なざなざなざりっく!   作:プロインパクト

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さぁ、ニグンさんの出番です。
制作者としてあまり噛ませにしたくないので、少しは頑張ると思います、少しは。


メンバーチェンジ~カルネ村編~5

「先ほどまでの威勢はどうしたのかな、戦士長」

 

夕日が沈みかけ、もう薄暗いとさえ思える時間帯、カルネ村付近の平原では、一つの戦場に決着がつこうとしていた。

 

倒れているのは皆、ガゼフが率いる兵士達のみ。ニグン率いる陽光聖典は、誰も倒れてすらいない。

 

 

「我らが使役する【炎の上位天使】と、【監視の権天使】の力はどうかね。まだ隠している力があるのなら、出しても良いぞ」

 

「……これだけは、したくなかったのだが」

 

疲労困狽のガゼフが力なく笑う。

突如変わったその態度に、ニグンは頭のネジでも外れたか、と疑問に思ったが、そうではなかった。

 

 

「女を戦場に出すなど、戦士として最低だ」

 

 

そう言葉を残して、ガゼフが突然消えた。

ガゼフだけではない、その部下達も、突然にだ。

 

 

「なっ……、何処に消えた、何をした?!」

 

 

見たこともない現象に、ニグンは思わず辺りを見渡す。

すると、ガゼフが先ほどまでいた位置に、二つの人影が現れた。

 

 

 

「初めまして、陽光聖典のみなさん。ボクはやまいこと申します」

「ども、茶釜です」

 

 

フレンドリーに、笑顔でそう挨拶したのは、どちらも絶世の美女と言えるほどの女性だった。

部下の数名が色めき立つが、ニグンは言った。

 

「それで、貴女方は、何かようですか?」

 

「あぁ、そうそう。さっきまでの戦い全部見ててさぁ、もう決着ついたでしょ、止めない?」

 

 

軽い調子で言う茶釜の言葉に、ニグン達陽光聖典は口々に言う。

 

「ふざけるな‼」

「私たちは世界の救済を願うもの、その行いに口を出す気か!」

「ガゼフが死ぬことが救済なのだ、邪魔をするな!」

 

「皆、よく言ってくれた。聞いただろう、お嬢さん、ガゼフを殺すことが我らの使命、それを邪魔しないでほしい」

 

ニグンがそう言うと、茶釜がでもさぁ、と返す。

 

「そのガゼフさん、もう居ないよね。どうするの?」

 

白々しいその言葉に、ニグンは舌打ち混じりに返した。

 

 

「知れたこと、奴等が穴蔵から出てくるまで、また村落を襲撃するだけだ。そうだなぁ……」

 

ニグンはニヤリと笑って、二人の背後を指差した。

 

「手始めにそこの村を焼いてやれば、奴もすぐにでも顔を出すだろう」

 

 

その言葉に、目の前の女性二人、特にやまいこが反応する。

 

 

「……そうやって村を襲撃することに、何の意味があるの?」

 

「意味など無い。強いて言えば、ガゼフを呼び出すための餌だ」

 

「そこに住んでる人も居るんだよ? どうして関係の無い人まで殺す必要があるの」

 

「それをすることが、世界の為、人類の平和のためだとすれば、それによって生じる損害など、仕方のないことだ」

 

それに、とニグンは続ける。

 

「お前の言っていることはただの偽善だろう。今まで肉を食ったことはあるだろ、それに対してもお前は憤るか?憤ることはあるまい。それが普通なのだから」

「それと同じだ。我らは必要だから人を殺す、それに対するお前の怒りは、ただの身勝手な我が儘というものだ」

 

 

瞬間感じる、上空からの殺意に、ニグンは全身に冷や汗をかいた。

呪いの類いかと周囲を探っていると、黙っていたやまいこが言った。

 

 

「そうだね。確かにそれは我が儘だ。でもね……」

 

その女性から沸き立つ、見えないなにかに、陽光聖典の呼び出した天使達が異常に反応する。

 

 

「我が儘だろうが身勝手だろうが、構わない。ボクは、ボクの意地を通す‼」

 

「よく言ったね、やまいこさん。次は私も混ざるから、お互いにサポートよろしく」

 

 

 

「……後で泣き言言っても遅いぞ、異端者がぁ‼」

 

 

第二ラウンド。カルネ村での戦いは、終焉へと向かう。

 


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