魔法少女リリカルなのは~天を穿つ深緑の狙撃手~ 作:グリューン
もう一年どころじゃないじゃん。
今回はタイトル通り、サーシェスVSシグナムですが、いかんせん久しぶりすぎてバトルシーンとか雰囲気出るように書けたか不安です。
おかしなところもきっとあるだろうなあ……。
追記
すいません、シグナム視点中心でシグナムが主役になってました。
でもサーシェスが何をしていたのかが分かる話という意味合いが強いので、ASは取りません。
シグナムside
-それは、ランスターの暴走で模擬戦の後のこと、そう、偵察目的で放たれたであろうガジェットを高町たちが駆逐しに行った日の次の日のことだ。
「シグナム、ちょっとええ?」
六課隊舎内の通路を歩いていた私を呼ぶ主はやて。隊内での位で呼ばないということは私的なことか公式に残さないが確認したいことがあるのだろう。
「何でしょうか、主はやて。」
「今回の戦闘で気になったことがあってな。前に朱色の機体と戦ったことがあった言うたよね?」
「はい、大剣と高町が爪のような形の自律支援兵器を持った厄介な相手でした。」
「やっぱり……。ちょっと見て欲しいんやけど、シグナムが戦ったんはこの機体のことか?」
戦闘記録として残った映像。
「!!」
そこには正に私があの時、一度相対して取り逃がしてしまった、あの朱色の機体が映っていた。
見て思い出すのは、怒りと、悔しさと、悲しみ。どうしてあんなことになってしまったのかと叫びたくなる衝動、それを拳を力いっぱい握りしめることで抑える。
「シグナムがその時にどれだけの思いをしたか私には少しだけしか分からへん。今まで聞いても答えなかったのは喋るのを躊躇うぐらい酷いもんで、私らには気を遣っていたんやろ?」
「……はい。ですが、犯人が同じである可能性が出てきた以上はお話する必要があるでしょう。」
「さよか。なら、聞かせてもらおうか。苦しい時もその気持ちを共有するのが主の務めやし。」
ああ、叶わないな、我が主には。
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それは二年前のこと、航空武装隊・1039航空隊の任務として管理世界の巡回をしていた時のことだ。当時の私は三尉、主の出身地である日本では少尉だ。
管理世界の名前は第25管理世界「モガリア」、ここ数年で高魔力保有者が出現していて、管理局入りする者が増えている地域がある世界だ。その中で騙されて犯罪集団に入ってしまった、いわゆる管理局勧誘詐欺事件が多く起こっている地域を巡回していた。私の任務はその事件に関連してのことだった。
「ふむ、ここも異常なし。順調に巡回は終わりそうだな。」
私がいるのは森林の中。休憩と次の巡回エリアの確認を兼ねての着陸だ。
「だが、油断は出来ない。レヴァンティン、次は……何だ、この焦げ臭い匂いは?いや、血の匂いも混じっている!?」
焦げ臭い匂いはおそらく、木や草などを燃やした匂い。ここモガリアは中世的な世界だから木造家屋も多い。
[Es ist nicht nur es. Obwohl es klein in der Luft war, die unidentifizierte Teilchensubstanz wurde bemerkt. (それだけではありません。空気中に僅かですが、未確認の粒子物質が検出されました。)]
あの先には確か小さな村があったはずだ。未確認の粒子も気になるが今は現場急行が先だ。
「嫌な感じだ、行くぞレヴァンティン!」
[Ja.]
意識を戦場にいる時の緊迫した状態に切り替えて森林の上まで上昇して飛んでいく。
私がずっと向いているのは東、その方角で黒い煙が霧のようになっていて先が見えない。
このまま突っ込むとなると煙の中を行かなくてはならないが、躊躇せずに魔力で体を覆いながら口を塞いで進む。
するとその先には……
「なっ!?」
炎上する煉瓦の屋根づくりに木造の家屋が全て炎上、背中や腹などを斬られて事切れた老婆、首から上が焼けて判別が着かない男性の死体、何かに心臓を刺されながら抱きかかえた赤ちゃんを庇いながら亡くなった女性など地獄絵図とも言える光景が拡がっていた。
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一般人ならここで止まってしまうだろうが、私は管理局武装隊、ましてヴぉルケンリッターの将、立ち止まることは許されない。
「レヴァンティン、生存者は!?」
[Das Kind ist ein unterlegen Sie im Haus, das diese Seite von Feuer zerstört wurde und zusammengelegt wurde. (手前の炎上して崩れた家屋に子どもが下敷きになってます。)]
敵がいる可能性があったが、救助が最優先。空中から子どもが下敷きになっている家屋へと向かおうとする。
「はっ!?」
だが、立ち上る煙の先から真っ赤な光弾が飛来してきた。ただし、魔力弾にない小さな粒子
の軌跡を残しながら。
魔力、じゃない、何だこれは?
「何者だ!」
紙一重で避け、レヴァンティンを左の腰に差した鞘から抜く。
煙から現れたのは、灰色のボロ布を纏って刃渡り2m近くの大剣を持った大男、いや、ロボット。まず見えている足がデカ過ぎるのだ。おそらく、身長も2mを越している。顔は、フードで隠れて見えないが、目が機械にある瞳の無いものになっている。
「この村を襲ったのは、貴様か?」
「ああ、この俺がやった。」
声を加工してあるのか、不自然に低い声がロボットから発せられる。
「生体反応はほとんどない、子供まで……目的を答えろ。」
「それは答えられねえな。まあ、敢えて言うなら……
久々に殺すのは楽しかったぜ?」
こういう輩は戦場にはよくいる。戦場の空気に染まって戦うこと、殺すことに慣れ過ぎて
楽しむようになってしまう者。私は戦うことに高揚感を見出しているが、殺すことを許したわけではない。
故に、このロボットがしたことを許しはしない。
「そうか。なら貴様を村の襲撃及び壊滅の現行犯の疑いで逮捕する!」
「出来るならやってみろよ、時空なんたらぁ!!」
瞬時に接近し、兜割を狙う。だが、奴は右手に持った大剣で難なく防ぐ。
すかさず剣を引き、右手首の返しで左からの斬り上げに移る。
しかし、今度は左手で大剣の柄を握って下へ引っ張ると同時に峰の部分で防がれる。しかも少しでも刃を受けた跡が残っていても良いはずなのに跡すら残ってない。着いているとすれば僅かに斑点のように付いている血だけ。
この大剣、特殊な加工がされているようだな。
「おいおい、この程度か?」
ならば、鞘も使うまでだ。
「当然だ、はあっ!」
左手の逆手持ちで鞘を取り、大剣を無理矢理上げさせる。
「何?」
そして、上に向けていた刀身を横にして敵の腹部に向けて突きを放つ。
もらった!
その瞬間、奴の腰から牙のようなものが動いてのが見えた。
「何てな。」
これを食らったら死ぬ!
反射的に両手を引き、距離を取る。
「ファングゥ!」
離れた直後、左右から赤い刃を生やした牙のようなものがバツを描くように二つ飛んで来ていた。
あと少し遅れていたら終わっていた……。
「やるじゃねえか、時空なんたらの姉ちゃん。大体の奴はこれに引っ掛かって死んだんだが、あんたは素人じゃねえようだな。」
くっ、よもや高町が持っているようなビット兵器とは……私もまだまだだな。
「……外道が。」
覆ったマントで見えなかったせいで分からなかったが、それでもここは戦場、あらゆることは想定すべきなのだ。気付けなかったことも含めた悔しさから毒づく。
相手を見ると、牙のようなビット兵器が敵の周りを浮いていた。その先端には乾いた血が付いている。
「へっ、気の強い姉ちゃんだ。」
顔は見えないが、きっと嗤っているのだろう。
「さて、お楽しみといきたいところだが、そろそろ戻んねえといけねえんだ。さっさと墜ちろやあ、ファングゥ!」
奴の周りを浮いていた二つに加えて、奴の腰のサイドアーマーから四つ牙のようなもの……ファングが飛び出して赤い光の弾幕を張ってきた。
「くっ!」
未知の力である分、防御はまずいと判断した私は、下降して回避した。
だが、その先に一機だけ赤い光の刃を弾の発射口から出して突撃してくる。
「空牙!」
レヴァンティンを横に素早く振って発生させた衝撃波、空牙で迫るファングを破壊する。
「ところがぎっちょん!」
奴の獲物を引っ掛けたといわんばかりの言葉で周囲を見ると、下以外は前後左右上、全て囲まれている。
ならば、全て叩き斬るのみ!
「レヴァンティン!」
[Explosion.]
剣の根本の峰側からカートリッジに使われる薬莢が排出され、魔力が全身に満ちていく。
[Schlangeform.]
剣の形態であるシュベルトフォルムから蛇腹剣のシュランゲフォルムへと変わる。
「はああっ!」
[Schlangebeißenangriff.]
私を囲んでいたファングをレヴァンティンの分割された刀身で全て薙ぎ払う。
「何だとっ!」
どうやら全て落とされるとは思っていなかったのか、構えていなかった先程と違い、大剣を前に構える。
「どうした、この程度か?」
レヴァンティンをシュベルトフォルムに戻して敵に切っ先を向ける。さっき余裕を見せてきたお返しだ。
「ちっ、調子に乗りやがって。ぶっ殺してやりてえところだが、援軍が来やがったか。」
<シグナム三尉、大丈夫ですか?>
念話から私が来た道から同じ女性隊員だと分かる。
「ここは引かせてもらうぜ、あばよ!」
奴は後ろに左手をやり、球状の何かの装置に出ているボタンを押して放り投げる。
「逃がす、ぐうっ!」
追おうと前へ出た瞬間、球状の装置から眩しい閃光が放たれ、目くらましとなった。思わず目を閉じ両手を影変わりにして庇う。
「大丈夫ですかシグナム三尉。」
近くに来た女性隊員に顔を向ける。
「ああ、何とか目は開けられる。」
まだ目が痛くて完全には開けられないが、近くを見るぐらいなら出来る。しかし、閃光グレネードとはやってくれる……!
「良かったです。何だか焦げ臭い匂いがして駆けつけて来たのですが、よく御無事で……。」
「私は、無事だ。レヴァンティン、さっきの子供は?」
[Obwohl bedauerlich ist es schon gestorben. (残念ながら、既に亡くなってます。)]
戦闘で時間を食ってしまったのが致命的になってしまった。
「そうか……間に合わなかったか。」
自分の力不足で救えなかった命、戦場で常に見慣れてしまった光景だが、それでも、自分に救えたかもしれないと思うとやりきれない気持ちが込み上げてくる。
「ごめんなさい三尉、私がもう少し早く着いていれば……。」
「いや、あの場にいなくてむしろ良かった。敵はビット兵器を持っていたし、手強かった。それに、奴から魔力を感じられなかった。」
そう、終始あのロボットから魔力を感じることが出来なかった。だから、魔力での探知も出来ないから追いようもなかった。
「もしかして最近地上本部でも話題になっている、足の長い赤いロボットでしょうか?」
色々と耳にしているが、共通していることは、赤いロボット、そして、襲われた市町村は必ず壊滅、魔導師も殺されるだけでなくデバイスも壊されるというものだ。だから、遠目に見もしない限り姿を目撃されることはない。
それに、何故か探知に引っ掛からなかったり、通常の通信が通らなくなるなどの障害も出る。しかし、未知のエネルギーが働いているようで今のところ対策の立てようがないというのが海と陸共通の悩みだ。
「そうなのかもしれないな。……ああ、きっとそうだ。」
奥歯を噛みしめて空を見上げる。空は未だに、燃え盛る村の家屋から出る煙で覆われていた。
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「これで全てです。」
今でも、あの光景は忘れられない。あのロボットに一矢報いることも出来なかった不甲斐なさとも、誰も救えなかった悔しさも。あの子供の苦しんだまま亡くなったあの顔も忘れられない。
「シグナム。」
ふと、主が私の隣に座って、私を抱き寄せる。
「苦しかったよな、悔しかったよな……私も聴いてて悔しくなった、シグナムの苦しみに気付けなかったことに。」
「主……。」
抱き寄せられて、気付いた。私は今、涙を流していることに。
「だから、犠牲になった人たちの為にも、スカリエッティもあのスローネも捕まえて罪を償わせよう!」
「はい、我が主。」
そうだ、その時出来なかったならせめて今出来ることを頑張ろう。
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サーシェスside
大将が、俺が前使ってたスローネを機動何たらの偵察に使わせたところを見て思い出したことがあった。
確か二年前にピンクの髪の姉ちゃんを相手にしたことがあったな。
名前は知らねえが、ファングをモノともしなかったことや戦場慣れしていたことは覚えている。
まあ、あん時はスローネツヴァイとファングの性能実験中で反応もイマイチだったからな。ああいう強い奴相手にはスピードが物足りなかったんだよなあ。
あとは、白兵もやったが一回だけだから物足りなかったなあ。
ああ、あの姉ちゃんとはもう一度戦争してえなあ。
「ああ、待ち遠しいなあ、早く戦争やりてえなあ。」
早く強え奴と戦わせてくれよ、大将。
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