ジト目の五月雨さん   作:旅猫AIくん

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皆様、お久しぶりです。
早速ですが本編を。

因みに、本編とは全然関係ありません。
パラレルワールドだと思っていただけると助かります。



きっと何処かの世界で 外伝

 

 

ーちょっとした年明けをー

 

「今日で今年も終わり、か。」

カレンダーを見ながら僕は今年ももう終わりなのだと感じていた。

外を見れば少し雪が降っている。

少し背伸びをしたあと、自分の部屋から鍵を開け出てリビングに降りた。

 

そこには、僕らが住んでる家、≪鎮守府≫の家主である提督と他の皆(ほぼ全員)が大画面のテレビを楽しく見ていた。

 

僕らは身寄りのない孤児。

ここにいる子供たちは、家族との死別や捨てられた子供達ばかり。

中には中学生で捨てられたり、虐待を受け続け提督が実の親から引き取ったりした子もいた。

 

維持費等は、提督と、遺産相続した子供達が自らの意思でここ鎮守府の維持に当てている。

中には、大学を卒業してもここに住んで働き、ここに納めている子もいた。

 

悲しみを背負った皆ではあるが、互いに助け合い、寄り添い、そして乗り越えてきた。

まだまだトラウマを抱えている子もいるが、それでも来たときよりは大分マシになったほうだ。

 

僕は、両親と死別した身である。

当日小学2年生だった。

転生したことを自覚していた自分はすぐさまこの≪鎮守府(ここ)≫の提督に保護を求めた。

今世の両親はとても優しい両親でとても良い家族であったが交通事故で両親が死に、周りの親戚は金目当ての保護ばかり。

流石に、立場が小学生では色々不利だと思った僕は直ぐに調べ、ここ鎮守府に来た。

 

最初に来たときは、まぁ、その、色々ありはしたけど、今ではとても落ち着いてる。

 

「あら、五月雨ちゃん。珍しいわね。」

そう声をかけたのは、ここの食事担当の間宮さん。

「うん、一息入れてそのまま寝ようかなって。」

「それなら、皆でカウントダウンまで楽しめば良いのに。皆貴方と遊びたがっていますよ?」

そう言いつつ、今日の夜食を出してくれた。

多分、来るんだろうと思ったのだろう、カウンターに座って直ぐに出してくれた。

年越しそばだ。

「ありがとう、間宮さん。スッゴク美味しそう。」

 

いただきます。

 

そう言って、箸をつける。

 

 

ズズッ、

 

美味しい。

 

暖かく、優しい味。

 

僕が来たときもそう感じた、変わらない味。

間宮さんは、この鎮守府のはじめの頃に来た人だそうだ。この人は、両親からの虐待が原因。

体の至るところに消えない傷を残している。

来たばっかりのころは相当荒れていたとか。

今では、提督と共にこの鎮守府を支えている。

 

 

「美味しいね。」

「ふふ、それは良かった。」

 

「あー! 五月雨!」

後ろから、僕を呼ぶ声が聞こえた。

振り替えると、白露姉が此方に駆け寄ってきた。

「もう! 部屋に籠りっぱなしで全然来てくれないんだから!」

この鎮守府では面白い制度がある。

僕らには<姉妹>がいる。血が繋がっているわけではないけど、この鎮守府に来た月に同じように来た子達を集め、それを姉妹としている。

その月ごとにバラバラな為、姉妹が出来ない時もあるが、その際は前月の子達が色々と面倒を見たりする。

そう、白露姉は僕が来たときの月に最初に来た<長女>にあたる。

僕の姉妹は全員で10人。

僕は6人目。

長女の白露姉は、中学3年生。

僕は小学5年生だ。

「ごめんごめん。やっと全部終わったからさ。」

そう謝ると、白露姉は笑顔になり隣の椅子を近くに置いてそのまま抱き付くように座ってくる。

 

「ちょっと食べづらいよ、」

「だーめ、このまま食べて。」

こう言う白露姉は基本的に譲らない。

「汁かかっても知らないからね。」

「ふふん、一番乗り♪」

はぁ。

「感心しないね、白露。僕らもいるんだよ?」

また、後ろから声がかかる。次女の時雨姉だ。

因みに、時雨姉は白露姉と同い年で中学3年生。

「時雨姉、どうにかして。」

何故か時雨姉は白露姉とは反対に座り、同じように抱き付いてきた。

「・・・時雨姉?」

「僕も寂しかったんだよ?」

流石に冬休み入ってずっと部屋に籠ってたのは不味かったらしい。

まとめ役の時雨姉もこんな感じだ。

一度だけ、僕は家出をしたこともある。

ここ来た時の皆からの僕の印象は最悪だった。

ここでは、姉妹になる子供達や中学3年生以上の子供達には入ってくる子供の経緯を提督が教えることになっている。

理由は簡単。

色々と対策がしやすいと言うことと、同じ境遇の子供達ならばその心情を理解し、優しく接することができるから。

 

だが、僕の場合は初めてのケースだったそう。

小学2年生でありながら自ら助けを求め、あげく遺産は全て寄付すると言うのだ。

 

・・・一体誰の差し金だ、と。

 

 

 

正直薄気味悪い話だろう。

誰かに入れ知恵させられたのではないか、

若しくは、寄付と言う名の投資か、乗っ取りなのではないか。

当時、鎮守府は財政難で度々問題があった。

しかも、一部優良企業が土地の買い取りを交渉してきたのである。

 

そんな中、僕の話があった。

その財政難を簡単に払拭出来るほどのお金をもって。

 

まぁ、そう疑われても仕方はない。

個人的にはこっちの事情など知りはしなかったし、他の親戚達を抑えるのにも色々限界があった。

鎮守府に話を持ちかけたのは両親の葬式等が終わり親戚達が群がりはじめて1週間経った時だった。

学校も行き帰れば親戚が誰かしら会ってくる。そんな生活だった。

 

 

そんな中、提督は僕と会ってくれた。

「俺は、君を歓迎する。」

そう言ってくれた提督を見たとき、僕は心底安堵した。

もう、ああやって関わってくる奴はいない。

もう大丈夫だって。

その時だろうか、両親がなくなった時以来泣いたのは。

多分、自分では大丈夫だと思っていたけど、色々限界だったらしい。

一頻り泣いた後、提督に財産の譲渡手続き(と言っても個人的な物)やその他入居に関しての説明から入居日を決め、その日は別れた。

 

 

後日、僕は全てを終わらせ、鎮守府へと入居した。

 

 

 

でも、今度は次の問題が出てきた。

 

 

 

入居して1ヶ月。

姉達からの嫌がらせもあった。

大事なペンダントがなくなり、家出してまで探しに行った。

見つかったときは人目もふらずにわんわん泣いた。

首謀者の白露姉、夕立姉が謝ってきた時は思いっきり引っ叩いてやった。

でも、あれ以来白露姉達とは本当の姉妹のように接することができている。

何故か僕の印象も払拭されてた。

 

 

多分、提督が言ってくれたのだろう。

僕はただ知らないふりをして、提督が好きなプリンをドアノブにかけておいた。

 

手紙も入れておいたから大丈夫だろうと思う。

 

それ以来、僕は姉妹と一緒に遊びによく行く。

白露姉と時雨姉は去年から新聞配達のバイトをしている。次いでに部活も。

白露姉は陸上部、時雨姉はバスケ部。

バイト代は自分の部活の資金がほとんど。

鎮守府では何故か皆自主的にやっているそう。

バイトは中学生なら基本的にやるのはOK、大半は自分の部活の費用。

若しくは、鎮守府の為だったり、妹達のお小遣い稼ぎの為だったり色々。

それに強制は全くされてない、と言うのが凄いところ。

 

皆自主的にバイトをしている。

と言っても中学生の姉さん達皆新聞配達なのだけどね(笑)

 

そんな姉さん達を見て僕は、よく白露姉と時雨姉、中学2年生の夕立姉にはマッサージをしている。

因みに、夕立姉は時雨姉と一緒でバスケ部。

 

 

 

 

まぁ、話はそれたけど誰かこの状況助けてほしい。

 

「夕立姉、ちょっ助けてほしい。」

「ぽい? いいよ!」

夕立姉に助けを求めると満面の笑みを浮かべ、白露姉を無理やり引き剥がす。

「ちょっと夕立!」

「白露はここに座るっぽい!」

そう言って、白露姉を僕の後ろに座らせ、夕立姉は白露姉がいた場所に座った。

えっと・・・?

「夕立姉? えっとこれは?」

混乱する僕を余所に箸と器を取り、そのまま年越しそばを僕の口元に近づける。

「五月雨、あーん♪」

「うぇっ!?」

悪意があればまだ文句が言えるのだけど、夕立姉は基本的に善意でしてくれる。

「ゆ、夕立姉、それはいいよ、恥ずかしいし。」

少し顔が赤くなるのを自覚しつつ、やんわりと断った。

すると、目に見えてしょんぼりした夕立姉。

「いらないっぽい?」

そんな顔しないで! こっちの罪悪感がすごいから。

するとこれ見よがしに白露姉達が批判してくる。

「あーあ夕立、五月雨の為にしてあげたのに。」

「そうだよ、自分から頼んだのに断るの?」

誰のせいで頼んだと思ってる!

なんて言えるはずもなく、夕立姉にお願いする。

「夕立姉、ごめんなさい。やっぱり食べさせてほしい、な。」

「うん! はい、あーん♪」

「あー、んっ。・・・うん、美味しいよ。」

「ぽい♪」

恥ずかしい思いをしつつ、食事を終えた僕はそのまま姉さん達とテレビを一緒に見はじめる。

 

「皆、カウントダウンが始まるぞ。」

「今年1年、皆ありがとう。来年もよろしく頼むな。」

その言葉に、皆が思い思いの返事をする。

 

 

そんな中、僕は3人の姉さん達に感謝を述べる。

「姉さん達、来年もよろしくね。・・・大好きだよ。」

 

最後は、聞こえないように言ったんだけどさ、

 

「むふふ、五月雨がデレた!」

「そうだね、滅多に聞けないね。」

「もう1回言ってほしいっぽい!」

 

「い、いやだよ! ていうかこう言う時だけ聞き取るのは卑怯だよ! 普段聞いてないくせに!」

 

「むふふぅ~、五月雨もう1回言ってほしいなぁ。」

「僕も聞きたいかな、次は録音するね。」

「私も録音するっぽい!」

 

「僕はもう部屋に戻るか、ら! あ、しまった!」

2人が携帯を取り出したため、慌てて逃げようとした。

が、

 

「言うまで逃げられないよ~?」

さっきまでの自分を呪いつつ、この地獄から逃げ出すすべを探すのだった。

 

 

 

新年明けましておめでとう!

 

 

 

 

結局、今年の新しい1年の始まりは恥ずかしい事を言うことから始まった。

 

 

また、騒がしい1年になりそうだ。

こんな1年も良いかもしれないね。

 

 

良いお年を。




少々、力つきました。すみません。

新年明けましておめでとうございます。
皆様、よいお年を
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