魔法少女リリカルなのは~天を穿つ深緑の狙撃手~   作:グリューン

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第14話 星と雷の反撃

 

 

ニールside

 

―「ニール…さ、うあっ!」

 

なのはは入り口近くの壁へと吹き飛ばされる。

 

サーシェスに斬られた俺もまた玉座近辺の壁へと吹き飛ばされる。

 

「…ちっ、浅かったか。」

 

そう、俺は事前に後ろへ下がり、ピストルの魔力弾で僅かに軌道をずらして被害を少なくさせたのだ。

 

とはいえ、ダメージがある事には変わりないが。ケルディムの胴体中央には斜めに斬られた痕があり、左のセンサーをカバーする装甲が一部欠け、黄色のダクトが全て見えてしまっている。

 

[マスター、大丈夫ですか?]

 

「ああ、何とかな。」

 

俺は何となくピストルを握る右手を見る。

 

今のは明らかに死んでいてもおかしくない一撃だった。

 

いくらケルディムで動体視力が強化されているからといって、あそこまでの反応速度は俺には無かった筈だ。

 

一体、何が起きている?

 

<ええい、しっかりしろ俺!……なのは、大丈夫か、なのは!>

 

なのははどうにか壁から立ち上がって宙に浮く。

 

<うう、せっかくサポートしてくれたのにごめん。>

 

<それはいい。クアットロを見つけるのにあとどれくらい掛かる?>

 

<あと3分掛かるよ。悪いけど、それまでお願い。>

 

<いいぜ、この程度なら屁でもねえ!>

 

3分程度なら十分!

 

ずっと宙に浮いたままのシールドビットを左肩に4基と膝に2基、ライフルビットを充填を早く終わらせる為にMGドライヴ付近へと戻す。

 

「まだまだやれるぜ!」

 

「掛かって来いよ、ガンダムゥ!!」

 

サーシェスがバスターソードを俺に向けて突っ込み、俺はピストルの引き金を引く。

 

残り武装

GNピストル×3

GNミサイル×8

シールドビット×6

ライフルビット×2

 

 

 

.

 

 

 

スバルside

 

意識が飛ぶ中で、子供の頃を思い出す。

 

泣き虫で、痛いのも恐いのも嫌だったあの頃…同時に力を身に付け、振るう事が恐かった。

 

それを変えてくれた、強くなる事で守れるものがある事を教えてくれたなのはさん。

 

だけど、私はやっぱり弱くて、情けなくて……。

 

[ウイングロード!]

 

……マッハキャリバーが何かを言っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

右足からウイングロードが出現し、意識の無い相棒の足を蹴り上げる形で動かす。

 

ギンガは予想外の攻撃で左腕を弾かれる。

 

[キャリバーショット、左回転、撃て!]

 

ウイングロードで避けてギンガをリボルバーナックルで吹き飛ばす。

 

ギンガには直撃せず腕をクロスしてガードされたが、引き離す事が出来た。

 

ギンガを吹き飛ばした後に気を失っている相棒が着地する。

 

 

 

 

 

 

 

……あれ、あたし気絶していて、負けたはず。

 

いつの間にか、あたしが立っていて……ギン姉と対峙していた。

 

[練習通りです。]

 

「えっ、マッハ……キャリバー?」

 

まさか、マッハキャリバーが全部やったの?

 

[まだ動けます。私も、貴女も、まだ戦えます。なのに、こんな所で終わる気ですか?]

 

「はっ……!」

 

マッハキャリバーは、諦めてない!

 

なのにあたしは……。

 

[あなたが教えてくれた、私の生まれた理由。貴女の憧れる強さ、嘘にしないで下さい。]

 

その時に私がなのはさんたちに自分で言ったことを思い出す。

 

『災害とか、争い事とか、そんなどうしようもない状況が起きた時、苦しくて悲しくて泣いている人たちを助けてあげられるようになりたいです。自分の力で、安全な場所まで一直線に!』

 

そして、その折りにニールさんが言っていたことも……。

 

[スバル、お前は優しい娘だ。その気持ち、ずっと大事にしていてくれ。

 

大丈夫だ、お前になら出来る!]

 

戦うのとか、誰かを傷つけちゃうのとか、本当はいつも恐くて手が震える。

 

だけどこの手の力は、壊す為じゃなく、守る為の力。救う為の力。

 

悲しい今を、打ち抜く力!

 

「行くよ、マッハキャリバー!」

 

決意を新たに、拳に力を込めて構える。

 

[はい、相棒。]

 

カートリッジを三発使う。

 

「フルドライブ!!」

 

ベルカ式の魔法陣が足元に形成され、マッハキャリバーから魔力の羽が生える。

 

「ギア・エクセリオン!!!」

 

[A.C.S stand by.]

 

ギン姉も足元にベルカ式の魔法陣を展開、構えを取る。

 

「行くよ、ギン姉。」

 

風が吹き、あたしとギン姉の髪を揺らす。

 

風が止んだところであたしは突撃する。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

気合いで声を上げて、互いのナックルをぶつけ合う。

 

それぞれのウイングロードの上を走りながら、すれ違い、ぶつかりを繰り返し、また交差する。

 

「うおりゃああああああ!!」

 

蹴り合い、また交差する。

 

互いに停止した所で、ギン姉がリボルバーナックルからカートリッジを二発出す。

 

「はっ!!」

 

あたしもカートリッジで魔力を高めて、突撃する。

 

互いにディフェンサーを発動、火花を散らしながら相手を打倒せんと前進の手を緩めない。

 

だがギン姉の左手は改造されてドリルのように回転する。

 

さっきと同じように、先に防御を崩されるだろう。

 

だけど……あたしは、止まらない!!

 

「ぐっうううっ!」

 

右手の拳を開いて、あの技を出す構えを取る。

 

「一撃、必倒おおおお!」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

ディフェンサーに皹が入り、割れる。

 

ギン姉の左手が頭を貫かんと突撃するも、ハチマキを掠めて破いただけで頭は貫けなかった。それでも切れて血は流れるが、突き出された左腕を抜けることで隙が出来る。

 

防御するギン姉の右手をあたしの右手で上に弾く。

 

がら空きになったお腹に魔力を貯めた球を左手で当てる。

 

「ディバイイイイン……」

 

ギン姉は気付くももう遅い!

 

これで、決める!!

 

「バスタ――――――――――――!!!!」

 

魔力の砲撃がギン姉を貫き、飲み込んでいく。

 

あたしは…ギン姉を救えた!

 

瓦礫の上に落ちようとするギン姉をウイングロードで接近して受け止める。

 

地上まで降りると、ギン姉が目を覚ましてあたしを見る。

 

良かった、ギン姉……。

 

だけど、喜びも束の間、マッハキャリバーから警告される。

 

[相棒、上空地上本部方面から敵機接近、機体は……スローネドライです!]

 

「なっ!?」

 

目を凝らしてマッハキャリバーが指示した方角を見ると、深紅のカラーリングに特徴的な長い頭部を持つスローネドライが赤い粒子を撒き散らしてあたしたちに接近してきた。

 

「ふふふ、丁度いい獲物発見ね。」

 

「しゃ、喋った!?」

 

しかも、声はなのはさんの友達のアリサさんに似ている!

 

でも、口調から性格は好戦的でアリサさんと違うのが分かる。

 

「何よ、その珍しそうに見る目は!まあいいわ、気に入らないから……死んじゃえばいいよ!!」

 

スローネドライが右に固定装備された銃口をあたしに向ける。

 

 

 

.

 

 

 

ティアナside

 

[発見されました。3方向からまっすぐ向かってきます。]

 

「シューターとシルエット制御OK、現状維持。後は、ここで迎え撃つ。」

 

今いる場所はビルの一角、縦長の廊下で吹き抜けの中心が見える場所だ。

 

幻術を解いて、立ち上がってクロスミラージュの銃身を左手にもう一つ出す。

 

右足が潰されて、カートリッジも魔力ももう、あとちょっと。

 

最後の頼みの一発勝負も、通用するかどうか。

 

失敗すれば、死ぬ。

 

やっぱり私はなのはさんやニールさん、他の皆のようにはなれない。

 

「……本当はさ、随分前から分かってたんだ。あたしはどんなに頑張っても万能無敵の超一流になんてきっとなれない…。悔しくて、情けなくて、認めたくなくてね。それは今でもあまり変わらないんだけど、だけど……。」

 

夢の為にも皆の為にも終われない!

 

そう思った時、壁が爆発し、ディードが低空飛行で、ノーヴェが地を駆けながら突撃してきた。

 

「でやあああ!」

 

ダガーモードで出来た魔力刃を交差して、ディードの魔力刃を防御する。

 

そこに上からノーヴェが回転しながら蹴り……リボルバースパイクをお見舞いしようと襲ってくる。

 

当然、ディードは右に避ける。

 

壁に激突、煙が上がった瞬間にシルエットを発動、アンカーで登って逃げたように見せて注意を逸らす。

 

そしてノーヴェの右足に魔力弾を撃ち込む!

 

「くっ!?」

 

後から来たウェンディが右腕を左腕で庇いながら、魔力弾を私のシルエットに向けて放つ。

 

「幻影!?」

 

煙が晴れ、ノーヴェの右足のローラーブーツが一部欠ける。

 

あたしに気付いた相手は睨んでくる。

 

シューターを両サイドに浮遊させて待機、右をダガーモード、左をガンモードで迎え撃つ。

 

怪訝そうに私を見る。

 

流石に迂濶には近付いて来ない。

 

だが、相手の配置は最初と同じ。

 

片方ノーヴェ一人、反対側がディードとウェンディになっている。

 

やっぱり、最初の時と同じポジショニングだ。

 

こいつらの唯一の穴、完璧だけど単純な連携。コンビネーションの初動、それを見抜けば……勝てる!

 

その時、ビルを覆っていた結界が解除された。

 

誰が結界を張った戦闘機人を捕まえたのか分からないけど、今は目の前に集中する。

 

後ろのディードとウェンディが互いの顔を見る。

 

「このおおおお、うああああ!」

 

ノーヴェが突っ込み、ディードが走り出す。ウェンディも魔力弾を発射する準備をしている。

 

初動も同じ!

 

 

 

今だ!!

 

 

 

「ここ!」

 

両サイドのシューターをノーヴェとディードに向けて撃つ。

 

二人は避けるが、それはダウトよ!

 

その隙を狙って、左のクロスミラージュでウェンディの魔力弾を狙い撃つ。

 

「うっ!?」

 

発動寸前をぶつけられてウェンディの魔力弾が全て連鎖して爆発を起こす。

 

ノーヴェは爆発の威力で一旦止まり、ウェンディに一瞬気を取られたディードの魔力刃をダガーを交差させて防御する。

 

その間にさっき撃ったシューターをディードの後頭部、ウェンディの顎にぶつける。

 

どちらも人間の急所、当たったあたしのシューター一発でノックダウン出来る。

 

その結果、二人とも倒れて気絶した。

 

これで、あとはノーヴェのみ!!

 

「なっ、ウェンディ、ディード!!」

 

「はあはあ、貴女たちを、保護します。武装を、解除しなさい!」

 

そう、飽くまで保護、逮捕じゃない。

 

彼女たちだって、スバルやギンガさんのように普通に生きていけるんだ!

 

そこにシャーリーさんから念話で連絡が入った。それは、今のスカリエッティを含めたナンバーズについての報告だった。

 

「……今動いているのは、あの舟にいる4番とあんただけだそうよ。あんたの事情はよく知らないわ。だけど罪を認め、保護を受け入れれば、まだ生き直す事は出来ると思う。」

 

言ってみたものの、納得はしてないだろう。

 

「んな訳ねえ!あたしらは戦闘機人、戦う為の兵器だ!戦って勝ち残っていく以外の生き方なんて……ねえんだよおおお!!」

 

そこに倒れていたディードが剣を拾って襲ってくる。

 

防御が間に合わない!

 

[snipe shot.]

 

だが次の瞬間、私の右横をライトグリーンの魔力弾が通り過ぎてディードの額に命中、仰向けに倒れる。宙に浮いたディードの剣が小気味のいい音を立ててコンクリートの床に刺さる。

 

突然の事にノーヴェが気を取られている隙に、接近してダガーの刃を首に当てる。

 

「戦う為の兵器だってさ、笑うことも優しく生きる事も出来るわよ。戦闘機人として生まれたけど、誰よりも楽しくバカみたいに優しく、一生懸命生きている娘を私は知ってる。」

 

そこに別の管理局員がやって来て、3人と彼女たちの武装をバインドに掛けて連行していく。

 

そこにシャーリーさんがモニターで現れる。

 

[ティアちゃん、ここは到着した局員に任せて、スバルの援護へ向かって!]

 

「どういうことなんですか!?スバルがギンガさんを助けたんですよね。」

 

[確かにそうだけど、スバルたちの方へスローネドライが接近してるのよ!他にもシャマル医務官とザフィーラさんが援護に向かっているからお願い!!]

 

まずい、多分今のスバルは疲れているはずだ。

 

味方は多い方がいい。

 

「分かりました、今すぐ向かいます。」

 

「おいてめえ…」

 

そこに連行されていくノーヴェが声を掛けてくる。

 

「何、急いでいるんだけど…。」

 

「気を付けろよ、アイツラには疑似人格があり、前より性能が上がっている。簡単には倒せねえからな。」

 

意外な言葉に面食らうも、すぐに走り出す。

 

「分かったわ、忠告ありがとう。」

 

「べ、別に……。」

 

その言葉を敢えて聞かず、私はスバルの元へ走り出す。

 

 

 

.

 

 

 

キャロside

 

フェイトさんが捕らえられている姿が映るけど、それよりも今はルーちゃんだ。

 

彼女をこのままにしておけない。

 

「ルーちゃん、私たちが戦う理由なんてない。私たちと戦ったって、何にもならないよ!」

 

「ガリュー、君も主人を守る戦士なら、ルーを止めて!ルーはあいつらに騙されてる、操られてるだけじゃないか!!」

 

エリオ君もガリューを説得する。でも、ルーちゃんが止まらない限りはガリューも止まらないだろう。

 

それが召喚士と召喚された者の絆だから。

 

「貴方たちには分からない。優しくしてくれる人がいて、友達がいて、愛されてる。」

 

ジライオーが2体、そしてフリードが上空を飛び続ける。

 

「私の大切な人達は皆、私の事を置いて逝っちゃう。一人は……嫌だ。」

 

ルーちゃんの足元から大きな魔法陣が出現、上空から更に巨大な魔法陣が出現する。

 

ヴォルテール並みの大きさの召喚獣を召喚する気だ!

 

その大きな魔法陣から紫の爪のようなものが一瞬見え、地上に落ちる。

 

土煙が立ち、そこには白い甲殻と紫の羽や体を持つ人に似た巨体が空に浮いていた。

 

「寂しいのはもう嫌だ…。」

 

私には、ルーちゃんの気持ちが痛い程に解った。

 

私にも、そんな時期があったから。

 

「一人ぼっちは…嫌だあああああああああ!!!」

 

ルーちゃんの叫びに呼応して白い巨体が雄叫びを上げる。

 

「キャロ!」

 

「うん!」

 

私もルーちゃんに対抗する為に、アルザスの守護竜を喚ぶ。

 

私の足元から召喚の為のなのはさんに似たピンクの魔法陣を形成する。

 

「天地貫く業火の咆哮、在るけき永久の大地の護り手、我が元に来よ黒き炎の大地の守護者!」

 

白い巨体の隣から魔法陣を出し、そこから巨大な火柱が立つ。

 

ガリューがジャンプして突撃するが、エリオ君がジャンプしてストラーダを振り下ろす事で弾かれる。

 

二人とも着地、構え直す。

 

「よく似てるんだ、僕たちとルーは。ずっと一人ぼっちで、誰も守ってくれなくて、誰も信じられなくて、何も分からなくて、傷付ける事しか出来なくて……。」

 

私も、エリオ君も、理由は違っても苦しかった時があった。

 

「だけど変われるんだ。きっかけ一つで、思い一つで、変わっていけるんだ!!」

 

「竜騎招来、天地豪鳴!!」

 

火柱が一層強く吹き上がる。

 

そこから赤と黒の人に似た姿の竜が現れる。

 

「来よ、ヴォルテール!!」

 

白い巨体と同じ高さまで上がったヴォルテールは咆哮を上げる。

 

“GOAAAAAAAAAAA!!”

 

白い巨体が両方の鋭い爪の付いた腕を振り下ろす。

 

ヴォルテールはその攻撃を掴む事で受ける。

 

力のぶつかり合いで衝撃が周りに反響する。

 

「貴女のお母さんも手伝うわ、私たちがきっと助ける!絶対絶対約束する!だから、こんなこともう止めて!!」

 

「嘘だ……。」

 

「嘘じゃない!」

 

「嘘だ、嘘だああああああああ!!」

 

ルーちゃんから膨大な魔力が柱となって噴き出す。

 

すると白い巨体のお腹から大きくて丸い魔力発動体のようなものが出てきて、ヴォルテールを離す。

 

ガリューからも背中から長い触手、両腕から長い爪が3本、赤い血を流しながら出す。

 

「あ、ああ…。」

 

エリオ君はその痛々しい姿に言葉も出ない。

 

「白天王、ガリュー、殺してえ…私の邪魔をする奴、皆、皆……」

 

ガリューの爪から沢山の血が滴り落ちる。

 

「ガリュー……。」

 

悲しそうにガリューに呼び掛けるエリオ君。

 

白天王のお腹の魔力発動体から光が、魔力が貯まっていく。……砲撃だ!

 

ルーちゃんの周りのインセクトも光を放つ。

 

「ガリュー!」

 

エリオ君の呼び掛けに首を振るガリュー。

 

その4つの目から、血の涙が流れ落ちる。

 

……見てられない!

 

右手を前に出す。

 

インセクトが突撃してくる。

 

[boosted protection.]

 

ブーステッドプロテクションを張って防御するも、威力があり、両手で張る。それでも帽子が吹き飛び、顔に煤が付いてしまう。

 

「はあはあはあはあ……それに、召喚士の我が儘で大事な召喚獣を悲しませちゃ駄目だよ。ガリューも白天王も、泣いてるよ?」

 

ガリューは特に涙を流しているから、本当に辛いというのが手に取るように解る。

 

「うう、うう……ああ――――――――――、ああ―――――――!!」

 

ジライオー2体がルーちゃんの後ろに来て、フリードも翼を畳んで私の後ろに降り立つ。

 

<エリオ君。>

 

<うん!>

 

「ジライオ――――――!!」

 

ルーちゃんが叫んで攻撃の指示を出す。

 

2体のジライオーの角の間から雷の球が形成される。

 

「フリード、ブラストレイ!」

 

ケリュイケオンから魔力を送ることでフリードに指示を出す。

 

フリードの足元から円型の魔法陣が現れ、フリードは口から自分の頭より大きな火の玉を形成する。

 

「ああああああああああああああああ!!」

 

「ファイア!」

 

ジライオーが雷を直線的に放ち、フリードが火の玉を放つ。

 

火と雷が激突し、火花を散らす。

 

「ルーちゃん!」

 

「くっ……!」

 

ルーちゃんのブーストデバイスに皹が入る。

 

互いの攻撃が相殺されて爆発する。

 

 

 

.

 

 

 

エリオside

 

ストラーダを構え、僕は攻撃に入る。

 

ベルカ式の魔法陣を形成、カートリッジを排出してブースターを噴かす。

 

「でやあああああ!」

 

ブースターを利用して突撃する。ガリューも突撃してくる。

 

そこで僕は勢いのまま、回転してストラーダを振り下ろす。

 

「なああああ!」

 

床が崩れ、ガリューがストラーダを掴んだまま一緒に落ちる。

 

ここだ!

 

「紫電、一閃!」

 

右腕のバリアジャケットが吹き飛ぶ位の電気を纏い、その拳をガリューの胸にぶつけ、そのまま1階まで落ちる。

 

落ちたところでガリューを確認すると動かない。

 

「はあ、はあ……キャロ。」

 

<へっ、やるじゃねえかガキ…いや、エリオ。>

 

「やっと名前で呼んでくれましたね、ハレルヤさん。」

 

<それより、あのチビガキの所へ行かねえのか?>

 

「チビガキじゃなくて、キャロだよ。それにルーの事も気になる。」

 

僕は黙って頷き、キャロの元へ移動する。

 

 

 

.

 

 

 

キャロside

 

白天王がお腹から魔力の砲撃を放つ。

ヴォルテールはそれに対抗する為に、翼から炎の砲撃…ギオ・エルガを発射する。

 

互いの砲撃がぶつかり合い、爆発が起き、立っていたのはヴォルテールだった。

 

ルーちゃんが倒れ、気を失った所を私は駆け寄って膝枕をする。

 

「何とかなった……。」

 

だけどルーちゃんから呻き声が上がる。

 

「あ、うあ、ああああああああ!!」

 

それに合わせて白天王とジライオーが戦う姿勢を再び取る。

 

「召喚獣が、混乱している。ルーちゃんがまだ戦おうとしてるから!」

 

その原因はクアットロという人がルーちゃんに掛けた仕掛けにあるのだろう。

 

だとすると、その人をどうにかしない限りは召喚獣は混乱したままだろう。

 

誰か、クアットロを止めて!

 

 

 

.

 

 

 

スローネアイントゥルブレンツside

 

六課の部隊長・八神 はやてと一個小隊との戦闘を開始して少し経ち、今私は小隊の隊長と呼ばれる男の大剣を左手に持ったビームサーベルで防ぐ。

 

その間に後ろにいた後衛のバズーカと胴体を撃ち抜く。

 

「わあああああ!」

 

爆発に巻き込まれた隊員は地に墜ちていく。まず、助かるまい。

 

「くっ、貴様ぁ!!」

 

男が大剣に力を込めるが、私にとっては造作もない。

 

男の大剣の力場を利用して傾きを変えて流す。

 

「なっ、しまっ……!」

 

大剣を流しきったところで、ビームサーベルを振り下ろす。

 

「でやあああああ!」

 

だが、止めになるはずだった一撃を双剣に止められる。

 

「ブリューナク!」

 

そこに何十にもなる白い小粒の魔力弾が襲ってくる。

 

「ちっ!」

 

一発は大したことが無くとも流石にあれだけの数を喰らってはただでは済まない。

 

二人の剣士から離れて体勢を立て直す。

 

<アイン、貴方からツヴァイとドライに指示を出してもらえません?>

 

<何でしょうか、ミスクアットロ。>

 

わざわざそう呼ぶのは、ヨハン・トリニティとの違いを出すためだ。

 

<ツヴァイとドライに指示を出そうとしたら貴方の言うことしか聴かないなんて言い出したから困ってるのよぉ。だからお願いしても良いかしら?>

 

私はどうもこの女が好きになれない。造ってくれた事には感謝こそすれ、ヨハン・トリニティを殺したあの男に似ている所もあるせいで心を許せないでいた。

 

<実は私以外のナンバーズとドクターが倒されちゃってぇ、あと指示出来るのは貴方たちだけなの。それでぇ、ドライにはタイプゼロセカンドとオレンジ頭のガンナー、ツヴァイには赤い生意気なクソガキとピンクのちびっこを倒すのを指示して欲しいの。>

 

なるほど、隊員から倒せばやりやすくなるという事か。

 

<了解した。私には何かありますか?>

 

<貴方はそこの部隊長を倒した後、ピンクの髪の女をお願いね。こっちにいる敵は事足りそうだから。>

 

正直、この指示は何か怪しい。そのピンク髪の女は今地上本部にいるそうだ。

 

ここからでは遠い。

 

だが怪しいと思っても、目の前の敵を倒せなくては話にならない。

 

<分かりました、地上は私たちで片付けます。>

 

それを聞いたクアットロは念話を切る。

 

<ツヴァイ、ドライ、聞こえるか?>

 

念話で地上本部寄りにいるツヴァイ、逆に地上本部から一番遠いドライに話し掛ける。

 

<ん、兄貴、どうしたよ?>

 

相手の攻撃が来たので飛行形態に変形し、かわし続ける。

 

<あれ、アイン兄?>

 

<指示を出す。ツヴァイは赤い髪の男とピンクの髪の小さい方を倒してこい。倒したら、今度はピンク髪の大きい方だ。ドライは、タイプゼロセカンドとオレンジ頭だ。その後は邪魔なヘリを墜とせ。ヘリには優秀なスナイパーがいる。>

 

クアットロの指示を少し変え、より私たちにとって邪魔になる相手を効率よく倒せるような指示を出す。しかし、それだけではない。

 

<良いけどよ、兄貴はどうすんだよ。>

 

<私は目の前の敵を倒した後、クアットロを討つ!>

 

クアットロには、スカリエッティのコピーが植え付けられている。

 

いや、孕んでいると言うべきか。

 

だから、スカリエッティが捕まったからと言って私たちが自由になる訳ではない。

 

<えっ、でもそんなことして大丈夫なの?因みに今丁度アイン兄の指示した女の所に向かっている所よ。>

 

<もう既に4以外のナンバーズとスカリエッティは捕まった。>

 

<マジかよ……って事は始めんだな?>

 

予定が少し狂ったが、むしろ好都合かもしれない。

 

<そういう事だ。いいな、撃墜されるなよ?>

 

クアットロさえ殺せば、あとは敵を討つだけだ。

 

<へっ、兄貴こそ撃墜されんなよ?>

 

<兄兄ズもあたしも生き残りましょ!>

 

私は念話を切り、戦いに集中する。

 

これで、私たちは自分たちの意志で生きていける……そう、思っていた。

 

 

 

 

To be continue....

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