IS〜HOLD OUT PLEASE!〜   作:帰灰燼

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番外編 START YOUR ENGINE!!(後編)

 

 

 

 

「もう、考えるのは止めた!」

 

《OK! Start Your engine!!》

 

 

その言葉と共に、ベルトからアイドリング音にも似たサウンドが鳴り響く。

 

そして、弾の手がシフトブレスにセットされたシフトカーーーレバーにも似たそれを前へと倒した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《Drive!! Type/speeeeed!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、次のパーツでも探しにーーぐっ!?」

 

 

完全に彫像と化した男性から手を離し立ち上がるコブラ型の怪物の背に、バット型の怪物が激突する。

 

 

「ええい、何をやっている! ーー何っ!?」

 

 

バット型を跳ね除けつつ、飛んできた方向へと向き直ったコブラ型の目に、かつて自分を倒した戦士の姿が映る。

 

 

「馬鹿な! 奴は〈ハート〉が始末した筈だ!」

 

 

そう思い、改めて姿を確認する。

 

 

 

 

 

 

 

 

全身を包む装甲は真紅に煌き、

 

 

漆黒のインナーの両脇には純白のラインが走り、

 

 

リアウイングのような角を頭頂部にたたえたヘルメットの前面を、高熱で灼けたような色合いを放つフェイスマスクが覆う。

 

 

だが、何より目を引くのは、胸部アーマーの左肩から右脇腹にかけてたすき掛けされた、赤いラインの走るタイヤ。

 

 

それは、怪物の脳裏に焼き付いた「黒い戦士」とは似て非なるものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……違う! 似てはいるが奴では無い! まさか、新型のーー」

 

 

コブラ型の言葉を遮るかの如く、赤い戦士ーー弾が変身した〈ドライブ〉が迫る。

 

 

「させるか!」

 

 

スパイダー型の怪物が横から組み付いてくるが、ドライブはそれを強引に跳ね除けると力任せに殴り飛ばす。

 

 

「条件が互角なら、お前なんかに負けるかよ! おりゃあ!!」

 

 

負けじと襲い掛かるスパイダー型を喧嘩スタイルでボコボコに殴り付けるドライブ。

 

 

「これでも、喰らっとけ!!」

 

「ごはぁ!?」

 

 

そして、手首を軽くスナップさせた後放たれた右ストレートがスパイダー型の頭部にヒビを入れつつ派手に吹き飛ばした。

 

 

「調子に乗るな! シャアァ!!」

 

「うわっ!?」

 

 

反撃とばかりにバット型の指先からマシンガンの如く無数の弾丸が放たれ、ドライブの全身を叩く。

 

 

「お兄!!」

 

「だ、大丈夫だ! けど、これじゃ近づけねえ! ベルトさん、ドライブには武器は無いのかよ!?」

 

 

その問いに、ベルトは「S」と表示されていたディスプレイを顔の表示に戻しつつ答える。

 

 

《武器はまだ開発中だが、対抗手段ならある! シフトレバーで加速するんだ!》

 

「シフトレバー……これか!」

 

 

ベルトの指示通り、シフトカーの変形したシフトレバーを素早く三度倒す。

 

すると、ベルトのディスプレイが回転するホイールへと変化した。

 

 

〈Sp-Sp-Speeeeed!!》

 

 

ベルトの叫びと勇壮なサウンドが響き、ドライブの全身に力が漲っていく。

 

 

「させるか! シャアァ!!」

 

 

バット型が再度弾丸を放つが、その時にはもうドライブの姿は無かった。

 

 

「何ーーぐえっ!?」

 

「おのれーーぐほぉ!?」

 

「うおおおお!? はっ、早っ!!」

 

 

バット型とスパイダー型を立て続けにボディブローで浮かせると、スピードメーターのエネルギーエフェクトを纏いつつ自分でも驚く程の速度のラッシュを叩き込むドライブ。

 

 

「「ぐあああっ!!!」」

 

 

ラッシュが終了した時、地面に投げ出された怪物達は全身至る所にヒビが走り無惨な姿へと変わり果てていた。

 

 

「ちっ、役立たずが! 俺が相手だ!」

 

 

腹立たしげにスパイダー型を蹴り飛ばしつつ、ドライブへと襲い掛かるコブラ型。

 

 

「うわっ!? とっ、ぐあぁっ!?」

 

 

他の怪物とは比べ物にならない威力のパンチがドライブを吹き飛ばす。

 

 

「スペックが高くとも、それを引き出せなければ恐れるに足らん! 貴様が力を付ける前にここで叩き潰してくれる!」

 

 

ボクシングの構えから繰り出されるコンビネーションがドライブを追い詰めていく。

 

 

《経験値はロイミュードの方が上か! ならばーーGo.Max flare!!》

 

 

ベルトの号令に応じ、ドライブのホルダーに収まっていたオレンジ色のシフトカーが炎を纏いながら飛び出す。

 

 

「ぐっ、邪魔だ!!」

 

 

空中に展開されるハイウェイの上を疾走するシフトカーに翻弄されるコブラ型。

 

その隙に、緑と紫のシフトカーがホルダーに飛び込む。

 

 

《弾、シフトカーを交換するんだ! タイヤの能力が切り替わる!》

 

「タイヤ? ーーよし、やってみるか!」

 

 

ベルトの言葉に頷くと、手元に戻ってきたオレンジ色のシフトカーを変形させ、赤いシフトカーと入れ替える。

 

 

《Tire-kokaaaaan!! Max flare!》

 

 

ベルトの叫びと共に、停車していたトライドロンの左フロントタイヤに炎に包まれたタイヤが出現する。

 

 

「タイヤ交換? ーーうわっと!?」

 

 

射出されたタイヤがドライブのタイヤを押し出すように入れ替わる。

 

 

「こけ脅しを!」

 

 

その言葉と共に背後から迫るコブラ型に対し、振り向きざまにパンチを放つドライブ。

 

 

「おりゃあ!!」

 

「フン、その程ーーぐあっ!! な、何!?」

 

 

弾き返そうとしたコブラ型のガードが「炎に包まれた」パンチに突き破られる。

 

 

「なるほどな……なら、こいつで!」

 

《Fl-Fl-Flare!!》

 

 

シフトレバーを操作すると、眼前にタイヤと同じ形の炎エネルギーが発生し、高速回転し始める。

 

 

「おおりゃあ!!」

 

「うおおおおおおおお!!?」

 

 

サッカーのシュートの要領で蹴り飛ばされたエネルギーが、炎の竜巻へと発展しコブラ型を巻き上げる。

 

 

「すげえ……っと!」

 

 

舞い上がるコブラ型に気を取られた隙に、スパイダー型が背後から襲い掛かる。

 

 

「こいつも試してみるか!」

 

《Tire-kokaaaaan!! Funky spike!!》

 

 

緑色のシフトカーに交換すると、今度は緑色のスパイクタイヤが装着される。

 

 

「こいつで引き裂いてやる!」

 

《Sp-Sp-spike!!》

 

 

スパイダー型を羽交い締めにしながらシフトレバーを操作すると、タイヤのスパイクがエネルギーエフェクトを纏い倍以上に伸びる。

 

勿論、密着したスパイダー型が無事でいられる訳が無くーー

 

 

「ぎゃあああぁああああががががあああああああ!!!?」

 

 

凄まじい悲鳴を上げ、真っ二つに切断された。

 

 

「おおっ、えげつねえ……ん?」

 

 

見ると、「042」の形をしたコアがスパークを上げながらスパイダー型から這い出してくるが、程なく爆発して砕け散った。

 

 

「まずは一体か……次はこいつを試してみるか」

 

《Tire-kokaaaaan!! Midnight shadow!!》

 

 

紫のシフトカーに入れ替えると、四方に刃のようなフラップの付いた紫のタイヤが装着される。

 

 

「シャアァ!!」

 

 

態勢を立て直したバット型が弾丸を放ってくるが、左右に分身して回避するドライブ。

 

 

「今度は忍者か! なら……」

 

《Sha-Sha-shadow!!》

 

 

シフトレバーを操作すると、掲げた手の上にタイヤを模したエネルギーの手裏剣が形成される。

 

 

「はっ!! そりゃあ!!」

 

「ひっ!? うぎゃああああああ!!」

 

 

分身と共に投げ放った計四つの手裏剣が、「088」のコアごとバット型をズタズタに切り裂いた。

 

 

「よし! これで残るはあいつだけだ!」

 

 

その言葉と共に振り向くと、全身煤けた姿のコブラ型が足元の覚束ない様子で立っていた。

 

 

「貴様……よくも!」

 

 

死力を振り絞り襲い掛かるコブラ型。

 

 

《弾! スピードタイヤに戻してフィニッシュだ!》

 

「よし!」

 

 

ベルトの言葉に、シフトカーを元の赤いシフトカーに交換してタイヤを変身時の物に戻す。

 

 

《シフトブレスのボタンを押してレバーを操作するんだ!》

 

「こうか?」

 

 

言われた通りに操作する。

 

 

《Hissaaaaatu!! Full-throttle!!》

 

《Speed!!》

 

 

ベルトの叫びに呼応するかの如く、トライドロンが自動的に動き出す。

 

同時に、コブラ型を取り巻くように四つのタイヤが出現し、ピッチングマシーンの如くコブラ型を射出する。

 

 

「はっ!! はっ!! でやっ!! はっ!! だあっ!!」

 

 

高速で旋回するトライドロンを足場に、空中で三角飛びからの連続蹴りを叩き込むドライブ。

 

そして。

 

 

「でやあーーーーーーーー!!!」

 

 

一際スピードの乗ったキックが、コブラ型を貫いた。

 

 

「おのれ……おのれええええええええ!!!」

 

 

怨嗟の声を残し、コブラ型は大爆発を起こし砕け散った。

 

 

「とりあえず、何とかなったか?」

 

《ああ! 見事だったぞ弾! Nice-drive!!》

 

 

ベルトの言葉に、安堵の溜息を吐くドライブ。

 

 

「お兄! 怪我は無い!?」

 

「ああ、問題ねえ。 それにしてもーー」

 

「な、何よ?」

 

 

ジト目で自分を睨む兄に思わず怯む蘭。

 

 

「お前、ベルトさんと知り合いだったんじゃねえか。 さっきの態度、どう考えてもドライブの事を知ってる素振りだったぞ」

 

「あ……え、えっと……」

 

 

思わず言葉に詰まる蘭。

 

 

《弾、蘭を責めないでくれ。 君がドライブになるまで秘密にしておいて欲しいと頼んだのは私だ》

 

「何だよそれ……大体、あんたにも聞きたい事は山のようにあるんだぜ?」

 

 

その言葉に、ベルトはディスプレイに困り顔を映しつつ答える。

 

 

「いいだろう、全て答えよう。 まずはドライブピットに戻ろうではないか」

 

「そうだな。 現さんやりんなさんにも色々聞きたい事があるしーー」

 

 

言葉を切って視線を落とす弾。

 

その先には、少しずつではあるが金属から生身へと戻りつつある男性の姿があった。

 

 

「あのロイミュードの目的が何だったのかも知りたいしな」

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、夜の路地裏。

 

其処には、「029」のコアが転がっていた。

 

 

『おのれ……二度ならず三度までも「仮面ライダー」に敗れるとは……』

 

 

何処から声を出しているのか、悔しげに呻くコア。

 

と、其処に何者かが近づいていく。

 

 

「よう、随分とやられたようだな」

 

 

そう言ってコアに歩み寄ってきたのは、赤いロングコートに身を包み不敵な笑みを浮かべる男だった。

 

 

『ハート、か……また醜態を晒してしまったな』

 

「構わないさ。 こうして「生きている」ならそれでいい。 俺達、「友達」だろ?

 

 

その言葉に、コアから苦笑の気配が漏れる。

 

 

「新しい身体が欲しいだろ? 〈ブレン〉が用意してくれたよ」

 

 

そう言って懐から取り出したのは、コブラを模した銀色のミニカーだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




これで番外編は終了です

決着が付いてない気がしますが、別にロイミュード029はライバル関係にはなりません
近い内にちゃんと決着を付けますのでどうかご容赦を


次回からはまた優が主役です
それではお楽しみに
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