魔法少女リリカルなのは~天を穿つ深緑の狙撃手~   作:グリューン

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ASとはアリー・アル・サーシェスのことです。今後、サーシェス中心の番外編を書く時はこれが必ず付きます。

そして今回の内容は、クアットロが何故サーシェスを消したがっていたのかが分かる話です。


番外編AS 暴虐せし傭兵

 

―スカリエッティの大将に雇われてから半年、俺は盾を武器にする珍しい嬢ちゃんを殺してからもあちこちの世界へ行っては色んなものを殺して回った。

 

人は勿論、でっかい虫や人なのか魚なのか分からねえもんとか果てには俺が乗ってたガンダムよりでけえ化け物まで殺したぜ。

 

だがでけえ化け物の方だけは最初マジで死ぬかと思ったがな。

 

で今は大将から造ったばかりの嬢ちゃんたちを鍛えてくれということで模擬戦とやらをやっている。

 

「アリー兄、嬢ちゃんたちじゃなくてセインと…」

 

「ウェンディと…」

 

「ノーヴェだ!」

 

突っ込んでくる赤い短髪の嬢ちゃんのパンチを横から手首を掴んで放り投げる。

 

因みに嬢ちゃんたちの武装はまだ完成してねえ。だからって俺のデバイスを使ったら相手にもならねえってことで素手での格闘の訓練って訳だ。

 

……はっきり言ってつまんねえ。

 

次に来た赤い長髪の嬢ちゃんの攻撃を左右にヒョイヒョイ避けながら俺はやる気なく相手している。

 

「捕まえた!」

 

とそこで通れないはずの床から水色の髪の嬢ちゃんが飛び出してきた。

 

以前、同じ手をやられて離すのに手こずったことのある俺は易々と横に避けた。

 

「読めてるぜ、嬢ちゃん!」

 

そのまま俺の足を掴もうとした手を逆に掴み、引っ張り出す。

 

「わ、わああああ!」

 

「え、セインの攻撃をあっさり避け、ってこっちに投げないでへぶっ!」

 

更にウェンディの嬢ちゃんに向けて投げた。

 

案の定、二人は抵抗出来ずにぶつかり合った。

 

「セイン姉、ウェンディ、うあっ!」

 

すかさず俺はノーヴェの嬢ちゃんを組み伏せる。

 

「おいおい、もうおしまいかよ。これじゃ全然盛り上がらねえ。」

 

「くっ、せめて武装さえあれば!」

 

心底つまらないと睨みながら訴えてみるが、赤い短髪の嬢ちゃんは睨み返してくる。

 

「うぅ〜、そんなこと言われてもサーちゃんは強すぎるッス。」

 

赤い長髪の嬢ちゃんが頭を擦りながら泣き言を言う。

 

っていうかその呼び方は止めろ。

 

「それにしてもアリー兄、避けるの早いよ。」

 

水色の髪の嬢ちゃんも起き上がって不満気に言ってくる。

 

「言っただろが、あんなの何度も喰らうかって。もう一度俺を捕まえたきゃ、自分で考えろ。」

 

そんな教えてくれなんて目で訴えたって教えねえよ。

 

「「サーちゃんのケチ!」」

 

水色、赤い長髪の嬢ちゃんが謀ったように同時で訴えてくる。

 

「だからその呼び方は止めろ。」

 

言ってもそっぽを向く。

 

ダメだ、直さねえ気だ。

 

大将との契約もあって力で黙らせるのはまずい。

 

いくら俺でも嬢ちゃんたち全員を敵に回すのはきつい。

 

「ていうか、何でこのオッサンのことサーちゃんなんて呼ぶんだよ。」

 

そうだ、言ってやれ赤い短髪の嬢ちゃん!

 

「え、理由なんて無いよ。」

 

何言っているのか分からないと言わんばかりの水色の髪の嬢ちゃん。

 

「ああ、そう……。」

 

そう言ってノーヴェは説得を諦める。

 

「セイン、ノーヴェ、ウェンディ、ドクターが呼んでるわよ。」

 

そこに眼鏡の嬢ちゃんが訓練室に入ってくる。

 

俺を見た途端、睨み付けてくる。

 

……前々から思っていたが、あの嬢ちゃんは俺のことが気に入らないらしい。

 

俺の顔を見る度に睨み付けてくる。

 

さっき相手していた嬢ちゃんたちがいなくなり、眼鏡をかけ直して俺に顔を向けてくる。

 

「言っておきますが、アンタのことは認めないわよ!何でこんな野蛮そうな男をドクターは入れたのかしら?それに、トーレ姉様が負けたなんて信じられません!魔力で劣っているのに……。」

 

 

 

……いっちょ、黙らせるか……。

 

 

 

「おい。」

 

 

「何を一体……って、きゃあ!」

 

俺の顔を見た途端に眼鏡の嬢ちゃんの顔が青ざめ、更にその顔を殴り付けて壁に追いやる。

 

「いいのかよ、そんなナメた口聞いてよお。……嬢ちゃん一人殺すくらい訳ねえんだぜ?」

 

咄嗟に取り出したナイフを首筋に当てる。

 

「こ、こんなことしてドクターたちが黙っていると……。」

 

おーおー、声が震えちゃってるぜ?

 

可愛そうに……怖いオジサンに脅されて怯えちまってってな。

 

「へっ、言い訳ぐらいいくらでも立つんだよ!それとも……殺す代わりに、犯してやろうか?」

 

それを聞いた嬢ちゃんの顔が恐怖に歪む。

 

「そ、それだけは止めて……。」

 

多分、今の俺はあまりに愉快でにやけているだろうな。

 

この高慢な態度をした女を恐怖に陥れる、最高だなあ、おい!

 

「なら、こういう時はごめんなさいと謝るのが常識だよなあ!そうだろ、眼鏡の嬢ちゃん。」

 

嬢ちゃんが頷いたところで、ナイフの刃先を首筋から離してやる。

 

「……ごめん、なさい。」

 

頭を下げて俺に謝ってくる。

 

「……次言った時はズドン、と撃たれちまってるかもしれねえから気を付けろよ。」

 

背を向けて、着替えるために自分の部屋へ戻っていった。

 

後ろから、パタンと嬢ちゃんがへたり込む音が聞こえたが振り返らない。

 

 

 

 

……所詮はケツの青い嬢ちゃんか、大したことねえなあ。

 

 

 

 

 

 

クアットロside

 

何なの、あの男!

 

いきなり現れたかと思えば、いきなりトーレ姉様を負かして!

 

その上、何故か知らないけど他の娘たちに人気だし!!

 

ドクターもあの男に他の娘の何人かの教導を手伝わせるぐらいに信頼しちゃっているし!!!

 

これでは計画が狂ってしまうかもしれない……。

 

そう思ってセインたちの呼び出しを口実にアリー・アル・サーシェスに文句を言ってみた。

 

けれど……

 

突然殴られ、壁に叩き付けれて、首にナイフを突きつけてきて……。

 

その時のあの男の表情は愉快そうに……でも本気で殺すことが出来ると解るぐらいに邪悪な笑みを浮かべていた。

 

その表情を見て理解してしまった。

 

あの男は本当に人を殺すなんて訳ないんだと。

 

犯すなんて言われて謝ったけど、実際あの男はそれよりも殺したがっているのが解る。

 

そう思ったら怖くて堪らずに命乞いをしていた。

 

 

 

 

こんな屈辱は初めてよ!

 

いつか隙を突いて殺してやる!!

 

 

 

 

そうして生まれて初めて憎悪という感情を持った私は、あの男が去った自動ドアをドクターに呼ばれるまで憎悪を込めて睨み続けていた。

 

 

 

 

.

 




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