初投稿なので生暖かい目で見守ってくださると幸いです。
では、お楽しみ下さい。
巻き込まれ属性付き
「五月雨さーん! MVP取れましたー!」
「ふーん、そうなんだ。おめでとう」
ここは、大日本帝国海軍呉鎮守府。
ここにはちょっと変わった艦娘がいる。
名前は五月雨。白露型駆逐艦六番艦、本来この子は元気いっぱいの頑張り屋さんでドジッ娘でかなり長い髪が特徴なのだが、ここの五月雨は全然違う。
髪は顎のラインで切り揃え、目はボケーっとしたいわゆるジト目。本来はやる気に満ち溢れているがこの五月雨はそんな雰囲気の欠片もない。むしろダル気MAXである。
これは、そんな五月雨の物語。
(Ⅰ_Ⅰ)
退屈だ。
どうしようもないくらいに退屈だ。
今いる場所は資料室。昔の戦歴から戦術指南書。挙げ句の果てには様々な小説が並んでいる。
それを読めばいいではないかと思うかもしれないが、読み終わったのだ。全て。
前世は記憶力が良くなかったはずなのだが、この身体になってからは、直ぐに思い出せるようになった。
一字一句どのページにあるかすら覚えているため、ぶっちゃけ読む必要がなくなった。
「退屈だ。」
そう言って、資料室を出る。
廊下を歩きながら昔を思い出していた。
私は転生者だった。よくある小説のくだりだなぁ、何て思いつつ実に三年近く無人島生活だった。
あの時は本当に大変だったなぁ、なんて感傷に浸っていると、
『五月雨さん、至急執務室まで来て下さい。繰り返します。五月雨さん、至急執務室まで来て下さい。』
どうやら感傷に浸る時間もあまりないようだ。急ごう。
少女移動中。
「五月雨、入ります。」
ノックしてから執務室の扉を開けた。
「ああ、五月雨さん。急にすまないね。」
まぁ、座ってください。と促されソファの端に座り、肘掛けに肘を載せその上に頭をおいた。
対面にこの鎮守府の司令、橘提督が座った。
「で、用件は?」
「実は、最近ブラック鎮守府に指定されている鎮守府所属の艦娘達が脱走しまして。」
なんでも、禁止されていた捨て艦戦法を使った連戦を行い、なおかつセクハラ紛いの事をさせていたそうだ。
「そこの司令は軒並逮捕銃殺刑にしたんですが、艦娘達が武装蜂起したんです。」
「それで、私に同胞撃ち殺せ・・・と?」
はっきり言うなら不愉快極まりない。そしてめんどくさい。表情どころか雰囲気もそれなりに殺気立たせる。
「そうじゃないんです! 五月雨さんに説得してほしいんです!」
慌てて、橘は説明する。
上層部は、当初排除を計画していたらしい。だが、その脱走した面々が高練度の艦娘達ばかりで排除するには惜しくどうにか説得できないかと言うことだった。
「自分のケツ位自分達で拭いたら?自業自得でしょ、それ。」
ぶっちゃけどうでも良かった。それに、その辺をしっかり監督していない連中が悪い。
「その辺は重々承知しています。ですがどうか今回の件何とかできませんか?」
「て言うか何で僕なのさ? 横須賀の榛名か武蔵、佐世保の雪風、ここなら由良さんがいるじゃん。僕パスしたいんだけど。」
「それが、」
横須賀のメンバーは拒否、殺しかねんらしい。佐世保は大規模攻略作戦中。由良は由良で北方に援軍として出払っているそうだ。
「お願いします! 後はあなただけなんです!」
と頭を下げられた。
気のりしないなぁ・・・、むしろ私も脱走して自由になりたいなぁ。
はぁ、とため息をつき頭をかきながら立ち上がる。
「今回だけだよ。後は知らないからね。」
「ありがとうございます! 早速準備させますね!」
そう聞いて、部屋を出て工廠へ向かった。
工廠内
「よう、さみだれ!」
「おはよう、妖精さん。」
工廠に来て早々、2頭身位のデフォルメされた妖精さんが迎えてくれた。
「じゅんびできてる!」
「いつでもごーなのです。」
「わかった。じゃあ、出撃しようか。」
そう言って、艤装がかけてある出撃位置へ向かう。この鎮守府では、ガンダムSEEDのストライクの出撃に使われていたカタパルトが並んでいる。出撃も同じくガンダムSEEDな感じだ。
上から背中に付ける5連装酸素魚雷、右側のシャッターからは右腰に10cm連装高角砲を取り付け、最後に左側からメガホンが左腰に装着された。
「何これ?」
「これでかんむすによびかけるのです!」
「あー、そうだったね。」
前方のシャッターが開き、ガイドビーコンが発行する。
<進路クリア、五月雨さん出撃、どうぞ!>
「五月雨、出撃します。」
軽快な音とともに、下の脚部固定ユニットが高速で射出した。
着水同時に主機を回す。
そして通信が入った。
<五月雨さん、聞こえますか?>
「通信良好。で、護衛艦は?」
<いえ、今回は五月雨さんだけです。他は足手まといになるでしょうし。>
いや、お前それ殺す気だろ。何とか口には出さなかったが、皮肉だけは言っておく。
「ま、高練度の島風がいないんじゃ話にはならないわね。」
<すみません・・・。>
「とりあえず、目的地に向かう。座標を」
<今送ります。ご武運を。>
「了解したわ。通信終わり。」
やり取りを終え、そのまま座標データを見る。
「はぁ、よりによってここか。」
その示す場所は知っている場所だ。
「まぁ、勝手知ったる場所だからやりやすいね。」
そこは、私が三年近くいた無人島。廃墟された名も知らぬ元警備府だった。
(Ⅰ_Ⅰ)<メンドクサイ
「あーあー、聞こえますかー?」
拡声器気だるげに持ちながら、此方に呼びかける艦娘を見つめていた。
「追い返します?」
「いいや、今回ばかりは最後通告みたいだ。」
「あれって、五月雨さんですよね。」
駆逐艦の一人が呟いた。
「ああ、そうだ。でも、戻ればまたあの地獄の日々が始まるんだ。」
不幸だ、とリーダー格の戦艦が呟く
「だがまあ、事情は説明しよう。分かってもらえるはずだ。」
そう言って、戦艦武蔵は部屋を出た。
(Ⅰ_Ⅰ)
<もう帰っていい?>
疲れましたと言わんばかりの声色で彼女は呟いた。
「待ってください! もう少しだけお願いします!」
そう言うと、ため息が返答に来た。
<じゃあ、5分たったら帰る。あとは自分達でやりなよ。>
5分か、その前に来てくれ、と願うしかなかった。
すると、
<あ、来た。>
「ほんとですか!? 」
<なんで嘘つくのさ。反対に来ませんでしたって言いたいのに。>
そしてため息がでた五月雨さん。
こんな感じではあるが、いざというときには頼りになる人だ。そして、艦娘達の信頼もあり、呉だけでなく海軍での地位も高い。
「では、説得をお願いします。我々の言葉では聞く耳を持ってはくれません。」
<はいはーい。>
通信はそこで終わる。
「頼みましたよ。五月雨さん。」
そう言って、彼女のいる方へ顔を向けたのだった。
(Ⅰ_Ⅰ)<モウチョットツヅクヨ
「さてさて、どうしようかな。」
目の前には、戦艦武蔵を筆頭に、陸奥、重巡古鷹、航空巡洋艦鈴谷、軽巡は川内型、駆逐艦に至ってはかなりの数だ。
「あー、これ選択肢間違えたら死ぬね。」
逃げる算段を考えていたが、駆逐艦が後ろを取った。
「これは僕を人質にしたいのかな?」
「ご同行願いたい。悪いようにはしない。」
「断る、と言ったら?」
そう言うと、彼女らは砲を向けてくる。
「手荒な真似はしたくはない。」
「話だけでも聞いてくれないかな?」
「それは、私達の基地に来てからだ。」
あー、不味いよこれ。説得には応じない奴だ。ダイスロール失敗だね。しかもファンブってるよ。
「因みに言うけど、君達の提督は殺されたよ。銃殺刑だ。」
「だとしてもだ。我々は説得には応じない。来てもらいたい。」
はぁ、どう頑張っても逃れられないらしい。
「はいはーい。分かりましたー、降伏しまーす。」
そう言って両手を上げたのだった。
続かない!