魔法少女リリカルなのは~天を穿つ深緑の狙撃手~   作:グリューン

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第三話 三人の少女との出会い

 

―次の日、俺はなのはの部屋を出て行き、ミッドチルダ北部にある第四陸士訓練校に入った。

 

今は入校式の最中で、俺は久しぶりの学校に懐かしさを覚えていた。

 

学校なんて、長いこと行ってなかったな…。

 

 

因みに俺の年齢はあっちにいた時の時間を換算すると25歳である。

 

今の今まで訓練に明け暮れて自分の誕生日のことを忘れていた。

 

「…しかと持って訓練に励んで欲しい。以上、解散!1時間後より訓練に入る。」

 

おっと、式が終わったようだな。

 

俺は慌てずになのはに教えてもらった敬礼をする。

 

さっさと部屋の割り当てを確認しねえと…。

 

 

 

 

 

俺はどの部屋に入ることになったのかを確認するため、掲示板のある方へ行く。

 

そこには人だかりが出来ていたが、身長が俺より高いか同じぐらいの奴があまりいなかったため、楽に見ることが出来た。

 

何となくだが、主に女性から好奇の目で見られているがあまり気にしない。部屋割りは男女区別ない組み合わせになっていた。

 

あと言い忘れていたが試験と面接はちゃんと受けた上で入っている。ここでソレスタルビーイングでの演技訓練が生きた。

 

「さて、俺の部屋はっと…。」

 

部屋割りの番号リストを見てみる。

 

自分の名前のある部屋は33号室、俺の誕生日の3月3日と同じだ。それと一緒に同居人の名前を確認する。

 

相手は…ちょっと会ってみないと分からない。

 

「よし、行くか。」

 

そう思い部屋のある方へ向かおうとしたら、突然後ろからぶつかった。

 

「あっ、ごめんなさい。」

 

ぶつかったのはまだ12〜3歳ぐらいの青いショートヘアが特徴の女の子だった。

 

「こっちは気にしてねえが、そっちは大丈夫か?」

 

「あ、はい。大丈夫です。」

 

「…そうだ、嬢ちゃんのグループを教えてくれないか?」

 

「あたしはBグループです。」

 

時間が押しているので歩きながら話すことにする。

 

「俺と同じだな。俺の名前はニール・ディランディだ。あと、楽な喋り方でいいからな。」

 

「はい、じゃなくて、うん。…あたしはスバル・ナカジマって言うの。宜しくね!」

 

「おう、こっちこそ宜しくな。っともう部屋に着いたみてえだな。じゃあな。」

 

「うん、またねニールさん。」

 

これが後の付き合いになるとは思ってなかった俺だった。

 

 

.

 

 

部屋に入ると相方らしき10代後半の女性がいた。

 

その女性は長い髪をお下げにして後ろに纏めていて、色は薄い紫と珍しい色になっている。

 

目は少しつり上がっていて、いかにも勝ち気な性格だという印象を持たせる。

 

「貴方がニール・ディランディさん?」

 

「ああ、そうだ。となると……」

 

俺が質問しようとすると彼女は俺を威嚇する」ように睨みつける。

 

「ちょっと何で男の人と相部屋なのよ!」

 

いきなりご挨拶だな…。

 

「ああ…言いたいことは分かるが、多分理由があると思うんだ。」

 

「知らないわよ、そんなこと!」

 

言いたいこと言わせてくれねえな…。

 

「落ち着けって!とにかく一年間やってく訳だから、自己紹介してくれねえとどうしようもない。」

 

「…ラーナ・シールズよ。」

 

「改めて名乗らせてもらうぜ。俺の名前はニール・ディランディ。ニールで構わない。…で詳しいことは時間がねえから後にして、訓練があと30分で始まるが先に着替えていいか?」

 

「ええ、いいわよ。」

 

「だったら、部屋の入り口で待っててくれ。終わったら、呼ぶから。」

 

「……急いでね。」

 

 

そう言って部屋を出た。

 

これがこれから俺にとって大事な付き合いとなるラーナとのファーストコンタクトだった。

 

 

 

.

 

 

 

どうにか準備が終わり、間に合った。

 

今、俺たちは教官の訓練内容の説明を聞いていた。

 

ミッド式は杖から数種類、ベルカ式はポールスピアという具合に練習用デバイスが用意されていた。

 

因みに俺はライフルフォームのデュナメスだ。

 

練習のため、バリアジャケットは出さない。

 

「それは貴方のデバイス?」

 

「ああ、インテリジェントデバイスのデュナメスだ。」

 

<初めまして、ミス・ラーナ。>

 

「えっ……そっか、インテリジェントデバイスって喋るんだっけ。」

 

大袈裟にではないものの、目を見開いて驚くラーナ。

 

まあ当然か、インテリジェントデバイスは本当はデバイスの中で値段が高いって言ってたしな。

 

でもこの娘は受け入れるのが早いな。

 

「俺は射撃が得意で、それに関しては誰にも負けない自信がある。ただ魔法のコントロールがどうも苦手…」

 

自分がここに来た理由を喋ろうとしたら、後ろから誰かが近付いて来た。

 

「誰にも負けない、ですって?」

 

俺は後ろを振り返る。

 

そこにはオレンジ色のツインテールのいかにもラーナみたいに強気な感じの女の子が下から俺を見上げながら睨んでいた。

 

「そんなこと、ここを卒業してから言ってくださいませんか?」

 

どうやら射撃は誰にも負けないという言葉に反応したようだ。

 

「いや、射撃自体は自信があるが、魔法の誘導操作が上手く出来なくて……。」

 

「ふざけているんですか!?ここは貴方みたいなふざけた人が来る場所じゃ……」

 

俺に捲し立てるオレンジ髪の女の子にスバルが割って入った。

 

「ランスターさん、駄目ですよ!」

 

「ナカジマさん、止めないで!」

 

「あんたはさっきの…。」

 

「こんにちは、ニール。じゃなくて、ランスターさん、駄目〜!」

 

掴み掛からんばかりのランスターを抑えるスバル。

 

「ちょっといいかしら?」

 

さっきまで黙っていたラーナが割り込んできた。

 

「正直、私もその娘に賛成よ。貴方の射撃の腕なんて知らないけど、ふざけているなら帰ってもらえる?」

 

全部真剣に言ったんだがな…。

 

「ふざけているつもりはないさ。だが、さっきの言葉は撤回する。ここでは魔法のコントロールが出来なけりゃ射撃が上手いって言わねえからな。」

 

「こら―、お前たち、早く来なさい!」

 

やっべ、話し込んじまった。これ以上はまずいな。

 

「…とにかく、貴方なんかに負けないんだからね!」

 

「いいぜ、受けて立つ!」

 

そういや、あの娘の名前、聞いてねえ。

 

後でスバルにでも聞くか。

 

そう思いながら、訓練場へ向かっていった。

 

 

 

.

 

 

 

訓練場に着くと、俺を含めて4人とも教官から説教と罰として腕立て伏せ20回を仰せつかってしまった。

 

「最初からこれは無いわ!貴方のせいよ!!」

 

正直言うなら俺の方が踏んだり蹴ったりだ。

 

だが事実でもあるので謝っておく。

 

「それは悪かった。そういや、ラーナのデバイスはどんなのだ?」

 

「他に文句はあるけど、まあいいわ。私のも特殊で、シールドバンカーって言って盾にパイルバンカーの付いた攻防一体のベルカ式の武器よ。デバイスはアームドデバイスで名前は『ズウェーレシグ』よ。」

 

喋りながら腕立て伏せをやるとは…。鍛えてるな。

 

「それで貴方のデバイスは見た限り、あのティアナという娘が持っていたのと似た銃型のようね。」

 

「いや、どうもデュナメスが発射する魔力弾はジャイロ回転するらしいんだ。」

 

「魔力弾に回転を掛けるなんて聞いたこと無いわ。」

 

やっぱりそうか。

 

「効果は威力が上がるだけじゃなくて相手の防御破壊もあるみたいなんだ。」

 

「……ちょっと待って。貴方、デバイスで誰かと模擬戦やったことあるの?」

 

「いや、模擬戦やったことあるならここにいねえぞ。ただ、ちょっと事情があって知り合いに頼んで1ヶ月間、訓練施設を借りたんだよ。……よし、腕立て伏せはおしまい。」

 

俺は終わり立ち上がるが、ラーナも終わったのか、立ち上がった。それを隣でさっきまで喋っていたスバルとあのオレンジの髪の娘が驚きながらこっちを見ていた。

 

「ニールさん、速っ!」

 

「喋ってばかりいたんだから適当に数えただけなんじゃないの?」

 

オレンジの髪の娘は辛辣に聞いてくる。

 

……後で誤解を解いた方がいいな。

 

「……ああ、間違えて30回やっちまったな。」

 

「っ、ふざけるのも…。」

 

「今回ばかりは本当よ。彼ったら、私より速いペースで腕立て伏せしながら喋ってたんだから。」

 

あれ、初めてフォローしてくれた。

 

「………ふんっ!」

 

言われても納得出来ないのか、ランスターは教官の所へ行ってしまった。スバルがその後を追っていく。

 

「ランスターさん、待って〜。」

 

「…私たちも戻りましょう。」

 

俺は頷いてラーナの後を付いていく。

 

 

 

.

 

 

教官から許可をもらって訓練に入る俺たち四人。

 

最初は互いのコンビネーションがどのくらいかを測るために一定の距離を交差しながら走る訓練をやる。

 

まずはスバルとオレンジの髪の娘から始まった。

 

「次、32番!」

 

「ちゃんと合わせて。」

 

「うん!…レディー、ゴー!」

 

スバルは相方の言葉に頷いて、共にスタートを切った。

 

「ひゃあ!」

 

…かと思いきや、勢いのあまり履いているローラースケートから砂ぼこりを巻き上げながら独走してしまった。

 

おいおい……、独走したら意味ねえだろ。

 

多分、今の俺は苦笑いをしているだろう。

 

「コラー、32番!何をやっているか―!!」

 

当然、教官は怒る。

 

隣で見ていたラーナも頭を押さえて呆れていた。

 

「勢いはいいけど、力入れすぎよ…。コントロールが出来てないわ。」

 

ありゃりゃ、スバルは相方に説教されてるぞ。

 

「次、33番!」

 

「俺たちの出番だな。」

 

「…足を引っ張ったら承知しないわよ。」

 

勿論、気を付けるさ。

 

「行くわよ、レディー、ゴー!」

 

 

 

.

 

 

 

二人同時に走り出す。

 

スタートは同時で足並みも揃っている。

 

しかし、ここで身長差と足の長さの差なのか、ニールの方が少し先に出てしまっていた。

 

その上、ラーナのデバイスであるズウェーレシグの大きさと左手だけで持つというアンバランスさが災いしてすぐに勢いが無くなってきた。

 

そこで俺はラーナに合わせるためにペースダウンした。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「大丈夫よ。それよりもうすぐ交差ポイントに来てるわ!」

 

見ると交差するようにコーンが置かれてあった。

 

「俺がどうにかタイミングを合わせる。だから、ラーナは気にせずに走ってくれ。」

 

「………。」

 

交差ポイントに来たところで俺たちは互いの進路を変える。

 

接触しなかった後は2、3回交差する。

 

しかし、3度目の交差のところで俺はラーナの武器に足を引っ掛けてしまった。

 

「うおわっ!」

 

危うく転びそうになるがどうにか持ちこたえる。

 

そしてその後の道はどうにか連携を重ねてゴールまでたどり着いた。

 

するとラーナがしかめっ面で俺に近付いてきた。

 

「ちょっと、合わせるって言っといて私のシグに足を引っ掛けないでよ!」

 

シグは多分、ズウェーレシグの愛称のようだが…なんとも手厳しいな…。

 

「悪い、俺のミスだ。」

 

事実そうだしな。

 

「…私は男と何て本当は組みたくないんだからね!」

 

…この娘に何があったのか、何故男嫌いなのか、俺は気になったが次の訓練のこともあるのでそのことは一旦保留にした。

 

 

.

 

 

次は垂直飛越の訓練。

 

相手を押し上げて上から引っ張り上げて高い壁を越えるというものだ。

 

「いい?私が先に行くから、ちゃんと上げてよね!」

 

「…分かった。それじゃいくぞ、1、2〜の…3!」

 

俺はラーナの右足を支えて一気に持ち上げた。

 

ラーナは上手くジャンプして、壁に乗っかった。

 

「よし、上手くいった。ほら来なさい。シグ、ロープを出して。」

 

ラーナはズウェーレシグの中央部分から魔力で出来たロープを出す。

 

「分かった!」

 

俺はそのロープを掴んで素早く登っていく。

 

「ひゃあああああっ!!!」

 

登りきったところで上空から悲鳴らしき声が上がった。

 

「またあの娘たち!?」

 

下を見るとスバルが相方を飛ばす際に力を入れすぎて空高く飛ばしてしまったようだ。

 

「っと人のことを見てる場合じゃねえな。これから降りるが、俺から先に降りた方がいいよな。」

 

「ええ、そうね。私が降りるときに貴方が下敷きになってでも助けてくれればいいし。」

 

なんかいちいち言うことに棘があるなあ……。

 

「はあ……。じゃあ先に降りるから、俺が降りたらお前も降りてきてくれ。」

 

そう言って俺は壁を降りていく。

 

そして降りきったところでラーナも降りる。

 

「えっ!?」

 

が今度はラーナが足を引っ掻けてしまい、体勢を崩してしまう。

 

「!?危ねえ!!」

 

俺は落下地点に移動してラーナを支えた。

 

その際にズウェーレシグをラーナが手放して、俺の隣に落下した。

 

移動してなかったら直撃だ。

 

お、俺も危なかった。

 

「いたた…。」

 

「おい、大丈夫か。」

 

「…え?」

 

ラーナには特に外傷はない。因みに今、お姫様抱っこの状態になっている。

 

「な、ななな…!」

 

違った、外傷は無いが羞恥心で顔を赤くしている。

 

ってさっさと離さねえと!

 

「今降ろすからっていだだだっ!」

 

「降ろせ―――――!!」

 

「ほほほふへふは!(頬をつねるな!)」

 

堪らず頬が痛いのを我慢しながらラーナを降ろした。

 

降ろしたところで、つねられていた頬が解放される。

 

「いつつ…やられたのは分かるが、そりゃねえだろ!」

 

「…ふんっ!」

 

これじゃ骨折り損のくたびれ儲けだ。

 

この娘とやっていけるか本気で心配になってきた…。

 

 

 

.

 

 

 

―???side

 

 

真っ暗だ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何にも見えねえ

 

 

 

 

 

 

 

何処にいるかも分からねえ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つまんねえ…

 

最後にあの緑のガンダムのパイロットに額撃ち抜かれちまったから、俺は死んじまったのか…

 

戦いてえ…

 

もっと戦いてえ…

 

もっと戦いを楽しみてえ…

 

こんなところで死んでなんてやらねえ…

 

あの人を撃った感触

 

人を斬り殺した感触

 

MSで敵を破壊した感触

 

MSで人を消し飛ばしてやった感触

 

 

 

 

どれも忘れられねえ

 

 

 

 

だが今は何より…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あのガンダムのパイロットを殺してやりてえ!

 

あの野郎に俺を殺してくれた仕返しをしてやりてえ!!

 

確か双子の兄弟だったよなあ!?

 

まずは俺の体を吹っ飛ばしてくれた奴から殺してやる!

 

奴のお蔭で暫く不自由になっちまったからな…

 

それを倍にして返してやる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お目覚めかな?」

 

眩しい……照明か。それより目の前の男だ。こいつの目は狂気を持っていやがる。

 

「誰だ、てめえ。」

 

「ドクターに失礼ですよ!」

 

「いいよ、ウーノ。

 

初めまして、私はジェイル・スカリエッティという者だ。科学者をやっている。君は偶然なのか、私の秘密基地の中で倒れていた。どういうことか、説明してもらえるかい?」

 

「知らねえよ。俺様だって何でこんなところにいるのか分からねえんだからよ。」

 

「なら、まずは君の名前を教えてもらおうか。」

 

「へっ、そうだな。俺の名は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリー・アル・サーシェスだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤き傭兵がミッドチルダの地に降り立つ

 

 

 

 

.

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