IS〜HOLD OUT PLEASE!〜   作:帰灰燼

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大変お待たせしました
リアルでショックな事がありモチベが上がらなくて……


西より嵐来れり

 

 

 

 

「……はい?」

 

 

そう言って首を傾げる少女の目の前には、腰に左手を当てて右人差し指を少女に突き付ける小柄な少女が立っていた。

 

 

「聞こえなかった? じゃあもう一度言ってあげるわ」

 

 

そう言うと、小柄な少女はツインテールに纏めた黒髪を靡かせながら眼前の少女に向かって宣言する。

 

 

「アンタの「一年二組クラス代表」の肩書を掛けて勝負しなさい! この〈凰 鈴音(ファン リンイン)〉とね!」

 

 

その宣戦布告は、HR中の二組のみならず両隣の教室にまではっきり聞こえたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーって、どういう事ですか二ノ宮先生ーーーーーーっ!!?」

 

「俺が知りたいよ……」

 

 

その日の昼休み。

 

 

HR中にいきなり勝負を挑まれた二組代表ーー野崎 秋穂は、優との密会場所(といっても、ロイミュードや「仮面ライダー」のような人前で話すのが憚られる話題を話し合うだけだが)となっている校舎裏にて優に詰め寄っていた。

 

 

「一体凰さんに何を吹き込んだんですか! 物凄くノリノリで勝負を挑まれたんですけど!?」

 

「別に変な事は言ってねえよ。 ただーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡って前日。

 

その日は一組生徒達が一夏のクラス代表就任を祝う会を開いており(どうやら勝者であるイギリス代表候補生が自らの失言や態度を理由に辞退したらしい)、偶然通りかかった優も先程まで引きずり込まれていたのを這々の態で抜け出してきた所だった。

 

 

「ったく、あいつらの何処にあんなバイタリティがあるんだよ……」

 

 

只でさえ女性嫌いな所に大勢の女生徒に取り囲まれていた事で、優は心身共に疲れ果てていた。

 

 

「……ん?」

 

 

ふと顔を上げると、一人の少女らしき人影がメモ片手に不機嫌そうな雰囲気を放っていた。

 

 

「見ない顔だな。 どうした?」

 

「はあ? ……って、男?」

 

 

そう言って優に顔を向けた少女は、長い黒髪をツインテールにまとめ、小柄な体格を肩口の開いたデザインの制服に包んでいた。

 

 

「言っとくけど、れっきとしたここの教師だからな。 一年二組の副担をやってる二ノ宮だ」

 

「ふうん。 ちょうどいいわ、教師なら職員室の場所くらい知ってるんでしょ? 悪いけど教えてくれない? 転校の手続きをしないといけないんだけど場所がわからないのよ」

 

「転校? こんな時期に珍しいな」

 

 

何せ、入学式があったのがつい一、二週間程前だ。

 

胸のタイの色が由香や野崎と同じという点から考えると、彼女も一年で間違いないだろう。

 

IS学園の転入試験は入学試験よりハードルが高い事もあり、何故わざわざ入学式からたった数週間遅れで「転校」してきたのか甚だ疑問である。

 

 

「色々あんのよ、色々。 それにしても、IS学園にも男の教師っていたのね」

 

「今年赴任したばっかりだけどな」

 

 

その後、道すがら彼女から聞いた話によると、彼女はどうやら中国の代表候補生らしいという事が判った。

 

本来なら祖国のIS訓練機関の付属校に通う筈だったのだが、とある事情で軍の上司を脅し……もとい、説得してIS学園に「転校」してきたらしい。

 

勝気な雰囲気に違わず、中々の行動力の持ち主のようだ。

 

そんな会話の中で、ふと「クラス代表」について話題が及ぶ。

 

 

「ふーん。 要するに国家代表のクラス版って所ね。 ……ねえ、先生のとこは誰が代表やってんの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーそこで私の事を話した、と。 それだけですか?」

 

「ああ。 まだ入学したばかりなんだし、普通に説明したんだけどな」

 

「それがどうしていきなり宣戦布告に繋がるんですか……」

 

 

突然の事態に、心底疲れた様子で項垂れる野崎。

 

と、その背後から声が掛かる。

 

 

「クラス代表になる必要があったからよ」

 

「え? ……って、凰さん?」

 

 

振り向くと、其処には凰 鈴音が仁王立ちしていた。

 

 

「鈴(りん)で良いわ。 「ファン」とか「リンイン」なんて呼び辛いでしょ。 それより、こんなとこで二人きりなんて何してんのよ? 探すのに苦労したじゃない」

 

「こっちにも事情があるんだよ。 それより、何でクラス代表になる必要があるんだ?」

 

 

その問いに、途端に不機嫌になる鈴。

 

 

「一組の代表をボッコボコにしなきゃならないのよ。 あんの女ったらしをね!」

 

「一組の代表……織斑君の事ですよね? もしかしてお知り合いなんですか?」

 

「まあ、ね。 小学生の頃からの幼馴染なのよ」

 

 

そう語る鈴の顔は、優から見てもはっきりと分かる程に「恋する乙女」の表情だった。

 

 

「なるほど、仲の良かった男子が他の女子とイチャイチャしてるのが気に食わない、と」

 

「う、うるさいわね!」

 

 

優の指摘に、顔を真っ赤にして怒鳴る鈴。

 

 

「ん? けど、織斑から聞いた話だと同じクラスの篠ノ之も幼馴染だって言ってたけどな」

 

「ああ、それ? アタシも気になったんで聞いてみたんだけど、小学四年の時にアタシと入れ替わるように転校してった子がいるのよ。 それが篠ノ之って人みたい。 アイツは「ファースト幼馴染」って言ってたわ」

 

「何ですか、その言い回しは……」

 

「となると、凰はセカンド幼馴染って事か……織斑の事だから、その内「サード幼馴染」辺りがひょっこり出てきたりしてな」

 

「ごめん、洒落にならないからやめて」

 

 

げんなりした様子でツッコミを入れる鈴の様子に、思わず苦笑する優と野崎。

 

 

「つまり、織斑君にお仕置きをする為にクラス代表になりたいという訳ですか。 それなら言ってくれれば良かったじゃないですか。 鈴さんは中国の代表候補生だそうですし、鈴さんがクラス代表になった方がーー」

 

 

その言葉を遮るように、鈴が口を挟む。

 

 

「悪いけど、「譲って貰う」のはアタシの性に合わないのよ。 やっぱり、どっちが上かハッキリ白黒付けた方が後腐れなくていいじゃない」

 

「はあ……そういう物なのでしょうか?」

 

「そーいう物なのよ。 それにアンタだって、いきなり新入りに自分の立場を奪われたら悔しいでしょ?」

 

 

その言葉に、野崎は微かに眉をひそめながら答える。

 

 

「まあ、クラス代表といっても入学試験の成績で決まっただけですけど……確かに、悔しくないと言えば嘘になりますね」

 

「でしょ? だったら、対等の条件で決着付けようじゃない」

 

「対等の条件、ですか?」

 

 

首を傾げる野崎に、鈴はにやりと笑いつつ告げる。

 

 

「アタシだけ専用機を持ち出したら不公平でしょ? だから、使う機体と武装はお互い訓練機。 日にちはそっちに任せるわ」

 

 

その言葉に、野崎は鈴と似たような表情を見せる。

 

 

「成る程。 条件はお互い同じ、後はそれぞれの実力次第……という事ですか」

 

「そういう事。 どう、受ける?」

 

 

鈴の問いに、野崎は力強く頷く。

 

 

「ええ。 ここまでお膳立てされて受けない手はありませんし……」

 

 

一旦言葉を切り、鈴に視線を向ける。

 

 

「先生の見る目が節穴だと思われるのも面白くありませんから」

 

 

そう言って、野崎は戦意に満ちた笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、秋穂ちゃんと凰さんの試合は三日後に決まったの?」

 

「ああ、綾音さんが生徒に説明してアリーナの予定予約状況を調整してくれたんだよ。 それで、試合に使えそうな時間帯を取れそうなのが三日後だけなんだと」

 

「ふーん」

 

 

その日の夜、学生寮。

 

優は由香に連れられ食堂に向かう道すがら、昼間の出来事について語り合っていた。

 

 

「そういえば前々から思ってたんだけど、どうして教頭先生の事を「綾音さん」って名前で呼んでるの? 織斑先生の事は「織斑先生」って呼んでるのに」

 

「あー……まあ、ちょっと、な」

 

 

話したく無い事情があるのか、言葉を濁す優。

 

 

「? ーーきゃっ!?」

 

「うわっと!?」

 

 

突然、その場の雰囲気を吹き飛ばすかの如く優に小柄な影がぶつかってくる。

 

 

「ーーっ!? あ、ご、ごめん!」

 

 

適当な謝罪の言葉を残し、その場を去ろうとする人影。

 

だが。

 

 

「ちょっと待った!」

 

 

素早く優の手がその手首を掴む。

 

 

「なっ、は、離してよ!!」

 

 

振り解こうともがくも、優の手はしっかりと人影の手を握って離さない。

 

 

「泣いてる生徒をほっとける訳無いだろ。 俺は「お前の副担任」だぞ?」

 

 

その言葉に、人影ーー凰 鈴音は、涙で濡れた双眸で優をキッと睨みつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんか中途半端な……まあ、今回はリハビリ回という事でご容赦を


それではまた
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