2015/11/28:連載に変更につきサブタイトル変更
絶望を超えし蒼穹(そら)と勇気ある花たち【お試し】
―――こことは違う場所、自らが住む楽園と呼ばれる島、そして世界を守った2人の少年。
その代償はあまりにも多く、楽園へ還ることはできたがその世界からいなくなった。
そして、異世界と呼ばれる場所にその存在を移した。
そこで出会うのはその世界の神に選ばれ、絶望に相対する勇気ある少女たちの戦い。
それを知った少年たちは抗う決意をする。運命に抗うことで掴める希望を知っているのだから。
君たちは知るだろう。
これから語るのは本来なら交わりもせず記されることもない物語を―――
―――昔、ある所に勇者たちがいました。勇者は人々に嫌がらせを続ける魔王に説得するために旅を続けています。
ある時、勇者は旅の途中で、ある2人の少年と出会いました。気が付いたらここにいたという彼らでしたが、勇者はそれを気にせず受け入れました。
2人はかつて『楽園』と言われる場所を守り、戦い抜きその命の限りを尽くした別世界の勇者と呼べるような人たちでした―――
――――――――――
『
「誰だ? 僕と一騎を何故ここに呼んだ?」
【私の名は『神樹』……とある世界での神様。貴方達の世界でいう『ミール』のような存在ですね。ここに来ていただいたのは、貴方達にお願いをするためです。今、私達の世界を無にしようとする存在…今まさに敵が干渉しようとしております。そこで、貴方達に世界を救ってもらいたいのです】
異世界の神『神樹』から敵の詳細を聞いた一騎と総士は驚愕する。そして、その世界に行く旨を2人は神樹に伝え、彼らの目に浮かぶ覚悟を感じとった神樹は、
【……分かりました。それでは貴方達を『転生』する形でその世界へと送ります】
「転生?」
「それは『輪廻転生』という類でいいのか?」
『転生』という形で神樹がいるという世界への介入を果たすことになる一騎と総士は無事に転生した。2人にはどうやらそれぞれ役目があるそうで、一騎は近所にいる幼馴染と日常を謳歌しながら来るべき戦いに備え、総士は大赦と呼ばれる組織にて色々と準備を進めていた。連絡と取りあっていたが実際に顔を合わせたのは総士が一騎の通う学校へ転入してきた時であった。
そして、ついにその時が来た事で物語が始まる。
――――――――――――
「何これ、
辺りが大きな樹の根っこが絡みあい、色とりどりの樹木に覆われた世界。パニックになってほっぺを抓っている赤髪のセミショートヘアーの少女『
「……夢じゃないみたい」
「……教室にいたはずなのに」
友奈の隣にいる黒髪で車椅子に乗っている親友『
「大丈夫だよ! 東郷さんには私がついている!」
「……友奈ちゃん…うん」
美森を安心させようと、彼女の震える手を握る友奈。不安を押し止めることは出来たが、どうすればいいかと思考を巡らせようとした。……その時である。
――― ガサッガサッ
2人は何かをかき分ける音が聞こえたため警戒を強める。友奈は美森を守るかのように音が聞こえる方へと立ちふさがった。
「東郷さんは私が守る!」
友奈は身構え、美森は恐怖に震え友奈の制服を掴む。
「友奈! 東郷!」
茂みをかき分けやって来たのは、同じ黄色の髪をもつ2人の少女。長く伸ばしているのは1つ上の学年の『
「友奈さ~ん!」
「樹ちゃん! 風先輩!」
ショートヘアで纏めた1つ下の学年の『
4人は讃州中学の『みんなのために勇んでやることを実施する』という活動を行う『勇者部』と言われる部活動の集まりである。
部長である風はこの状況をみんなに説明する。
自分は神樹を奉っている組織『大赦』から派遣された事、入部の際ダウンロードしたアプリの隠された機能の事、ここは友奈たちの世界で奉っている神樹が作り出した『樹海』と言われる結界であるという事、そして、神樹様に選ばれた一同はこの中で敵と戦うこととその敵の目的を聞いた。
そんな中、友奈は辺りを見渡した後に風に問いかけた。
「ねえ、風先輩。あのここには私達だけなんですか?
「それは……」
この世界での勇者部には彼女ら以外にも2人の部員がいる。東郷はその2人の身を案じ風に問いただそうとした。
「あの、そういえば……この『乙女座』って書かれている点って何ですか?」
……が、友奈の一言で風が血相を変えて立ち上がる。
「来たわね」
風の向いた方向をここにいる全員が向く。そこにいたのは、巨大な存在であった。その存在を『バーテックス』という名であること。そして、それが世界の恵みである神樹のもとまで辿りつき滅ぼし人類を殺すのが目的である。すなわち、神樹に選ばれたものが戦うべき敵である。
「「「「きゃぁ!!」」」」
乙女座は卵状の塊を4人にめがけとばしてきた。
「……そんな…あんなのと戦えるわけが……」
東郷が目の前の強大な存在と命を失いそうになった恐怖に震えている。
「友奈、ここはまかせて東郷と一緒に逃げて! 早く! 樹も一緒に逃げて!」
「は…はい!」
「ダメだよっ!! お姉ちゃんを残して行けないよ!」
樹は風の制服の袖をギュっと握り、
「ついていくよ…何があっても……。どうしたら、いいの?」
「―――私達は神樹様に守られているから…大丈夫…樹続いて!」
「う…うん!」
犬吠崎姉妹が神樹に戦う意思を示し、携帯端末のアプリをタッチすると光に包まれその装いが変わり、その場から飛翔し敵に相対した。
――――――――――
――― その一方で、その模様を見ている2人組がいた。
「総士、あれが」
「あぁ。
神樹の導きにより転生を果たした一騎と総士である。友奈達が言っていた2人の部員とは彼らの事である。
「風先輩たちの使ったのがこの世界での力なのか」
「そうだ。『勇者システム』、四国を守護する神様である『神樹』の力を扱う為に大赦が開発した討伐システムだ」
「それで『勇者』と呼ばれるのか…っ!?」
総士が淡々と説明するも前線にいた風と樹に乙女座の爆弾が命中する。その轟音と爆風が2人のもとまで届く。
「本当に大丈夫なのか!?」
「防御システムもあるから心配はない…2人共大丈夫だ!」
爆弾が直撃したが姉妹だったが神樹の遣わした世界を守る力である精霊の障壁によって無事だった。『精霊』とは神樹が選んだ勇者に遣わした攻撃の力でもあり、勇者を守る存在でもある。
「風先輩、樹ちゃん!…こっちに来る……?」
「友奈ちゃん、私と一緒にいたら危ない! 私を置いて行って!」
乙女座が塊を射出し、爆発する塊が友奈に迫る。
「お願い逃げて! 友奈ちゃんが死んじゃう!」
「やだ……」
友奈が乙女座の方向に向かって駆け出す。そして、無常にも爆発する塊が友奈に直撃する。
「友奈ちゃん!!!」
「……ここで友達を見捨てるような奴は…勇者じゃない! 嫌なんだ、誰かが傷つく事、辛い思いをする事。みんながそんな思いをするくらいなら、私が頑張る!」
煙が晴れると、勇者姿に変化した友奈の無事な姿がそこにあった。友奈は乙女座に向け飛翔、右手で思いっきり殴りつけ乙女座の一部を吹き飛ばした。
「結城は無茶をする……」
「……元々ああいう子だからな。誰かのために自分から動く」
余談だが転生後の一騎は友奈とは幼馴染のような関係である。
友奈のパンチを受けた乙女座は即座に再生を行うも復帰した風からの指示で樹と友奈は散開し取り囲む。そして『封印の儀』と呼ばれるバーテックスを倒すために本体から核である『ミタマ』を分離させ乙女座の撃破に成功した。
「勝った…よかった……」
初陣ながらも敵の撃破に成功した友奈・風。樹はその場で喜びを分かち合い、離れた所で美森も恐怖で戦う意思が出せないが彼女らの無事を祈り敵を倒れたことで安堵の表情を浮かべようとしたが、
「え、何……なの?」
その時である。美森は前線にいる3人の上空から迫る光の玉に気付いた。その光の玉は友奈たちの方へとゆっくりと降りたっていく。まるで空から降る流れ星のようだ。
「金色……」
「あっ……」
光の玉からその正体が現れる。先程のバーテックス程な巨大さはないが、大きさは人間よりもはるかに大きく、不気味な巨大な口、無脊椎動物のような袋状の身体に触手のような手が数本ついている。
その色は一瞬目を奪われるほど美しい金色に輝いている。しかし、友奈たちはその美しさ一瞬惹かれるものの先程倒したバーテックスとは違う異質な感覚に襲われる。その嫌な予感で我にいち早く我に返った風は2人にむかって叫ぶ。
「嘘でしょ…樹、友奈! そいつから離れて!!!」
「風先輩?」
「あいつは…やばい……」
「お姉ちゃん、あのバーテックスは?」
「大赦が言っていた…金色のバーテックス……」
「神樹が言っていた敵!?」
突如出現した未知のバーテックスに対し一騎が前へと出る。
「行くのか?」
「あぁ。どうすればいい?」
総士は一騎の意図を接したかのように言葉を続ける。
「簡単だ。アプリに意志を示せばいい。……また飛ぶことになる。飛べるか、一騎」
「……飛べるさ。俺とお前なら。そうだろ」
一騎と総士は携帯端末のアプリに触れる。一方は友奈たちの方へ、もう一方は美森のもとへと飛翔する。
――――――――――
「樹、危ないっ!!!」
とっさの事で動けずにいた樹に金色に光り輝くバーテックスは触手を伸ばす。風は咄嗟に樹のもとに駆け寄り庇った。
「風先輩!」
「お姉ちゃん!!!」
それにより風は金色のバーテックスの触手に絡め取られてしまう。手にもった大剣で斬りつけようとするも雁字搦めにされているせいでうまくできない。
「このお、離せ!!!」
【あなたは、そこにいますか】
「(な、何?精霊のバリアが効いてない!?しかも、この感覚…あたしの中からなにかが……なくなって…いく……)」
「風先輩を……離せぇぇぇ!」
金色のバーテックスは風に接触するような動作を見せる。風の中でなにかが無くなってしまうような感覚に襲われ、ぽっかりと穴が開いたようになってくる。それが危険だとみた精霊が防ごうとするも防ぎきれない。風の体の所々に翡翠色の結晶が生えてくる。
風の危機に友奈が助けようと動いた……。
【!?】
その時である一筋の流星のような閃光が風と金色のバーテックスの間に入る。風が囚われていた触手を切り裂かれ、風を抱えたその流星は地面へと降りたつ。
光が治まりその正体が表す。その姿はどこかの組織の制服と思わせる格好に紺色のコートを羽織った井出達で、右手には大型の馬上槍を構えていた。金色のバーテックスの触手をそれで切り裂いたのであろう。
「一騎君!」
転生後の一騎の幼馴染である友奈が一騎の姿を見つけその名前を呼ぶ。今の一騎の姿はこちらの世界に合わせた戦闘装備である。
抱えた風の目が虚ろであることを見た一騎は彼女に手をかざすと風に纏わりついた翡翠色の結晶は砕け、その目に光が戻る。
「う、う~ん……」
「よかった、『同化』はされてないな…友奈、樹。風先輩を連れて下がってろ!」
「は、はい……」
一騎は友奈に風を託すと樹も肩を貸し、その場から離れる。
《エンロール完了、クロッシングを開始する!一騎…僕が見ているものが見えるか》
「ああ…視える」
金色のバーテックスは一騎に対し問いかけるように。
【あなたは、そこにいますか】
「ああいるさ、……ここにな!」
《行くぞ!》
一騎は金色のバーテックスと向かい合い、総士の一声と共に両者は戦闘を開始した。
―――――――――――
これが、僕と一騎の新しい世界での旅の始まりだった。
出会うは星の名を関する侵略者と戦う選ばれた勇者。
しかし僕たちは知ることになるだろう。
彼女たちにおとずれる残酷な真実とその裏に潜む新たな敵を。
EXODUSアニメ版も終了していないのに、ニコ動で関連のMAD動画を見ていたらネタが浮かんでしまったので出力。
以下、簡単な設定
・一騎と総士は『蒼穹のファフナー』の世界で死亡後に『結城友奈は勇者である』の神樹様の依頼で転生。
・一騎たちの戦闘スタイルは『結城友奈は勇者である』の世界に合わせた勇者姿となります。恰好は、第2クール後半ED時の2人のコート姿のイメージで。
・金色のバーテックスは『蒼穹のファフナー』の敵であるフェストゥム能力持ちの星屑のバーテックスです。
・『結城友奈は勇者である』の精霊バリアでも同化は防げない仕様(原作でも水球閉じ込めにバリアは反応してなかったのを採用)。
・転生後の『蒼穹のファフナー』主人公の真壁一騎と『結城友奈は勇者である』主人公の結城友奈は幼馴染という関係。