機動戦士ガンダムジェネレーションズ   作:そーせーじまふぃん

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奇襲

白く靄がかかったような視界の中にジュンはいた。

 

「またあの夢か…?」

 

ジュンが幼い頃から幾度と無く見る夢、知らない女性の声が聞こえる夢。

 

「早く、早く来て」

 

「そうは言ってもなぁ、迎えにでも来てくれれば良いんだが」

 

「了解しました…」

 

「え?!」

 

一瞬自分の耳を疑うジュン、見知らぬ声の主に問いかけようとするが声がない、そして視界に掛かる靄が一層濃くなった、その時ジュンは『あぁ夢が覚めるんだな』と思いそのまま身を任せた。

 

―――――

「ん、んぅん、朝…か」

 

「やぁおはようジュン、今日はボクの方が早かったね」

 

「ああ、ガルマおはよう、久しぶりに夢を見てたよそしたら寝坊したみたいだ」

 

「ははは、まだ時間的には余裕はあるよ、それにしてもどんな夢を見たいんだい?」

 

「んーなんか俺を呼んでるんだよ女の人の声がさ、そんで俺もなんか知らないけどそこに行かなきゃ!って思っちゃう?」

 

「なんで疑問形なんだい?まぁいいけども、所でその女の人は美人かい?」

 

「いや、顔は知らん」

 

「まぁでも、ジュンでも女の子の夢を見るんだね」

 

「俺を何だと思ってるんだよお前は…俺だって歳相応に女の子に興味はあるさ」

 

そんな話をしながら二人は支度を進めていく、デブリの件以来教導隊には未だ残るダストの処理等の任務があった、それにジュンはガルマとシャアに任務の後食事に誘われていたのだ。

 

『それにしてもあの夢、迎えに来るってことか?最後に了解って…まるで俺に従っているみたいな言い方だったが、一体…あー分からん、朝飯食って作業用に無理言ってレンタルしているワーカーに乗って気晴らしでもして忘れよう…』

 

「ジュン、着替えたかい?そろそろ行こうか」

 

「あぁ、分かった、今行く」

 

そうしてジュンは疑問を胸に抱きながらも普段と変わらぬ朝を迎えた。

 

 

―――――

 

「ジュン、ワーカーの操縦も段々慣れてきたね、コレならMSパイロットとして訓練が始まる前からエースじゃないかい?」

 

ジュンとシャアが回収作業をしていると作業艇にいるガルマからの通信が入った

「いや、シャアを見てると自信なくすよ本当、あいつのワーカー俺の3倍の速度でダスト回収してるんだぜ?」

 

「いや、三倍は言いすぎだろう、精々2倍程度だよ、君と比べたらだけどね」

 

「他と比べたら三倍ってか?はぁ、自信なくすわ俺も一瞬エースかと思ったら上には上がいたな」

 

「ふっ、素直に褒められたと思っておくよ、それに偶々ワーカーの操縦が相性が良かっただけでジュン、君には指揮で敵わないよ、だから丁度良いだろう、MSの操縦でも負けてしまったら此方の立つ瀬がないさ」

 

「そんなもんかね?、よしダスト目標濃度まで密度低下を確認、大型デブリも確認できず」

 

「うん、此方でも確認したよ、ジュン、シャア、帰投しよう」

 

「了解した、あぁそれとジュン、帰投したら君に話があるんだ、ガルマと私の部屋に来てくれないか?」

 

「あ?あぁ、分かった」

 

 

―――――

 

「やぁ早かったね、まぁ適当に掛けてくれ」

 

シャアの寮室を訪れたジュンとガルマをシャア一人が迎える

 

「それで?一体何だ?ってかまたムラタを追い出したのか?」

 

「あぁ彼なら先程用事があるとかで出て行ったよ」

 

「はぁ、アイツも難儀だな、で?大体予想は付くが何だ?」

 

「ふむ、やはりもう分かっていたか、何処からも情報は漏れてないはずなのに何故君はそうも勘がいいのか…」

 

「そりゃココ数日校内がザワツイてたらな、嫌でも分かるさ」

 

「そう、それでだ、君にも連邦軍兵舎への決起、参加して貰いたい、彼らはもうすぐにでもズム・シティの暴動の鎮圧へ駆り出されるだろう、そうしたら待っているのは大量の市民の血の犠牲だ」

 

「断る」

 

「なっ、ジュン!考え直してくれ!ボクもシャアもこの国の人々を守るために軍人になったんだ!だからっ!」

 

 

「俺も同じ気持さ、だが今徒に連邦とジオンの亀裂を深めるのはどうかと思うんだがな」

 

「君の言い分も分かる、だが君がいないとドッキングベイ制圧の指揮官がいない、あそこにも少数だが衛兵がいるしね、それとだ、君がいなければガルマをそこの制圧に向かわせなきゃ為らない、君が来てくれればガルマは後方で迫撃砲隊を率いてもらう」

 

『……俺が居なくても原作では問題なくドッキングベイを攻略できたただろうに、ガルマを出汁に俺を入れようとするのか…でも待てよ?俺はこのままギレンが権力を掌握するであろうジオンに居続けてられるのか?虐殺を繰り返す独裁者の元に…たしかシャアはこの後候補生扇動の責任を取って一時予備役除隊するはずだ、なら…』

 

「分かった、ガルマは後方に置いてくれるんだな?」

 

「ジュン!ボクにだって前線指揮くらいは出来るさ!」

 

「お前は、俺を入れたいのか入れたくないのかどっちなんだよ、それにお前は後方の椅子にドンと座っているのが一番似合っているさ、指揮官の癖に前線に突っ込むのはお前の兄さんの役目だ」

 

「ん…ドズル兄さんならやり兼ねないね、分かった、ボクは重迫撃砲の指揮を取るよ」

 

「よし、それじゃあそろそろ支度をするからその間ジュンはドッグの見取り図を見ていてくれ、それとコレが作戦計画書だ手書きだから見づらいかも知れないが我慢してくれ」

 

「おーけー、ヒッジョーに不本意だが、やるからにはきちんとやるさ、それと犠牲が出るのは分かっているんだろ?俺の方は少数の衛兵と管制、ドッグ外壁の強制閉鎖だが、そっちは主戦場になるんだ」

 

「分かっているさ、それでもやらねばならないだろ?、君の分の戦闘服と装備を持ってくる、その間作戦と見取り図を頭に入れておいてくれ」

 

 

―――――

 

「時間まで車内で待機、大丈夫本隊は上手くやるさ、なんたってシャアだぜ?」

 

「そうっすね、こっちはジュンさんが居るから大丈夫でしょうし、支援部隊と後詰はガルマさんですもんね、楽勝っすよね」

 

「そうだだから安心しろ、時間が来るまで待機だぞ、後突入しても一人で突出するなよ?」

 

「「「了解!」」」

 

『ふぅ、こっちは大分落ち着いてるし敵の数は少ない、だけど隊員の殆どが機械の操作に強い者で固めてる分個々の戦闘技能は低めか13人中戦闘で頼れそうなのが4人、後は…支援射撃が精一杯だろうな、それにしても俺の選択は正しいのだろうか?この世界に生まれてから今日までの間に愛国心では無いが郷土愛は十分にあるし、スペースノイドへの同士感もあるんだが、どうしてもジオン公国…ギレン・ザビが好きになれない、それはジオン国民として彼を見るようになってから更に強くなったしな…俺は軍人には相応しくないだろうし、戦争も出来ればしたくない、どうしても逃げたいって訳じゃないが俺はあそこに行かなきゃならない、多分そこには俺がこの世界に生まれた理由があるはずだ』

 

「ジュンさんどうしたんですか?硬い顔して珍しいっすね」

 

「はぁ、俺だって緊張するさ、なんたって初の実戦だぞ?コレで全く緊張してない奴がいたらよっぽど大物かただの頭のネジが緩んだ馬鹿さ」

 

「そっすね…」

 

腕時計を見ると丁度作戦開始時刻になろうとしていた。

 

「作戦開始時刻になりました」

 

そう電気屋のバンに偽た輸送車の中で一人の兵が声を上げる。

 

「よし!いいか!相手は衛兵が10名弱、完全な奇襲になる分相手に地の利があっても数も含めて此方が有利だちゃんと作戦通りにやれば問題ない!行くぞ!」

 

そうジュンが叫ぶと周りの学友たちは声を上げて次々とバンの扉を開けて車から降りていく。

 

最後にジュンが降りすぐ後ろに居たのもう一台からも数名降車し此方に向かってくる。

 

そして暗がりに紛れ込むようにジュン達13名はゲート前の衛兵詰所を強襲した。

 

そしてその頃シャア率いる攻撃部隊、ガルマ率いる支援部隊も行動を開始する。

 

この作戦で一番最初に銃弾を放ったのはジュンだった、ジュンの持つ小銃から発射された弾丸は狙い違わずドッキングベイの入り口を守る衛兵の顔面の中央に叩きこまれた、そしてすぐに回りの兵も発砲しその場に居た連邦軍衛兵4名は抵抗するまもなく息絶えた。

 

 

「走れ!コントロールルームに向かう者は俺について来い!管制室を制圧する者はジョルジュに続け!」

 

そうしてジュンは駆け出す、その後ろには6名の候補生が後に続く。ジュン達とは別方向にも6名の候補生達が駆けて行った。

 

そしてジュン達はコントロールルームまでの道中抵抗を受けずに進むことが出来た。

 

 

「その場で両手を上に上げろ!抵抗はするな!抵抗しても無駄だ!」

 

「なっ何だ貴様ら!ッ!士官学校の者か!」

 

「貴方がここの責任者ですね?見て分かるように衛兵が二人では此方に抵抗しても無駄です、これから湾港部のゲートを全て閉鎖させて頂きます、管制室も同様に我々が制圧致しました、これから貴方方を拘束致しますが、捕虜にするつもりも危害を加えるつもりもありません、今はおとなしくしていて頂ければ然る後開放致します……よし!拘束しろ!ジェイムズとチェンはゲート封鎖作業に入れ」

 

「「「了解」」」

 

 

「小隊長!本隊から連絡入りました、我奇襲に成功せり、尚連邦軍連隊長を捕縛せり。です」

 

「そうか、じゃあ後は無力化も時間の問題だな、山場は抜けたか…それにしても小隊長って何だ?」

 

「え?分隊長だと何か嫌じゃないっすか、だから小隊長って呼んだほうがいいかなぁ?なんて?」

 

「はぁ、好きにしてくれ…それで外の連邦軍の状況は?」

 

「はい、管制室の連中が上手く首都バンチへ転進させることが出来たみたいです、もう感づいても遅いと思われます、それに首都バンチまで行かないない事に気付かないでしょう」

 

「そうか、アイツらも上手く行ったか…向こうで犠牲は?」

 

「管制室までの道中でトーマス・ラックマンが…それと本隊からも数人犠牲が出てるみたいです」

 

「……そうか名前は…いや、聞かないでおこう、今は俺達に与えられた役割を果たすことに集中しよう」

 

「…はい」

 

そうしてジュン達のドッキングベイ制圧部隊は1名犠牲者を出したものの作戦は完璧に遂行された。

 

 

―――――

 

「なぁ、何で俺達はこんなに歓迎されてるんだろうな…」

 

首都バンチ、ズム・シティにで凱旋パレードが行われていた。

 

ガルマを筆頭にジュン達士官学校生が起こした連邦軍兵舎奇襲作戦は成功し彼らを武装解除させた事に国民は熱狂した。

 

ガーディアンバンチの駐屯部隊を失った連邦軍はズム・シティに居る兵のみでは暴動を抑えることが出来ないと判断し兵を一度揚陸艦にて引き上げた、それによりジオン本国であるコロニー内からは連邦軍が一時的とはいえ姿を消すことになったのだ。

 

目に見える違いが国民に与えられた事により熱狂の度合いは上がり、主導したのがガルマという報道がされた後は手の付けようのない熱気に包まれていた。

 

 

「国民の総意って事だったんじゃないか?それに先頭車両のガルマを見てみろ彼が手を振るたびに街道の人々が歓声を上げている、それが全ての答えじゃないかい?」

 

そう言って周りを見ると報道陣と此方に手を降ったり大声で何かを叫ぶ国民の姿、そして街道の至る所に上がるジオン国旗。

 

『細部が違ってもやはり時代は戦争へと向かうのか…しかもガルマから偶に聞ける情報だと俺の知っているジオンとはMSの開発スピードが違う…どうなっていくんだろうなこの世界は……』

 

そうして暗い顔をしたジュンを乗せて凱旋車は首都を巡る。

 

―――――

 

「呼び出しってことはアレだよな?」

 

「そうだね、ガルマは流石に英雄として宣伝されてる、だから責任は我々と…言うことだろうね」

 

その日パレードを終えたジュンとシャアにドズルからの呼び出しがあった、想像できる内容は一つしかない、とは言えジュンもシャアも分かりきっていた事だ、シャアは名前を残すためにわざとこの状況を作り出そうとしていた節がある、それに引き換えジュンはどうせこうなるのでアレばと違うことを考えてこの場に望んでいた。

 

「それにしても…なんで君までここに居るんだい?」

 

そうジュンが語りかけたのは一人の女性士官候補生だった。

 

「え、えぇと分かりません、でも…私はドズル校長にその…銃を向けたのでその件かと…」

 

「ん?あぁ!ゼナさんだったけ?」

 

「は、はい、そうです良くお分かりですね、話したことは無いはずですが」

 

「あぁ、だって君は卒業成績5位だったろ?それだけ上位に居れば覚えるさ、後何かビクビクしてるけど多分大丈夫だよ、悪い話は待ってないさ、心臓には悪いかもしれないけどね」

 

「え?それはどういう?」

 

その時ジュンとシャアが入室の許可が出た。

 

「え、あの!」

 

ゼナが後ろから声を掛けるがジュンはそれに答えず振り向かずに手を上げ入室していった。

 

 

「ジュン・アーレンベルグ准尉入ります!」

 

「同じくシャア・アズナブル准尉入ります!」

 

そうして二人がドズル待つ部屋へと入室する。

 

「…………二人に処分を伝える…貴様らは待命、予備役に編入だ本学の履歴も抹消される、まぁ一兵卒に格下げと言う事だな、何か言いたい事は?」

 

「「ありません!」」

 

「いい覚悟だな、よろしい…ガルマの身代わりで割を食ったと思うなよ?お前がガルマを炊きつけたことは分かっている」

 

そう言ってシャアに語りかけるドズル、次にジュンに向き直り同じように語りかけた。

 

「あーお前は話によると首謀者ではないがガルマの古くからの友人あったにもかかわらずそれを止めるばかりか主要人物としてドッグの制圧に向かったそうだな」

 

「ハッ!その通りであります!」

 

「まぁアーレンベルグ家のお前にはキツイ辞令だがコレを取り消せん事もない、と言うかお前さんみたいな貴族を一兵卒にはおいそれと出来んのだ…分かるな?」

 

「いいえ!分かりかねます!シャア准尉が予備役編入されるのであれば自分も同じように罰を受けるべきと考えます!」

 

「なっ!貴様もう一度言ってみろ!」

 

「自分も厳正に罰を受けるべきと考えます、ドズル校長も処分をお受けになると聞きました、であれば貴族云々は関係ないと考えます!」

 

「…そ、そうか…そう言われればそうだな…ううむ、本当に良いんだな?」

 

「はっ!」

 

そう言い切って自らシャアと同じように予備役編入を望むジュン、これから予備役として除隊し夢に見る場所へ向かおうと半ば本気で考えていた。

 

「…分かった、それで?お前らこれからどうする?」

 

「地球へ言ってみようかと思います、この機会に」

 

「ふむ、地球か…アーレンベルグのお前は?」

 

その問いにジュンは一瞬考えた、この人にサイド2から夢に見ている要塞があるんでそこへ行きますなんて事は言えない、言ったとしてもおかしな奴に思われるのが落ちだろうと、そこでジュンは真実を少し混ぜながらシャアの答えを参考に発言した。

 

「自分は同じく宇宙にある他コロニーを見て回りたいと思います」

 

「そうかお前たちはエライな…」

 

「ではシャア・アズナブル准尉兵卒として除隊します!お世話になりました大佐殿!」

 

「同じくジュン・アーレンベルグ准尉兵卒として除隊します!」

 

そうして二人は退室していった、最後部屋を出る際にシャアがドズルへ現役復帰の際にMS部隊への編入を望んでいたがジュンは何も言わずその場を後にした。

 

そうしてジュンはその後すぐ自宅へと戻り要塞があると思われる場所へ行く準備を始めようとしていた。

 

 

 

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