過去編はもう一度書き直しさせていただきます。
では、本編を
居酒屋。そこは、大人たちの数少ない愚痴をこぼせる場の一つであり、仕事を限定的ではあるが忘れることが出来る場所である。
僕達艦娘にも専用の居酒屋がある。
居酒屋鳳翔。
そこは、艦娘がただ唯一の憩いの場であり、戦争中であるということを忘れることが出来る場所である。
午前4時 食堂
「鳳翔さん。」
鎮守府の厨房にいた鳳翔に声をかける。
「あら、五月雨ちゃん。どうかしたの?」
ちょうど、汁物の様子を見ていた鳳翔は蓋をしてこちらに来た。
「買い出しはいつ行くの?」
カウンター席に座り、奥から出てきた鳳翔に聞く。
「そうですね、この汁物が終わったら行きましょうか。」
「わかったー。」
そう言うと、若干背の高い椅子から降り、そのまま部屋に帰った。
そう、僕は居酒屋鳳翔の店員として働いている。
居酒屋鳳翔は鳳翔と僕、そして最近は涼風も一緒に働いている。
「涼風ー、そろそろ買い出しだよー」
買い出しはいつも火曜日と木曜日、そして日曜日の朝5時のみである。相手は艦娘相手に行うことが多い。
たまーに、呉の司令が飲みに来るが。
ただ、もう一度言うが相手は艦娘がほとんどだ。
そう、量が異常に多い。そのため、買い出しとは言っているものの、中型の冷凍コンテナ付きのトラックで向かう。
何時ものように、涼風を起こしトラックの機能点検をしてトラックの運転席に座って待つ。
しばらくすると涼風が目を擦りながら助手席に座る。
「おはよう、五月雨・・・。」
何時もの活気さがなく、まだ寝ぼけてるよう。
「涼風、コーヒー置いてるから飲みなよ。」
うん・・・、とゆっくりコーヒーを飲む。
すると、鳳翔が入ってくる。
「お待たせしました。」
「おはよーぅ鳳翔さぁん・・・。」
座ったのを確認した涼風は、そのまま鳳翔さんの肩に頭を乗せる。
「じゃあ、出発するね。」
ゆっくり、アクセルを踏みながら出発した。
ー鎮守府近くの港町ー
「お、鳳翔さんじゃねぇか。いつも早いねぇ!」
何時もの所に車を止め、行きつけの漁師のところへ行く。
「いえいえ、源さんの所は早ければ早い方が新鮮ですから。」
「ははは、そう言ってくれると嬉しいねぇ、よし、何時もの仕入れ品に追加でブリを3匹追加だ!」
源さんこと、源蔵さんは、3匹のブリを箱詰めして持っていってくれる。
「何時もすいません。こんなに貰ってしまって。」
「何言ってんだ、毎朝三人で来てくれてんだ。まけとかねぇとな!」
そう言って豪快に笑ってくれる源さん。
トラックへ荷物をいれた後は、また別の場所へ。
次は、野菜市場だ。
ここも行きつけの場所へ向かう。
「あら、鳳翔ちゃん今日も早いわねぇ。」
何時ものように椅子に座りながらお茶を飲んでいるおばあちゃん。フミばあちゃんだ。因みに源さんとは夫婦である。
「おはよう、フミばあちゃん。今日は何飲んでるの?」
フミばあちゃんは、必ず湯飲みを持っているのだが、毎回その中身が違う。この前は、紅茶。その前は、ウォッカ等々中々にはちゃめちゃな人だ。
「今日はねぇ、スピリタスよー。」
このばあちゃん、相変わらずすげぇな。
スピリタス飲んで普通な顔してやがる。(戦慄)
「まぁ、ほどほどにねー。」
「ありがとう、五月雨ちゃん。あと、何時もの所に置いてるわ。確認して頂戴。」
「うん、ありがとう。じゃあ、確認するね。」
そう言って、僕はそのまま仕入れ品を確認しに向かった。
ー鎮守府、鳳翔さんのお店ー
確認も終わり、荷物を積み込んだ後、そのまま鎮守府への帰路についた。
「今日もいっぱいもらっちゃったねー、鳳翔さん。」
「こんなに貰って申し訳ないです。」
「そこは鳳翔さんの人徳ってやつだよ。」
そんな無駄話に花を咲かせながら、鎮守府へとつく。
因みにトラックは、居酒屋の隣の駐車場に停めている。
「今日は、なに作るんですか?」
「今日はお魚がいっぱいあるから刺身と焼き魚、それと・・・。」
こうして、僕達三人の準備は続いていく。
・
・
・
午後7時。店には既に何人か来店していた。
「鳳翔さーん、ブリの刺身と鳥の軟骨唐揚げ二つずつ追加ー。」
「はーい。ただいまー!」
そう言って、早速作業に入る鳳翔さん。
「五月雨、隼鷹さんに刺身と焼き魚お願い。」
「ほいよー。」
受け取った僕はそのまま、隼鷹の所に行く。どうやら千歳と飲みに来ているようだ。
「隼鷹ー、刺身と焼き魚だよー。」
そう言って、皿をテーブルに置く。
「ありがとう、五月雨さん。」
「ほら、五月雨も飲めよー。(酔)」
そう言いながら隼鷹が近づいてきたため、
「今仕事中だし!」
早足で逃げた。絡まれるとめんどうだからね。
「五月雨さん、良ければ鶏皮を5本豚バラを10本追加してくれないかしら。」
「はーい、ちょっとまっててね高雄さん。涼風ー!」
今日も中々に大変そうだ。
時間が経つ毎に店は人が増える。
既に重巡以上の常連は揃っていた。
「はぁ、提督が最近冷たい・・・。嫌われちゃったかな。」
「そんな事ないよ。ただちょっとマンネリ化してるんじゃない?」
「どうすれば良いのでしょう・・・。」
大和は、最近提督とケッコンカッコカリをした。そのせいか、最近ノロケ話が増えた気がする。
酒を飲むと、性格が豹変することが多い。
例えば、こんな戦艦みたいに、
「あー、さみだれ~。ちょっとだけでいいから抱きめさせてくれー」
「いいよー、ほいっ、」
そう言って、廃材予定の鉄屑を長門に渡す。
すると、キャッチするようにホールドし潰した。
一応、重巡位の強度だったんだけどなー・・・。
「ああ、さみだれなんか冷たいぞ私が温めてやろう。」
「はいはーい、暖かい暖かい。」
ますますぺしゃんこになる鉄屑を抱き締める長門を放置し、他の所をまわる。
「はぁ、暑いわねー。」
「ばか、はしたないわよ愛宕!」
服を脱ぎ始める愛宕とそれ注意する姉の高雄。
「うふふふふー」
そして、何故か対面には微笑む千歳がいる。
「笑ってないでなにか言ってよ千歳。」
「私も脱いじゃおうかしら。」
「貴方まで!?」
まぁ、ここは高雄に任せよう。というか愛宕君ちょーでかいね。一回触ってみようかな。
そんな下らない事を考えながら見回ると、
「五月雨さん、注文いいかな?」
「何が良いの川内。おや、神通に由良さんまで。」
「どうもです。五月雨さん」
「川内に誘われちゃった。」
軽くお辞儀をする二人。
「えっとねー、とりあえず焼き鳥ランダムで20!」
「はーい。ランダムで20ねー、じゃあ、ちょっとまっててね。」
そして僕は、鳳翔さんの所に向かった。
もう閉店なのだが、大体飲みすぎて帰れない奴らが多い。そのため、迎えに来てもらっている。
「ふへへっへへへ、さみだれー、お前も飲めよー。」
そう言いながら迫る隼鷹。
「だから仕事中だし!」
酔っぱらいをそのまま近くの席に座らせる。
すると、出入口の扉が開いた。
「すみませーん、姉さん引き取りに来ました。」
「あ、むっちゃん。長門はあそこだから。」
「あらあら、また飲めもしないのに懲りないわね。」
「むっちゃんと飲めるようになりたいらしいよ」
そう話終わるとそのまま、長門を引き取っていく。
「ありがとうございましたー。」
陸奥を見送ったあと、後ろから抱きつかれた。
「五月雨ちゃん、」
「何、千歳って、酒くさっ。何杯飲んだの?」
いわゆる、なろ抱きって奴なんだろうがそれよりも酒の匂いがひどい。
「ウォッカを2本と焼酎8本かなー。」
飲みすぎだろコイツ・・・。
「とりあえず、千代田が来るから座ってなよ。」
「五月雨ちゃんが連れてってほしいかなー。」
「はいはい、じゃあ、いきますよお嬢様。」
そう言って千歳を席につれていく。
程なくして、千代田がやって来た。
「もうお姉ったら、早く帰るよ!」と小言を言いながら連れて帰っていく。その間千歳はまた始まった、と苦笑していたが。
その他にも、飛鷹に瑞鶴、重巡達がそれぞれの姉妹を連れて帰った。
がらりとした居酒屋は、残った店員で片付けていく。
「五月雨ちゃん、涼風ちゃん今日もありがとう。また明日もお願いね。」
そう言って、カウンターに座る僕達にデザートをくれる。
「ありがとう、鳳翔さん。このくらいお安いごようさ
。」
「そうそう、遠慮なく頼ってよ。」
閉店したお店では、従業員達の囁きがゆっくりと流れていく。
僕らからすればこれが1日の締めくくりのような物なんだ。
さぁ、明日も頑張ろうっと。
続く。
遅くなってすみません。(/´△`\)
あと1話年内出来ればと思っています。