魔法少女リリカルなのは~天を穿つ深緑の狙撃手~ 作:グリューン
―「それでなんですが、実は貴方が倒れていたところでこんなものが落ちていたんです。」
なのはは上着のポケットに手を突っ込み、そこからブレスレットを取り出した?
基本的に深緑だが、金色のラインが二本入っており、水色のアクアマリンのような丸い宝石が白い円の枠によって嵌め込まれていた。
「?俺はこんなもの知らないぞ。」
だが、どうもデュナメスのような感じがする。
<初めまして、マスター。>
突然、宝石の部分が点滅してそこから声がした。
しかも声はフェルトを思わせるような感じだ。
「な、何だあ!?」
俺はびっくりして思わず後ろに下がった。
<私はガンダムデュナメスだったものです。>
「インテリジェントデバイスだったの!?」
なのはも俺程でなくとも驚いている。
<近いですが、少し違います。>
「おいおい、冗談だろ!?デュナメスだったって…あれがブレスレットになったのかよ!」
<冗談ではありません。それよりもまずは私の名前を決めて下さい。>
突然名前を決めろって言われてもなぁ…。
「ちょっと待って。ガンダムデュナメスって一体何?」
<マスターのいた世界にある機動兵器です。>
おいおい、一番知られたくないから喋らなかったのに!
「おい、勝手に…。」
<マスターはもう戻らないのでしょう?いえ、どちらにしてもマスターはあの世界へ戻ることは出来ないでしょう。>
.
「何でだ?」
<マスターが世界から一度でも戻ることを拒んだことで喩え座標が分かっても行けば次元震が発生するようになっているからです。>
「次元震って……それじゃ危険過ぎてニールさんは戻れないよ。」
「次元震ってそんなに危険なのか?」
「……下手すれば星一つ跡形もなく消すぐらいの威力にもなります。しかも一度発生すると自然に収まるまで止める手立てはありません。話を戻しますが、機動兵器ってなると質量兵器で戦うってことですよね?」
それじゃあどっちにしたって戻るのは無理だな。
「ああ、まあ俺たちが乗っていたガンダムはほとんどビーム兵器だったがな。」
<…一応言いますが、この世界では質量兵器は基本的に使用禁止です。>
「じゃあ、どうやって戦うんだよ。」
<それは…魔法です。>
は?
あり得ない。
「何言ってんだよ。いくらなんでも…。」
「本当です。私も使えますから。ね、レイジングハート。」
<はい。>
見るとなのはの胸元に赤くて丸い宝石の付いた首飾りから声が発せられた。
「それもデバイスっていう奴か?」
「はい、私のデバイスのレイジングハートです。」
<初めまして。>
「お、おう。」
少し戸惑いがあるが挨拶を返す。
<それで、名前は決めて下さいましたか?>
ハロ……って感じじゃねえし、他にしっくり来るものはないしな。
「なら、デュナメスにしよう。」
<了解、デバイス名『デュナメス』登録完了しました。>
「でも、リンカーコアはニールさんにはあるの?」
<あります。私がこうして創り出されたのが証拠です。>
リンカーコアについては追々デュナメスに聞こう。
「なら問題ありませんね。…あ、もう戻らなきゃ。それじゃまた来ます。お医者さんから“くれぐれも動かないように”とのことです。」
分かったと俺が言ったのを最後になのは部屋を退室した。
「…さてと、話してる時は言いそびれちまったが、宜しくなデュナメス。」
<はい、マスター。>
なんでこの世界にいるのかは分からねえけど、まずは戦いのケガを治さねえとな。
.
―それから数ヶ月の間は治療に専念した。
不思議なことに右目等の怪我は疑似GN粒子を浴びたにも関わらず、再生が進み見事に完治した。
疑似GN粒子を浴びると通常は細胞組織の破壊だけでなく、再生をも阻害してしまう。
ジョイス・モレノから負傷した時に治療がてらに話を聞かされた。
だがまあ、ありがたいと言ったらありがたい。
右目がないとスナイパーとしての力を発揮出来ない。
現在はこの世界で最初に話したなのはから彼女の友達に俺を紹介したいということで、その友達の一人のフェイトの実家に来ている。
ピンポーンとなのはがインターホンを鳴らす。
そこから長い金髪の赤い瞳が特徴的な女性が顔を出す。
「あ、なのはいらっしゃい。その人がニールさん?」
「うん、そうだよ。」
笑顔で応えるなのは。この娘は笑顔が本当に似合う。
「初めまして。俺の名前はニール・ディランディだ。」
「フェイト・テスタロッサ・ハラウオンです。宜しくお願いします。」
律儀にお辞儀をするフェイト。
「宜しくな。それと別に敬語じゃなくていい。俺も最初からこんな感じだしな。」
「はい、じゃなかった。うん。」
「じゃあ、早速お邪魔してもいい?」
「うん、二人とも入って。」
「お邪魔します。」
なのはが先に入って靴を脱ぐ。
俺もそれに習って靴を脱いだ。
家の中に入る時に靴を脱ぐという習慣は日本特有の習慣で俺はアイルランド出身だからそういう習慣はない。
だが、刹那が日本で仮の拠点を設けていたこともあってスムーズに済んだ。
「ニールさんは確かアイルランド生まれなんですよね?」
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「ああそうだ。あっちでは家に入る時に靴を脱ぐ習慣は無いんだ。」
「でも、慣れてるみたいですね。」
「一時期日本に泊まったことがあったからな。」
そう言いながら俺となのははフェイトに案内されながら居間に向かう。
部屋に入るとそこには男が一人に狼らしい奴一匹いて、女性3人ぐらいいた。
一人、すごく小さい銀髪の女の子がふわふわと浮いているようだが……。ていうかほとんどが女性か。
「紹介するね、左からザフィーラさん、ヴィータちゃん、はやてちゃん、リインちゃん、クロノくんだよ。」
なのはが順番に紹介してくれたが一気に言われては覚えきれない。
「おいおい、一気に紹介されても覚えきれねえぞ。」
「あ、あはは、ごめんごめん。」
「おいなのは、そいつのこともちゃんと紹介しろよ。」
赤い髪をおさげ2つにして分けているどう見ても子供に見える女の子のヴィータがなのはにしかめっ面で文句を言う。
「あ、うん。それじゃあ…」
「いや、自分でやる。」
こればかりは自分でやった方が後に良い。
「え、いいの?」
「ああ、自己紹介ぐらいはちゃんとやらねえとな。」
「うん、そうだね。」
「俺の名前はニール・ディランディ。この度、時空管理局に入ることになった。」
「ならあたしらもちゃんと名乗らねえとな。…あたしはヴィータ。お前があたしのことを子供だと思ってるだろうけど、あたしの方が年上なんだからな!」
正直、指差してそう言われてもピンと来ないがここは敢えて乗ることにする。
「おう、宜しくな。それとヴィータって呼ばせてもらうが、その代わり俺のことは好きに呼んでくれて構わない。」
俺は手を差し出してみる。
「お、おう。」
少し驚きながらも握手に応じるヴィータ。
ヴィータの手はその小さな手に似合わず、手マメがいくつも出来ていた。
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随分、マメが出来てるな。管理局は戦闘もあるってなのはが言ってたから、この子も鍛えているのか?
「お、おい、手を離せ。」
気付けばずっと手を握っていた。若干頬が朱に染まっている。
「ん?ああ、悪いな。」
俺はすぐさま手を離す。
もうええ?と聞いてくる茶髪のセミロングの女の子。あの小さな銀髪の女の子はいつの間にか膝に乗って座っていた。
「次は私らや。私は八神 はやてといいます。そんで、私の膝に乗っとるんはリインフォースツヴァイです。」
「はやてちゃんのユニゾンデバイスのリインですぅ。」
デバイスの種類に関してはまだインテリジェントデバイスしか知らない。
「ユニゾンデバイス…どういうデバイスなんだ?名前からして何かと融合するみたいだが…。」
「ユニゾンデバイスというのは、別名『融合型デバイス』とも言われていて、所有者と融合を果たすことにより、驚異的な能力向上を果たす機能を持っているんですぅ。私のマイスターははやてちゃんなのですよ。」
リインが簡単に説明しながらはやてをちゃん付けで呼ぶ。見る限り、かなり仲がいいようだ。
ただ俺はユニゾンデバイスには何かデメリットはあるんじゃないかと思ったが、皆忙しいとなのはから聞いているので後で自分で調べることにする。
「じゃあそろそろいいか?…僕の名前はクロノ・ハラウオン。艦船『アースラ』の艦長を務めさせてもらっている。あと、君の隣にいるフェイトの義兄だ。宜しく頼む。」
「ニール・ディランディだ。ニールでいい。宜しくな、クロノ。」
俺は握手をするために手を差し出す。その手をクロノは何も言わずに握る。
「仕事ではクロノ提督と呼んでもらうが、普段はクロノでいい。」
少し固いが、こいつとは上手くやっていけそうだな。
「さて、一通り喋ったところで…。」
ふとあの青い狼の方を見ると、俺の気のせいかもしれないが少しだけ寂しそうな表情に見えた。
「なあ、そこの狼…確か、ザフィーラだっけか?紹介しなくていいのかよ。」
「あっ…ごめんな、ザフィーラ。」
「いや主よ、お気になさらず。」
喋れたのか。まあ、青い狼って時点でそんな気はしてたしな。
「あれ、ニールさんはあまり驚かへんなあ。」
「魔法があるんなら、別に喋れてもおかしくないだろ。」
「ニール・ディランディといったか。なかなかやるな。私の名はザフィーラだ。夜天の主の守護獣だ。」
気に入られたのか?因みに夜天というのははやてが持っている夜天の魔導書のことで、はやてはその持ち主だとなのはから聞いている。
「やるかどうかはこれから見てくれれば分かる。」
「…そうさせてもらおう。」
所謂寡黙な奴ってところか。…刹那の奴もあまり喋らなかったなあ。まあ、喋るときは結構大事なことも言っているが…。
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「さて、もうええか?…本当は他にもいるんやけど、生憎残りの皆は仕事とかが入ってるから来られへん。それにこの人数が揃うのは珍しい方なんよ。」
「まあ、そりゃそうだな。聞いた限りじゃ皆忙しいらしいしな。」
これもなのはから少しだが聞いた。時空管理局の状況は暇潰しで読んでいた雑誌で大体把握している。
ソレスタルビーイングのガンダムマイスターとしては見過ごせない内容ばかりで、特に管理局のきな臭い部分が目についた。他の世界に干渉出来るのであれば、放って置くわけにはいかない。
だが、今の俺にはガンダムのような力もないし、何よりもう俺は死んだ身で最早ソレスタルビーイングではない。たとえ、その意志をここでも貫こうとしても、一人では限界がある。
だから管理局のことが分かった以上はその管理局に入り、自分の出来る限り管理局を変えていく。
それが今の俺自身の今後の方針だ。
が意識をはやてへ向けると先程とは打って変わり、真剣な表情になっている。
「…でここからが皆が集まった目的なんやけど、これからここにいる皆でニールさんの今後を決めます。まずは本人は時空管理局に入るって言ってますけど…なのはちゃん、ニールさんはリンカーコアは持っとるん?」
話が長くなりそうなので適当な椅子に座る。
「うん。ニールさんのデバイス『デュナメス』がリンカーコアがあるって言ってたんだ。で、念のために検査したらちゃんとあったよ。」
入院中に検査をしてリンカーコアというものを自分でも確認している。
ランクはB。要は普通のレベルということらしい。いきなり高いというのはやはりそうそう無い。それに、なのはもはやても俺と同じ地球生まれだが、地球で高い魔力を持つ人は珍しいことのようだ。
「じゃあ、次に魔法の使い方は?」
「教えてないよ。」
退院したばかりだからな。
「なら次はニールさん、デュナメスはミッドとベルカどっちですか?」
「確か…ミッド式だったな。…だが、射撃向きだっつう話だから俺向きなのは間違いない。」
「射撃得意なんですか?」
「ああ、俺がいた世界ではスナイパーをやっていた。」
ガンダムマイスターとしてデュナメスに乗って戦ったことを含め、もう10年以上はやっていたからな。射撃ばかりは誰にも譲れねえ。
「スナイパー…ですか。」
全員が驚いた表情で俺を見る。
この反応はしょうがねえ…。
実際、人を殺してる訳だからな。
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「…次の質問なんやけど、デバイスの種類は何ですか?」
聞かれたなのはだが、う〜んと唸って考え込む。
「シャーリーに調べてもらって、インテリジェントデバイスでほぼ間違いないんだけど…何だかブラックボックスみたいなものがあって、ちょっとインテリジェントデバイスと呼んでいいのか分からないの。」
「なのはちゃん、どういうことなん?」
「どうもフォームの変形やバリアジャケットの機能はあるんだけど、他にも機能があるらしくて…その機能が何なのかを調べようとしたらデュナメスに拒否されちゃったんだ。」
別の機能がある?何だろうか。
「どういうことだ、デュナメス。」
<申し訳ありません、他の機能はマスターが魔導士として力を付けるまで教えられません。>
「そうか。ならとにかくまずは魔法を扱えるようにならねえとな。」
こればかりは焦っても仕方ねえ。
「まあデバイスの方はこの際置いとこうか。魔法を教えるのはなのはちゃん、任せてもええ?」
「うん、いいよ。でも訓練学校に入る間までだよ。そうだよね、ニールさん。」
俺は怪我を直す間、なのはと共に今後のことを考えた。
まず1ヶ月間はなのはに時間を開けてもらっては基本の練習に付き合ってもらう。勿論、なのはが教導や任務で忙しい間は自分で練習をする。
その後は訓練校で約1年間訓練を重ね、管理局への入局を目指す。
そして入局して2年後にはやてが設立を目指す部隊に入る。まあ、はやてから俺をスカウトという形にするしかないが。
「ああ、そうだ。だから宜しくな、可愛い教官殿。」
「や、やだもう、ニールさんったら…。」
「んっふふ〜、なのはちゃん顔赤いで〜。それとフェイトちゃんもニールさんを見る目が怪しく見えるけど気のせいかな?」
「「も〜、はやて(ちゃん)!」」
なのはとフェイトはからかってきたはやてに迫っていく。
二人とも顔を赤くしながら迫るのでおかしくてつい笑ってしまう。
「ははははは…。」
「う〜、ニールさんまで…。」
「まあそう拗ねんなよ。」
俺はなのはの頭をポンポンと軽く叩く。
(…ちょっと恥ずかしい。それにやっぱり身長あるなあ。)
なのはがそう思っていたことを俺は知らない振りをする。
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「さて、次は住まいなんだが…どうする?」
「私の家は…「却下だ!」やっぱり…。」
現在、なのはは親元を離れて暮らしている。その中に男一人入るのは色々とまずい。
俺は聖王病院を出たばかりなのでまだ何も決まってない。
「流石に1ヶ月も耐える自信がねえ…。」
「まあそりゃそうやな。ニールさんだって男やしね。」
「でもフェイトちゃんとはやてちゃんも無理じゃないの?」
なのはに聞かれた二人は思案している。
「う〜ん、確かにうちは部屋余ってへんなあ。大の男一人住まわせるのはちょっときついなあ。」
「私たちの家はどうなの、クロノ。」
「僕たちの家も余りはないぞ。」
「別に俺は床で寝たって…。」
「ダメ!ニールさん、まだ万全じゃないでしょ!?」
一応、ケガは一通り完治はしてんだがどうもブランクのせいで動きが鈍い。
右目の調子も気になるから射撃練習もやっとかねえと…
「分かった、分かったからあまり顔を近付けるな!」
「ご、ごめんなさい。」
なのは、そこで顔を赤くしないでくれ!
「じゃあ…やっぱりなのはの家しかないね。」
「ニールさんなら歓迎するよ!」
そんな笑顔で言われたら断れねえよ…。
「それならなのは、お前の家に泊まってもいいか?」
言われた瞬間にもう子どもみたいに喜ぶなのはの笑顔が目の前にある。
やべえ、一瞬堕とされそうになったぞ。
「うん、宜しくね!」
こうして俺の今後が決まったのだった。
いや…
こうして俺のハードな1ヶ月が始まった…。
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