魔法少女リリカルなのは~天を穿つ深緑の狙撃手~   作:グリューン

26 / 32
第16話 深緑の変革者

 

―ヴィヴィオを救い安堵した矢先に煙の中で何かがなのはたちに向かって移動しているのが見えた。

 

その何かとは、赤い影だ。

 

「あの野郎、まさか…!」

 

俺は全速力でなのはたちの前に躍り出て、ギリギリでバスターソードを防御した。

 

こいつはまた、俺から大切なものを奪おうとする。

 

家族を奪い、ラーナを奪い、ヴィータに重傷を負わせ、そして今……俺の新しい家族になるだろうなのはとヴィヴィオを殺そうとした……!

 

「ケルディム!」

 

[TRANS-AM SYSTEM drive ignition.]

 

緑と白の装甲が赤く輝き、パワーで勝る筈のアルケーを圧していく。

 

「ぬっぐぐぐ……!」

 

サーシェスが力を込めるも、床が割れて後ろへと下げれていく。

 

そっちが疑似太陽炉を3付けようが、トランザムは通常の3倍の出力だ。

 

だがMGドライヴと名も性能も少し変えただけで、オリジナルの半永久的にGN粒子を精製、それを魔力に変換するというのは変わらない。

 

だから、オリジナルと疑似太陽炉との差はこっちでも変わらねえ!

 

「ぐううっ、だあっ!」

 

左手のピストルのエッジでバスターソードを左側へ流す。

 

[photone machinegun.]

 

フォトンマシンガンも連射性能が上がり、サーシェスの全身を蜂の巣のようにボコボコに削っていく。

 

サーシェスは堪らず、一旦距離を置く。

 

「調子に乗るな、ガンダムゥ!!」

 

バスターソードを右腕にマウントしてライフルにして引き金を引く。

 

避ければなのはやヴィヴィオに当たるが、防御してもダメージは免れないというハラか。

 

「甘い!」

 

[accel ballet.]

 

左のピストルからアクセルバレットを放ち、赤い魔力弾を相殺し爆発する。

 

魔力切れを防ぐ為にトランザムを強制解除する。

 

「ところがぎっちょんっ!」

 

巻き起こった爆発からサーシェスが突っ込んできて右足のビームサーベルを展開してきた。

 

「させるか!」

 

すかさず左腕を下げて避け、スナイパーライフルを構える。

 

「へっ、本命はこっちだぜ?」

 

だがファングが魔力刃を展開して突撃、スナイパーライフルに当たり爆発する。

 

「しかしスゲエよな、右目が見えてりゃこんなに強いんだからな……殺し甲斐があるぜえ!」

 

すかさずしゃがみ、左足のビームサーベルで俺の右足を斬る。

 

「うおっ…!」

 

「ニール!」

 

「パパ!?」

 

後ろからなのはとヴィヴィオの叫びが聞こえる。

 

これが生身だったら血が流れるが、俺の本体は別空間にあるため、手足を壊されようが装甲を破壊されようが本体そのものには影響はない。

 

ただし、魔力は削られるし、頭や胴体、MGドライヴを破壊、或いは魔力が底をついたらGUNDAMフォームは強制解除となってしまう。

 

「ちいっ!本当にてめえは歪んでいる、あの時から何にも変わってねえ!」

 

MGドライヴにマウントした右のピストルを取り出し、アクセルバレットを放つ。

 

「そうさ、俺は変わらねえ!俺は金を儲けてや戦いや殺しを楽しむ為に雇われる戦争屋だあ!!」

 

サーシェスは左手で拳を作り、アッパーで俺の右腕を上に弾く。

 

「くっ!」

 

完全に胴ががら空き、防御が間に合わない!

 

「胴ががら空き…ぐっ!?」

 

だが、サーシェスの後ろが突然爆発、何かが当たったようだ。

 

「ニールさん、なのはちゃん、ヴィヴィオ、大丈夫か!?」

 

入り口を見るとはやてがユニゾン状態で浮遊していた。

 

「はやてか!」

 

「ちっ、横槍か…!」

 

はやてが部屋内に入ったその時、ゆりかご艦内の様子が変わった。

 

天井の明かりが赤く明滅し、壁の色がガラスがひび割れたような模様に変わっていく。

 

『駆動炉破損、管理者不在、聖王反応ロスト。』

 

そこではやての騎士甲冑に付いている6枚の黒い翼が消えて、ユニゾンが解かれてリインが出てきて、はやては元の茶髪の青い瞳に戻る。

 

「これは……!」

 

「いたたっ、完全に魔力が無効化されたです。」

 

リインが尻餅を突いたのが痛かったのか、お尻を擦る。

 

「ちっ、ここにいたらまずい。……どけよ、嬢ちゃん!」

 

サーシェスはすぐに身を翻してはやてを強引に押し退けて玉座の入り口から通路へ出る。

 

『自己防衛モードに入ります。各員、安全な区画へ避難して下さい。』

 

やはり疑似GN粒子が中心だから、このAMFが強い状態でも動けるようだ。だが、それは俺も同じだ。

 

「なのは、はやて、すぐに出るぞ!」

 

そう言って俺が先に出てなのはがヴィヴィオを抱えて、はやてがリインを肩に乗せて入り口へと走り出す。

 

だが、入り口は魔力で出来た黒い帯がいくつも重なり、道を塞がれてしまう。

 

「ちっ、待ってろ、今助けてやる!」

 

「待って、ニールさんはこのままサーシェスを追って!!」

 

ピストルの引き金を引こうとしたところではやてが指示を出す。

 

「だがこのまま放っておく訳には!」

 

それに反論しようとした俺になのはは首を振って答える。

 

「私たちは大丈夫!自分で脱出するから。それに外にこのまま出したら犠牲者が出るよ!」

 

確かに、奴が外に出たら叶う奴はおそらくシグナムしかいない。だが、そのシグナムでも奴に勝てるかは分からないと本人の口から聞いている。

 

「そうだよパパ。あの人はパパしか倒せないから。だからパパ、頑張って!」

 

娘に応援されちゃあ、やらねえ訳にはいかねえな。

 

どっちにしても、やる気満々だ!!

 

「すまねえ、俺は行く。だが、絶対に脱出しろよ!」

 

そうして俺はその場を離れてサーシェスの後を追う。

 

「ケルディム、魔力とGN粒子はあとどのくらいだ?」

 

[魔力はMGドライヴでGN粒子を変換したものを含めて20%です。しばらく飛ぶだけなら、10%は回復しますがその間はトランザムは使えません。]

 

さっきトランザムを止めておいて正解だな。そのまま使い続けていたら確実に追撃は出来なかった。

 

武装はGNビームピストル二丁、GNミサイル6発、シールドビット5つ、ライフルビット2つか。

 

まだ充分戦える!

 

「なら、GN粒子を魔力に変換せず使用。更にGN粒子を全てスラスターに回せ!」

 

[了解。]

 

これで少しでも早く追いつけるはずだ。

 

 

 

.

 

 

 

スバルside

 

『なのはがまだクアットロを倒せず戦っていた頃…』

 

今あたしは地形やウイングロードを利用してヒットアンドアウェイで対応している。一発でも当たったらおしまいだからだ。

 

「このぉ、チョコマカと!」

 

ハンドガンを連射してくるも、瓦礫に妨害されたりあたしがウイングロードから飛び降りたり、別のウイングロードに乗ったり等で回避される為にまだ一つも当たってない。

 

だけど一方でナックルダスターやキャリバーショットを全力でぶつけても左側に付いている大きな盾に阻まれてしまう。

 

それに、ギン姉との勝負で魔力を結構使っている。状況はあたしの方が不利。

 

時間は掛けられない!

 

ならば!!

 

「マッハキャリバー、ISを使うよ!」

 

あたしは左のリボルバーナックルからカートリッジを3発ロード、薬莢を排出しながら事前に造ったウイングロードの進路を走っていく。

 

瞳の色は、おそらく緑から黄色に変わっているだろう。

 

「うおおおおっ!!」

 

実は右のリボルバーナックルにはカートリッジが3発しか入っていない。

 

だからまだ6発残ってる左のリボルバーナックルを使うのだ。

 

「馬鹿の一つ覚えみたいに突っ込んできてぇ!」

 

ドライが魔力弾で撃ち落とすが、さっきからあたしの動きを捉えきれていないのに当たるはずがなかった。

 

「何で当たらないのよ!」

 

ドライは全く射撃が当たらないことに狼狽える。

 

私はずっとニールさん、なのはさん、ティアの射撃を見てきたんだ。その程度の射撃であたしは捉えられない。

 

隙が出来た!

 

「うおりゃああああ!!!」

 

ドライが下がりながら右肩のポッドからミサイルを放つも、ほとんど避け、パンツァーシルトで軌道を逸らす。

 

「ちいっ!」

 

ドライは左の盾からダクトを開き、粒子の膜を形成する。

 

あれがいつかニールさんが教えてくれたGNフィールド!

 

だけど、あたしは既にISが通用することもニールさんから聞いている。

 

「甘い!」

 

あたしは右手を掴むような形で粒子の膜に手を突っ込む。

 

スパークが起こり、簡単には破れないが少しずつ指が入っていく。

 

「くっ、ぐうううううううううっ!」

 

そして遂に穴が出来、そこにIS“振動破砕”で破壊力の増した左のリボルバーナックルを叩きつける。

 

大きくダクトを開いたシールドに直撃、簡単に半ばからへし折った。

 

「なっ!?」

 

「まだまだぁ!!」

 

右のリボルバーナックルから2発カートリッジをロードし、ドライの頭を殴り付ける。

 

「ぐっ、ぐあああああっ!」

 

拳を振り切って使われていないビルの屋上へと叩きつけた。

 

土煙が巻き起こり、まだ倒れていないことを予測し警戒する。

 

だが土煙に穴を開けるように、赤い魔力弾が飛んでくる。

 

「やっぱり、まだ倒れてない……。」

 

煙が晴れるとボロボロのドライの姿が現れる。

 

左の目にあたるカメラアイに皹が入り、黄色のアンテナもひしゃげて先っぽが折れる。顔の装甲も左側が凹みが目立っている。

 

「このおおお、よくもあたしの顔をこんなボロボロにしてくれたわねえ!絶対……ぶち殺す!!!」

 

ドライは両手で両肩にマウントされたビームサーベルを引き抜き、接近し右手のビームサーベルを叩きつけてくる。

 

あたしはディフェンサーで防御するも、ドライが左のビームサーベルを交差させ、次第にディフェンサーを破ってくる。

 

ビームサーベルの威力が上がっている!

 

[相棒、避けないと!]

 

マッハキャリバーが無理矢理ローラーを逆回転させて回避させてくれた。

 

「避けんなコラァ!!」

 

しかし、ドライがすかさずビームサーベルを振り下ろそうとする。

 

今度はディフェンサーが間に合わない!

 

目を見開き、斬られると思っていた。

 

「クロスファイヤー、シュート!」

 

聞き慣れた声が左耳から聞こえ、沢山のオレンジの魔力弾がドライの右側から襲ってくる。

 

「うああっ!」

 

ドライが右のビームサーベルを取り落としながら吹き飛び、魔力弾……クロスファイヤーが飛んできた方向を見ると、右足に血を流しながらも、気丈に両手二丁のクロスミラージュをドライに向けるティアがいた。

 

「ティア!」

 

嬉しさのあまり、戦闘中であることも忘れて

 

「っっっスバル、敵から目を離さない!!」

 

何故か顔を真っ赤にして、不機嫌そうに言い放つ。

 

何で顔を真っ赤にするんだろう?

 

「ありがとうティア。」

 

疑問からすぐにドライに意識を集中させ、向き直す。

 

「どいつもこいつも……邪魔しやがって……。」

 

ドライが低い声で憤怒の感情を表す。

 

見ているところで、ティアから念話が入る。

 

<スバル、なのはさんたちがまだゆりかご内部にいるそうよ。ヴィヴィオは救出したけど、サーシェスがゆりかごから脱出しようとしているわ。ドライもあたしたちもボロボロ……

 

一撃でキメるわよ!>

 

<了解!>

 

「まとめて死ねええええ!!」

 

キレたドライが魔力弾を乱射しながら突っ込んで来る。

 

<スバル、あたしが牽制するから隙を見て一発かましなさい!>

 

ティアはカートリッジを両方一発ずつ消費して周りに魔力の球を出現させる。

 

「クロスファイヤー、シュート!!」

 

突っ込んで来たドライにカウンター気味に当たる、あたしもティアもそう思っていた。

 

だけど……

 

「なっ!?」

 

まるでティアが使っているフェイクシルエットのように消えたのだ。

 

そうか、これは以前ニールさんやヴィータ副隊長が言っていたこっちのスローネドライが創る幻影!

 

「ティア、左!」

 

左からドライがビームサーベルをティアに突きつける。

 

ティアは咄嗟にバックステップして避けるも、左のクロスミラージュの銃身を貫かれてしまう。

 

「しまった!」

 

「ティ、ティア!」

 

「ふふっ、さようならぁ!」

 

ドライの銃身から赤い魔力弾が現れようと形成されていく。

 

<ティアナ、離れろ!>

 

突然聞こえてきた念話でティアが後ろに下がる。

 

「今更そんなことをしても…!」

 

[snipe shot.]

 

赤い魔力弾に淡い黄緑の魔力弾が命中。

 

「何、うあっ!」

 

更に右の目にあたるカメラアイにも魔力弾が命中、ドライの魔力弾が形を保てず爆発する。

 

「今のは、まさか…!」

 

あたしとティアが魔力弾が飛んできた方向を見ると青いヘリとそのカタパルト内でスナイバーライフル型のデバイス、多分だけどストームレイダーを構えるヴァイス陸曹がいた。

 

<敵の視界は奪った、後はお前らでどうにかしろよ!>

 

ヴァイス陸曹はそう念話を送ってヘリを上昇させて、敵の攻撃範囲外に出る。

 

既に地上のガジェットは機能停止、襲われる事はない。

 

<これだけやってくれれば充分です!ティア、援護よろしく!!>

 

<ええ、次こそキメるわよ、スバル!……さっきのお返しよ!!>

 

今の一言でティアが何をするのかが分かり、ウイングロードの上を走っていく。

 

「畜生……右目が、このぉ!」

 

ドライがビームサーベルをティアに振り下ろすも、ティアは光となって消える。

 

ティア本人は既に廃墟ビルの屋上入り口に隠れている。

 

「幻術!?ちっ、こっちね!」

 

あたしはドライに向かって突っ込んでいく。

 

「ははっ、そんな手が……通じると思うな!!」

 

ドライは突っ込んで来るあたしに向けて撃ち込む。

 

それはあたしも真っ正直に突っ込んで通じるとは思わない。

 

そう、飽くまで真っ正直になら……。

 

赤い魔力弾が命中したあたしは光となって消える。

 

「こ、これも幻術!?まさか……反対、があっ!」

 

ドライに迫ったあたしはキャリバーショットで左手のビームサーベルを弾く。

 

「ちいっ!」

 

ドライが仕返しに魔力弾を撃ち、あたしの左肩のバリアジャケットを吹き飛ばす。しかし左肩自体は火傷程度で済んだ。

 

「ぐっぬうっ、くらええええええ!」

 

すかさず左手を伸ばし、ドライの右腕の銃身を全力で掴んで折り曲げる。

 

「あたしは造らされて、戦わされて…!」

 

ドライが腕を引いてくるが、あたしは左のリボルバーナックルからカートリッジを三発使ってリングを回転、ドライを逆に引っ張る。

 

引っ張る際にドライの右腕の銃身がバキンと折れる。

 

「一撃……必倒!!」

 

右手に魔力の球を貯めてドライのGNドライヴの部分に押し当てる。

 

「またやられて……!!」

 

「ディバイイイイン……」

 

ギン姉に使ったディバインバスターだが、今度は左で放つ。

 

やったこと無いけど、出来るはずだ!

 

「バスタ―――――――――――――!!!!」

 

左手に折ったドライの銃身を持ったまま、魔力の球に拳を打ち込む。

 

砲撃が発射されてドライの機体を分解していく。

 

「ちっくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

GNドライヴが粉々に破壊されて赤い粒子が舞い散っていく。

 

あたしは爆発に巻き込まれて道路まで吹き飛ばされる。

 

だけどドライをある程度吹き飛ばしていたこと、マッハキャリバーがリアクティブパージをやったお蔭で軽傷で済んだ。

 

「また、助けられちゃったねマッハキャリバー……ありがとう。」

 

足のマッハキャリバーにお礼を言うと、足のコアを明滅させて答える。

 

[私は相棒を共にあります。ですから置きになさらず。]

 

そこにティアが右足を引き摺りながらやって来る。

 

「スバル、あまりヒヤヒヤさせないでよ。」

 

ティアはあたしに近付いてきて、手を出してきた。

 

「ありがとう、それとごめんねティア。」

 

あたしはその手を取って立ち上がる。

 

更にヘリが近くで着地、後部ハッチが開き、ヴァイス陸曹が出てくる。だけど何故かバイクもある。

 

「ボロボロでヘトヘトなとこ悪いが、急いで救出をしに行くぞ。あと、サーシェスが外から出てきても絶対に相手にするなよ。……奴はニールに任せるんだ。」

 

そう、ただ一人サーシェスがまだ捕まっていないのだ。

 

「あの、スローネツヴァイは倒さなくて大丈夫なんですか?」

 

ふとティアが気になったのか、ヴァイス陸曹に質問する。

 

「それなんだが……今、エリオが相手にしているらしい。」

 

エ、エリオが……!?

 

「それって大丈夫なんですか!?」

 

確かに、エリオは強くなったけど、一人でスローネを相手にするのは無謀だ。

 

「それは心配ないそうだ。どういう経緯か分からねえが、今のエリオはガンダムになっているらしい。」

 

「「はい?」」

 

私はおろか、ティアも気の抜けた聞き返しをしてしまう。

 

「とにかく、喋ってる時間も惜しい。早く乗れ!」

 

そんな心情を知った上なのか、有無を言わさずヘリに乗るように促すヴァイス陸曹に、あたしたちは考えるのを止めて二つ返事でヘリに乗り込み、なのはさんたちの救出へと向かった。

 

 

 

.

 

 

 

ハレルヤside

 

『スバルがドライと戦っていた頃』

 

飛行形態のアリオスをかっ飛ばしてフェイトっつう女がいる近くまで来たところでジンクスが10機、研究所の入り口へと入ろうとしていた。

 

<まずい、あんなに入られたら…!>

 

<何だ、たったの10機か。だったら俺一人で十分だな。エリオ、てめえは手ぇ出すなよなぁ!>

 

俺は後ろを向いているジンクス1機にGNツインビームライフルを発砲する。

 

ジンクスのGNドライヴのコーンの部分に命中し、爆散する。

 

残り9

 

他のジンクスが気付き、ライフルを乱射してくる。

 

俺はアリオスをMS形態に変型させ、上、左、左下と避ける。

 

「おらあ!」

 

下から突っ込んでくるジンクスの脳天にストラーダを勢いそのままに突き刺す。

 

そこに二機のジンクスがビームサーベルで串刺しにしようと挟み撃ちで迫ってくる。

 

そんなもん……

 

「読めてんだよぉ!」

 

俺は突き刺したままのジンクスをストラーダで刺したまま左側のジンクスに放り投げ、貫かれたジンクスの爆発に巻き込まれて一緒に爆散する。

 

投げたところで右側のジンクスにビームライフルを連射してビームサーベルを持った右腕、頭と疑似GNドライヴを撃ち抜く。

 

動力を貫かれたジンクスは火花を散らしながら俺の左側を通り過ぎて、大破。

 

残り6

 

<強い……あれだけ強かったジンクスがあっさりと……。>

 

やっぱまだまだガキだな。

 

「この程度で驚いてんじゃねえよ、まだまだ序の口だあああ!!」

 

俺はジンクスどもがビームを乱射しているのを察知し、また四方八方に避けていく。

 

動体視力が優れている俺とエリオには遅く見える。

 

「おいおい、学習能力ねえのかてめえらは。」

 

余りにもジンクスどもの照準が雑過ぎて呆れ混じりにぼやく。

 

僅かに弾幕が薄い二機に接近する。

 

「ストラーダ、カートリッジロードだ!」

 

俺はストラーダにカートリッジを出させてブースターを噴かして……

 

「行ってこい!」

 

[ja.]

 

槍投げよろしく右のジンクス目掛けて投擲する。

 

ジンクスは速さに反応出来ずに構えていたライフルごと疑似GNドライヴを突き刺される。

 

その間にビームライフルを左に持ち換え、右の拳に電気を纏う。

 

左のジンクスがビームサーベルを抜くも、俺は既にジンクスの懐に入っている。

 

「遅え!」

 

<紫電一閃!>

 

右の拳が胴体を捉え、疑似GNドライヴを貫く。

 

拳は背中まで貫通、すぐに引き抜く。

 

<ハレルヤさん、ストラーダが!>

 

左のジンクスが爆発する間に、まだ爆発せずに空中に浮くジンクスからストラーダを引き抜く。

 

「慌てんなよっと!」

 

引き抜いた瞬間、ジンクスが爆発する。

 

残り4

 

<あまりストラーダを手荒に扱わないで下さい。爆発に巻き込まれたら壊れてしまいますから……。>

 

<へいへい、分かった分かった。>

 

めんどくせえ奴だぜ。

 

<はあ……とにかくあと4体ですね。>

 

エリオが溜め息を吐くが戦闘中だから無視する。

 

1体が狙いすましてロングビームライフルからビームを発射、1体は牽制でビームライフルを乱射してくる。

 

牽制は狙いが甘く適当に上下左右に動けば簡単に避けられるが、ロングビームライフルを持っている方は紙一重で避ける形になる。

 

「少しはやるじゃねえか。」

 

そこに右から一機、ビームサーベルを片手に一本ずつ持って突撃してくる。

 

そのビームサーベルを二本交差して斬りかかってくる。

 

俺は右手のストラーダの切っ先で受ける。

 

<いけない、いくらなんでもストラーダが耐えきれない!>

 

ストラーダとビームサーベルとの間で火花が散る中で、ストラーダの刃と柄に僅かに切れ目が入る。

 

[お任せ下さい、エリオ。GN粒子をデバイス、ストラーダに集中、コーティングによって強度を上げます。]

 

ストラーダにGN粒子を流して強度を上げる。GN粒子の光で淡い青緑に輝く。

 

要はエクシアや00に付いているGNソードの仕組みを応用したって訳だ。

 

切れ目が入っている所はそのままだが、コーティングした事で切れ目が深くなる事は無くなった。

 

だが、そこに射撃をしているジンクス2体が左側からビームを乱射してくる。

 

「ちっ。」

 

<ハレルヤさん、防御魔法を……!>

 

[大丈夫です、左翼ビームシールド展開。]

 

左肩のバインダーの四角の穴からビームで出来た盾が展開される。

 

アリオスのビームシールドはジンクスのビームなんざではビクともしねえからな。

 

だが背後からジンクスが一機、俺を串刺しにしようと迫ってくる。

 

「それで俺を止めたつもりか……甘めえんだよ!」

 

俺は一瞬弾幕が止んだところを見計らって、ビームライフルを捨てて左手で右側のジンクスの右腕を掴む。

そして、ミシミシと俺の指が食い込んでいき…

 

「はっはあっ!」

 

ビームサーベルごと右手首を引きちぎった。

 

「おらぁ!」

 

そのまま左のストラーダでGNドライヴを一突きで破壊、左足のミドルキックで吹き飛ばし四散する。

 

残り3

 

[sub machingun.]

 

後ろから迫っていたジンクスに振り向き様に左腕に内蔵されているGNサブマシンガンで蜂の巣にする。

 

ジンクスが爆発したところで右へ高速で回り込み、遠くでロングライフルを装備したジンクスをライフルごとストラーダで横真っ二つに切り捨てる。

 

「こいつでも喰らってろ!」

 

ライフルを乱射するジンクスの頭に向けてさっき引きちぎったジンクスの右腕を全力で投げつけて、カメラアイを潰す。頭部が潰れたトマトみたいに無残に陥没している。

 

怯んだジンクスに迫り、ストラーダでライフルを弾き飛ばし、頭を鷲掴みにする。

 

そのジンクスを盾にしながらさっき吹き飛ばされたジンクスへと迫る。

 

盾にされたジンクスはビームを全て受けて、ボコボコに装甲を削られていく。

 

一発がGNドライヴのコーン部分に当たり、スパークを起こし始めたところで投げ捨てる。

 

残り1

 

だがジンクスは距離を取って射撃を続けてきた。

 

「流石に学習したか……お利口さん、ってなあ!」

 

俺は飛行形態へ変形する事で足を狙った一撃を回避、急加速から左右のビームシールドをハサミのように開いてジンクスの胴体を挟む。

 

「その程度の実力でぇ、俺たちに勝てる訳ねえだろおおお!!!」

 

ビームシールドから出る光でジンクスを焼ききり、体を上下真っ二つに分ける。

 

分けられたジンクスは、爆散し赤い粒子を撒き散らす。

 

「言っただろエリオ、大したことねえってな。」

 

<はい、無茶苦茶なようで相手に反撃の機会を与えない戦い方、そして1対多数を物ともせず無駄な動きの少ない回避の良さ、確かに僕より強く、そして僕にとって目指すべき戦い方の一つかもしれません。>

 

へっ、ガキがナマ言いやがって。

 

[お二人とも、喋っている場合ではありません。研究室内部で崩落が起こっています。中の人たちの救助をした方が…。]

 

中から大きなものが落ちたような音が聞こえる。

 

<いけない、中にはフェイトさんがいるんだ!ハレルヤさん、交替して!!>

 

「しゃあねえなあ。少し寝てるから敵が来たら起こせよエリオ……。」

 

俺は自ら意識をシャットダウンして眠りに着いた。

 

 

 

.

 

 

 

エリオside

 

僕はハレルヤと交替してアリオスを動かしていく。

 

飛行形態で数秒間でフェイトさんがいる場所に近付いていく。

 

このガンダムは本当に早い、しかも僕の魔力とも相性が良いから魔力転換資質も使える。

 

するとフェイトさんを見つけたところで天井が落ちようとしているのが見えた。

 

「ストラーダ、アリオス、ブースト全開!」

 

[[ja.]]

 

アリオスを人型に変型、右手に持ったストラーダの噴射口とアリオスの足のスラスターを噴かしてマッハまで行っているかどうかという位の速さでフェイトさん目掛けて直進する。

 

そしてギリギリでフェイトさんを捕まえて、お姫様抱っこのように抱える。

 

「な、ガンダム!?」

 

フェイトさんが驚いたような戸惑っているような表情でアリオスになった僕を見る。

 

「大丈夫ですか、フェイトさん。」

 

空中で静止してフェイトさんを見る。普段見上げたりするのに、抱き抱えて見下ろすなんて初めてだからちょっとドキマギする。

 

……フェイトさんって美人だし。

 

「エ、エリオ……なの?」

 

「はい。」

 

僕だと分かったフェイトさんの顔が、嬉し悲しの両方とも取れる微妙な表情になる。

 

そっか、アリオスは大体190cm近くはあるから僕の身体も大きくなっていると勘違いしているんだ。

 

「フェイトさん、そう簡単に成長はしませんよ。」

 

僕の言葉を聞いたフェイトさんは少し安心したのか穏やかになる。

 

「あ、う、うん、そうだよね。」

 

どもっているのは恥ずかしいからだと思って敢えて無視する。

 

<フェイトさん、大丈夫ですか!?>

 

そこにシャーリーさんがモニターで安否を確かめに来た。

 

「私は大丈夫、あとお蔭で研究室の崩壊は免れたよ。ありがとう。それと、スカリエッティたちの捕縛を近くにいる管理局員に要請してもらえるかな?」

 

僕は左肩にスカリエッティを乗せようとしたところをフェイトさんに止められた。

 

<分かりました。それはいいですが、スローネがまだ二機地上に残っています。ドライはスバルとティアナがいるけど、ツヴァイは他に相手出来る人がいないんです。>

 

フェイトさんが研究所を出るように指を差す。

 

僕は頷いてフェイトさんを抱えたまま、移動する。

 

「シグナムは?」

 

<シグナム副隊長は大量のガジェットやジンクスを相手にしていて、とても……!?たった今、キャロの方へツヴァイが!!>

 

今のキャロは魔力を沢山消費しているはず、しかもツヴァイは接近戦が得意で気絶したルーもいる!

 

とても戦える状態じゃない!!

 

移動するスピードが自然と上がる。

 

「シャーリーさん、僕が行きます!」

 

「!?ダメだよエリオ、いくらなんでも一人じゃ危険だよ!!」

 

「でもここで僕が行かないと、キャロもルーも殺される!!」

 

<エリオ君、フェイトさんは心配して……!>

 

シャーリーさんの言葉に首を振る。

 

「それに、僕は一人じゃない。ストラーダとアリオス、ハレルヤさんがいる!」

 

そう、悔しいけど僕だけの力じゃスローネには勝てない。何より魔力が半分もない。

 

でも、アリオスやハレルヤさんと共に戦えば……確実に勝てる!

 

「分かったよ、でも必ず無事でいて!」

 

出口が見え、一気に外に出る。

 

外には森とハレルヤさんが破壊したジンクスの残骸がそこかしこに散らばっている。

 

「勿論です!」

 

僕はフェイトさんを降ろし、飛行形態へと変型してキャロの元へと飛んでいく。

 

 

 

.

 

 

 

キャロside

 

白天王やジライオーが落ち着いてきて漸く事件が終わったと思った矢先、突然白天王の頭に赤い魔力弾が撃ち込まれた。

 

白天王は堪らず、廃ビルを薙ぎ倒しながら地面にズウウウンと大きな音を立てて崩れ落ちる。

 

魔力弾が飛んできた方向を見ると、そこにはスローネツヴァイが左腕に備え付けられた銃口を向けていた。

 

「おいおい、ピンクのガキしかいねえじゃねえか。けど、でけえ獲物があるからそれで我慢するか。…ファングゥ!!」

 

スローネは腰のスカートみたいなものから白い牙のような形のファングを6つも射出、フリードに乗った私とルーちゃんに放ってくる。

 

そこにヴォルテールが割り込んで腕を振って落とそうとする。

 

「そんな図体でファングは捕まんねえよ!」

 

だけど、当たるどころか逆に魔力弾の嵐を受けてしまい、白天王と同じように崩れ落ちてしまった。

 

「ヴォルテール!」

 

呼び掛けるも、ダメージが大きいのか起き上がらない。

 

その間にビルから飛び立ったジライオーたちを撃墜していくスローネ。

 

後はもう、ガリューとフリードだけ……!

 

「ガリュー、協力して!フリードもガリューの援護をやるよ!!」

 

私はケリュイケオンでフリードにブラストレイでの攻撃を指示する。その間にガリューがスローネに向かって突っ込む。

 

「へえ、少しはマシなのが出てきたな。……破壊して蹂躙してぇ、殲滅してやる!」

 

スローネはガリューに対応すべく、右肩の大剣に手を掛けてガリューの爪を受ける。

 

そのガリューの後ろからファングが魔力刃を出して奇襲を掛けようとするのが見えた。

 

「フリード!」

 

先程指示したブラストレイを放ってファングに当てようとした。

 

「へっ、やるじゃねえか……なんて思わねえよお!」

 

スローネは大剣で防御しながら蹴り飛ばす。

 

そして炎弾はファングを一つも捉えず、蹴り飛ばされたガリューの背中に命中してしまう。

 

「そんな…ガリュー!?」

 

スローネに完全に読まれていた……!それも、ファングを攻撃を指定させる為の囮に使うなんて…。

 

どうしよう、これじゃやられちゃう……。せっかくルーちゃんを助けたのに……。

 

「呆気ねえなあ、おい。けどよ、さっき兄貴がやられちまったからな……その分、ドライと一緒に倍返しにしてやるんだ。だから、死ねよコラ!」

 

ファングを収納したスローネが大剣を持って私に接近してくる。

 

ダメ、攻撃も回避も間に合わない!

 

 

 

 

助けて、エリオ君!

 

 

 

 

その時、横から黄色で小粒の魔力弾が大量に飛来してきた。

 

「ちっ、誰だ……な、何だと!?」

 

魔力弾が飛んできた先には、飛行機のようになっているアリオスガンダム、エリオ君がいた。

 

 

 

.

 

 

 

ハレルヤside

 

全速力でキャロの元へ戻った俺たちは、スローネに斬られようとしているキャロたちを発見した。

 

「させるか!」

 

俺たちは機首になっているビームシールドに備え付けられたバルカンで牽制を掛ける。

 

避けられたけど、キャロから離す事に成功した。

 

「ハハハ、ハッハッハッ、最高だぜ、ミハエル・トリニティとかいう奴に一度コケにされたからなあ……てめえの事をボコボコにのしてやりたかったんだよぉ!!」

 

俺たちはアリオスを人型に戻してストラーダを叩きつける。

 

スローネはバスターソードで迎え撃つ。

 

バスターソードとストラーダの間にスパークが起こる。

 

「そして、キャロの所に近付けさせない!」

 

<キャロ、今のうちに離脱して!>

 

<ごめんね、エリオ君、ハレルヤさん!>

 

鍔迫り合いしながらキャロに念話を送る。

 

キャロはすぐにルーを連れて離脱する。

 

「逃がすかよ、ファン……ぐあっ!」

 

ファングを出そうとした所をストラーダでバスターソードを強引に下げて頭突きをかます。

 

「そんな余裕なんざてめえにはねえんだよ!!」

 

怯んだ隙に左のフロントスカートからビームサーベルを抜き、右肩目掛けて突く。

 

「くっ!」

 

スローネはバスターソードの刃の中心を割ったように開けて、GN粒子の膜を作ってビームサーベルの刃を防御する。

 

「離れろこの野郎!」

 

スローネが膝蹴りを俺たちの腹にぶつける。

 

「ぐうっ!」

 

当たりどころが悪く、呻きながら離れる。

 

「行けよ、ファング!」

 

スローネのサイドスカートからファングが射出、俺を四方八方から襲い掛かる。

 

<エリオ、こっからてめえはどう動くか考えて判断しろ。俺はそれに合わせて動いてやる。>

 

超兵の超反射能力、思考と反射の融合。

 

思考はエリオ、反射はハレルヤが行う。

 

お互いにその役割に専念する。超兵じゃねえが、再現できるスペックをこいつは持っている。出来るはずだ。

 

 

 

<分かった!……まずは、上!>

 

「当たれよ!」

 

体を上に向けて左手に持ったビームサーベルの刀身を短くして投擲、すぐに投げた方向に向かって飛ぶ。

 

上にあったファングに命中して爆散、上昇してビームサーベルの柄を掴む。

 

「何!?だが、囲まれたままだぜ!!」

 

赤い魔力弾の嵐が俺たちに襲い掛かる。

 

その中で回避不能の一撃が迫る。

 

<直撃コース!>

 

「避けてみせろよ!!」

 

俺たちはそれを紙一重、しかし最低限の動きで避けていく。

 

「あり得ねえ……今のは直撃だぜ!?何で当たらねえ!!」

 

<後ろから来る!>

 

「不意討ち上等!!」

 

後ろから魔力刃を形成して突撃するファングが見え、左のビームサーベルで切り捨てる。

 

切り捨て様にファングの包囲網を下から出て飛行形態へ変型、廃墟ビルスレスレを飛んでいく。

 

「さっきから機動力が上がっているのか!?トランザムでもねえのに!!」

 

今度はスローネが左のビームガンから魔力弾を撃ってくるも、俺たちの機動力に追い付けていないのか全く当たらない。

 

「畜生、畜生畜生畜生畜生!!」

 

<スローネが動揺している、ストラーダ!>

 

[explorsion.]

 

 

俺たちは敵の動きが鈍くなったのを見越して、ストラーダのカートリッジを一発使って魔力を高め、電気を纏わせる。

 

「行ってこい!」

 

人型に変形してストラーダを槍投げのように投擲、見事にバスターソードの中央に命中してスローネの手元から弾いた。

 

「なっ、てめえ!」

 

<今だ!>

 

[sub machinegun.]

 

両腕のサブマシンガンで残りのファングも全て撃ち落としていく。

 

「てんめえ――――――――――!!!」

 

そこにスローネがビームサーベルで斬りかかってくる。

 

<左から襲撃、だけど!>

 

「隙がでけえ!!」

 

ビームサーベルでスローネのビームサーベルを持った右手を斬り落とす。

 

<紫電一閃!>

 

「おらあ!」

 

右の拳に電気を纏わせてスローネの顔を殴る、殴る、殴る!

 

「ぐっ、がっ、ごわあっ!!」

 

スローネの顔はひしゃげて一部が黒焦げになり、顔面パンチを喰らい続けた事でよろける。

 

俺たちはすかさず、スローネの左腕を両腕で掴み、胴体を足で押えて一気に引きちぎって捨てる。

 

「ぎゃああああああああああああああああ!!!」

 

スローネが断末魔を上げるのと同時に左右のサイドスカートからファングが一機ずつ魔力刃を出して突撃してくる。

 

俺たちは判断するでもなく、サブマシンガンで撃ち落とす。

 

<ハレルヤさん、本当に凶悪ですね……。>

 

「戦いなんざ、勝ってナンボだ。……次で終いだ。」

 

俺たちは急速に離れながら、飛行形態へ変型。機首のビームシールドを広げ、スローネを胴体から挟み込む。

 

「があっ!」

 

挟んでいる部分からビームが発生し、スローネの胴体を徐々に蒸発させていく。

 

「ふざけんなよ……アインやドライまで倒されて、てめえらを皆殺しに……ぐああっ!」

 

わざとビームを止めて、バインダーだけでギリギリと挟み潰していく。

 

「ああ?聞こえねえなあ!!誰が、誰を殺すって?」

 

<ハレルヤさん、何を!?>

 

エリオの言葉を無視して締め上げていく。

 

「てめえらの仲間だ。男はぶっ殺して、女は全裸に剥いて犯してやんよ!!」

 

そんなこと聞いたもんだから……

 

<……ハレルヤさん、すぐに潰して下さい。>

 

こいいうのに慣れてないガキはキレる。

 

「ヘイヘイ。冥土の土産に言っといてやるがな、てめえは相手の実力を分からねえ馬鹿なんだよぉ!!」

 

一気にビームを再び発生させてスローネを焼ききる。

 

「畜生、この俺がああああああ!!」

 

胴体から上下が別れてそれぞれが爆発する。

 

[エリオ、マイスターハレルヤ、魔力が限界値を迎えます。すぐに地上へ降りて下さい。]

 

「はあ!?もう終わりかよ!俺はまだ満足してねえ……ってガキが寝てやがる。」

 

エリオは疲れてアリオスが形成した空間で眠っている。

 

アリオスを人型に変型、元の赤い髪のガキに戻る。

 

戻った途端、仰向けに倒れてフェイトという女にモニターを映す。

 

「おい、スローネは倒したぜ。だが、ガキの方がクタクタになって眠っちまった。」

 

状況を報告してやっているのに何故か茫然としている。

 

<エ、エリオが…エリオが不良に…。>

 

「おい聞いてんのか、フェイト!栄養が胸にばっか行ってる訳ねえよなあ!!」

 

俺が言うや否や、フェイトという女は泣き出し始めた。

 

<シャーリー、エリオが…エリオがあああああ!!>

 

<フェイトさん落ち着いて!あれはエリオじゃなくてハレルヤですよ!?>

 

[マイスター、口が悪すぎます。]

 

あ〜あ、付き合ってらんねえから寝るか。

 

にしても、今ロックオンの野郎はサーシェスとかいう奴とガチで戦ってんだよなあ。

 

これでもてめえの事は認めてんだ、だから……

 

 

 

 

絶対、勝てよな!

 

 

 

 

体から滲み出る倦怠感に身を任せて、俺は眠りに着いた。

 

 

 

.

 

 

 

ニールside

 

サーシェスを追うこと数分、その途中で俺はバイクに乗るティアナとマッハキャリバーで走るスバルと遭遇した。

 

「お前ら無事だったのか!」

 

スバルとティアナは一旦止まった為、俺も片足で着地する。

 

「はい、どうにか。でもニールさんが…。」

 

スバルは神妙な表情で俺の足を見る。

 

俺は気にするなと言う変わりに右手をスバルの頭に乗せる。

 

「それより急いで下さい。私たちのことは脱出を優先したのか狙いませんでしたが、味方の被害が広がるかもしれません。」

 

ティアナはそんな俺たちに構わず、サーシェスを追うように促してくる。

 

「分かってる。この先の玉座だった部屋になのはたちが閉じ込められている。頼むぞ、二人とも。」

 

「「了解!」」

 

スバルやティアナが進むのと同時に俺もサーシェスの後を追うために飛び立つ。

 

そこにシャーリーから連絡が入る。モニターではないのはまだAMF状況下にあるからだ。

 

<ディランディ空曹長、スローネアインはクレメンス小隊協力の元、部隊長が撃破。ドライはスバル、ティアナが撃破。ツヴァイはエリオが撃破しました。>

 

クレメンス小隊!?俺が一時期世話になった部隊だ。

 

「クレメンス小隊のメンバーは無事か!?」

 

<……クレメンス小隊は……。>

 

 

言うのを躊躇うシャーリーから俺はどうなったのかを察した。

 

…全滅しちまったのか。

 

歯を噛み締めて悔しさを押し殺す。

 

「もういい、分かった。……しかし、フォワードの皆は成長したな。まさかスローネに勝つなんて思わなかったぜ。」

 

<その…エリオなんですが、何故かガンダムになってました。>

 

一瞬、思考が停止する。

 

<フェイトさんばりの高機動でツヴァイを無傷で倒してしまいました。>

 

ハレルヤの奴がエリオの中にいたのが分かっていたから何となく予想は出来ていたが、実際聞くととんでもねえ。

 

だが、これならエリオ一人でツヴァイを倒したのに納得出来る。

 

もう心配する事は殆んど無くなったか。

 

「シャーリー、他の管理局員全員に『サーシェスとの戦いには手を出すな』と伝えておいてくれ。何でだかは、解るよな?」

 

これは俺が決着を着けなきゃいけない戦い、それになのはたちはともかく他の魔導師ではサーシェスの的にされるのがオチだ。

 

<分かりました。必ず生き残って下さい!>

 

「了解!」

 

[マスター、出口が見えました。]

 

最初に入った場所から出て最初に目に映ったのは……

 

魔導師をバスターソードで切り捨てているサーシェスだった。

 

切り捨てられた魔導師は破壊されたデバイスの破片と共に地上へと墜ちていく。

 

周りには魔導師がいない……こいつに全員やられたのか……!

 

「よう、来るのが遅えから……暇潰しに雑魚を掃除しちまったぜ。」

 

以前の俺なら、まずここで突っ込んだだろう。

 

だが、野郎が戦闘のプロだということを警戒して、怒りを抑えながらMGドライヴにマウントしていたピストルを取って銃口を向ける。

 

「……てめえは、そうやって当たり前のように他人の命を奪っているんだな。」

 

傭兵だからと、生きていく為にと、そして戦争を快楽にして楽しむ為にと他者を犠牲にする。

 

歪んでいる以外の言葉が見つからない。

 

「へっ、今更何言ってやがる。それで俺はメシ食ってんだぜ?」

 

そうやって貴様は俺の家族を……周りの人間を殺して、不幸にしてきたんだな。

 

「ああ、そうだな、てめえはそういう奴だ。

 

だから、

 

 

 

 

てめえを殺すのは止める。」

 

 

 

 

 

 

これは俺が家族を仲間を守る為に決めたこと。

 

今こいつを殺す事は、家族にも暗い影を落とす事になる。

 

「…どういう事だ?」

 

サーシェスは怪訝そうに聞く。

 

奴の破壊された装甲から見える左目が俺を睨んでいるのがよく解る。

 

普通、そんなこと言われねえもんな。

 

「殺すのを止めて……

 

てめえが一番望まねえ、相応の絶望を与える!」

 

 

 

 

 

それこそが奴の罪、奴が最も受けるべき罰。

 

奴から戦う力を、戦う自由を、根こそぎ奪う!!

 

 

 

 

 

「ふっはは、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

サーシェスは狂ったように笑う。

 

俺が言った言葉の意味が解ったようだ。

 

「面白えこと言うじゃねえか、ええ、ソレスタル何たらぁ!!」

 

右手に持つバスターソードに付いた血を振り払い突っ込んでくる。

 

俺はアクセルバレットを放ちながらライフルビットを射出する。

 

「はっはあ!」

 

だが、サーシェスは持ち前のリーチの長さを利用してバスターソードを持って右回転、左右に展開したライフルビットを中心から切り捨てていく。

 

[accel ballet.]

 

そこに通常より少し魔力を加えたアクセルバレットでサーシェスの左肩と肘間接を撃ち抜く。爆発して左腕が丸ごと吹き飛ぶ。

 

「ぬがっ!……やりやがる。」

 

サーシェスは怯みながらもスラスターからGN粒子を多く噴射して態勢を立て直す。。

 

「ケルディム!」

 

[photone machinegun.]

 

左右のピストルから小粒の魔力弾を大量に発射する。

 

その攻撃を素早くバスターソードに赤いGN粒子を纏わせて盾にし、突っ込んでくる。

 

俺の魔力弾はバスターソードを削ることなく弾かれてしまう。

 

「調子に乗るなよ、ガンダムゥ!!」

 

防ぎきられたところでサーシェスの飛び蹴りで飛ばされてしまう。

 

まともに胴体を蹴られ、怯んでしまう。

 

「おわっ!」

 

「行けよ、ファ…ぐっ!」

 

サーシェスの後ろが爆発し、その向こうを見ると女性の魔導師が一人、こっちに迫っていた。

 

「よくも、私の仲間をおおおお!!」

 

泣きながらサーシェスに迫ろうとする女性魔導師。

 

「逃げろ、相手が悪すぎる!」

 

「雑魚が……ファング!」

 

「ちっ、ケルディム!」

 

[了解、シールドビット展開。]

 

サーシェスがファングを出して撃ち落とそうというところを5つのシールドビットで魔導師を守ろうとする。

 

しかし、一つ一つのシールドビットではラウンドシールドしか出せない上、ファングの魔力弾の威力を殺しきれず、耐久性があまり無かった2つが爆発してしまう。

 

だがやられてばかりではなく、ピストルでファングが僅かに動きが止まるのを見計らって1つ、どさくさ紛れに後ろから迫っていたファングを見ずに落としていく。

 

「がはっ……ごめ、ん……。」

 

それでもそんな俺を嘲笑うかのように、女性魔導師の背中をファングの魔力刃が貫通、墜落してしまう。

 

「てめえの力量も分からねえで戦場に出てくるたあ、馬鹿としか言いようがねえなあ。」

 

ああ、確かにそうだ。

 

そうだがなあ……

 

「ラーナを惨たらしく殺した……貴様が言うことか!」

 

3つのシールドビットとピストルでアクセルバレットを放って残り2つのファングも全て壊す。

 

サーシェスに急速に迫り、右のピストルのエッジで頭の左側を殴り付ける。

 

「づあっ、このっ!」

 

追撃しようと右のピストルの銃口を向けたら、左足のビームサーベルに右腕を貫かれる。

 

「ぐうっ、まだだ!」

 

焼き切られようとしているのも構わず、右足に銃口を向けて引き金を引き続ける。

 

サーシェスの右足は耐えきれず疑似GNドライヴごと爆発して膝から下が無くなる。それと同時に俺の右腕も焼き斬られて地上へと落ちていく。

 

「ぐうっ…本当にやりやがる、てめえもてめえの弟も殺し甲斐があるぜ!!」

 

サーシェスがバスターソードを横凪ぎに斬りつけてくる。

 

残った左のピストルのエッジで受けるも、あまりのパワーに体ごと弾かれてしまう。

 

「どあっ、俺の弟だからな……てめえ如きにやられる訳ねえ!」

 

「言ってくれんじゃねえか、益々殺したくなったぜ!!」

 

サーシェスはバスターソードを右腕に装着して魔力弾を撃ってくる。

 

右肩に命中して爆発、頭にも掠り、黄色のクラビカルアンテナが吹き飛ぶ。

 

その中で胴体を狙う魔力弾があった。

 

ならば!

 

「トランザム!!」

 

ケルディムの全身が赤く発光し、胴体に直撃しようとした魔力弾を回避する。

 

「ちっ、またトランザムとかいう奴か!」

 

左から射撃

 

上昇して回避

 

上から連射

 

接近されて鍔迫り合い

 

離れてまた射撃と繰り返し

 

僅かな隙を見つけて左足の爪先を撃ち抜く。

 

サーシェスは撃ち抜かれたのを構わず、バスターソードを手に持って、接近してくる。

 

フォトンマシンガンでサーシェスを接近させないようにしようとしてもサーシェスは当たっても怯まずに間合いを詰めて大剣を横に構える。

 

[シールドビットを全て防御に!]

 

「薄っぺらいんだよ!」

 

ビットを合わせて防御にラウンドシールドを張るも、3つともバスターソードの一撃で叩き割られてしまった。

 

ビットが爆発したのと同時に残ったミサイルを発射するも、サーシェスが下降することで回避、追尾しても全て斬り落とされる。

 

「危ねえなあ、けどこれで終わりだあ!」

 

間合いをまた詰められ、バスターソードを突いてくる。

 

俺はギリギリで避けるも鎖骨にあたる部分に掠り、頭部の黒いクラビカルアンテナをへし折る。

 

「避けやがっただと!?」

 

避けられると思っていなかったのか、サーシェスの本体の左目が大きく見開かれる。

 

「がっくうっ…喰らえ!!」

 

[burst shotgun.]

 

大剣の刀身を爆風で半ばから折り、左足のミドルキックで引き離す。

 

それと同時にトランザムも解除される。

 

「止めだ!」

 

煤だらけになったピストルの銃口をサーシェスに向けて胴体のGNドライヴに照準を合わせる。

 

「……ははっ、ところがぎっちょんん!!」

 

だが、そこでサーシェスが接近し、右手の指先から爪のような魔力刃を展開してきた。

 

「何、しまった!」

 

思わぬ隠し武器にピストルを下げるのも間に合わず、握り潰されてしまった。

 

「くそっ…ケルディム、他に武器は!?」

 

[もう武器がありません。魔力とGNドライヴがまだ3%残ってますが、これでは…。]

 

ケルディムに聞くも、答えは解っていたものだった。

 

「ハハハハ、俺の再生治療のツケと殺してくれた分も全部払えよ、ガンダムゥ!!」

 

ふざけんな、こんな形で終わってたまるかよ!

 

俺は家族や仲間の為に生き残らなきゃならないんだ!

 

ライルやなのはたちに危険が及ばねえようにこいつをここで俺が倒さなきゃダメなんだ!!

 

 

 

 

こんな奴に負けらんねえんだ!!

 

 

 

.

 

 

 

なのはside

 

救助を待つ間に、ゆりかご内部のクアットロをはやてちゃんが背負ってきた。そのすぐ後にスバルとティアナが救助に来てくれて、漸く全員でゆりかごを脱出、ヴァイス君のヘリに乗る事が出来た。

 

ヘリの中にはヴァイス君と私の他にスバル、ティアナ、ヴィヴィオ、はやてちゃん、リイン、そして気絶して横になっているクアットロがいる。

 

皆ボロボロで今回はもうこれ以上は戦えない。

 

はやてちゃんとリインも殆んど魔力が残っておらず、魔法も防御や捕縛しか出来ない。ヴァイス君も怪我が治ってないため、無理は出来ない。

 

だけど、ニールの事が心配になってはやてちゃんにモニターを開いてもらったら、そこにはお互いにボロボロになりながら戦うニールとサーシェスの姿があった。

 

ニールがサーシェスの大剣を折り、止めを刺そうとする。

 

だけどヴィヴィオが不安そうに見ている。

 

「ヴィヴィオ、パパなら大丈……」

 

「パパ、危ない!」

 

モニターを見直すと、サーシェスの指先から魔力で出来た爪が形成され、ケルディムのピストルを破壊してしまう。

 

しかもケルディムには武器が一つも見当たらない。

 

……このままじゃニールが負けちゃう!

 

「ヴァイス君、ニールさんの近くまで行って!私のレイジングハートをニールさんに投げて渡すから、お願い!」

 

「ダメです、危険すぎます!」

 

そこをティアナが立ち上がって私の左腕を掴んで反対する。

 

「離して、このままじゃニールが!」

 

そこにはやてちゃんがティアナの肩に手を置いて私を見る。

 

「やらせてやり、ティアナ。私もいるし、今アルトがシャマルにザフィーラを乗せてこっちに向かってる。」

 

更に右手をスバルが掴んでくる。

 

「なのはさん、レイジングハートを投げるのならあたしがやります。なのはさんはブラスターモードの影響で動けてないではないですか!」

 

私を止めるティアナとスバルを振り払おうと力を込めようとすると右足をヴィヴィオが腕いっぱいに抑えてきた。

 

「なのはママ、無理しないで……。」

 

涙目で不安そうに見るヴィヴィオを見て、頭に血が昇りすぎた事に気付き、力を抜いて立ち尽くす。

 

「なのはさんが落ち着いたところで、全速力で飛ばしますよ!……アルト、聞こえてるか!?」

 

<はい、既にヴァイス陸曹のヘリが見えるところまで来ました!>

 

それを聞いていた私は慌てヴィヴィオを抱えてヘリに備え付けられたシートベルトを装着する。他の皆も同様に備える。クアットロは固定されている為、問題ない。

 

「よし、皆さんしっかり捕まって下さいよお!!」

 

お願い、間に合って!!

 

 

 

 

 

.

 

 

 

ニールside

 

「どうしたどうした、武器が無きゃ逃げ腰か?ええ、ガンダムさんよお!!」

 

サーシェスが右手の指先に爪のように短く魔力刃を展開して攻撃してくるのを紙一重で避けながらどうやって倒すかを考えていた。

 

武器はもう無い、使えるのは手足、そして数秒しか使えないトランザム。

 

だが打撃では最悪相討ちにしかならない。せめてケルディムの右腕があれば倒せる可能性はあったが、既に吹き飛ばされている。それに一部スラスターがやられたのか、少し姿勢制御が取りづらくなっている。

 

「ちっ、イチイチ避けやがって……いい加減くたばりやがれ!」

 

「くっ!」

 

動きが一瞬鈍くなり、隙が出来たところを爪で切り裂こうと横に振ってくる。

 

俺は堪らず右膝で防御するも、奴の爪が刺さって膝から下を全て根こそぎ持っていかれる。

 

「ぐああっ!」

 

サーシェスはケルディムの引きちぎった足の一部をそのまま投げ捨て、左足で飛び蹴りを放つ。

 

「どあっ!」

 

避ける暇もなく、腹に受けて吹き飛ばされてしまう。

 

「こいつで終わりだぁ!!」

 

サーシェスの爪が俺の胸部を貫かんと迫る。

 

<ニールさん、動かないで!そして左手をそのままに今から投げるものを受け取って!>

 

と突如なのはからの念話を受け、動きを止める。

 

すると俺の左横から淡い緑の魔力弾が通り過ぎ、サーシェスの右腕に命中する。ダメージ自体は無いが、腕が少しだけ弾かれる。

 

「何、んぬあ!」

 

更に俺の左手に何か小さな丸い物が放り込まれる。

 

そのまま掴み、拳を作ってサーシェスの顔面を殴り付けて距離を離す。

 

[大丈夫ですか、ニール・ディランディ。]

 

「おい、まさかレイジングハートか!?」

 

[はい、武器が無いとの事でマスターから一時貴方の武器になるようにと……。]

 

<でも、砲撃は一発しか出せないから気を付けてね。>

 

「恩に切るぜ、なのは。なら早速……レイジングハート、エクシードドライブ!」

 

赤く丸い宝石の待機状態から先のヴィヴィオとの戦いで使ったエクシードモードへとレイジングハートを変型させていく。

 

「ちっ、邪魔すんなよ、時空何たらぁ!!」

 

サーシェスは体勢を立て直す間にファングを一つ射出して俺の後ろにいるなのはたちの乗るヘリへと突撃させる。

 

「しまった!」

 

全部破壊したと思ったら……何て往生際の悪い!!

 

「来たで!防御してどうにか……!」

 

「なる訳ねえだろ!」

 

はやてがどうにか防御を張るも、一秒と保たずにヘリ内に侵入。

 

「うあっ、しまった!」

 

そのまま……

 

ヴィヴィオへと迫る。

 

「ヴィヴィオ!」

 

だがなのはがヴィヴィオを強引に伏せさせた事で事なきを得る。

 

それでも避けた事で、後ろで横になっていたクアットロの横腹にファングが突き刺さる。

 

「ぐっ、サーシェス……貴様……かはっ……。」

 

クアットロは真っ青な顔で血を吐きながらサーシェスを睨み付け、事切れた。

 

「ああ、気付かなかったなあ。まさかメガネの嬢ちゃんが……うおあっ!」

 

俺はヘリに向かって喋っているサーシェスにレイジングハートで殴り付けて突き放す。

 

「くっ、このっ!」

 

ティアナはまだ無事なクロスミラージュをダガーモードにして、ファングを切り捨てようとするも先に離れてしまい、空を切る。

 

「へっ、イッちまいな!」

 

「畜生が!」

 

レイジングハートをファングに向けて攻撃をしようとしたその時……

 

「でやあああああああああああ!!!」

 

横から青い影が急速に迫り、ファングを拳で叩き割って破壊した。

 

「ちっ、またかよ!」

 

「あ、あれは……ザフィーラ!」

 

乱入したのは、人間形態のザフィーラだった。

 

怪我が治ってないからか、息遣いが粗い。

 

「ニール・ディランディ、何を呆けている。目の前に集中しろ!!シャマル、早くグランセニックのヘリへ行け!!」

 

それでも構わず、ザフィーラは声を張り上げる。

 

「分かってる!」

 

ザフィーラから渇を入れられ、サーシェスに目を向け直す。

 

「さあ、これでもう気にする事はねえ……トランザム!!」

 

ケルディムの白と緑の装甲、そしてレイジングハートのピンクと白と金のフレームが赤く輝く。

 

[A.C.S driving.]

 

レイジングハートの尖った先端の間から高密度の魔力刃を出し、サーシェスに迫る。

 

そのままレイジングハートでサーシェスの胸に目掛けて突く。

 

「ちっ、またそれかよお!」

 

右手を振り上げていなそうとするサーシェスに対し、レイジングハートを引っ込めて左足のサマーソルトでサーシェスの右腕を蹴り上げる。

 

サーシェスは右腕を蹴り上げられた事で仰け反る。

 

「全力全開で狙い撃つ!」

 

大きな隙を逃さず、レイジングハートのA.C.Sの魔力刃をサーシェスの胸のGNドライヴに突き刺す。

 

「エクセリオン……」

 

「ぎっ、がああああっ!」

 

だが、突き刺されてもなおしぶとく右手でケルディムの頭を鷲掴みし、握り潰そうとする。

 

すぐに頭の装甲が一部欠け、俺の右目が露になる。

 

「てめえ、その金目はまさか!?」

 

それでも止まらない、止まる気もない。

 

魔力が膨大に膨れ上がり、深緑の球体を作り上げる。

 

「ぐっ、エクセリオン……バスタ――――――――――――――――――――!!!」

 

膨大な魔力がサーシェスの……アルケーの赤い装甲を全て吹き飛ばしていく。

 

「ガ、ガンダムウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!」

 

サーシェスが吹き飛んでいくと同時にケルディムの頭部が握り潰される事で割れ、俺の本体の頭が姿を表し……

 

 

 

 

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!

 

 

 

 

サーシェスから爆発が巻き起こり、俺もまた巻き込まれて地上へと吹き飛ばされる。

 

 

 

 

 

まだ……まだだ。奴の……戦う力を……。

 

 

 

 

 

吹き飛ばされ、地面に叩き付けられてもなお戦う意志を失わない。

 

 

 

 

 

まだ、戦いは、終わってない。

 

 

 

.

 

 

 

なのはside

 

ニールがエクセリオンバスターを放ち、爆発が巻き起こる。

 

爆発の衝撃でヘリコプターが揺れるものの、幸い誰も落ちなかった。

 

そして、爆発が収まったところで地上へと降りてニールが墜ちたであろう瓦礫が積み上げられた場所へと痛む体を押して急ぐ。

 

周りで何か言っていたような気がしたけど、今はニールが一番心配だから無視する。

 

「はっ、はっ、うあっ!」

 

走る途中でコンクリートの破片に足を引っ掛け、躓く。スカート越しに膝から出た血が小さな点を作って滲む。

 

「くっ、ニール……ニール!」

 

足を引き摺りながら、瓦礫の山へと歩き出す。

 

着いたところで周りを見ると、墜ちて勢いが落ちずに地面に引き摺られたような跡、所々に赤い破片が残っている。

 

 

 

 

赤い…破片!?

 

 

 

 

「なのはさん、そっちはニールさんじゃなくてサーシェスですよ!」

 

自分のミスと追い掛けてきただろうスバルの警告に気付き、瓦礫の山へと目を向けると…山の頂上から左手が突きだし、サーシェスが体を這い上げる。

 

「ぐっ……畜生、野郎のせいでアルケーが使い物にならねえ。」

 

頭に血を流し、血が流れた左目を閉じながらサーシェスは右手に持ったデバイスと思われるものを見る。その恰好はナンバーズとは違う赤いスーツだ。多分、MSに乗るパイロットスーツだろう。

 

「ん?わざわざ殺されに来るなんざ、ご苦労なこったなあ!」

 

サーシェスが私を見つけると銃口を向ける。

 

バリアジャケットを貫通させることも可能な強力な銃だ。

 

しかも魔力もないから防御も出来ない。

 

あんなのを受けたら助からない!

 

「なのはさん、逃げてえ!!」

 

スバルの叫びが聞こえるも、体が反応しない。

 

目もサーシェスの銃口から離せない。

 

「逝っちまいなぁ!!」

 

サーシェスの銃のトリガーが引かれる。

 

 

 

 

「ダンッ!!」という銃声が響く。

 

 

 

 

 

その銃声は……

 

 

 

 

「がっ!」

 

サーシェスからではなく、サーシェスの後ろから聞こえてきた。

 

「て、てめえ……何……しやがった……。」

 

サーシェスが痛みに震えながら後ろを向いたため、私もサーシェスの向こうを見る。

 

そこには、ケルディムのスナイパーライフルを構えるニールがいた。

 

「……てめえの脊髄に残った全魔力を込めてスタンショットを撃たせてもらった。

 

これでてめえは、二度と戦えねえ。そしてこれが……俺が殺さずに与える、貴様に対する罰だ。」

 

低くも不思議と周りに響くような声で語るニール。

 

その目は、飽くまで復讐をするような禍々しさも荒々しさもない……皆を守るという決意に溢れ強く気高い、そんな光を思わせる金色の瞳だ。

 

「体が……動かな……く……。」

 

サーシェスが銃を落とし、瓦礫の上に仰向けに倒れる。

 

「……これで……やっと……。」

 

ニールもまた仰向けで大の字に倒れる。

 

「……なのはさん、サーシェスは私たちに任せてニールさんの方へ行ってあげて下さい。」

 

「うん、ありがとう、スバル。」

 

スバルの言葉に甘えて、ニールの元へと足を引き摺りながら歩き出す。

 

「……無事で良かった……。」

 

涙を流しながら、生きていることに感謝しながら。

 

 

 

.

 

 

ニールside

 

サーシェスにありったけの魔力で砲撃をぶつけてビルの瓦礫の山へと吹き飛ばされた。

 

幸い頭は打たなかったが、ケルディムの頭部を破壊された事でGUNDAMフォームが解除されてしまい、体を強く打ち付けてしまった。

 

それでもサーシェスが倒れてないだろう事を見越して、痛みを堪えてすぐに立ち上がろうとする。

 

「はあ、はあ……ぐうっ!」

 

だが立ち上がろうとした瞬間、脇腹に強い違和感を覚えよろめく。

 

[マスター、無茶です。あばら骨が一本折れているんですよ!]

 

[それに……ザザッ……魔力もGN粒子も……ザザッ……残ってません。]

 

ライフルフォーム(スナイパーライフル2)のケルディムと、左手に皹が大きく入り今にも割れそうな待機モードのレイジングハートが雑音混じりに止めてくる。

 

「ケルディム、分かってんだろ。ここで俺がやらなきゃ、また犠牲が出る。それに……俺はもう、父親なんだよ。ヴィヴィオにもなのはにも、後顧の憂いは残さねえ。」

 

 

そう言いながら、レイジングハートをコートの左ポケットに入れて折り畳まれているスナイパーライフル2を展開、狙撃態勢に入る。

 

首に掛けたサングラスを掛けて、立ち上がって後ろを向くサーシェスの脊髄部分に照準を合わせる。

 

脳から体全体に命令を送る脊髄を麻痺させれば、確実に戦う事は出来なくなる。

 

非殺傷設定で撃ち込めば、殺さずに障害を残させる事は十分可能だ。

 

距離は約500m

 

風は追い風で弱め

 

天候は晴れ

 

障害物は瓦礫が散乱しているが邪魔にならない

 

サーシェスはこっちに気付いてない

 

だがカートリッジは一発のみ

 

集中力は全身、特に脇腹の痛みで切れそうだ。

 

正に、一発勝負。

 

[マスター、魔力はありったけですか?]

 

「勿論だ。使う魔法は……」

 

スタンショット

 

ティアナから予め教わった相手を痺れさせる効果を持った射撃魔法だ。

 

[了解。スタンショット、ライフル内部にて形成開始。照準はマスターにお任せします。]

 

ケルディムに魔法形成を任せて狙撃に全ての神経を総動員、呼吸を止めてブレる照準を止め直す。

 

そしてサングラスにという表示が現れ、照準が合った。

 

「……狙い撃つぜ!」

 

静かに呟き、サーシェスにとっての凶弾が発射され……

 

 

 

見事、目標通りに命中した。

 

 

 

撃たれたサーシェスは憎々しげに俺へと振り返るが、全身を痙攣させて倒れる。

 

「……これで……やっと……。」

 

限界を越え、俺はその場で崩れる。

 

倒れて瞼を閉じようとしたが、足音とズルズルと引き摺るような音が聞こえ、頭に何かが枕変わりになったのに気付いて意識を保つ。

 

来たのはなのはで、枕になっているのはなのはの膝だった。要は膝枕をされているのだ

 

その目から涙が溢れている。

 

「ニール……ボロボロだね。」

 

なのはの震えた声を聞きながら、コートの左ポケットからレイジングハートを出す。

 

「悪いな、ボロボロにしちまって……。」

 

なのはは俺の左手に乗るレイジングハートを取り、自分の手に乗せる。

 

「いいの、ニールが無事なら……。」

 

なのはの頬から涙が伝い、俺の頬へと雫が溢れ落ちる。

 

きっと端から見れば俺も泣いているように見えるだろう。

 

[これ位なら……ザッ……修理すれば、治り……ザザッ……ます。]

 

「俺の無茶に付き合ってくれてありがとな、レイジングハート。」

 

「それにしても、ニールもだけど……私もボロボロだね。」

 

俺もなのはも連戦で最早魔力もない、体も限界、ここまで来ると笑えてくる。

 

「はは、だがこれで終わって始まる。」

 

これからは過去ではなく、未来を見られる。

 

「うん、これからは目一杯幸せになろう。」

 

だからこそ忘れない。

 

アイルランドでライル以外の家族が亡くなった事

 

ソレスタルビーイングのガンダムマイスターとして戦った事、犠牲を出したこと

 

なのはたちの仲間になって機動六課に入った事

 

全て無駄じゃなかった事を証明するために。

 

そして新しい家族と生きていくために、未来を走り続ける。

 

だから、今は休もう。戦いは、終わりを迎えたのだから……。

 

「ああ、少し眠る。」

 

「うん、お休み、ニール。」

 

なのはの穏やかな笑顔に看取れながら、俺は眠りに着いた。

 

 

 

 

 

――――ここに新たなる変革者が誕生した、自らの変革を以て――――

 

 

 

 

.

 

 

 

 

シグナムside

 

―ゼスト・グランガイツを看取った私とアギトは契約を交わした。

 

そのままユニゾンした状態で、ゆりかごから出てきた大量のガジェットとジンクスを悉く撃破。

 

その力は圧倒的で、ガジェット以上に手こずる筈だったジンクスも簡単に倒せた。

 

そして、ゆりかごから全員脱出とゆりかごの破壊と最後までディランディと対峙していたサーシェスの逮捕の報が入った事でこの戦いの終わりを悟った。

 

主はやてや皆が大丈夫なのか、気になり地上に降りると……

 

「おいおい、あんなにボロボロなのに大丈夫かよ、あいつら。」

 

「アギト、少し静かにしてあげてくれ。」

 

座りながら穏やかな表情でディランディを見ている高町

 

その高町の膝を枕にこれまた穏やかに寝息を立てるディランディがいた。

 

一見、瓦礫の上で眠っているから起こしてやりたいと思うだろうが、ここまで穏やかに二人の空間を作っているなら邪魔してはいけないとつい思ってしまう。

 

「あ、シグナムさん。」

 

そこで高町が私に気付いた。

 

「高町、ディランディを運ぼう。そっとしといてやりたいところだが、ここまでボロボロでは危ないかもしれないからな。」

 

「うん、ありがとうシ、グナム……さん。」

 

お礼を言いながら高町も器用にそのまま眠ってしまった。

 

「ふふっ、お前たちは本当に大したものだよ。……本当に、お疲れ様。」

 

私はボロボロなのに眠る二人の器量の大きさに感心しながら、やって来た主はやてたちと一緒に二人を運んだ。

 

 

 

.

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。