魔法少女リリカルなのは~天を穿つ深緑の狙撃手~ 作:グリューン
―今日は地上本部にて公開意見陳述会が開かれる。
それは管理局の将来を見据えて開かれる新兵器の展示会で主にアインヘリアルという兵器についての話し合いが中心になる。
機動六課メンバーは俺以外は既に全員警備に出た。
俺はというと、デバイスが修理中ということで地上本部から待機してもいいという許可をもらって六課隊舎に残っている。
デュナメス…いや、新しく造り直しているからもうデュナメスではないが、新デバイスはまだ武装の調整が一つ終わってないということで研究室にいるシャーリーが預かっている。マリーは中央に用事があり、ここにいない。
機動六課にいる今の戦力は俺、ヴァイス、シャマル、ザフィーラとなっている。
「パパ、遊んでくれないの?」
で、今はヴィヴィオにズボンの裾を引っ張られながらも六課でバリアジャケットを着て待機している。
「本当なら遊んでやりたいんだが、悪いな。しばらく我慢してくれ、な?」
ヴィヴィオの頭を撫でてあやす。
「そうだ、だったら明日、遊ぼうか。皆のいる場所に戻って何して遊ぶか考えておいてくれ。」
さっきまで泣きそうだったヴィヴィオの表情が明るくなっていく。
「本当!?ならヴィヴィオ、皆の所へ戻ってる。」
「よし、良い子だ。明日を楽しみにしてるぞ。」
ヴィヴィオは笑顔で通路を駆けていく。
トテトテと可愛い足音を立てながら、
コテッという擬音が聞こえる具合に転んだ。
「ははは、立てるかヴィヴィオ。」
鼻を押さえながら泣くのを堪えてるヴィヴィオ。
仕方ないのでヴァイスに頼んで暫く俺の配置場所も見張ってもらい、ヴィヴィオを送ることにした。
この時、あんなことになるとは……俺は思っていなかった。
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スバルside
地上本部の警備を初めてから大分時間が経過した。
公開意見陳述会が開始され、今は持ち場でヴィータ副隊長やリイン空曹長、フォワードの皆と待機している。
ギン姉はさっきまで一緒にいたけど別の場所へ経過報告に行っている。なのはさん、フェイト隊長、部隊長、シグナム副隊長は地上本部建物内で待機。
特に部隊長、シグナム副隊長は公開意見陳述会の会場内にいる。
なお、なのはさんたちのデバイスは持ち込むことが出来ないということでレイジングハートをあたしが、バルディッシュをキャロが、シュベルトクロイツとレヴァンティンはヴィータ副隊長が持っている。
「あのさスバル、気になったんだけどギンガさんの元気がなかったのは何でなの?」
ふとティアナが聞いてきた。他の皆も気になっていたようでこっちにやって来た。
「えっと、何て言ったら良いのか……。」
「ああ、あたし知ってるぜ。ニールにフラれたんだろ?」
あたしが誤魔化そうとした所をヴィータ副隊長がバラしてしまった。
「フ、フラれたんですか!?しかもいつの間に……。」
ティアは驚いているが、エリオとキャロは何のことかは分かっていないようで首を傾げている。
「あのそういうのって何とかならないんですか?」
悲しいことだと理解したらしいキャロが副隊長に聞くが、首を横に振って否定する。
「キャロ、気持ちは分かるが色恋沙汰ばかりは本当にどうにも出来ねえんだ。こればかりはギンガが自分で乗り越えねえとダメなんだよ。」
副隊長はあたかも経験したかのように語った。
ん?ちょっと待って。
「ヴィータ副隊長、もしかして過去に失恋を!?」
「あー、違うですよスバル。ヴィータちゃんはただ単に地球の昼ドラでのセリフを真似ただけですよぉ。」
「こ、こらリイン!」
空曹長が元をばらしたことで赤面する副隊長。
可愛いなんて言ったら光にされそうなので黙っておく。
さっきまでの緊張感がいつの間にか無くなっているなあ。
でもこの布陣ならきっと大丈夫だと信じている。
六課にはシャマル先生とザフィーラさん、ニールさんもいるから大丈夫。
そういえばティアがヴァイス陸曹はかつて武装隊でアウトレンジの優秀なエースだったって言ってたなあ。
昨夜にお茶の差し入れがてら何でヘリパイロットに専念してるか聞いたらはぐらかされたみたいだけど。
今度ニールさんは知ってそうだから聞いてみようかな。
「あ痛っ!」
副隊長に頭を小突かれて、呆けていたことに気付く。しまった、こういう時の副隊長は恐いのに。
「スバル、ちゃんと聞いてろ!」
いつの間にかヴィータ副隊長が話をしていたみたいでティアがあたしを睨んでいる。
「す、すみません…。」
頭を押さえながら、気を引き締め直して警備に集中する。
何も起こらず無事に終わることを願って…。
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スカリエッティside
時空管理局を襲撃する当日となり、いよいよそれぞれの配置が始まった。
ウーノは私の元でサーシェスやゼスト、ルーテシア、ナンバーズへの指示を出す。
クアットロはシルバーカーテンによる地上本部の指揮系統の混乱を図り、現場指揮を行う。
チンクは地上本部の結界を作動させている装置の破壊。
ノーヴェとウェンディは地下での破壊活動及び、タイプゼロファースト、セカンドいずれかの回収。
トーレとセッテは空中で空戦魔導師の迎撃。
ルーテシアはガジェットの大量召喚の後に聖王の回収。
ゼストは地上本部へ向かっているようだ。
オットーとディードは機動六課隊舎の襲撃。
そしてサーシェスは、いざ高ランク魔導師が機動六課に来る時の為にオットーとディードの後ろにいてもらう。
ただ彼のことだ、あまりつまらないと自分から強い相手を探しに行くだろう。
まあ、それはそれで好転する可能性が高いから良いのだが。
GN-X、スローネは緊急の為に待機。いきなり出してもつまらないしね。
それに今回の襲撃の目的は殲滅ではないため、今回の出撃は見合わせる。
「ドクター、全配置完了しました。」
「そうか。」
もうすぐ、私がやりたかったことが始まる。
「クッククク、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「楽しそうですね、ドクター。」
「ああ、楽しいとも。科学者として、個人としてこれから自分が造り上げた者たちが管理局を打ち倒すのかと思うと愉快で堪らないよ。…さあ、始めようじゃないか!」
盛大なるパーティーを!!
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ニールside
日が暮れて、夜へと変わろうという時間。俺が隊舎の奥の通路を歩いていたら、ロングアーチのグリフィスから通信が来た。
<ディランディ空曹長、何者かが六課隊舎を襲撃!既にシャマル先生とザフィーラさんが外で応戦してます!!>
「何だって!奴らの目的は分かるか!?」
<はっきりとは言えませんが、おそらくレリックと……ザザッ……>
突然、モニターが見れなくなってしまった。
くそっ、通信妨害か!
そこに午前中にフォワード陣を送って戻ってきたヴァイスが通路を駆けてやって来た。
「おいニール、もしかしたらシャーリーたちが危ないかもしれねえぞ。お前はそっちへ行け。ここは俺が敵を足止めする!」
「一人で大丈夫なのか!?」
ヴァイスはかつて武装隊のエースで俺と同じスナイパーだった。
だが、妹の左目を撃ち抜いてしまって以来武器を置いたままでブランクがある。
「そんなこと言ってる状況じゃないだろ。それにお前はあの娘の親父だろうが。だから行け、自分の娘を守ってみせろよ!」
「……分かった、ここは任せる。死ぬんじゃねえぞ!」
それはお互い様だとヴァイスが答えたところで俺はヴィヴィオがいる奥へと走っていく。
外が見える隊舎入り口を見るとシャマルとザフィーラが隊舎を守っている。
しかし敵の攻撃が当たったのか、所々で爆発が起き、隊舎に火の手が上がる。
「畜生、好き勝手やりやがって…!」
通路の途中から現れたガジェットの中央にあるカメラアイを銃型デバイスで撃ち抜く。
ティアナがやっていた魔力弾を魔力の膜で包むという方法を使わせてもらった。
貫かれたガジェットは小爆発を起こして地面に横たわる。
俺はそのガジェットを飛び越えて走っていく。
無事でいてくれ、ヴィヴィオ!
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スバルside
襲撃は突然だった。
指揮系統が通じなくなり、大量のガジェットが突然出現した。
地下で爆発が起き、結界も破られていった。
更に空にSランク魔導師が出現したことでヴィータ副隊長が迎撃に向かい、私たちはなのはさんとフェイト隊長との合流の為に地下へ分散することになった。
今はその地下で戦闘機人と遭遇、戦闘をすることになった。
あたしと同じ戦闘スタイルの戦闘機人がウイングロードのような魔法に乗って殴りかかってくる。
「こんのぉーーーーーー!!」
ラウンドシールドを張って防御する。
「ぐっ…!」
流石に戦闘機人となると威力も半端じゃない、気を抜くと押し切られる!
「サイドが…がら空きッスよ!」
でかいボードのような武装を持つ射撃型の戦闘機人があたしを左側から狙う。
嫌なことに魔法は左手でやっていて、防御が出来ない!
「させない!」
ティアが射撃型の戦闘機人の足を狙い撃つ。
「くっ!」
撃たれた方はすかさずボードで防御する。
「余所見してんなよ!」
だけどあたしは横を見ていたせいで相手が蹴りを入れてきたことに気付かず、脇腹に貰ってしまった。
「うあっ!」
勢いを殺せず、壁まで吹き飛ばされ、壁自体も破壊されてしまい破片が飛び散る。
口の中を少し切ってしまったのか、血の味がする。
「スバル!」
「ケホッケホッ、だ、大丈夫だよ!」
土煙の起こる中、痛みを堪えて立ち上がる。
<スバル、あまり時間を掛けられないから幻術を使って合流ポイントまで撤退するわよ。キャロ、サポートお願い。スバルとエリオは相手を妨害して頂戴!>
<分かった、エリオ行くよ!>
<はい、スバルさん!>
土煙が晴れたところで相手に向かって突っ込んでいく。
「おりゃああああああ!」
「なっ、くそっ!」
相手は腕をクロスして防御するもののこっちもその程度で受けきれる程甘くない。
湖に投げた石が跳ねるように罅を入れながら地面を転がる。
「ノーヴェ、くっ、こっちのは……ちょこまか避けて!」
ボードの方は跳んで避けるエリオを捉えきれないながらも撃ち続ける。
こういった回避はあたしたちの中でエリオが一番上手いから捉えられるはずもない。
「ストラーダ!」
そのエリオは相手に接近したところでストラーダのカートリッジを排出、電気を纏わせる。
「サンダー……」
そのストラーダを跳躍しながら上に構え、
「レイジ!」
ボードの戦闘機人に振りかぶる!
「ぐっううう…!」
ボードで防御するも、戦闘機人だけに電気をよく通す。
その証拠に周りにも余波が起き、ガジェットが巻き沿いを喰らって爆発する。
<キャロ、行くわよ!>
<はい!>
「フェイクシルエット!」
ガジェットが爆発して上がった土煙を利用してティアがキャロのブーストを掛けたフェイクシルエットを発動させた。
それも負荷が大きいにも関わらず大多数のあたしたちの幻影を造り上げた。
「ウェンディ、これは!?」
「これは、幻影ッスよ!」
「こいつは……あのオレンジ頭の仕業か!」
気付かれた、急いで合流しないと!
<くっ、スバルもエリオも今のうちにこっちに来て!>
あたしとエリオはすぐにティアとキャロの元へ急ぐ。
[魔力負荷増大。]
[ブースト、限界に到達。]
「もう少し、もう少しだけ頑張ってケリュイケオン。」
[yes.]
二人とも大きな負荷で汗を掻いている。
「嘗めた真似を!」
ノーヴェと呼ばれた戦闘機人がティアたちに突っ込んでいく。
「させない!」
すぐに気付いたあたしは横からハイキックをノーヴェにぶつける。
ノーヴェはまた腕をクロスして防御するも吹き飛ばされる。
あたしはハイキックからすぐに反対側を向いてティアたちのいる所へ向かう。
「撤収!」
ティアの掛け声で四人とも走り出す。
いや、幻影を混ぜた12人が三方向に四人ずつに別れてその場を去る。
あたしが一番遅かったが、すぐに追い付く。
「くそっ!」
「逃げられちゃったッス…。」
そのままあたしたちはなのはさんたちとの合流ポイントへ向かった。
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サーシェスside
俺はオッドアイのガキを拐うと聞かされたというのに、いざ始まると「もしもの時の為に待機」とメガネの嬢ちゃんに言われて仕方なく双子の嬢ちゃん(オットー、ディード)の後ろで退屈そうに腕を組んでる。
ったく野郎はいねえし、大したこともねえ緑の女と青い犬だけしかいねえしつまんねえ!
「貴方たち、何故こんなことを!」
「その中にいる聖王を差し出して戴ければ我々は撤退します。」
「そんなことはさせん!」
青い犬が双子の短髪の嬢ちゃん(本当はガキと呼ぶべきか?)へと突っ込んでいく。
「なっ!?」
が、上から双剣を構えた双子の長髪の嬢ちゃんが急接近してきた。
……終わったな。
「ISツインブレイズ。」
「がはっ!」
嬢ちゃんの攻撃を背中に喰らった犬は固い地面に叩きつけられた。
「ザフィーラ!」
「無駄な事を…ISレイストーム!」
短髪の嬢ちゃんから幾つもの緑の帯のようなものが現れ、目標の建物を貫こうとそれぞれ突っ込んでいく。
「クラールヴィント!」
緑の女がどっからか盾を出して短髪の嬢ちゃんの攻撃を防ぐ。
「無駄だと言ったはず。」
短髪の嬢ちゃんはそれを意に介さず、無表情で緑の女に攻撃する。
「うあっ!」
緑の女は避けきれずに直撃、盾も割れて建物に攻撃が当たった。
「はあ〜、つまんねえ。どうやら嬢ちゃんたちで十分そうだから……あの犬しぶといな。」
見ると倒れていたはずの犬が立ち上がり、大砲みたいなもんを撃とうとしていた。
嬢ちゃんは二人とも気付いてない。
「詰めが甘えぞ、嬢ちゃん!!」
退屈しのぎに俺が降りて、その勢いのまま犬の頭を両足で踏みつける。
「かはっ!」
犬は耐えきれず、血を吐き出す。
「!?あの犬まだ…。」
「でもサーちゃんには勝てない。」
「短髪の嬢ちゃん、その呼び方は止めろと言っただろうが!」
「短髪の嬢ちゃんじゃなくてオットー。それにその呼び方だとノーヴェと被る。」
ちっ、口の減らねえ嬢ちゃんだぜ。
「アリー……アル、サー……シェス、貴様のような、外道は必ず……地獄に……がっ!」
「はあ、聞こえねえなあ!」
俺は容赦なく犬の横っ腹を蹴る。
建物の壁にぶつかり、上から降ってきた瓦礫に埋もれる。
「やっぱりサーちゃんはドSだ。」
長髪の嬢ちゃんが何処で覚えたのか、そんなことを言う。
ああ、教えたのは俺だったな。
するとオットーの目の前にモニターが出た。メガネの嬢ちゃんだ。
「クアットロ姉様。」
<オットー、そっちはどうなってるかしら。>
「はい、こちらも予定通り鎮圧完了しました。」
<そっちにルーテシアお嬢様を内部潜入に向かわせたんだけど既に来てる?>
「ルーテシアお嬢様は…今確認出来ました。」
「つまんねえな、しょうがねえから他の所で暇潰してくるか。おいメガネの嬢ちゃん、どっか強い奴がいそうな場所は知らねえか!?」
<ちっ……それならあっちに地上本部があって、そこに強力な魔導師が何人もいます。妹たちがいますが、空中はトーレ姉様とセッテをフェイトお嬢様、ゼストはハンマーをもったベルカのおチビちゃんを相手してます。……くれぐれもお姉様たちの邪魔はなさいませんよう。>
棘のある声色で俺に釘を刺そうとするメガネの嬢ちゃんだが、俺はそんなのを意に介す気はない。
もしかしたら野郎もあっちかもしれねえな。
だがその前に。
「確か、剣を持ったピンクの女がいたよな。」
<じゃあその女の相手でもして下さい。>
そう言ってモニターを切られる。
イチイチ勘に障る嬢ちゃんだ。
次、生意気な口訊いたら……殺すか。
「へっ、双子の嬢ちゃん、ここは任せたぜ!」
こんなに楽しいパーティーやってるってのに獲物がいねえのはつまんねえ。
期待を裏切らせんじゃねえぞ、時空何たらさんよお!!
.
ヴァイスside
今、俺は瓦礫を壁にしてやって来る敵を相手に戦っている。
六課に備え付けられていた杖型デバイスを構えてガジェットを一機、また一機と黄色のカメラアイを狙い撃つ。
どれも狙い通りガジェットを倒していく。
「よし、腕は錆び付いちゃいねえ!」
そうして再びデバイスを構える。
だが……
「なっ!?」
そこには紫の髪をした小さな女の子が立っていた。
杖を持つ手が震え、照準がぶれる。
あの時の、妹が人質に捕られた時、誤って妹の目を射抜いてしまったことを思い出してしまう。
相手はおそらく敵だ!
撃て、撃つんだ。
だがその抗いも虚しく、女の子の魔力弾をぶつけられた俺は吹き飛ばされ、瓦礫に埋められてしまった。
ニール、いつか言ったな。早く解決しねえと守る為の戦いでも引き金を引く指が鈍るって。
お前の言う通りになっちまった。不甲斐ない俺を許してくれ。
そのまま俺の意識は途切れた。
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スバルside
あれから無事になのはさん、フェイト隊長と合流出来たもののギン姉と連絡が取れなかった。
なのはさんとフェイト隊長にデバイスを直接渡したが、部隊長とシグナム副隊長のデバイスはシスターシャッハに届けてもらうことになった。
渡したところでギン姉の元へとあたしたちスターズ、機動六課をライトニングが向かうことになった。
とてつもなく嫌な予感がした。
その焦りからなのはさんとティアのことも構わずマッハキャリバーのローラーで走り続けた。
そして通路で抜けたあたしが見たものは……
ノーヴェという戦闘機人とその足元の踏み潰されたブリッツキャリバーの付いた左腕……
コンテナらしきものを持つウェンディと呼ばれた戦闘機人
右目に眼帯を付けた銀髪の身長の低い戦闘機人
そして
バリアジャケットがボロボロに破けて、血塗れで目が虚ろな変わり果てた姿のギン姉だった……。
これ以上ない怒りと憎しみと悲しみの感情があたしを支配した。
.
ニールside
機動六課隊舎内部
俺は建物が燃える中、走っている。
所々が燃え上がるだけでなく、瓦礫が落ちたりと内部もボロボロにやられてる。
あの後、謀ったかのように俺の所に大型のガジェット3型が道を塞いでいた。
どうにか倒したものの時間を大分喰ってしまった。
シャマルとザフィーラは大丈夫なのか!?
ヴァイスは全然連絡が取れない。
だが、まずはヴィヴィオとそこにいる隊員の無事を確認しねえと!
そうこう考えているうちにヴィヴィオたちがいる場所に辿り着いた。
「なっ!?」
そこにいたのは、紫の髪をした小さな女の子と人間に近い姿の虫だった。
その虫人間にヴィヴィオが気絶したまま抱かえれていた。
「ヴィヴィオ……おい、俺の娘を拐ってどうするつもりだ。」
俺は女の子にデバイスの銃口を向ける。
「知らない、ドクターの命令だから。ガリュー、私がその子を運ぶから倒しておいて。」
女の子は意に介さず隊舎を出ようとする。
「くっ、待て!」
行く手を塞ぐために牽制で魔力弾を発射する。
が、ガリューと呼ばれた虫人間の爪に弾かれてしまう。
「どけよ、この野郎!」
今度は魔力弾を連射するも全て弾かれる。
更に反撃として飛び蹴りをお見舞いしてくる。
咄嗟にしゃがんで避けて倒れている皆の近くまで転がる。
だが体勢を立て直すと、既にガリューが接近して右腕の爪を斬りかかっていた。
「くそっ!」
銃を盾にして防御するが、銃身を紙のように切れてしまった。
それに驚いている俺の隙をガリューは逃さず、左足でミドルキックを放つ。
防御が間に合わず、腹にモロに極められて横に倒される。
「がっ、はっ…!」
余りの痛さに俺は蹲る。
しばらく動けないことを確認したガリューはそのまま主人である女の子の元へ向かう。
「うっぐっ……嘗めやがって!」
「待って、下さい……ニールさん。」
倒れている俺にさっきまで気絶していたシャーリーが声を掛ける。
だが、怪我を負っていて声も弱々しい。
「シャーリー、大丈夫なのか!?」
「私のことよりこ、これを……ニールさんの新しいデバイス……です。」
そう言って左手を動かして懐から腕輪を取り出す。
デュナメスの時とは別に金色の縁取りのされたレンズの中でGN粒子と同じ色の粒子が輝いている。
レンズの四方には六角形の緑色の装甲が付いている。
まるで花のようだが、全体的に白の緑のコントラストでデュナメスの後継デバイスであることを表している。
デバイスを受け取り、左腕に装着する。
「ニールさん、ごめん……なさい。ヴィヴィオちゃんを守れなかった……。」
渡し終えたシャーリーは無念を口にし、涙を流す。
「お願い……します、あの子を……。」
腹の痛みはまだ抜けないが、そうも言ってられない。
「泣くな、お前のせいじゃない。俺が不甲斐ないばかりにこうなっちまった……。だがそれでも、あの娘はもう俺の子だ、絶対に助ける!!」
悔しさより、憎しみより、俺はヴィヴィオを助ける。
今は……それだけだ!
「シャーリー、痛いところすまないが、ここは頼む。」
[マスター、敵は既に隊舎を出ています。]
「そうだなデュナメス……じゃないな、名前は決まっているのか?」
[はい、以後はケルディムとお呼びください。]
ケルディム、智天使か。ソレスタルビーイングのガンダムは天使から名前を取っている訳だから合っているな。
「分かった、早速だが行くぜ!ケルディム、セットアップ!!」
[stand by ready set up.]
光の膜に覆われ、俺が来ていたバリアジャケットが変わっていく。
デュナメスとは大きく姿が変わり、MGドライヴ…魔導師版GNドライヴは腰の後ろへ、その周りを腕輪にあった形と同じ六角形の装甲が覆っている。
膝と左肩のシールドにも同じ形の装甲が付いている。
フロントアーマーの形が長方形の装甲に変わったもののミサイルが収納されていることは変わらず、サイドアーマーにはビームサーベルが取り付けられている。
足は爪先立ちにも見える意匠になっていて、踵部分にはスタビライザーのようなものが付いている。
頭部には胴体についていたクラビカルアンテナが左側に付き、顔も二本線が加わっている。スナイプ用のスコープは赤いクリスタル状のカバーに覆われている。
以前には無かったバックパックにビームピストルと思われるものが付いている。
そして右手には主武装のスナイパーライフルを持っていた。
[セットアップ完了、各部異常無し。……シールドビットは調整不足で使用不可。しかし、戦闘は十分可能です。]
「了解だ、急ぐぞケルディム。」
[マスター、今ならトランザムで素早く移動出来ます。勿論、必要条件にあったトランザムの任意解除が出来ます。]
「よし、なら早速使う。…トランザム!!」
[TRANS-AM SYSTEM Drive ignition.]
機体が赤く輝く。
空中に浮き、壁に向けてスナイパーライフルを構える。
隊舎を壊してしまうが、緊急事態だ。
[stinger ray.]
壁を撃ち抜き、外まで貫通する。
出来た穴を直進する。
絶対に、助ける!
待ってろよ、ヴィヴィオ!!
To be continue.....
先に言いますが、ケルディムにビームサーベルが付いているのは、当時「ビームサーベルを付けてみてはどうか」というリクエストもあってやってみようかと決めたからです。
後は、原作でニールがビームサーベルを使っても強かったからというのもあります。
でも、vividではオミットしようか悩んでます。