ジト目の五月雨さん   作:旅猫AIくん

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後日談です。
色々説明していこうと思います。

結構設定が甘いです。ご了承下さい。


最悪の二人 後日談

 

 

 

ー霞視点ー

 

 

 

 

 

あの後、涼風は脅威に感じた。

リミッター解除状態の五月雨に、某格闘ゲームの格闘家の妹のようなコンボでボコボコにしていった。

あれは、こわいわね・・・。

 

「涼風、ちょうアッパー!」

 

だの

 

「飛○鳳凰脚!」

 

だの

 

「極○流奥義!」

 

だの

 

ホントに五月雨が可哀想だった。

 

 

一方的という言葉がこれでもかと言うくらいに当てはまるやられ方だった。

 

途中、五月雨が正気に戻ったのか、

 

「す、涼風! や、やめっ、ぶふっ!?」

 

と悲鳴をあげていたのだが、お構い無しだった。

あの状態の五月雨があんな風にやられているのははじめてだった。

 

因みに、今五月雨は、私の目の前にいる。

涼風に拘束された状態で・・・。

ギリギリッ、

「痛い痛い痛い!!!! 涼風痛いよ!!!」

 

「だめ、今日という今日は反省しなさい。」

「抵抗しないからぁ・・・。痛いよぉ。」

少し涙目の五月雨だったが、涼風には効果がないようだった。哀れ

まぁ、五月雨のかわi・・・いや、可哀想な姿を見たところで懐からあるものを取り出した。

「さぁ、五月雨。これを見なさい。それと、涼風さんは力を緩めて。」

取り出した物は、紐にぶら下がった五円。

「なにさ霞。これ見れば良いの?」

そう言って五円を見る五月雨。

「そうよ。ずっと見ながら私の話を聞きなさい。」

そう言って五円を振り子のように振りはじめた。

「さぁ、五月雨。今はリラックスしながらこの五円を見なさい。 大丈夫。すぐにリラックスするわ。」

「・・・・・・・・・うん。」

そしてゆっくり語りかける。

「涼風さん。離していいわよ。」

するとゆっくり、五月雨を解放する涼風。

そのまま、後ろから離れる。

五月雨はもう催眠術にはまっているようだ。

「五月雨? 今日は何をしたの?」

「今日は、霞と曙と一緒に演習したよ。」

ゆっくりと振るスピードを落とす。

「それで? あなたはどうしたの?」

「僕は、航空機の囮役でそのまま引き寄せて、それから霞から受けた通信でイラついて航空機に八つ当たりしてた。」

「そう・・・。因みに霞からは何を聞いたの?」

目の前に霞がいるのにも関わらず、本音を言いはじめた。すでに、目は虚ろでボーッとしている。

「僕、鎮守府では使えない子なんだ。だから『つかだれちゃん』って言われてて、それ言われた。」

「・・・その後は?」

自分で言っておいてなんだが、中々に心が痛くなる。

昔の、この子に会う前の私は何一つそんな事思いはしなかったのに・・・。

「むしゃくしゃして、妖精さんに八つ当たりした。どうせ、すぐ復活するし。」

すると、部屋に数人入ってきた。1人は呉鎮守府の司令官、橘 弦(たちばな ゆずる)中将と、もう1人は52鎮守府の司令官、音星 湊(おとぼし みなと)特務中将とそれぞれの秘書艦、重巡の那智と52鎮守府は戦艦の霧島だった。涼風はあわてて敬礼をしていた。

音星司令官は私の方を見ると頷き、そのまま続けるように指示をする。

「それで? その後は?」

「その後は、曙が来て、霞が来て・・・。涼風にイジメられた。」

「そう。ありがとう。 木曾、記録終わった?」

私の隣で今までの会話を記録していた木曾に聞く。

「ああ、問題ない。」

言葉を聞いて音星司令官に敬礼しながら報告する。

「そう。司令聴取終わりました。上書き内容はいかがしますか?」

「ふむ。では、5()2()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という事にしておこう。その際、メンバーは五月雨と愛宕、木曾の3名だ。合流地点は、奄美大島近海、船団護衛のメンバーは、金剛、阿武隈、名取、千歳と千代田の5名だ。」

「わかりました。」

その後も順調に催眠術をかけ、全てが終わったのはそれから2時間後だった。

今現在、五月雨は私の膝上に頭を乗せて寝ている。

あと4時間は絶対起きない。

ゆったりした時間が過ぎていたが、

「あの、霞さん。」

涼風が話を切り出してきた。

そろそろ五月雨の事や他の事を説明しなければならないようだ。

「そうね、貴女と橘中将、那智には説明しましょうか。司令官?」

「ふむ、そうだね。橘君には五月雨を預かってくれた恩もある。説明しようか。五月雨の今の状態と52鎮守府について。」

司令官はゆっくりと話はじめた。

「まずは52鎮守府から話そうかな。橘君、君はうちの鎮守府をどこまで知っているかな?」

橘中将は、思い出すようにして

「そうですね。正直、大本営の最精鋭第1艦隊ですら第4艦隊に手も足もでず、配属される基準が全く不明、また数々の大規模作戦にも必ず参加しその戦果と名誉は大本営以上とも言われている位ですね。」

最後に音星司令をみた。

「なるほど、では、涼風君はなにか他に聞いたことは?」

「ふぇっ!? あ、ああ、ええと、その~、表向きには全く出てこない鎮守府で、2年前に海外へ主力と整備スタッフを遠征させてたってことしか知らないです。」

急に当てられ動揺しながらもしっかり答える涼風。

「ふむ。」

どうやら、音星司令官は私と同じ考えのようだ。

「霞、」

「分かってる。 そうね、正直ここまで()()()()()()()()しか知らないと言うのも面白いわね。」

「表向き?」

そう涼風は聞き返す。

「そうよ。まぁ、まず52鎮守府の生い立ちから始めましょうか。」

少し間をあけて話始める。

「52鎮守府の正式名称は第52特殊戦術教導鎮守府。その名の通り、艦隊戦術を作る目的で設立されたわ。創設時のメンバーは、音星司令と私、()()、木曾、赤城、鳥海、霧島の7名ね。」

「え、涼風がいたんですか?」

驚いた様子で橘中将は聞いてきた。

「ええ、いたわ。まぁ、それは後で話すわ。」

妖精さんが水を持ってきた。

私はそれを受け取るとすこし喉を潤した。

「続けるわね。創設時は正直通常艦隊陣形なんてとっくの昔にできていたわ。今さら作る必要もなかったのよ。けど、それは表向きの話よ。」

一息入れて話を続けた。

 

 

 

 

 

 

「本当の目的は、普通とは違う艦娘、犯罪歴有の艦娘達の収容と監視、もしくは戦場で轟沈させる事が本来の目的で創設したのよ。」

 

 

 

 

そこにいた橘中将と涼風は唖然としていた。

復帰したのは橘中将、

「その、前者はともかく犯罪歴有の艦娘達は別の意味で解体させるという事ですか?」

今度は司令が答える。その間に私は水を飲みつつ、五月雨を優しくなでる。ああ、本当に愛しいわね・・・。

「上の思惑はね。まぁ、比較的軽い罪だけじゃあうちにはこないよ。そんなのは自分達で処理できるでしょ?結構重罰で戦闘能力も異常な強さじゃないとうちへの転属命令はでないかな。」

「・・・失礼ですが、どの程度の重い罪を犯してるんです?」

控えめに橘中将は聞いてきた。

「ふむ。正直明かされたくない娘もいるから名前は控えるよ。今の所、人を虐殺した娘、提督を殺した娘、姉妹を殺した娘、味方の艦隊を盾がわりにして生き残った娘・・・。大体はこれだけだね。」

聞いた2人は言葉を失っていた。

それもそうだろう。守るべきものを殺し、上官ですら手にかけている艦娘が同じ仲間にいるのだ。通常ではあり得なさすぎる。

「・・・その、」

「因みに言うけど、彼女達のせいじゃないわ。表向きには罪人扱いだけどね。」

一応彼女達の名誉の為には言うが殺したくて殺したわけではない。何かしらの復讐や報復である。

・・・中には本当に自分からやった艦娘もいることはいるが。

虐殺した艦娘は、仲間を目の前で複数人から嬲り殺しにあったための復讐であり、提督を殺した艦娘はブラック鎮守府だったそうだ。味方を盾にしたのは苛め続ける艦娘達から逃げるついでに轟沈させたという。

「まぁ、色々な理由でそう言った無実の罪を背負わされてる娘達がほとんどだね。中には本当に自分からやった子もいるけど。」

「・・・そうなんですね。では、もう一つの理由はどういう事なんです?」

 

 

そう、ここからがこの鎮守府創設の最大の理由と言っても過言ではない。

 

 

「とりあえずあなたたちはうちの曙を見てどう思うかしら?」

「曙さんですか? ・・・そうですね、一言で言うなら妖艶というかこう色気がすごいですよね。」

少々、頬を染めつつ話す橘中将。

それをじとっと、秘書艦の那智が睨む。

体をピンっとはった中将を尻目に説明する。

「曙だけじゃないけど、うちの艦娘達は通常の個体、すなわちどこでも見かける艦娘達とは明らかに性格や行動パターンが違うわ。しかも、」

喉が渇いたので、区切りをつけ水を飲む。

「戦闘能力が通常個体より遥かに強いわ。実際、うちの夕立は大本営の夕立を秒殺したわね。こんな感じで。面白かったわ。」

身ぶりでフックをする。すると司令が話を進めはじめた。

「他にも、タービン系装備のみの素手だけで倒したりする艦娘もいるけど、総じて言えるのは性格や戦闘スタイル、容姿や雰囲気まで全て若しくは何れかが異常・イレギュラーな存在だってことだね。」

「うちの鎮守府の実態はこんな感じかしら。質問ある?」

「52鎮守府の艦娘達の戦闘能力はどのくらいですか?」

「最低戦力の艦娘で改flagship有りの水上打撃艦隊は単艦で足止めできるね。エリートは間違いなく3個艦隊は殲滅できるよ。」

そう司令が答えると、中将が頭を抱えていた。

小声で「1人欲しい・・・。」と呟いていたけどそんな簡単に手綱を引ける子達ではない。

一息入れた後、涼風が気になっているこの子の話をしようと思う。

「じゃあ、貴女が聞きたいこの子の話をしようかしらね。」

そう言って、彼女・五月雨を見る。まだ夢の中のようで気持ち良さそうに寝ている。

頭を撫でると気持ち良さそうな表情をした。可愛いわね。

「五月雨はホントに使えないんですか?」

意を決した涼風はそう聞いてきた。

「いいや? 全然使えるよ。()()()()ね。」

「単艦で戦闘するならうちの鎮守府じゃ勝てる艦娘はいないわ。」

「えっ、じゃあ、どうしてあんな事を?」

少し困ったように司令は答える。

「うーん、確かに単艦では強いんだよ? ただね、この子は艦隊行動が全く出来ないんだ。」

「艦隊陣形が組めないんですか?」

「そう、簡単に言えば人に合わせられないのさ。実際、味方と行動すればあの大鳳より被弾するし、砲撃すら当てられない。」

「おまけに、味方から誤射されるわ。敵と勘違いされるほどよ。私も一度そうなったわ。」

この子には謝ることばかりだ・・・。思わずため息がでた。

「遊撃、奇襲なら単艦でもできるからね。その点ではこの子は優秀よ。夕立や江風、あの夜戦バカですらこの子から教えてもらってるくらいなんだから。」

「ですが、単艦でも強いなら実際で使えないわけではないんじゃ?」

「・・・涼風がいたって言いましたけど、その涼風さんが関係してるんですか?」

涼風はかなり勘がいいわね。司令も一目おくように彼女を見ていた。

「そうよ。この子は涼風を殺したのよ。」

私と司令、霧島、木曾以外が固まった。

「ウソ・・・ですよね?」

信じられないという顔で聞いてきた涼風に信じられない事実を突きつける。

「いいえ、この子は涼風を殺したわ。戦闘中五月雨は突如として暴走したわ。」

「暴走?」

「今回のような事態が起きた、と?」

「そうよ。事の始まりは南方海域だったのよ。それもサーモン海域。」

サーモン海域・・・。それは南方海域でもかなりの難関と言われた場所で主要鎮守府ですらあまり進軍しない場所だった。

「そこで、五月雨は単艦で遊撃作戦を展開していたわ。そこにレ級と交戦したのよ。」

「単艦でですか!?」

「そうよ。私達は敵艦隊の本隊と真正面から激突してたんだけどね。途中この子の呻き声が聞こえたの。皆ゾッとしてたわ。全然決着ついてなかったから救援にも行けない。皆絶望的だった。」

思い出すだけでも震え上がる。

「でもね、暫くしたら此方に来たのよ。そこからは皆安心して戦えると思ってたわ。・・・そう思っていた。」

 

『待つっぽい!? もう敵はいないっぽい!?』

 

 

『五月雨! やめて!』

 

 

『駄目よ! 涼風!』

 

 

『あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!!!!』

 

 

『すずかぜっ!?』

 

 

目を瞑る私を見て助け船を出してくれたのだろう。

司令官が続けてくれた。

「戦線に到着した途端、五月雨は敵味方関係なしに戦闘を開始したんだ。そりゃあ、大暴れだったよ。こっちは連合艦隊組んでるのに約半数が中破、一部大破してるし、深海棲艦はほぼ全滅して撤退。後は、止めるだけだった。」

憎くないわけじゃない。正直ずっといた涼風を殺した時は怒りと憎しみがあった。今のこの状態でも憎らしく思う時がある。

「だが、五月雨の戦闘能力は予想以上だった。艦隊の最精鋭の編成であるにも関わらず、完全に抑えられない上に徐々に追い詰められたんだ。」

「追い詰められた私達は一つの決断をしたの。」

食い付くように涼風が聞いてきた。

「轟沈させようとしたんですか?」

「そうよ。どう考えても、この私達が抑えられない相手なのよ? それに当時海域はまだ深海棲艦側に制海権を取られてたわ。」

話してて胸が痛くなる。

 

 

「司令が五月雨を轟沈させる命令を出した時、涼風だけが反対し、五月雨に近づいたのよ。」

 

 

 

 

『五月雨! もうやめて! 私達は敵じゃない!』

『あ"あ"あ"あ"! 僕に指図するなあああっ!』

 

「涼風が抱きしめて、暴れる五月雨をあやすように頭を撫で続けた結果止まりはした。けどね、そこにレ級・・・五月雨が遭遇したレ級が出現した。」

 

『ダめジャなイか。ちゃんト言うコト聞かないトー。』

『うあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!!!!』

『っ! 全艦レ級に攻撃しろ!』

 

「私達はレ級と交戦を開始、それと同時に五月雨は暴走を再びはじめ、涼風はそのまま腕で腹部を突き刺され轟沈したわ。」

 

 

ブシュッ

 

『あ、ああ、さ、五月雨・・・?』

 

『あ、え? す、ず、かぜ? なんで? 僕は・・・いったい?』

 

『すずかぜぇぇぇぇぇ!! 』

 

『うわあああああああああぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!!!!!!』

 

 

「気づけば、レ級はいなくなり放心してる五月雨と息絶えてる涼風を助けようとする霞をなんとか曳航したんだ。」

 

あの時は酷かったと霧島と木曾も頷きながらしみじみ呟いていた。

 

「その後、鎮守府に帰ったけど五月雨は営倉で監禁。

聴取をしようとしたんだけど廃人になりかけの上に記憶障害を起こしたわ。」

木曾がその後を続ける。

「ついでに、度々暴走して大変だったぜ。まぁ、涼風の形見だった腰に着けてる通信機を見せて収めてたんだが、五月雨は精神的にギリギリだった。だからよ。」

私が五円玉を吊るした道具を見せる。

「定期的な催眠術をかけることにした。ついでにカウンセラーもな。」

木曾はそのまま椅子にもたれ掛かった。

「まぁ、この話は終わりにしようか。涼風ちゃん。この子の過去を知ってショックだろうけど、どうか嫌いにならないで欲しい。」

そう言って司令は頭を下げた。

その時、私達も一緒に頭を下げたのだった。

 

 

 

 

 

ー涼風ー

 

 

「・・・。」

視線の先には、五月雨と霞さんがいた。

≪どうか嫌いにならないで欲しい。≫

あの音星特務中将、霞さん達も頭を下げてお願いされた。

 

 

 

<彼女は仲間を殺した。>

 

 

 

それが頭に駆け巡っていた。

 

そして、その後に聞いた話・・・。

 

 

≪この子がうちの鎮守府にいるのか理由は知ってる?≫

 

≪最初に聞いてるんでしょ? この子が単独で3年間近くサバイバル生活していたこと。≫

 

≪どうも、深海棲艦と生活していたみたいなの。≫

 

≪それが、私達が交戦したレ級の可能性が高いわ。≫

 

≪それに、この子と妖精さんは何も言わないけど、≫

 

どちらも気持ち良さそうに寝ている。

あたしはそのまま二人に近づいた。

 

「五月雨・・・。」

 

優しく顔をなでた。くすぐったそうに顔を動かす五月雨。

 

「私は、どんな時でも五月雨の味方だからね。」

 

 

 

つづく。




いかがでしたでしょうか。
次は外伝か人物設定を書きます。
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