すみません。
では本編を
最悪の二人 前編
照りつける太陽の光、反射して眩しい海。その中を12人の艦娘と1隻の大型艦が航海していた。
「現在位置は?」
「マラッカ海峡を抜けて、東シナ海を航行中。そろそろ香港ね。」
先頭の二人は周囲の警戒をしながらも会話をする。
その姿は歴戦の戦士そのものである。
全くの隙がないのだ。
「そう。なら、あの子にもそろそろ連絡してあげないとね。」
「ま、いいんじゃない? 間違いなく弛んでるでしょうけど。」
すると、片方の雰囲気が若干鋭くなった。
「その時は泣き叫ぶまで這いつくばらせるからいいわ。」
それを聞いたもう一人は、
「私もそれ参加して良い?」
「あんた、あいつの事になると容赦ないわね。」
「それ、あんたが言うの?」
そう言い合うと互いに、
「「あ?」」
にらみ合い始めた。
「まぁまぁ、五月雨ちゃんの話はそれくらいにして~、敵が来たわよ~。」
後ろから、間延びした声が響く。
「話はあとね。」
「そうね。まずは、会話の邪魔をした」
二人は同時装備の安全装置を解除し、速度を上げる。
「「 馬鹿《クソ》どもを蹴散らしましょうか。」」
仲の悪い二人には共通するものがある
それは装備の目立つ所に
"52"
の番号が刻まれていることだった。
ー呉鎮守府、艦娘寮にてー
目が、覚めた。
そう、目が覚めちゃった。なんだろう。
こう寒気?なんだろうか。とにかく嫌な予感しかない。
思わず周囲を見る。
・・・普通の自分の部屋だ。
「なんなんだろう。」
そう呟くのも仕方ないような気がする。
とりあえず、何時ものように運動用の服に着替え、外に出る。
外には、他の駆逐艦娘達が何人かいた。
朝潮に皐月、長月に菊月だ。
この四人は何時も朝練をしている。
皐月と朝潮はこの前改二となったのだが能力の一時的低下のため本調子ではないため、朝練をよくやるようになっていた。残りの二人はいつもやっている組だ。
四人と少し話した後、そのままいつもの周回コースを走り出しす。
一周ゆっくり走れば10分程度だが、大体6分から7分のペースで走る。このくらいじゃないと走った気がしない。
その後は、大体昔配属されていた鎮守府の何時ものメニューをこなし、体操をしてから部屋に戻る。
部屋には、昨日夜中に突然やってきて、
「あの・・・、一緒に寝てくれませんか?」
と涙目で頼まれ、そのまま一緒のベッドに寝ていた綾波がまだ寝ている。
来たときはずっとぐずっていたのだが、今は僕の枕を抱き枕にしているようだ。
そんな姿を見ながらゆっくりと風呂に行くための準備をした。
ー駆逐艦寮、風呂場ー
「あぁぁぁぁぁぁぁぁー・・・、生き返るー。」
浴槽へ使ってすぐそう言った。
呉鎮守府の各艦娘寮では、日常用のお風呂が設備されている。
入渠施設の圧迫を防ぐためだ。
はっきり言って僕が言う前は入渠施設しかなかったから提案したら即採用された。普通にびっくりした。
ただし、ただの風呂ではなかったりする。
一応入渠施設から少しだけ湯を分けてもらい、温泉のような効能がある。
実際には小さい傷や筋肉痛がすぐ直るくらいだ。
シャワーを浴び終わった僕はそのままぽけーっと天井を眺める。
すると、扉が開く音が聞こえ、そっちを見た。
どうやら朝潮達のようだ。
軽くお辞儀をされたから手を上げる。
うーむ、見事にフラットだな。(笑)
世の紳士達はこれを見て喜ぶのか。中々に理解できないね(笑)
この体になってからはあんまり気にしないが、愛宕や武蔵等と入るとさすがに見てしまうものだ。
因みに、武蔵は普通に触らせてくれた。愛宕はない。
涼風が言うには、人を駄目にするソファみたいとは言っていた。
武蔵? 武蔵は鍛えてるせいか弾力がある。しかもはりp・・・やめよう。サラシの先は桃源郷だったのさ。
それでみれば駆逐艦は平和だ。たまにデストロイヤーがいるけどね。浜風とか潮ちゃんとかねぇ・・・。
朝潮達を堪能?しつつさっさと風呂から出た。
着替えた後はのんびり部屋へ戻っていく。
そろそろ、起きる時間だから綾波も起きてるだろうし。
そう思って、普通に扉を開けた。
「綾波、そろそろ起床だ、ぞ・・・?」
「すぅ・・・、すぅ・・・。」
「まだ寝てるよ。起こすか。」
ゆっくり洗濯物を籠に入れた後、ベッドのお姫様に近づく。
「んぅ・・・。」
「気持ちよさそうに寝てるね。おーい、綾波ー」
そう言いながら、肩をたたく。だが、
「あと、5分だけ・・・」
「いいからおきろー。」
そう言って顔を軽くたたく。すると、嫌々ながらも
眩しそうに目を開けた。
「さみだれ、さん?」
「おはよう、お姫様。」
そう言って軽く頬にキスをしてやる。
こうするとだいたい飛び上がる、ほら、こんな感じで
「さささ、さみだれさん!?!?!??!!!?」
布団を乱暴に飛ばし、若干仰け反るように離れた。
顔真っ赤で可愛いね。
「寝ぼけてるから起こしただけだけど?」
そうとぼけてみせる。
「い、いや、だ、だだっだだってさっきき、きききキスを・・・!?」
ぷしゅーーーーーーー
湯気が顔全体から吹き出たあと、後ろに倒れようとする。
「危ない!」
ベッドから落ちそうになる綾波を引き寄せ、そのまま横抱きにする。
「あぅ・・・、」
そう言って気を失った。
「いやー、面白いね。」
ちょっと、笑ってしまった。
ー昼、鎮守府内会議室内にてー
「皆、よく集まってくれた。」
そこには、戦艦から駆逐艦の代表者達が一同に集まっていた。
本来集まる時は、毎月2回の定例会議と緊急時の非常呼集だけであった。が今回はそのどちらでもなかった。
「提督、今回は何の会議なのだ?」
戦艦代表者、長門さんが手をあげながら聞く。
「うむ、今回は五月雨さんをはじめ、由良さん、鬼怒さん、鳳翔さん、一航戦の2名の方の所属鎮守府である"第52鎮守府"本隊が現在ヨーロッパから帰還中だそうだ。」
由良さん達はまぁ、とちょっと驚いていた。一航戦の青い方は、また五月蝿くなるわね。と頭を抱えていた。
が、だ・・・、1つだけ気になる事が出た。
「・・・因みに今どの辺進んでるの?」
食い入るように僕は聞いてみた。
「現在、52鎮守府先遣隊と呼称中の艦隊が12隻の艦娘と強襲型高速巡洋戦艦'三笠'が今台湾を抜け東シナ海を航海中です。」
焦るな、まだ、まだ大丈夫だ。
まだ、あの二人がいると決まった訳じゃななない。
そう。そうだ、な、なな何を焦っているんだ僕は。
「・・・艦隊の編成は?」
「うん? ええと、一応高速戦艦は比叡、霧島、そして大和の3名、空母は5航戦の2名と軽空母の瑞鳳、祥鳳の2名。それと重巡洋艦の愛宕と軽巡洋艦の五十鈴、重雷装巡洋艦の木曾。それと駆逐艦、」
早く早く、大和とかめんどい奴いるけど他はまだ良心的過ぎて嬉しいしか感想がない。
それよりも、僕が前所属していた第52鎮守府の中でもめんどくさいのが駆逐艦で二人もいる。
1人は母ともう1人姉という愛称で呼ばれている2人だ。
・・・もっとも僕にはひじょーーーーーーーーに
めんどくせーーーーーーーー2人でしかないが。
さぁ、早くその2人の名前はやめてくれ。
そうでなければ、今すぐに部屋を片付けねばならんからな!
「駆逐艦は、
曙と霞の2名、
以上12名が現在52鎮守府先遣隊として帰還中です。」
oh・・・、神は死んだのだ。
ってヤヴァーーーーーーーーーーーーイ!!!!
部屋が、部屋が、荒らされちゃう!!
パソコンの保存データ消されちゃう!!!
とりあえず、周りの静止など気にせず部屋へダッシュで帰った。
ー五月雨がいなくなった後の会議室ー
「・・・ついにイったんですか?」
思わずそういった私は悪くないと思う。
「あはははは・・・、なんというか。」
そう由良さんは頬をかく。隣の鬼怒は苦笑いしていた。
「今の発表したメンバーの中に五月雨さんが苦手な艦娘がいるんですか?」
「まぁ、そうなりますね。」
とお茶を啜る加賀さん。
「相手は善意というか好意というかそういう感じでやってるんですけどね。」
と赤城さん。
「五月雨さんもわかってはいるんですけど、ちょっと厳しすぎて・・・。」
そう言いながら、鳳翔さんは顔に手をあてる。
「何かあったんですか?」
「その・・・霞ちゃんと曙ちゃんは1人は駆逐艦娘の長、もうう1人はほぼ最初期からの秘書艦を努めてたんだけどさ。」
鬼怒さんの説明に由良さんが続ける。
「五月雨ちゃんは後からきたドロップ艦なの、でも」
と次は加賀が続けた。
「どうやらあの子はドロップしてから2、3年程1人で生活していたみたいでドロップした時にはすでに改装されていたわ。」
「えっ!?」
基本的にドロップしたての艦娘はまったく練度がない。
これは、船から人へ変化したために全く違う者になったからだ。その為ドロップしたばかりの艦娘は曳航してもらわなければ動くことすらままならない。
「・・・正直、私達の鎮守府でも異常と言われてます。しかもドロップした時の装備も改装備ではなく、5連装酸素魚雷に高射装置付きの10cm連装高角砲、機銃の集中配備を装備していたわ。」
「・・・どこの鎮守府でも欲しがってる代物じゃないですか。」
と私は頭を抱える。そんな装備をした艦娘を保護できるなんて。正直、羨ましい。
「後はドラム缶で持ってきてた奴とかも凄かったわね。」
「確かに、それに艦娘じゃなくて大発と内火艇を5隻随伴させてましたね。」
と加賀さんの言葉に由良さんがのっかる。
ただ、と赤城さんはこう続けた。
「彼女はいい意味でも悪い意味でも異常過ぎた。だから、あの二人が必要以上に介入してるんです。」
なぜか、ただならぬ雰囲気になった私は話を打ち切ることにした。
「・・・これ以上聞いたら話が進まなくなりますのでやめましょう。自分から言っといてなんですけど。
早速、話を続けますね。」
「到着予定日は今日の昼と思われます。ただ一足先に駆逐艦の2名はこちらに到着していますので、誰か五月雨さんに連絡をお願いします。」
すると、52鎮守府のメンバーは口を揃えてこう言った。
「五月雨(ちゃん)、お疲れ様。」
と・・・。
ー駆逐艦娘寮にてー
「はぁ、はぁ、Cドラ、C、ど・・・らっ!! 」
そんな事を呟きながら部屋に急ぐ。
最悪の事態だけは、嫁を消されるのだけは!
絶対に! どんなことがあっても!
阻止しなければ!
「あと、・・・ちょっと!」
この角曲がって少しすればゴールだ!
よし、扉を開けて、!
バァァン!
と大きな音をたてつつ中に入った。
だが、1人先客が・・・いた。
「まったく、うるさいわね。もうちょっと静かに入れないのかしら?」
そこにはパソコンを操作する艦娘が1人。
「なんで、おるん?」
自分の声が震えてる。
その人物はこの世で一番と言っても過言ではないほどに会いたくない奴の1人。
「通知したでしょ? 帰ってくるって。」
「ちょっと待って、聞いたのまだ東シナ海って、」
「それは昨日の途中経過よ。昼には到着すると伝えたわ。」
それ、事前通告じゃないよ・・・。だって今昼だもん。
「それ押しかけだし・・・。昔の開戦する日本ですか?あなたは。」
「あ、あんたのパソコンの中は『健全』にしておいたわ。感謝しなさい。」
「いや、聞けよっ、・・・ってマジ?」
椅子を回転させ、此方を向く艦娘、霞。
「マジよ。」
「ウソだろおい。」(震え声)
「あんたは、ホントに懲りないわね。」
「僕の趣味なんだから当たり前だろ!」
そう言って、パソコンの前に行こうとした。
けど、後ろから羽交い締めを受けた。
このやり方・・・、
「離せ曙!」
「い・や・よ。」
そう返答したのは、以前より艶かしい表情をする
曙だった。
後編へ。
一部文章を変更しました。
榛名→比叡
強襲型高速揚陸巡洋戦艦→強襲型高速巡洋戦艦