なざなざなざりっく!   作:プロインパクト

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ナザリック大会議~至高の方々による至高なる会議~

【ウルベルト・アレイン・オードルと、たっち・みーの仲は悪い】

それはナザリックに居る者ならば、誰でも知っている常識だった。

ギルド内にて魔法職最強であるウルベルトと、戦士職最強であるたっち、その元々の職の違いや性格の違いが衝突の原因である。

 

 

狩りにいくモンスターで対立、善行か悪行かでの対立、正義の味方を良しとするタッチとは違い、悪であることを極めたいウルベルト、互いが互いに気に入らない存在であった。

 

 

例えば、こんな具合に。

 

 

「――さて、それでは会議を始めましょうか」

 

モモンガの言葉に、円卓の間にて集まっていたプレイヤー、ペロロンチーノ、るし★ふぁー、タブラ、ぶくぶく茶釜、餡ころもっちもち、やまいこ、ブループラネット、ヘロヘロ、武人建御雷、たっち・みー、ウルベルトのユグドラシルプレイヤー11人が椅子へと座る。

 

 

 

 

「(懐かしいなぁ……)」

 

 

和気藹々と座って話している姿を見て、モモンガは目を細めた。

ギルド全盛期とまでは行かないが、それでも主要なメンバーが揃っているのだ、これ以上を望むのはワガママとも言える。

 

「(とはいえ、他のギルメンも居るかもしれないし、これから頑張らないとな)」

 

誰にも見えないテーブルの下で、モモンガはグッと拳を握った。

 

会議のお題は、【これからこの世界どう進んでいくか】という事から始まった。

 

「皆さん、何か提案はありますか? 具体的でなくとも、漠然とした夢の様な物でも良いですよ」

 

モモンガの言葉に、うーむと悩み出すギルメン、そんな中口を開いたのは何時もの問題児であった。

 

「やっぱり世界征服でしょ!」

 

「却下」

「言うと思った」

「だよねー」

 

るし★ふぁーの言葉にやっぱりか、という空気が漂う。特に女性メンバーからは否定的な意見が出ていた。

可決はされないだろうが、取り敢えず世界征服と手持ちのノートに書き記したモモンガは、視界の端で挙がっている手に気づいた。

 

「私も良いと思いますけどね、世界征服」

 

そう口に出したのは、ウルベルトだった。ウルベルトの言葉に、るし★ふぁーが歓喜の声を上げる。

 

 

「でしょでしょ? やーっぱりウルベルトさん、話が分かるぅ!」

「えぇ、ユグドラシル時代では結局試さなかったアレを試す機会になるでしょうし」

「アレとは何ですか、ウルベルトさん」

 

盛り上がっている二人に、モモンガは問う。聞かれたかった事柄なのだろう、ウルベルトは得意気に語りだした。

 

「ワールドアイテムの中に、悪魔を大量発生させる物があったでしょう? それを真似て作った物ですよ」

「あー、そういえば作りたいって言ってましたね。完成してたんですか?」

「まだ試作品段階ですけどね、試そうとは思ってたんですよ。どうですモモンガさん、3大国のいずれかで試してみませんか?召喚するのは中級がメインですから、特に危険はありません」

「んー、そうですねぇ」

 

アンデッドの身体になって、人間に対する情がかなり薄くなっているせいか、どうでもいいと考えているモモンガ、それを知ってか知らずか、己の計画を練っていくウルベルトだったが、

 

「却下です」

 

正義の味方が、黙ってはいなかった。

 

 

「……何か意見でも、たっちさん?」

「あぁ、ウルベルトさんの計画には反対です」

 

二人のそのやり取りに、その場に居た全員の意見が重なった。

またかコイツら、と。

やめてよホントに、と。

 

「大国の一つで実験する?そんなふざけた事が通るわけないだろう。そこに住む住人を虐殺するつもりですか」

「別に問題はないでしょう。人が死んだからって、貴方は悲しめますか? この世界に来てからは感じ方に違いがあるのは皆一緒です」

「だからといって、罪の無い人々を殺していい理由にはならない‼」

 

徐々に白熱してきた二人の言い合いに、皆がどうする?と言い出してきたころ、一人の手がおずおずと上がった。

 

「ど、どうされました、やまいこさん」

「ぼ、ボク、せっかくこの世界に来たんだから、冒険とかしてみたいです!」

「「「(やまいこさんナイス‼)」」」

 

普段なら空気も読まずに何言ってんだ、とツッコまれる所だろうが、今は救いの手になっていた。

 

「そうだよねー、私も色んな所行ってみたいな」

「うんうん、元の世界よりは綺麗な自然だし、ピクニックみたいなのもしたい!」

「姉ちゃん、その見た目でそれはちょっとキツイわ」

「おい、表出ろ弟」

「え、ちょ」

ガシリとペロロンチーノの腕を掴んだぶくぶく茶釜は、指輪の力を起動して転移した。

 

「ギルドチョー、茶釜さんとペロロンさんがどっか行きましたー」

「えぇ?! ちょっとぉ?! 皆好きにヤりすぎィ‼……ぉっふ」

「あ、賢者タイム」

「って、るし★ふぁーさんは?! 事の元凶は何処行った‼」

 

側に座っていたヘロヘロと共にるし★ふぁーを探していると、近くに居た建御雷が口を開いた。

 

「彼なら先ほど、こっそりと出ていきました」

「こそこそ出ていってたなぁ」

うんうん、とブループラネットが相づちを打つ。

 

 

 

口喧嘩をしているタッチとウルベルト

 

何処かに行ったぶくぶく茶釜とペロロンチーノ

 

そして逃げたるし★ふぁー

 

 

何かを我慢するように少しの間頭に手を当てていたモモンガだが、ゆっくりとヘロヘロに顔を向けた。

目が合い、数秒間言葉もなく見つめ会う二人。

その意味を理解したヘロヘロは言った。

 

「俺、今までの分まずはゆっくりしたいです」

「……そうしましょうか」

 

ナザリック第一回会議の結果は、

 

【自由】

 

こうして幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「因みに何をしてるんです?」

「今はお風呂にハマってますね~。風呂は命の洗濯とはよく言ったものですよ♪」

「風呂入れるんだ……」

 

 

 


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