こういう執筆は初めての為、まだまだ拙いところしかありませんが、これからもお願いします。
第六階層、アンフイテアトルムには、守護者であるアルベド、デミウルゴス、アウラ、マーレ、コキュートス、シャルティアの他、執事頭であるセバスの総勢7名が集まっていた。
「それで、アタシ達はどうすれば良いの、アルベド?」
アウラの言葉に、全員の目がアルベドへと向かう。
「モモンガ様が言うには、ナザリックの幹部としての連携を取りやすくする為、簡単な会議をしておけとの事よ。議題については受け取ってあるわ」
アルベドが見せた封筒には、まだ封がされていた。全員が揃ってから開くのだろう、と察する。
アルベドが封を開くと、中には一枚の書類が入っていた。
「どれどれ……、ッ?!」
書類に目を通した瞬間、アルベドの顔が驚愕に変わった。それに反応した守護者達は、アルベドに駆け寄る。
「どうしたのアルベド?!」
「その書類に、何か問題でもあったのかね」
「あぁ、もう。とっとと見せなんし‼」
シャルティアがアルベドの手から取り上げると、全員に見やすいように広げた、そこには。
守護者各員、及び執事頭に褒美を与えるので、それぞれ話し合いまとめておくように
それを見た全員が、歓喜の声を上げた。
◆
「それで、何か欲しいものは出来たの?」
全員がうーむと悩む中、じれったく感じたアウラが言う。彼女も決まってはなかったが、他の者の意見を採り入れようとしていた。
「マダ決マラナイナ」
「必要な物は全て頂いているからね……。特に欲しいものは無いな」
全員が円形になって顔を向き合わせていると、空間に歪みが生じ、二つの影が現れた。それに気付いたアウラが振り向くと、目を見開いた。
「ぶ、ぶくぶく茶釜様、ペロロンチーノ様‼」
「「「「ッ?!」」」」
「やっほー、ちょーっと隅の方借りるよ」
「ちょ、やめ、姉ちゃん、タンマタンマ、悪かったって‼」
連れる、というよりは引き摺るという表現が正しい光景に、守護者各員が慌てて声を掛けた。
「ぶくぶく茶釜様、何があったかは存じませんが、お気を確かに!」
「御姉弟デ喧嘩ナド、得ヲスルコトナドアリマセンゾ!」
「そうで御座います。どうか気を和らげ、話し合いによる解決を、どうかお願いいたします!」
ぶくぶく茶釜とペロロンチーノ、この二人の(一方的な)喧嘩の結末をよく知る者からすれば、優先して止めるべき案件であった。
全員の必死な引き止めに考える所があったのか、力が緩んだのを感じたペロロンチーノが言う。
「ほ、ほら。皆がこう言っているのだし、もう許しては貰えないだろうか、姉上」
「ふんっ‼」
「ボヘェッ?!」
「あぁっ、ペロロンチーノ様!」
掴んでいた腕を主軸に、そのまま地面に叩き付けられたペロロンチーノ。シャルティアが慌てて駆け寄った。
「それで、何の集まりなの、これは?」
「ハッ、モモンガ様より、守護者各員と執事頭で会議をせよとの事で、会議をしておりました‼」
「あー、うん。楽にしてね、これ命令」
自分に対して畏まる態度に、うんざりしたように言うぶくぶく茶釜。
ていうか、こっちの方が会議らしい会議してね?とは、心の中での呟きである
怒りが静まったのを感じて、デミウルゴスが場の空気を変えようと話しかけた。
「そういえば、ぶくぶく茶釜様。会議の方はよろしいのですか?」
「んー? あぁ、なーんか面倒になってさぁ。暇潰しに此方来たの」
「お、俺は暇潰しに連れられたのか?」
「そうだよ。文句ある?」
「無いです……」
落ち込んで暗いオーラを放つペロロンチーノ、近くではシャルティアがオロオロしながら必死に慰めていた。
「な、何があったのですか? 大事な会議を離れるなど……」
「るし★ふぁーさんを起爆剤に、たっちさんとウルベルトさんが喧嘩してね」
ぶくぶく茶釜のその言葉に、「あぁ……」と全員が声を漏らした。
たっち・みーとウルベルト、この二人が犬猿の仲なのはナザリックでは常識である。
全員が納得したのを確認して、今度はぶくぶく茶釜が質問した。
「それで、此方はどんな感じなの?」
「モモンガ様から、私どもの望むものを褒美として与える、と承ったのですが、どうにも決まらず……」
代表として答えるアルベドの声が、どんどん萎んでいく。
折角機会を作って貰ったにも関わらず、中々に決まらない自分達を不甲斐なく思っている、と表現しているその姿に、ぶくぶく茶釜はため息をついた。
「も、申し訳ありません‼」
「至高ノ御身ニ頂イタコノ機会ニ、何カナザリックノ為ニト思ッテノ事」
「不快に感じたのなら謝罪いたします‼」
「いや、そうじゃないけどさ……」
どうしたものかと、ぶくぶく茶釜が悩んでいると、不意にいつの間にか隣に居たペロロンチーノが口を開いた。
「お前たち個人が必要な物はないのか?」
ペロロンチーノのその言葉に、守護者達は顔を見合わせた後言った。
「私どもは、至高の方々から頂いた装備品など、有り余る物に溢れております。もうこれ以上望むものは……、今のところ御座いません」
「ご、娯楽の施設についても、全て僕たちには充分足りていますから……、ご、ごめんなさい!」
「あぁ、いや、そう畏まるな」
「そうだよ、気持ちは充分伝わったから、ありがとう」
え、マジで。他にどうすりゃええねん。そう二人が悩んでいると、アルベドが神妙な顔をして手を挙げる。
その真剣そのものの顔に、ペロロンチーノがハンドサインで先を促すと、アルベドは頭を垂れて言った。
「無礼を承知で申し上げます。“私どもの欲する物”、それは至高の方々に対するものでもよろしいでしょうか」
「……。要するに、私たちをパシりにしたいって事?」
「いえ、そうではありません。ですがこれからのナザリックの為、必要な物でございます!」
そう言って上げたアルベドの顔は、今まで見たことがないくらいのヒロイン(として最悪な)スマイルだった。
◆
「……で、それがこれですか?」
「うん。すぐに皆で話し合って出してきた」
円卓の間にあるテーブル。モモンガの前には、一通の手紙が置かれていた、話の流れだとこれに守護者達の欲しいものが書かれているのだろう、と考える。
はよ開けろ。とワクワク感MAXでこちらを見るぶくぶく茶釜とペロロンチーノ、ヘロヘロの視線に押されるように、手紙を開封する。
そこには
至高の方々の御世継ぎ
と書かれていた。
「「「「………………。」」」」
無言で手紙を元に戻し、ふぅ、とため息をつく。
「却下で」
「「「そうですね」」」
何事もなかったかのように、声を合わせて賛同する一同。
こんな風に、次回の会議では一致団結したいなぁと思ったモモンガだった。
「子作りって……。付いてないんですけど」
「僕なんか全身スライムですよ……」
「………………結局、一生童て」
「それ以上は言うな」
「まぁ、何だ。今から呑みにでも行く?」
「「「「賛成」」」」