駄文ですが、気分でどんどん上げていきますので、おつきあい宜しくお願いします。
オンラインゲーム【ユグドラシル】サービス終了当日、10分前。
ギルド【アインズ・ウール・ゴウン】の本拠地、ナザリック第十階層にある玉座の間に、二人の姿があった。
そのうちの一人。ギルド長であるモモンガは、守護者の一人であるアルベドの設定を見て、一人絶句していた。
「設定魔なのは知っていたけど、タブラさん設定凝りすぎだろこれ…」
そんな呟きが、モモンガがいる玉座の間にぽつりと広がる。傍らでモモンガに向かって微笑んでいるアルベドだが、そのキャラクター設定は膨大な量の文章で記されていた。
電化製品の取り扱い説明書のような文章量に、モモンガが飛ばし気味で設定画面をスクロールしていくと、最後の一文に目が止まった。
ちなみにビッチである
ビッチ?ピッチ?……ビッチ?
時が止まったように少しの間手が止まるモモンガだったが、製作者であるタブラの性格(性癖とも言える)を思い出して頭を抱えた。
一度やると決めたら徹底的にやり込む、そしてギャップ萌え。アルベドのキャラクター設定を見たら分かる通り、かなりの凝り性なのだ。
因みに、アルベドには他にもニグレド、ルベドという姉妹がいる設定もある。
「女の子なのに、流石にこれは可哀想だ……」
設定画面を開いたまま、う~むと唸るモモンガ。その姿はアンデッドのオーバロードの物なので、骸骨が悩む姿はかなりシュールな画になっている。
最後の日だし、皆も許してくれるだろ。
ギルドを象徴するギルド武器《スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン》を使用して、設定の改竄を行う。“ちなみにビッチである”という行を消して、モモンガは肘を付いてふと考える。
「え、うーん……、良いのかなぁ……。ま、いっか、どうせ最後だし」
決断したなら、後は実行有るのみ。と、ノリノリで残った行に文字を入力していく。
モモンガを愛している
「おぅっふ」
想像以上の気恥ずかしさに、思わず出したこともない声が吹き出した。こんな美人が俺の事を愛してくれたらなぁ……。と。
そして、そんなモモンガを見つめる目線が3つ。
「みーちゃった、みーちゃった。せーんせーにゆーたーろ♪」
「?!」
自分が座る玉座の背から聞こえた声に、思わずモモンガは振り向く。
「ギリギリだけど、おひさーです!」
「るし★ふぁーさん……?」
アインズ・ウール・ゴウンが誇るギルド一の問題児、るし★ふぁーの姿がそこにあった。
声に合わせて敬礼した彼は、ニカッと笑って言った。
「今日が最終日だって言うし、来たんですよ。正直、ギルドが残っているとは知らなかったですけどね、今日までありがとうございます」
あぁ……、懐かしい。
目の前のるし★ふぁーに対して抱いた感想はそれだった。ギルド一の問題児として大変だった彼だが、その問題行為も今では良い思い出になっている。
モモンガが感傷に浸っていると、るし★ふぁーが言った。
「ま、僕だけでなく他の人も居るんですけどねー。ほら、あの人も」
るし★ふぁーが、モモンガの座る玉座の前に向かって指を指した。
「タブラさんもね」
「お久しぶりです。モモンガさん」
そこには、タブラ・スマラグティナの姿があった。その姿を見て更に興奮し、思わず泣きそうになるモモンガに向かって、タブラは続けた。
「いや、この場合は義息子の方が良いのかな?」
骸骨の身体なのに、全身に冷や水をぶっかけられた様な感覚がモモンガを襲った。それと同時に、スゥ、と緑の回復エフェクトの様な物が身体を包み、先ほどの緊張感が消えてしまった。
それを見て頭に『あれ、こんなエフェクトあったっけ』と疑問符を浮かべるモモンガとるし★ふぁーだったが、こちらへと近付いてくるタブラの重圧感に押し潰されそうになる。
「いいや、同僚に守護者を取られたのだから……寝とり?これはまさかNTR、寝とりなのか?!」
興奮気味に此方へと近付いてくるタブラに、モモンガは自分が行ったことの重大性を知った。そりゃそうだ、怒るさ、と超位魔法の一発でもくらう覚悟を決めたが。
「お待ち下さい!タブラ・スマラグティナ様、どうか御許し下さい!」
突然動き出したアルベドによって、3人の思考がストップした。
「やっぱり怒ってますよね?」
「大丈夫ですよ、NTR展開とか最高じゃないですか!」
「あー、この人やっぱアレだわ」