魔法少女リリカルなのは~天を穿つ深緑の狙撃手~ 作:グリューン
―あれから半年、俺たち四人は見事に訓練校を卒業し、それぞれの部署に配属された。
スバルとティアナは陸士386部隊の災害担当突入部隊へ
俺とラーナは希望通り武装隊へと配属された。
四人とも階級は三等陸士だが、俺は武装隊の訓練中に飛べるように練習している。
デュナメス曰く
[飛べなければ、私の性能を生かせません。]
とのことだ。
最初は分かんなかったが、あのジャイロ回転のデメリットを思うと何でそう言ったのかが解った。誘導弾が撃てない以上、飛べなくては対処出来ることが彼女たちより少なくなってしまう。
因みにラーナも「最初より動きは速くなったものの、まだ少し機動力が低いから空戦の適性を持ちたい。」ということで俺と一緒に訓練することになった。
俺は少しずつだが、浮き上がるようになった。
しかし、ラーナの方はまだ成果が出ていない。
本人も少しばかり焦っている。
だが、まだ始まったばかりだ、焦らずにやっていこう!
それにしてもラーナ、お前って事務仕事が苦手なんだな……。
「大きなお世話よ!」
と口に出してもいないことを突っ込まれながら相棒の事務仕事も手伝う俺だった。
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武装隊に入って数ヶ月後、戦技教導隊との短期技能訓練が行われた。
その中には最初にボロボロだった俺を拾ってくれたなのはもいた。
やった内容はここにきて今までやった訓練で一番厳しいものだった。
終わった頃にはもうヘトヘトになるばかりで並の体力なら付いていけないぐらい密度が濃かった。
だけどお蔭で大分空を飛べるようになってきている。
「ニールさん、飛べるようになってきたね!」
色々考えていた俺のところになのはが近付いてきた。
「ああ、もっと練習すれば実戦に使えるようになるかもな。」
「そこでなんだけど、私と模擬戦やらない?」
なのはは魔導士としては一流で、しかもなってから既に8年経ったという。
つまりは彼女との差は歴然だ。
「…いきなりエースとやるのは無謀だろ。」
現に彼女はヴァ―チェみたいな砲撃と防御、俺のデュナメスの射撃を併せ持った力を持つ上、空中での機動力も高い。正に、エースオブエースと言う称号が相応しい。
「それならラーナと組んでもいいよ?」
「まあ、それならな。」
なのはが手加減しても勝てるかは分からねえが、ここで及び腰になったらガンダムマイスターの名が泣く。
だから……全力でやらせてもらうぜ!
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一通りウォーミングアップを終えてセットアップを終えた俺とラーナ。
ラーナのバリアジャケットは
上が紫がかった黒いジャケットに白い手袋
下がジャケットと同じ色のズボンに白い金属のカバーの付いたブーツ
という姿になっている。
ズウェーレシグは形自体は大きな変化はないものの、武装隊配属の折り、パイルバンカーが付いている部分とは反対の部分に加速用のブースターが取り付けられた。
これで機動力は補われている。
「模擬戦のルールは私のバリアジャケットに一撃当てたら勝ちで、二人とも戦闘不能になったら負けにするね。」
笑顔で説明するが、その説明からなのはの自信が窺える。それに堅い防御を貫く必要もある。
(準備はいいか、ラーナ、デュナメス。)
(ええ、いつでも!)
[大丈夫です、マスター。]
「それじゃ、模擬戦、開始!」
模擬戦という名のエースオブエースへの挑戦が始まった。
「まずは俺から先制する。ラーナ、手筈通りに頼む。」
サングラス型のスコープを掛け、ライフルの銃口をなのはに構える。
「デュナメス、カートリッジロード!」
[了解、カートリッジロード]
デュナメスの銃身から薬莢が排出される。
スコープから目標補足用のスクリーンが表示され、なのはに照準を合わせる。
「了解!行くわよ、シグ!」
[ja.]
ラーナは盾を構えて、防御態勢に入る。
…いや、突撃態勢に入る。
「シグ、カートリッジロード!」
[エクスプロージョン!]
ズウェーレシグからも薬莢が排出される。
「いっけ―――――!!」
[Die Geb.(盾の突撃)]
ズウェーレシグから薄紫の膜が前方に形成される。
「ラーナ、それじゃ駄目だよ。」
[shield.]
なのはは冷静に突撃するラーナの攻撃を斜めに構えたシールドで受け流す。
「受け流された!?」
「これでラーナはアウトね。これはいきなり無謀なことをしたお仕置き。」
[divine buster.]
なのはのレイジングハートからディバインバスターが発射される。
大抵の奴ならこれでノックアウト。それは俺も同じだ。
そう…大抵なら。
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「ああ、失敗した…なんてね。シグ!」
「ん?」
聞いていたなのはが怪訝な表情をする。
[absorption.(吸収)]
ラーナのデバイス、ズウェーレシグは防御に特化している。
だがそれだけではなく……
[loschung.(排出)]
射撃系の攻撃を自分の攻撃に変える能力もある。
よし、このタイミングだ!
「よし、狙い撃つ!!」
[divine buster.]
二つのディバインバスターがなのはを襲う。
うち一つはジャイロ回転が加わった防御不可のディバインバスターだ。
これでなのはは避けるしかない。
これが俺たちの狙いだった。
「なるほど、これは確かに防御は出来ないよね。」
危ない状況でも流石にエースオブエースと呼ばれた高町なのは教導官、冷静に分析してやがる。
「レイジングハート!」
[accel fin.]
直後に互いにぶつかったディバインバスターは力の行き場を失い爆発を起こす。
「やった!?」
爆発で起こった煙に人影が見える。駄目だ、避けられた!
「油断するな、ラーナ!」
[excellion buster.]
煙の中からディバインバスターに似た光の砲撃がラーナに迫る。
「うそっ、シグ!」
[panzer schild.(パンツァーシルト)]
慌ててシールド系の防御魔法で対応するが、その選択はミスマッチだった。
「ブレイク…シュート!」
防御は破られ、直撃してしまう。
「きゃああああ!!」
エクセリオンバスターの直撃を喰らったラーナはズウェーレシグを手放してそのまま倒れてしまう。
.
「ラーナ、くそっ!」
再び射撃をしようとライフルを構える。
[devine shooter.]
しかし、煙が晴れたところで向こうから魔力弾が飛んでくる。
「ちっ!」
舌打ちしてすぐにその場を離れる。
「ニールさん、意表を突くというのは確かに発想はいいし対応はしにくいけど、油断していたらその後の対応が遅れちゃうよ。その後のことも考えなくちゃ。」
付け加えるとあの吸収と排出の魔法は相手が放った攻撃魔法分の半分の魔力も一緒に消費しなきゃなんねえっていう欠点がある。要はどちらにしてもリスキーだということだ。
「やっぱダメか…。陣形を崩しちまう欠点は分かってたんだが、一度やってみてもいいかと思ったんだ。勿論、実戦ではやらねえけどな。」
ラーナは猪突猛進な傾向があったからな。それにあの作戦はそもそもラーナの発案だ。とはいえ、ラーナの撃墜は俺にも責任がある。
「…後で、ちゃんとラーナに謝ってね。」
俺としても本当はあまりそんなやり方はしたくなかったが、直しておかないとそれが死に繋がることになってしまうために敢えてこのやり方を取ったのだ。
「それもちゃんとやっておく。」
「なら、続きをやろう!あとはニールさんだけ。私と1対1だよ。」
「…上等!!」
第二ラウンドのゴングが鳴った!
「デュナメス、カートリッジロード!」
付けていたサングラスを外して首に掛ける。
ガシャンと銃身から薬莢が一つ飛び出す。
[pistol form.]
ライフルが光り、みるみるうちに小さく二つに別れていく。
光が収まると、ライフルは二つの拳銃になっていた。
形状はデュナメスのものと同じになっている。
デュナメスが形を成したところで俺は走り出す。
「デュナメス、ニール・ディランディ、目標を狙い撃つ!」
[カートリッジ、ロード!]
「フォトンマシンガン!」
10発の魔力弾をなのはに向けて連射する。
アクセルシューターやディバインバスターと威力は劣るが、大抵の防御魔法なら貫通する。
「レイジングハート!」
[protection powerd.]
なのははバリア型防御魔法で対応する。
魔力弾は当たったものの、全て弾かれてしまった。
「ちっ!」
やっぱり固えなあ…!
「まだまだ甘いよ、ニールさん。」
[divine shooter.]
なのはがレイジングハートを振り、魔力弾が発射される。
複数の魔力弾はそれぞれ別方向から俺に向かってくる。
「全部狙い撃ちだ!」
それぞれの拳銃から薬莢が排出される。
[photon machinegun.]
二丁拳銃から深緑の弾丸が発射され、魔力弾を悉く撃ち抜く。
「ディバインバスター……」
砲撃が俺に迫ってくる。
「避けねえと!」
全て撃ち終わったところで回避に専念する。
[full burst.]
がいきなり光の砲撃が炸裂弾のように拡散した。
「やべっ、デュナメス!」
直撃は避けられないため、防御に回るしかない!
[round shield.]
耐えきれるか!?
拡散した砲撃がぶつかった。
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どうにか防ぎきったが、まだなのはは攻撃をするだろう。
[マスター、砲撃が来ます!]
またディバインバスターかよ!
「本当に容赦ねえ!」
光の砲撃が煙を割ってこっちに来た。
直ぐ様避けようとするが、走ったんじゃ避けられねえ!
なら、飛ぶしかない。
砲撃が地に当たり、爆発する。
それが俺の真下から見える。
[マスター、飛んでますよ!]
「うお、本当だ!」
何かなのはが小さく見える…な?
「デュナメス、今何mだ?」
[約100mです。それよりも、攻撃が来ます!]
なのはから魔力弾が飛んでくる。
「デュナメス、カートリッジロード!」
[photon machinegun.]
魔力弾を撃ち落としていくが、今度はさっきより数が多い。
「ちっ!」
舌打ちしながら逆さまになったり回転したりして避ける。
しかし、出来たばかりで地上での動きより遅い。
そのせいで一発が脇腹に当たる。
「どわっ!」
[マスター!]
当たりどころが悪く、体勢が崩れてしまう。
いつ来たのか、なのはは同じ高さまで来ていた。
しかも、巨大な魔法陣の上で巨大な魔力球が形成されている。
……スターライトブレイカーじゃねえか。
体勢が崩れたままなので回避が出来ないことを悟った。
その上、今度はバリアブレイク効果で防御魔法も意味を為さない。
完全に俺の負けだ…。
「飛んだのは少し驚いたけど、まだ実戦向けじゃないね。」
そりゃそうだ。出来たばかりでビュンビュン速く飛べる筈がない。
「だから、今日この後に少し練習ね。」
そこを笑顔で言われてもな。流石にそんなもの喰らって体力も魔力も残ってる自信がない。
[starlight braker.]
巨大な魔力の砲撃に飲み込まれていき、次第に意識が失われていく。
その中で俺は思った。
せめて練習する余力ぐらいは残してくれ…。
その後に俺がラーナに、ラーナがなのはに(教えたことが上手く出来なかったことでらしい)、なのはが俺に謝るというおかしな場面があったのだった。
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サーシェスside
デバイスをもらってからというもの、ほぼ毎日が訓練ばかりだった。
以前に戦ったトーレの姉ちゃん以外の嬢ちゃんたちとも戦ってみたんだが、イマイチ物足りねえ。
俺は戦いとか戦争がやりてえんだが、大将がなかなか許可してくれねえ。
「あ〜あ、そろそろ外で戦争がしてえなあ。」
部屋で安いバーボンを飲んで暇を潰していたら、大将の顔がモニターに映った。
「なら、ちょっとやってほしいことがあるんだがいいかな?」
「お、大将じゃねえか。で、何やってほしいんだ?」
寝転がっていた体を起こし、モニターを右手で取る。
「実はガジェットドローンを出してレリックという赤い宝石のようなもの、まあロストロギアというんだけど、それを回収してきてほしいんだ。他の者たちに行かせてもいいんだが、そろそろ君を一度外に出してもいいかと思ったんだ。」
「ははっ、暴れてもいいのか?」
「いや、あまり派手にやりすぎないようにしてほしい。まだ君を管理局に勘づかせるわけにもいかないしね。」
ちっ、まだお預けか…。
だが、今は外に出れるだけいいかねえ。
「すまないねえ。大きな戦争をするときは思いっきり暴れてもいいから、それまで我慢してくれ。」
「へへっ、了解だぜ大将!」
ガンダムみてえに強い奴が出てくるといいなあ!
これが後に悲劇へと繋がるのだった――――――――――――――
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