流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~ 作:フレイムナイト
___科学省 外部警備システムの電脳___
『そこまでです!!』
グライドが右腕のキャノンを構え、警備システムの前に立っているナビに言い放った。
『・・・・・・』
グライドに背を見せていたナビは無言のままゆっくりと振り向くと、冷たい目でグライドを睨み付けた。 そのナビは、全体的に紫に近い黒いナビで、両腕両足にシンプルな濃い灰色のアーマーを身につけている。
その黒く長い茫々の前髪から見えるその顔には表情と言う物はなく、まるで死人のようだ。
「何よ! 死神みたいなカッコしちゃってさ!! 何とか言いなさいよ!!」
『・・・・・・』
やいとは黒いナビに怒鳴る。 しかし、黒いナビはピクリとも動かず、だんまりを続けている。
「き、気持ち悪いナビねぇ・・・。 グライド!!
さっさとやっつけてシステムの制御を取り戻すのよ!!」
『ハイ、やいと様!!』
グライドは下ろしていた腕を上げると、キャノンの標準を黒いナビに向けた。
『グライドキャノン!!!』
グライドは弾丸を黒いナビに向かって、二,三発放つ。
だが黒いナビはそれでも動かず、何かブツブツ呟いていた。
『・・・・・・敵・・・消去・・・』
フッ・・・
『・・・!!』
キャノンが当たる瞬間、黒いナビはフッと幽霊のようにグライドの目の前から姿を消した。
『なっ、奴はどこに!!?』
グライドは辺りを見回して黒いナビを探す。 だがグライドはその影すら見つけられない。
「・・・!! 後ろよ!!」
やいとは何かに気が付くと、グライドに向かって叫ぶ。 だがグライドが後ろを振り向く前に、タッと誰かが地面に足を付ける音が聞こえた。
『・・・我、ベイト・・・・・・』
黒いナビ・ベイトはグライドに聞こえるか聞こえないかの小さな声で呟くと、その鋭い爪でグライドを襲った。
___科学省 内部情報システム セキュリティシステムの電脳___
「おやおや、これは可愛らしいお嬢さんだこと・・・」
黒のダークスーツに白い手袋、一見、青年の執事のような男が、向かい合ってるロールに微笑みかけた。
『あなたね!! システムを操って、あの赤い雨を降らせているのは!!』
ロールはロールアローを構え、戦闘体勢に入る。
「はい、私は伯爵様に仕えしイモータル、ヴァンパイア・ドールと申します」
男は、ヴァンパイア・ドールはあっさりとロールに自分の事を話す。
だがロールは緊張をさらに高めると、構えたまま二,三歩後ずさりする。
(何コイツ? こんなにあっさりと自分の事喋っちゃうなんて・・・)
「気を付けて、ロール! あいつ、絶対に強いよ!!」
メイルはバトルチップをいつでも転送できるように手に握り締める。
少しの間だけ、ロールとヴァンパイア・ドールは動かず、睨み合っていた。
先に動いたのはロールだった。
『ロールアロー!!』
ロールはアローをヴァンパイア・ドールに向けて放つ。
ヴァンパイア・ドールはアローを体を横に反らすことでかわす。
「それでは次はこちらから・・・」
そうゆうとヴァンパイア・ドールは指を一回、パチンッ!! と鳴らした。
すると、ロールの背後から二,三枚のトランプが飛んできた。
『えっ!?』
「バトルチップ・バブルラップ、スロットイン!!」
メイルがバトルチップをスロットインすると、ロールの回りを水の泡が包み、
ロールをトランプから守る。
「おやおや、避けられてしまいましたか・・・では、」
パチンッ!! ヴァンパイア・ドールはまた指を鳴らす。 するとヴァンパイア・ドールの後ろから、短剣が飛んできた。
短剣はヴァンパイア・ドールの横を通り過ぎ、ロールに向かう。
『バ、バブルラップ!!』
ロールは再びバブルラップで剣を防ぐ。
「ならばこれで!!」
ヴァンパイア・ドールは今度は両手で連続で指を鳴らした。
そして今度はなんと四方八方からロールに向かって、トランプが飛んできた。
『きゃああああ!!?』
バプルラップは飛んでくるトランプの攻撃に耐え切れず弾け、ロールはトランプの中に飲みこまれてしまった。
「終わりですか・・・あっけなかったですね・・・」
ヴァンパイア・ドールはやれやれというように肩をすくめる。
『フゥ、フゥ・・・・・・』
「・・・!?」
不意に、ヴァンパイア・ドールの後ろから誰かの声が聞こえてきた。
ヴァンパイア・ドールが驚いて振り向くと、そこには荒い息遣いのロールが座り込んでいた。
「バトルチップ・カワリミ!!」
フゥ、とメイルが息を吐く。 トランプがロールに当たる直前、メイルはバトルチップ・カワリミをスロットインしてロールを回避させたのだ。
『ありがとう!! メイルちゃん!!』
「うん、どういたしまして♪」
「やれやれ、以外にしつこいお嬢さんですね・・・」
ヴァンパイア・ドールはウンザリというような顔で頭を左右に振る。
『しつこくて悪かったわね!! 今度はこっちの番なんだから!!』
ロールは再びロールアローを構える。
「そうは言いますけど、お嬢さん」
ヴァンパイア・ドールはそこまで言うと、指を一回鳴らした。
すると、周りから、シュッ!! シュッ!! と誰かが姿を現した。
『・・・!!?』
「これだけの数を相手にして、お嬢さん一人で勝てますか?」
気が付くとそこには、ロールとヴァンパイア・ドールの周りをグライドが戦っているナビ・ベイトと同じ姿の黒いナビ、数十体が取り囲んでいた。
そう、今までのトランプや短剣はこの黒いナビ達の仕業だ。
つまり、黒いナビ達はヴァンパイア・ドールの合図に合わせ、ロールに攻撃をしていたのだ。
四方八方からトランプや短剣が飛んできたのも当たり前だ、至る所に隠れていたナビ達が
攻撃していたのだから。
『な、何これ!?』
「このナビ達は一体!?」
ロールとメイルはその余りの多さに驚く。
「これが私の能力、無限に自分の手下となる『アンデット』を作り出し、操る能力、『ヴァンパイア オブ マリオネット』(吸血鬼の操り人形)です」
ヴァンパイア・ドールは優雅にロールに礼をしながら自分の能力を説明する。
だがロールはそんな場合ではなかった。
『あ、ああ・・・』
ロールは呻き声のような声を出すと、その場で尻餅をついた。
異形の姿の気味の悪い敵ナビ達に囲まれ、怯えているのだ。
「おや? 怯えているんですか?」
ヴァンパイア・ドールは目を細めてロールを見る。 その目には怯えたロールが映し出されている。
『・・・ゴメン、メイルちゃん・・・。 私・・・怖い・・・』
ロールは搾り出すようにメイルに話す。
「ロ、ロール!! 諦めないで!!」
「無理ですよ、お嬢さん・・・」
ロールに諦めない様に言うメイルにヴァンパイア・ドールが話しかける。
「この圧倒的不利な状況で、このピンクのお嬢さんが勝てる可能性はゼロです。
それに、もう一つのシステムにいるあなた方の仲間も、私の手下の『アンデット』に倒されているはずです」
「・・・・・・!!?」
「もうすぐ伯爵様が太陽少年達を葬ります。 あなた方もすぐに我らイモータルの世界の為の生贄にしてあげましょう。 あの、バンダナの少年のように・・・」
(熱斗・・・!!)
メイルはヴァンパイア・ドールが言っている少年が熱斗だと気が付くと、PETを更に強く握り締める。
「あなた達に出来ることはありません。 諦めてそこで伯爵様があなた達を捕らえに来るのを待って・・・」
「・・・させないわ!!!」
「「「「『・・・!!?』」」」」
ヴァンパイア・ドールの言葉を遮り、メイルが大きく声を張り上げた。
「メイルちゃん・・・!!?」
銀色はメイルが怒りで我を忘れてしまったのかと思い、メイルに呼びかける。
「熱斗は絶対死なせない!! 生贄になんかさせないから!!」
メイルはヴァンパイア・ドールに怒鳴るように言い放す。
「フフッ、そんなに熱くなるなんて、お嬢さんはその少年に思いを寄せていられるのですか?」
ヴァンパイア・ドールは少しからかう様にメイルに問いかける。
「好きよ!!!!!」
刹那、ヴァンパイア・ドールにメイルは大声で言葉を返した。
「「「「『・・・・・・。』」」」」
その場にいた全員が数秒、驚いて言葉が出ず、静まり返ってしまった。
「わ、私、好きだから、ホントに熱斗のこと好きだから!! 力になりたいと思いし、助けたいと思うんだもん!! だから、絶対あなたには負けない!!!」
「メイルちゃん・・・」
「大胆な・・・」
「ア、アハハハハ・・・」
銀色、名人は顔を真っ赤にして、光博士はもはや笑うしか反応が出来なかった。
「ロール、無茶苦茶だと思うけどお願い!! あきらめないで・・・勝って!!」
メイルは必死にロールに諦めない様に話しかける。
『・・・クスッ♪ 分かったよ、メイルちゃん♪』
ロールは必死のメイルに笑顔になると静かに立ち上がる。
その姿にさっきまでの怯えた様子は微塵もなかった。
「・・・立ち上がるんですか? 勝てる見込みなんて無いというのに・・・」
『でも、私はメイルちゃんのネットナビで、メイルちゃんは熱斗君がホントに大好きだから・・・だから、その思いがあるから、私達は強くなれる!! 勇気を奮い立たせるんだ!!』
「ならば、その思い、あなたごと壊して差し上げましょう!!」
ヴァンパイア・ドールはそういうと指を鳴らすために構える。 手下のアンドットに一斉攻撃させるつもりだ。
『・・・うっ・・・』
「どうすれば・・・?」
「メイルちゃん・・・」
メイルの傍で銀色が手を組んで、目を閉じる。
―――私、好きだから、ホントに熱斗のこと好きだから!!
―――力になりたいと思いし、助けたいと思うんだもん!!
(私も、彩斗が本当に好き・・・。 だから、あなたを助けたいと思う・・・)
どこかで・・・
(でも、お願い、彩斗・・・)
誰かが・・・
(メイルちゃんを・・・・・・)
銀色の"願い"に反応して・・・
(熱斗君を・・・!!)
その力を・・・
(助けて・・・!!!)
引き出す!!!
___電脳世界のどこか___
『・・・オラシオン・ロック!!?』
ダークロックマンが手に持っていた錠前・オラシオン・ロックの異変に気づき、驚き、目を見開く。
ダークロックマンが手に持っていた錠は、透き通ったグリーンの色をしており、時たま、幾何学模様の光が錠の中を駆け巡る。
だが今は、オラシオン・ロックは眩いほどの金色の光を放っている。
『オラシオン・ロックが、何かに反応している!!?』
ダークロックマンはそういうと、しばらく黙り込む。 そして、呟く様に自分の推測を口にする。
『銀色? 熱斗? "ボク"に語りかけているのは・・・?』