魔法少女リリカルなのは~天を穿つ深緑の狙撃手~   作:グリューン

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第二話 可愛い教官の優しい基本指導

 

 

―あの後、俺はなのはの部屋に案内された。

 

なのはは今は親元を離れてミッドチルダで暮らしている。

 

とはいえ地元の学校には行ってるらしく、その時には帰ってるそうだ。

 

で今、俺はなのはに色々と生活での取り決めについて話していたが…

 

「なのは…もう少し女の子の自覚を持ってくれ…。」

 

なんと、俺がいるにも関わらず着替えようとしだしたんだ!

 

なのはは以前美人だと褒めてみたら「フェイトちゃんの方がスタイルいいよ。」と言って謙遜していた。

 

だがなのはもかなりの美人なのだ。

 

その彼女に目の前で着替えなんてされたらたまらない。

 

「にゃはは、ごめんねニールさん。」

 

これから俺は大丈夫なのかと不安になったぞ!

 

「とにかく、着替えたり風呂入ったりする時は言ってくれ!」

 

「はーい。」

 

大人びているかと思えば16歳の女の子とは思えないぐらいに子どもっぽく見えるなのは。

 

でもこの子の笑顔は本当に可愛い。

 

「で基本は今日から教えてくれるのか?」

 

「うん、丁度今日は教導の予定も無いし、訓練室も貸してくれるっていうから。…外で待ってて、準備するから。」

 

「分かった。」

 

俺はそう言って外に出た。

 

 

 

.

 

 

 

待ってる間、俺はブレスレットになっているデュナメスと話すことにした。

 

「デュナメス、魔法は何か使えるものはあるか?」

 

<基本として魔力弾による攻撃魔法があります。それ自体は大抵の魔導士と同じです。>

 

「そっか。」

 

<ただ、マスターの射撃能力を最大限に引き出すために一般に出回っている杖ではなく銃型の武器になります。>

 

「お、そりゃ有難いな!」

 

<基本の形態はライフルです。マスターが一番慣れている武器です。>

 

「でも以前は教えてくれなかったじゃねえか。」

 

入院中に一度聞いた時は何も言ってくれなかったのだ。

 

<あの時は治療に専念して欲しかったので話しませんでした。>

 

確かに聞いたらやってみたいとか思っていたかもな。

 

「デュナメス、ありがとな。」

 

<いえ…。>

 

俺がお礼を言っていたらなのはが出てきた。

 

「お待たせ!…何話してたの?」

 

「ああ、俺の力が生かせるかを聞いていただけだ。」

 

「そうなの。まあとにかく、訓練室へ行こう。」

 

なのはが先に行き、俺はその後へ付いていった。

 

 

 

 

付いた部屋は一見何もないだだっ広い部屋だった。

 

「じゃあまずニールさん、セットアップをして下さい。」

 

「どうすりゃいいんだ?」

 

「じゃあ、先に私がやるから見てて。レイジングハート、セーット、アーップ!!」

 

[stand by ready set up!]

 

レイジングハートが言った瞬間、なのはがピンク色の球体に包まれていく。

 

「何だ!?」

 

暫く待ち、光の球体が収まるとなのはの服が白を基調とした青のラインや赤の大きなリボンなどが付いた服に変わっていた。

 

スカートは前だけが短い動きやすい感じのスカートになっている。

 

髪型も左のサイドポニーからツインテールに兎の耳のようなリボンで纏められたものになっていた。

 

さらになのはの左手には赤くて丸い宝石に金色の三日月のような形に何故かマガジンらしきものが付いた杖が握られていた。

 

…あれがレイジングハートの戦闘形態って訳か。

 

 

.

 

 

 

「これが私のバリアジャケットとレイジングハートね。実はもう一つ違う形態があるけど、それはまたの機会にね。」

 

「ん、あ、ああ。」

 

呆けていた俺はただなのはの姿を見ていた。

 

正直、魔法と言えるものを見るのはこれが初めてなのだ。

 

「あ、そっか。ニールさんはまだ魔法に慣れてなかったんだね。だったら今度は攻撃魔法を見せてあげるね。レイジングハート、ワンショットね。」

 

[accel shooter.]

 

なのはは左手に持ったレイジングハートを前にかざす。

 

その赤くて丸い宝石からピンク色の球体が1つ形成されていく。

 

あれが魔力弾という奴だろう。

 

そして、その魔力弾が放たれた。

 

放たれた魔力弾はそのまま壁に当たろうとしていた。

 

と思ったら壁すれすれで軌道を変え、こっちに戻ってきた!

 

「操作出来るのか!?」

 

俺は驚きのあまり、声を出す。

 

「ううん、操作っていうより誘導だね。レイジングハート、もういいよ。」

 

[yes.]

 

魔力弾は壁に当たり、爆発する。

 

しかし、壁に傷一つない。

 

「壁にはある程度の魔力に耐えられるように出来てるから思いっきりやっても大丈夫だよ。」

 

「魔法ってあんなことも出来るんだな。」

 

「全部誘導出来る訳じゃないけどね。」

 

これを俺がやるのか…。

 

いざやるってなると何だか少し恥ずかしくなってきた。

 

なのはの格好は子どもの時にちょっとだけ見た魔法少女〇リカ〇〇の〇っていうアニメの主人公の女の子に近いのだ。

 

てなるとこれからの俺は「魔法青年 ニール・ディランディ」ってなるのか…。

 

何かシュールな光景が目に浮かんできたぜ…。

 

って何考えてんだ、俺!

 

 

 

.

 

 

 

「じゃあ、私と同じようにやってみて。」

 

切り換えだ、切り換え!

 

よし、大丈夫だ!

 

「じゃあ、行くぞデュナメス。」

 

[いつでもどうぞ、マスター。]

 

「デュナメス、セットアップ!」

 

[stand by ready set up!]

 

俺の左手首のブレスレットに付いている緑の宝石から深緑色の光が放たれる。

 

その光はやがて俺の周囲を包み込む。

 

そして包まれたところで、俺が着ていた服が光になって消えていく。

 

(なっ!?)

 

おいおい、バリアジャケットを解いた後は大丈夫なのか!?

 

そう思いながら遂に全裸になってしまった。

 

(今の状態を誰にも見られたかねえな。)

 

そう思っていたら、段々とさっきまで着ていた服とは違う別の服が光の糸から体にまとわりつくように形成されていく。

 

深緑色の半袖半ズボンのボディスーツ

 

その上に白いラインの入った長袖で茶色の上着と紺色のズボン

 

茶色と緑の手袋と首にクリアブルーのサングラス

 

そして緑色に黄色の縁取りのされた足首ぐらいまであるコートの順に形成される。

 

武器はガンダムデュナメスのものに似ているが、弾の射出口になるマズルが大抵のライフルと同じ丸い筒に相手の照準が合わせやすいように台形の突起が付いている。

 

(俺が着ていた私服と配色が似ているな)

 

CBのガンダムマイスターだった頃は、緑色の半袖シャツに紺に近い青色のズボン、茶色のボアベストに手を保護するための皮手袋という出で立ちだった。

 

なんて思い出していたら光が収まっていく。

 

視線の先にはなのはが呆然としていた。

 

「なのは、どうした?」

 

「ニールさんのバリアジャケットって結構カッコいいよ!」

 

「ありがとよ。」

 

そう言ってなのははバリアジャケットを解除する。

 

「さあ、これから訓練を始めるよ。」

 

 

 

.

 

 

 

「じゃあまずは、私がさっき使ったアクセルシューター、あれをやってみる?」

 

「デュナメス、出来るか?」

 

<マスターの指示があれば。>

 

「行くぜ、デュナメス!」

 

[accel shooter.]

 

デュナメスが唱えた瞬間、銃身からガシャコンと薬莢が飛び出す。そしてマズルの先から魔力が収束されていき、光の球体になる。色はモスグリーンだ。

 

「言い忘れていたけど、人によって魔力光の色が違うんだよ。」

 

「じゃあ、その人の個性が色に出るみたいなものだな。」

 

「そうね。じゃああそこにある的を用意したからあれに向かって放ってね。」

 

いつの間にか向こうに丸い的が地面から出て用意されていた。

 

随分手慣れてるな。

 

<マスター、集中して下さい。>

 

「悪い、デュナメス。…狙い撃つぜ!」

 

魔力弾が発射に見事にど真ん中を射抜く。

 

が…さっき見せてくれたなのはのアクセルシューターと違い、俺のアクセルシューターは壁にまでダメージを与えていた。

 

「え、どういうことなの?アクセルシューターは回転なんてしないはずなのに…」

 

なんと魔力弾がジャイロ回転したのだ。しかも弾速が速いにも関わらず、なのはは見抜いていた。

 

この子は相当の戦闘経験があるな…。まるで刹那を見ているみてえだ。

 

[なのはさん、デュナメスで放つ魔法は周囲に魔力弾を待機させることが出来ない変わりに、魔力弾をジャイロ回転させて放つことによって他のデバイスで放つ魔法より威力と貫通力を上げています。]

 

銃弾はジャイロ回転によって殺傷力が増す。

 

「…そうだとしたら、相手の防御を無効にしちゃうってことになるよね。…とんでもないことよ。」

 

俺もその凄さは分かる。

 

そうなら、それこそが俺の最大の武器になるし、相手への脅威になるからだ。

 

「うん、これは先が楽しみになってきたよ!」

 

考えていたなのはがいきなり子どものような無邪気な笑顔になった。

 

が何故か俺はその言葉に何となくだが、少し危機感を覚えていた。

 

(…何か押しちゃまずいスイッチ押しちまった気がするぞ。)

 

その勘が見事に当たったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

それからは入院中に落ちていた体力を上げたり、魔法のコントロールの練習、防御魔法の練習等をやった。

 

だがやる量が半端ではなく、終わった頃にはほとんどバテていた。

 

「じゃあ今日はおしまい。…ちょっといきなり飛ばしちゃった気もするんだけど、大丈夫?」

 

「きついが、まあ何とかなるだろ。」

 

<とはいえ、これ以上は怪我の元になりますので今日は止めておいた方がいいです。>

 

レイジングハートの言葉に従い、俺はバリアジャケットを解除する。

 

「もう夜になっちゃったけど、すぐに帰る?」

 

「いや、ちょっと5分ぐらい休ませてくれ。思っていたより体が重くなってやがる。」

 

特に走り込みもやったせいで足が一番重い。

 

「じゃあ座るね。」

 

そう言って座るなのは。

 

「…俺も座るか。」

 

 

 

.

 

 

俺も胡座をかいて座る。

 

この訓練室は金属で出来ているため、少し冷たいが今は体が熱いために寧ろ気持ちいい。

 

「…そういや、なのはには兄弟がいるんだよな?」

 

「うん、お兄ちゃんとお姉ちゃんがいるよ。ニールさんは兄弟はいるの?」

 

「俺は双子の弟と妹がいた。」

 

「いたって…。」

 

「ああ、妹は俺が14の時に亡くなった……。弟は生きている。」

 

正確には、両親と共にKPSAのテロに……アリー・アル・サーシェスに殺されたがな。

 

こんな重い話を今なのはたちにする訳にはいかない。

 

下手に気を使って欲しくないから……。

 

「……ごめんなさい。」

 

「気にすんなって。確かに悲しいことだ。けどな、俺たちはその人たちの命を背負って生きていくんだからそればかりを考えてはいられないんだ。」

 

本当なら最後に復讐に走った俺が言うことじゃねえが、敢えて誤魔化す。

 

「そうだね。それは私も分かるよ。」

 

「いい子だ。」

 

なのはの頭をポンポンと軽く叩く。

 

「…そうやって子ども扱いする。」

 

剥れるなのは。こういう仕草が教える立場であっても16歳の少女であることに変わりないという事実を示してくれる。

 

本当に可愛い教官っていうのが似合う。

 

 

 

.

 

 

 

その後一ヶ月間は主になのはが建ててくれたプラン通りに自主練しながら鍛えていった。しかし、体力が戻ったもののアクセルシューター以外の魔法がまだ上手く扱えない。そのアクセルシューターの誘導操作もまだ上手く出来ない。

 

原因はあのジャイロ回転。回転が掛かっているせいで操作性が大幅に落ちたということだ。

 

…まあ一朝一夕で出来るはずねえもんだからな。

 

なのはは教導の仕事や任務であまり居ない日が多かった。それでも暇があれば、色々と教えてくれたので感謝している。

 

で今日は最後の日ということでなのはが用意したテストをやることになった。

 

内容はアクセルシューターで浮遊して動き回っている魔力弾を全て撃ち抜くというものだ。射撃だけなら自信があるが、これは魔法のコントロールも試される訳だから決して簡単ではない。

 

「じゃあニールさん、用意はいい?」

 

「ああ、こっちは大丈夫だ。」

 

「それじゃ…Ready go!!」

 

「よっしゃ、狙い撃つぜ!」

 

俺は早速、ライフルフォームになったデュナメスの銃口を一番近くの魔力スフィアにアクセルシューターを放つ。

 

が魔力スフィアは素早く避けてしまった。

 

「ちっ!」

 

舌打ちしつつその先にあった違う魔力スフィアにまだ残っていたアクセルシューターを少し右に曲げて当てる。

 

「まず一つ!」

 

<マスター、スフィアから攻撃が!>

 

「ちっ、あっちも攻撃ありかよ!」

 

聞いてねえぞ、なのは!

 

「しまった、スフィアは攻撃出来るの説明してなかった…。」

 

四方八方から魔力弾が俺目掛けて飛んでくる。

 

どうにか攻撃に転じて動かない魔力スフィアを横に縦に回避しながら三個破壊する。

 

がそれでもこれでは俺がやられちまう。

 

ライフルフォームでは捌ききれねえ!

 

何より障害物がないのが更に厳しさに拍車をかけている。

 

 

 

 

どうする?

 

 

 

.

 

 

<マスター、砲撃が来ます!>

 

「何!?」

 

いつの間に作ったのか、5個の魔力スフィアが縱一列に並んでいた。

 

その一番先端部にあたる魔力スフィアから魔力の収束が起きている。

 

「やっべえ!」

 

今すぐ俺は自分がいた場所から退避する。

 

幸い俺に照準を合わせてる様子はない。

 

「あ…設定間違えちゃった。」

 

収束し終わった魔力弾は一気に柱となって俺がいた場所に放たれた。

 

俺は死にもの狂いで走る。

 

「助かっ…」

 

たと思ったら、何と撃ち終わったはずの柱が消えずに一直線に俺に向かってきた。

 

「おいおいおいおい!」

 

これでは追い付かれるので、今度は左に逃げる。

 

ライフルを両手で持ってるせいで幾分走りにくい。

 

このままでは先にバテてしまう。

 

「だったら、大元を一つずつ叩くまでだ!」

 

[accel shooter.]

 

俺は移動しながらの狙撃を敢行する。

 

ブレたりして誤差が出ちまうがそんなこと言ってられない。

 

どうにか揺れないように脇に抱えながら照準を合わせて撃つ。

 

 

 

一つ

 

 

 

一番上の魔力スフィアに命中!

 

ちっ、追い付かれた!

 

今度は跳弾を試みる。

 

「アクセルシューター、狙い撃つ!」

 

ジャンプしてブレと誤差を計算に入れて撃つ。

 

真下が光の柱によって焼かれていく。

 

 

 

二つ

 

 

 

今度は下から二番目に命中!

 

それと同時に魔力による照射砲撃が止んだ。

 

 

「よし、これで残り三つだ!」

 

 

 

.

 

 

残り三つとなった魔力光はさらに動きを機敏にして、俺の射撃に対応していた。

 

数分間、三つの魔力光によるヒットアンドアウェイのせいで当たらず、逆にあっちの攻撃を喰らっていた。

 

「ったく、こんなに難しいなんて聞いてねえぞ!」

 

こりゃ不味いな。

 

[マスター、後ろです!]

 

「不意討ち上等!」

 

さっきまで当たらなかったアクセルシューターが漸く一つ当たった。

 

あと二つ

 

今度は残り二つの魔力光がクルクルと俺の周囲を回りながら攻撃してきた。

 

「そんな攻撃で俺はやれねえぞ!」

 

[accel shooter.]

 

ライフルから放たれた魔力弾が一つに命中した。

 

あと一つ!

 

「これで終わりだ!」

 

[accel shooter.]

 

より狙いをつけられるように離れ、渾身の一撃を放つ。

 

だが、魔力スフィアは上へと逃げた。

 

「逃がすか!」

 

俺はライフルを上に向けて放った魔力弾を無理矢理上昇させる。

 

今までジャイロ回転のせいで上手く誘導操作が出来なかった魔力弾はここに来て上手く上へと進路を変えてくれた。

 

弾速はこっちの方が速い。

 

魔力スフィアはこれ以上上昇しきれずに魔力弾が当たって飛散した。

 

「ふう、終わった…。」

 

すっかり集中力が切れ、ライフルを支えにして一息入れる。

 

そこにさっきまで離れていたなのはがやって来た。

 

「お疲れ様、ニールさん。」

 

「まさかここまで難しいなんて思わなかったぞ。」

 

まるで実戦のようだった。

 

で言われたなのははバツが悪そうに俯いている。

 

「あの、実は設定間違えちゃったんです。」

 

なのはは舌をチロッと少し出して謝ってくる。

 

「はあ!?」

 

が、まさか設定を間違えるとは思わなかった俺は大声を挙げてしまう。

 

「本当はもっと動きが単調になるようにするはずだったんだけど、設定を陸士部隊向けの難しい方にしちゃったの。ごめんね?」

 

なのは、ワザとか?

 

「でもスゴいね、魔力のコントロールが出来てたよ!それにニールさん、射撃が本当に上手いね。慣れたら命中精度じゃ勝てないかも…。」

 

「いや、マグレだ。少しでも気を抜くと動きが滅茶苦茶になるか、消えちまう。それとそれ言ったらなのはの砲撃には敵わねえぞ。」

 

一度ディバインバスターを見せてもらったが、ヴァーチェのGNバズーカと同等かと思わせる威力だった。

 

「何にしても、お疲れ様。明日から、陸士訓練学校だから今日はこれでおしまいね。」

 

「ああ、一ヶ月間ありがとな。」

 

そうして、俺の一ヶ月の訓練は終わった。

 

 

 

.

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