機動戦士ガンダムジェネレーションズ   作:そーせーじまふぃん

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灯火

「ジュン!お帰りなさい!ごめんなさいねお父様は今日どうしても外せない会議があるんですって、だからジュンの顔を見れないって嘆いていましたよ」

 

「ハハ、仕事なら仕方ないですよ、でも俺もすぐ発つので顔を見れないのは残念ですね、まぁそれでも母さんの顔を見れただけも十分です!」

 

「まぁ、ウフフ、お昼はコッチで食べていけるんでしょ?学校のお話を聞かせてほしいわ、後今後の事もね」

 

そういってジュンに微笑むキャスリン、キャスリンの笑顔によってジュンも微笑みながら自宅の門を潜った。

 

 

「…そうなの…あの事件でデブリの除去を?立派になったのねジュンも、でも予備役除隊ですか…ラインは織り込み済みだと言ってましたが、なにか理由でも?」

 

「え、えぇ、一度サイド3を出てみようかと、このまま士官として正式に任官されたら長期休暇はかなり先まで取れなそうですし…どうしても確かめないと行けないことがあるんです、この国の…いいえ僕自身のこの世界に生まれてきた理由を確かめるために」

 

そうジュンは目を伏せながらも言い切る、そして恐る恐る目を上げ母の顔をみるとそこには複雑そうな表情をした母の顔が映った。

 

「貴方が生まれた理由なんて…生まれてきただけで私達は喜んだんですよ?それに自分が生まれた理由なんてそうそう気づく人は居ないでしょう?でもあの人…ラインは貴方は特別だと言っていましたね、能力や才能とは別の意味で特別…私にその真意は今日まで理解出来ませんでしたが何かあるんでしょうね」

 

「少なくとも自分ではそう思っています…思い違いかもしれませんが…それを確かめに行きたいんです、自分にできる事があるのかと…」

 

「わかりました、貴方の予備役除隊についてですが何も言いません、後、前に手紙に書いて寄越した件ですが用意してありますよ、もう出港準備が出来る頃だと思います、それと少ないですがコレを持って行きなさい」

 

そう言ってジュンに何かのカードを手渡すキャスリン。

 

「これは?銀行のカード?名義は…俺…ですか?」

 

「ええ、貴方が生まれた頃に作った口座ですがコロニーを見て回るんでしょう?路銀にでもしなさい」

 

「で、ですがもうクルーザーからそれの燃料代等わがままを聞いてもらってますしコレ以上…」

 

「あら?親の言う事が聞けないんですか?それとも当主に逆らうつもりですか?ジュン」

 

「はぁ、分かりました、何からなにまで有難うございます母さん」

 

「私達にはこれくらいしか出来ませんからね、そのかわりちゃんと自分のやりたい事、やらねばならない事を成し遂げるんですよ?ジュン」

 

「はい!それでは父さんに宜しくと…では行って来ます」

 

そう言って束の間実家で昼食を取ったジュンはその後すぐにズム・シティの港に取って返した。

 

 

―――――

 

サイド3ズム・シティ宇宙ターミナルそこにジュン・アーレンベルグはいた。

 

『えーと何処に居るんだ?たしか個人用クルーザーは6番ターミナルであってるはずだよなぁ…ん?あれは…』

 

そうジュンが見覚えのある人物を見つけると向こうもジュンを認識したのか歩み寄ってくる。

 

「お久しぶりですジュン様、大きくなられて…」

 

「久しぶりだねアリナさん、どうしてアリナさんがここに?てっきりクルーザーの乗員の方が案内してくれるのかと」

 

「あら、聞いてませんか?民間用クルーザーは機長、操舵手、航海士は兼務可能ですが今回の物は別途機関士が必要になりますから私が機関士を努めさせて頂きます」

 

「え?!アリナさん機関士の免許持ってたんですか?」

 

「旦那様に言われて、先月やっと免許が発行されましたわ」

 

「え…お、おめでとうございます…それで他の乗員の方はクルーザーに?」

 

「?後はジュン様だけですよ?」

 

「えっ?!いや確かに士官学校で各種免許は取ったけど、俺は大抵航行訓練の時は航海士で…はぁ…二人でグラナダまでってことですか?」

 

「えぇ、そうなります、その後はジュン様にお任せしますが、ですが殆ど自動航行ですし問題無いと思います、それではクルーザーの方に向かいましょう、今行けばすぐに出港許可が出ると思いますので」

 

「あ、は、はい!」

 

そう言ってジュンはアリナの背を追ってクルーザーへと向かっていった。

 

―――――

 

「これは…どうやって父はコレを購入したのですか?」

 

ジュンの目の前にあるクルーザーは以前アーレンベルグ家が持っていたサイド内を航行する小型のものではなく、サイド間航行を目的とした中型のクルーザーが1隻係留されていた。

 

「旦那様が以前所有していたクルーザーを手放して此方を購入したと仰っていました、以前の物は見てくれだけは良かったのでいい値段で売れたから奮発したとも」

 

『それだけで中型のクルーザーでも比較的高性能そうなこの船を買えるだろうか?もし以前の物が高く売れたとしてもその売値の5倍以上はするだろう、コレならサイド2からあの宙域に行けるか?片道にはなるだろうけども…』

 

「これは父さんに感謝してもしきれないね…ってかコレを二人で動かすんですか?」

 

「はい、そうなります、では参りましょうか」

 

「はぁ…」

 

そうしてスペースクルーザーに乗り込んだジュンは船内で一度機関部へと向かうアリナと別れ管制との連絡を取るべく操縦室へと向かっていった。

 

 

―――――

 

月面都市グラナダ、月の裏側に建設されたその都市はサイド3の建設物資輸送等で発展し月面第二位の規模を誇る、それ故ジオン公国とは関係も深く新ジオン派が多い都市としても有名だった。

 

そんなグラナダ市にジュンの乗るスペースクルーザーは向かっていた。

 

 

「アリナさんグラナダで燃料補給と点検整備…えーと後は酸素と水でしたっけ」

 

「はい、それに丸1日掛かるとの事でしたのでホテルの方を予約してますが、滞在は何日に致しますか?」

 

「うーん、そうだな、グラナダにあまり用はないんだけど2日滞在します、少し見て回るのもいいかな?って」

 

「畏まりました、それではホテルの方を予約しておきます後ほど連絡を致しますので先に街に行っては如何ですか?こんなオバサンと街を歩くのは恥ずかしいでしょうし」

 

「え?!あ、そんな事は無いですよ、でもお言葉に甘えて先に出てきます、何から何まで済みません」

 

「いいえ、このお世話係として当然です」

 

そう言って微笑むアリナに礼を言ってジュンはクルーザーをグラナダに入港させた。

 

―――――

 

『ここがグラナダ…月面第二位の都市、たしかジオンに友好的でアナハイムの工場があるんだよな、でも来る途中色々調べたらジオニック社の工場もある…すでにここでMSの生産がされている可能性もあるな、アナハイムはジオンのMSも連邦のMSも作ってた事だし、まぁ俺がジオン貴族だからってジオニックもアナハイムも工場なんて見せてはくれないか…』

 

アナハイムとジオニックの両社が進出しているグラナダ市の事を考えジュンは街を歩いていた。

 

「特に見る所がない…」

 

そうジュンが呟いたとき携帯PDAにホテルを取ったとアリナから連絡があり、街を暫く見て回ったジュンはそのままタクシーでホテルへと向かった。

 

「うわぁ…なんだよこのホテル、こんないい所じゃなくても良いのに、こんな良さそうなホテルに普通の私服って何か浮くなぁ…」

 

そうジュンが思わず声にしたのは目の前にあるホテルが彼の元々の世界基準から考えるとかなりの高級ホテルに見えたからだった、ジュンはジオン貴族として生まれ裕福な生活を送って来ていたが、つい最近まで士官学校で暮らしていたジュンは価値観がこの世界に来る以前のそれに戻りかけていた。

 

『はぁ、なんか気後れするなぁ、しかもアリナさんは別で普通のホテルに泊まるみたいだし俺もそっちが良かったなぁ…あれ?あの人…』

 

ジュンが気後れしながらホテルの入口を潜ろうとしていた時ふと見覚えのある人物を見かけた。

 

『あれはキシリア・ザビ?いやおかしいだろ、何でこんな所に?人違い…だよな?変な軍服来てないし、旦那さん見たいな人と一緒に居るし…………まてよ、キシリアがグラナダ?あぁ!そうか!ミノフスキー博士の件か?!いや、それにしてもあれは確かもう少し後の様な…実際に日時は分からないが、シャアが地球でララァを救った後…だった気がする…考えられる可能性は俺の勘違いであのマダムはキシリアではない、もしくは歴史が変わり始めている?もし歴史が変わっているのであれば、キシリアは何をしに来た?ミノフスキー博士の亡命阻止?グラナダの恫喝?分からない…いっその事声を掛けてみる?いやダメだろう普通に殺されそうだ…』

 

そこまで考えたジュンは自分の前を歩くキシリアとその部下と思われる二人に気付かれないようにホテルへとチェックインした。

 

「此方が603号室になります、スクリーンにはフォン・ブラウン市から見えるテラの映像が映しだされております」

 

ホテルにチェックインしたジュンは案内され部屋へとやって来て自室の説明を聞いていた。

 

「設定でこのグラナダ市からの宇宙の映像も出せますがいかが致しましょう」

 

「あ、いやそのままでいいですよ」

 

ジュンがそう言うと粗方説明を終えていた従業員は最後に礼をして退室した。

 

『603か、何かそんな部隊番号聞いた覚えがあるけど覚えてないな…もう20年近く前になるんだもんな原作の記憶も忘れないように気を付けていても所々抜けてるな特にZ以降がかなり危うい…ま、今は1年戦争の事だけを考えてれば良いんだろうけど、この先どうなるか…』

 

そう考えながらジュンは携帯PDAに手を伸ばしアリナに連絡をいれた。

 

「もしもし、そっちはどう?もう宿に付きました?」

 

「はい、一度チェックインして今外に居ますがどうしました?」

 

「あぁ、いやどうもここにいちゃいけない人が居るみたいでさ、しかも同じホテルに泊まってるみたいなんだ、もし出来れば出来るだけ早くココを発ちたくてさ…できるかな?」

 

「はい、では明日の内にグラナダを出ましょう、次の目的地はサイド2で宜しかったでしょうか?」

 

「うん、有り難う、じゃあ俺はこれから飯食って寝るよ、アリナさんも夜更かししないでしっかり寝てくださいね、俺はほぼ自動操縦だったから良かったけどアリナさんずっと働いてたからさ」

 

「有難うございます、では私も少々調べ物をしたら休息させて頂きます、でわ」

 

「うんじゃあ明日」

 

そう言うと通話を切り、浴室に向かうジュン、ジュンはシャワーを浴びながらずっと要塞の事を考えていた、ここまで来たが要塞から迎えなど来ない、最後にあの声を聞いた時に迎えに行くと、言っていた気がするがアレは一体どういう意味だったのだろうと…。

 

 

―――――

 

「ん、んん、もう朝か?…………ってか何処だココは」

 

ジュンが目覚めた場所は暗い部屋だった、例えるなら軍の施設や軍艦内の士官室の様な部屋だった。

 

「あれ…さっきまでホテルに…あぁここは……」

 

先程までホテルのベッドで寝ていたはずの自分が行き成り見知らぬ場所へ移動している訳が無いと考えた所で、無意識か意識的にかは分からないが、ジュンは此処が夢の中、あの声のする夢だと気付いた。

 

そしてそれを理解したジュンの耳元に声が聞こえた、今までよりも明確に、ハッキリと聞き取れる声が。

 

「早く、早くしなければ多くの人の命が…命の灯火の近くに私はいます…」

 

「命…?灯火…?何を言って…そうか…確かあの要塞に一番近い人類の居住区はサイド2…もしかしてアイランド・イフィッシュ…か?」

 

「貴方の知る世界……此処とは違うもう一つの世界、ココは分岐されたもうひとつの……」

 

段々と声が遠ざかっていく、鮮明に聞こえていた声も直ぐに小さくなっていき今では微かに聞こえる程度になっていた。

 

「まってくれ!アンタは誰なんだ!どうして俺を呼んでいるんだ!!?」

 

「分岐の…………始まりは……た」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回も文字が少なめになってしまいました、済みません。


ここで余り紹介されてないアリナさんの簡単な紹介を。
名前 アリナ・スォール
性別 女性
年齢 41
職業 メイド
ジュンとの関係 ジュンの小さな頃からの世話係、そして今は世話係兼優秀なお手伝いさん
プロットの時点からある意味一番チートな感じな人です…
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