即死だった。

 

<まだだ、まだ死ねるか!計画の為にも、ロックオンの為にも!!>

 

更にナドレが損傷の衝撃から立ち直りきれず、敵MSを二機撃破したのと同時に戦闘不能になってしまった。

 

前衛が手薄になった隙にトレミーももう一つの強襲用コンテナが離れた際に艦橋を撃たれてしまった。

 

<お願い…世界を…変えて…。>

 

艦橋に残っていたリヒティとクリスがトレミーの爆発に巻き込まれて消えてしまった。

 

一方で巨大MAと対峙する刹那とラッセ。

 

<世界はこの私、アレハンドロ・コーナーが導く!!>

 

そのパイロットは何と国連大使であり、ソレスタルビーイングの監視者でもあったアレハンドロ・コーナーだった。

 

「アイツが裏切り者だったのか…!!」

 

こんな奴に計画を滅茶苦茶にされ、仲間が犠牲になったと思うと悔しくてたまらない。

 

歯を噛みしめ、拳に力が入る!

 

刹那たちはGNアーマーとなるも、次第に損傷していく。

 

<刹那、俺たちの…存在を…。>

 

そして、巨大MAに大分損傷を与えたところでGNアームズが大破してしまった。

 

<でやああああああ!!はああああああああああああああああああ!!!>

 

しかし、損傷で動けない隙を逃さなかった刹那は機体を切り刻み、巨大MAを破壊した。

 

一方、キュリオスは右側が吹き飛ばされたものの一人で踏ん張っていた。

 

<ならあの女に見せつけてやろうぜ。本物の…超兵って奴をな!>

 

そして、突然俺も見たことが無いぐらいに速い動きで敵二体を翻弄していく。

 

<今までのようにはいかねえ!>

 

<そうだろ、ハレルヤ!!>

 

更にトランザムで追い込みをかけていく。

アレルヤがここに来て力を発揮出来ているのが俺は嬉しかった。

 

しかし、敵に動きを止められてしまい、キュリオスもまた戦闘不能となってしまった。

 

画面は刹那の方に戻る。

 

一度は倒したかに見えたMA、その中心からMSが出てきた。

 

刹那も反撃するも、GNフィールドに阻まれる。

 

刹那、今こそエクシアの力を発揮する時だ!

 

<見つけた……見つけたぞ、世界の歪みを!お前がその元凶だ!!>

 

トランザムを発動し、高い機動力で敵を翻弄する。

 

接近してGNフィールドにショートブレイドを突き立てる。

 

<貴様ぁ!>

 

そのまま突き破って、敵の左肩に突き刺す。

 

<武力による紛争根絶、それを行うのがソレスタルビーイング、ガンダムがそれを成す、俺と、共に!>

 

次々に装備する限りの剣を敵に刺していく。

 

<そうだ、俺が!>

 

最後はGNソードで一閃!

 

<俺たちが、ガンダムだ!!>

 

金色の敵MSが爆散する。

 

トランザムを使った為、最早粒子の大部分が残ってない。

 

そこに疑似GNドライヴを搭載したフラッグがエクシアに向かってきた。

 

<逢いたかった…逢いたかったぞ、ガンダム!>

 

そのフラッグはビームサーベルを出して、エクシアの左肩を切断する。

 

その後エクシアは頭部を吹き飛ばされ、敵のフラッグは頭部、右足を切り捨てられる。

 

<貴様のその歪み…この俺が断ち切る!>

 

<よく言った、ガンダムゥ!!>

 

最後に共に相手へと突っ込んでいき……相討ちとなった。

 

赤と緑の光の粒子が舞い、消えていく。

 

ここに決戦は終わり、ソレスタルビーイングの敗北という結果となった。

 

<俺たちは求め続けていたんだ、ガンダムと共に。ガンダムと、共に。>

 

最後に刹那の言葉が流れ、映像はそこで終わった。

 

 

 

.

 

 

 

俺はただ、ただ、この結果に驚愕した。ソレスタルビーイングが負けたという結果に…。

 

暫し沈黙の空気が流れる。

 

[因みに、その後は国連軍が発足されましたが世界から戦いは消えませんでした。ですが敗北から四年後に歪んだ再生を破壊するため、ソレスタルビーイングが復活しました。勿論、メンバーは何人かが変わっていますし、機体も一新されました。これ以上は次元震が発生しますので、お答え出来ません。]

 

それだけ分かれば十分だ。

 

しかし…きついな…。

 

「ドクターモレノにクリス、リヒティまで…。それにラッセも…。」

 

いくら殺した敵が許せなくても自分が復讐に走ったことでこんな結果になったことを思うと複雑な気分になる。

 

どっちにしたって顔向け出来ねえじゃねえか……!

 

[マスター、ラッセ・アイオンは生きてます。]

 

あれで生きてたとは、やるじゃねえかラッセ!

 

ラッセが生きてたことで少しホッとした。

 

[それでマスター、これで解りましたか?]

 

「ああ、解った……痛いくらいにな。」

 

俺が先にいなくなったことで、敗北に繋がってしまった。今さら悔やんでも仕方ないことだが、やるせない。

 

四年後にあいつらがどうなったか見たかった気がするがこれも仕方ない。

 

だが、何も諦めてないこと、皆が変わり出していることは解った。

 

……なら、俺も変わらねえとな。

 

「ヴァイス、悪かったな。手間掛けさせちまって。」

 

「へっ、気にすんなよ。俺らはダチだろ?」

 

ニマッといつものヴァイスらしい歯を見せるような笑顔とサムズアップで答える。

 

「皆、心配掛けてすまなかった。もう復讐に走るのは辞める。」

 

もう俺の『今の家族』にも迷惑が掛かっていることが解った以上は復讐心は捨てなきゃならない。

 

だがサーシェスはどうにかしなければならない。

 

奴は確実になのはも自分で殺しに来るだろう。

 

そしてフェイト、エリオ、スバルにギンガも狙われている。

 

だから戦う。

 

 

 

 

 

復讐でなく、守るために…

 

 

 

 

 

俺はその決意を密かに秘めて、その場はお開きになった。

 

 

 

 

.

 

 

機動六課メンバーside

 

ニールの過去話の後にはやてによってヴァイスを含めた話を聞いた全員が集まった。

 

ただし、シャーリーはデバイスをすぐに造り直しに掛かった為、その場にはいない。

 

「それで、何から話そうか。」

 

はやては机に手を組んで皆に聞く。

 

「私は、ニールがあんなに苦しんでたなんて思わなかった。いや、苦しんでいたことはある程度分かっていたけど10数年分もなんて想像も着かなかった。」

 

フェイトは苦い表情で唇を噛む。

 

「せやな、本人にとってうちらの想像を絶するぐらいに辛いもんやったやろな。」

 

はやてたちが思うのは、ニールがテロに遇ってから現在まで生きて抱き続けたテロへの憎しみである。

 

テロを、それも殺した犯人をずっと憎み続けるのはどれだけの精神的疲労になるだろう。

 

実際、ニール自身が復讐を辞めたいと洩らしていた。

 

「でも、だからってニールさんがソレスタルビーイングとしてしてきたことは無視しきれません。」

 

ティアナの一言にヴィータとシグナムが頷く。

 

「待ってくれ、それはもう済んだことだろ!?」

 

そこにヴァイスが机をバンと叩いて大声で訴える。

 

「落ち着け、グランセニック。ランスターだって解っている。」

 

「すみません、シグナム姐さん。」

 

シグナムの指摘でヴァイスはバツが悪そうに大人しく座る。

 

「とはいえ、本人は自覚して最後には咎を受けると言ってましたし、それに既に代償を払っているので処罰とかはしていいのか私には分かりません。」

 

ティアナの言葉に全員が悩む。

 

機動六課内にしてもニールの事実を知って受け入れる人が果たしてどれだけいるか。

 

ニール本人にとって思い出したくないだろうということで映像記録はコピーしていない。

 

何より流出すれば問答無用で逮捕され、六課メンバー全員にも影響が出るだろう。特に地上本部はそれを口実にして六課を解散に追い込みかねない。何より、ニールの罪状が裁判で適用されれば死刑は免れない。

 

それはその場にいる全員が避けたいことだ。

 

「なら、ニールさんにはこれからも頑張ってもらって少しでも罪を償ってもらう。そういう風にするのが一番ええんやろな。」

 

「私も主はやてと同意見です。そうだろ、ヴィータ。」

 

「ああ、あたしもそれで良いと思う。あいつは、あたしらと同じだ。」

 

その言葉にシグナム、シャマル、ザフィーラが頷く。

 

「私たちで、ニールさんを支えていこう。」

 

なのはの一言に皆が頷く。

 

「ふふ〜ん、一番支えたいんはなのはちゃんとちゃうん?」

 

はやてはいたずらっ子のようにニヤリと怪しい笑みを浮かべる。

 

「えへへ、バレちゃった?」

 

がなのはが照れながらも素直に認めたことが予想外だったのか呆然とする。

 

(うわっ、すっかりメロメロやん…。ごちそうさまや。)

 

意外なノロケっぷりに苦笑いするはやてだった。

 

 

 

.

 

 

 

サーシェスside

 

野郎との戦いから数日経って、ダメージが回復した。

 

だが、俺はいつになくイラついていた。

 

まさか野郎がクルジスのガキがやっていたような動きをしやがるとは。

 

そういや、前いた世界の大将が言ってたな。

 

確か一時的に機体性能を3倍に上げるっつう、トランザム、そう、そんな名前だ。

 

あんなものをまた使われたら手も足も出ねえ。

 

苛立ちのあまり、持っていた出来の悪いウイスキーの入ったグラスを金属で出来た壁に投げつける。

 

グラスは割れ、破片と残っていたウイスキーが床と壁、割れた氷が床に散らばる。

 

<ご機嫌斜めのようだね、サーシェス。>

 

備え付けのモニターに大将の顔が映る。

 

「大将か…。悪いが用なら後にしてくれねえか?」

 

いくらスポンサーとはいえ、余程耳寄りな情報でなければ聞く気なんて起きねえ。

 

<君にとっての朗報でもかい?>

 

苛立ちを一旦沈めてモニターの方へと近付く。

 

「どんな朗報だ?」

 

<君のアルケーに追加装備を付けたんだ。スローネアインに装備されていたメガランチャーにバスターソードを更に追加。更にファングも増やした上にサイドアーマーの増加にブースター付きのバックアーマーを追加したよ。>

 

随分装備を増やしやがったな。ヤークトアルケーの装備だな。

 

だが、痛い弱点があるな。

 

「そんなに付けてたら、機動力が下がっちまうじゃねえか。」

 

雑魚はともかく野郎を相手にすると逆に邪魔でたまらねえ。

 

 

<心配には及ばないよ。追加装備は全てデバイスに指示を出せば換装する仕組みになっている。一つだけ出すことだって可能さ。>

 

それはいいが、これじゃ野郎に勝てねえ。

 

<あの赤く光る……君にもらったデータではトランザムというみたいだけど、あれはちょっと無理だね。実は去年に思いついて実験したんだけど、全て爆発して失敗だよ。どうにも出力の調整が難しいんだ。>

 

「ちっ、マジかよ。」

 

<ただし、その変わりにアルケーの性能を私の出来る限りの限界まで上げておいたよ。それならある程度は対処出来るんじゃないかな?>

 

まあ、それならまだマシか。

 

性能さえどうにか出来れば後は動きが読めりゃいい話だ。

 

<それと、そろそろ君の言う大きな戦争を始めようと思うんだ。手始めに君には聖王の器を奪う手伝いをしてもらいたい。>

 

「その聖王の器って何だ?」

 

<ああ、そうだった。君には説明していなかったね。今データを見せよう。>

 

モニターが大将から何故か小さな女のガキへと変わる。

 

このガキはオッドアイか。

 

<今映っているその子供が聖王の器だよ。説明は、いいか。>

 

どうせ聞いたって俺は覚える気もない。そこら辺の理解が早くて助かるぜ。

 

「で、そのガキを拐うんだろ?どこにいんだよ。」

 

<今は機動六課内隊舎にいる。>

 

そこは野郎がいるとこじゃねえか!

 

<言っておくけど、今度のは飽くまで聖王の器が最優先だからね。>

 

ちっ、また制限かよ。舌打ちの音が部屋内に響く。

 

<でも、ゆりかごが浮上した後は好きに暴れていいよ。>

 

ま、その後に鬱憤晴らせんならいいか。

 

それにしても…

 

「ガキを拐って使うたあ、大将も大した外道っぷりだな。」

 

<ふふ、確か君もKPSAというテロ組織で沢山の子どもを洗脳して武器を持たせたり、爆弾持たせて自爆させたりしたそうじゃないか。それに比べたら大したことじゃないよ。>

 

そりゃそうだな。

 

おっと、そういや俺も大将に用があんだったな。

 

「そういや、大将の計画が成功したらどうすんだ?」

 

<君がいた世界へ行こうかと思っている。そしてイオリア・シュヘンベルグとGNドライヴについて調べてみたいんだ。それについては聖王のゆりかごがあれば行けると思うよ。>

 

ということは、俺もあっちへ行けるって訳か。

 

「ならよ、報酬払ってもらったら俺も連れてって貰えねえか?実はあっちの世界でも殺してえ奴がいるんだよ。」

 

あの…クルジスのガキを……。

 

あのガキ、いや、大人になったから野郎か、野郎には二度も俺の機体を破壊してくれたからその礼もしなきゃならねえ。

 

そして、俺を殺してくれやがった野郎の弟も殺す。

 

<勿論いいよ。君には色々と働いてもらったからアフターサービスぐらいはさせてもらうさ。>

 

気前がいい依頼人で助かったぜ。

 

さーて、気分がいいうちに俺のデバイスでも調整するか。

 

モニターを切って部屋を出る。

 

 

 

 

 

楽しいパーティーまでもうすぐだ。

 

 

 

 

 

.

 

 

デュナメスside

 

マスターの過去を皆さんに話した後、私…デュナメスを一から造り直す作業に入りました。

 

本当はマスターに厳しい現実を突きつけるのは私としても心の痛いことでしたが、これをしないとマスターは同じことを繰り返す可能性がありましたので敢えてやりました。

 

それにしても以前マスターに、「知り合いの声に似ている」と言われましたが、それはそうです。

 

私の管制人格は、フェルト・グレイスを参考にして造られたのですから。

 

ただ、やはり性格まで同じものを造るなんていうことは稀で、フェルト・グレイス本来の優しさなどは私にはありません。

 

よくマスターに厳しいと言われますし。

 

マスターがこれを聞いたらどう思うでしょうか?

 

そもそも私を造ったのは誰だか分かりません。

 

マスターをこの世界を送った神と思われる者であるのは間違いないのですが、声を直接でなく声なき声で語っていたという感じなのでイマイチどのような存在なのかが計りかねます。

 

だからこその神なのかもしれませんが。

 

「デュナメス、このデータは何?」

 

私を新たに造り直しているデバイスマイスターのシャーリーから私が提供したデータについて聞かれる。

 

[それはガンダムデュナメスの後継機、ケルディムガンダムのデータです。]

 

どうせなら後継機をベースにした方が早いと思い、データを渡しました。

 

マスターがケルディムがどういうものか知ったら次元震が起こってしまいますが、シャーリーに教える分には発生しません。

 

「へえ……スペックの向上、武装も新たに盾にもなるビットもあるのね。ん?これって……トランザムをいつでも解除出来るようになってる!?そっか、このデータを一番使って欲しいって訳ね。」

 

[はい。それにより、魔力の無駄な消費も抑えられるようになりますし、完成も一からアイデアを出すより早いと思います。]

 

シャーリーはデータを一通り見て、満足そうな笑顔をする。

 

「ああ〜、こんなアイデアがあるなんて……今後の参考にもなるわ。でも、ビームサーベルを腰アーマーとかに付けた方がいいわね。これだとあまり武装は増やさない方がいいし。」

 

確かに本気になったマスターは近接戦でサーシェスに負けてませんでしたし、ライル・ディランディがサーシェスと戦った時も攻撃が射撃だけでしたから心許なかったですね。

 

ライフルビットは今の段階では無理があるので止めておきました。

 

「よ〜し、頑張って造るわよ!!」

 

シャーリーが作成に取り掛かるようなので、機能を停止しておきましょう。

 

マスター、いえ……ロックオン、今度こそ貴方を守るから……。

 

 

 

 

.

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