流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~ 作:フレイムナイト
___ダークチップファクトリー 第三層部___
上へと続く階段を駆け上り、前へと突き進む熱斗、炎山、メイル、やいと。
ネビュラ基地は奥に進めば進むほど、暗闇で周りがよく見えなくなっていく。 まるで、海の底にどんどん沈んで深海に入っていくかのように。
周りでは、薄気味悪いカプセルの中で、紫色の液体がポコポコと泡立っている。
「ハァ、ハァ、この基地一体どこまで上があるんだ!?」
熱斗が走りながら上を見上げる。 だが天井は高く、まだ上が在ることを示していた。
『まだ先は長そうだな・・・』
げんなりとしたウォーロックの呟き。
「ちょっと、アレ見て!」
やいとが前方を指差す。
見ると、四角形の柱が道の左右に設置されていて、その間に赤い光線のような物が張り巡らされ道を塞いでいた。
「クッ! 電磁バリアか!?」
炎山が電磁バリアを睨みつけるように見る。
『そして、二百年後のロックマンへの、私の挑戦状だ!!』
どこからか誰かの声が響いてきた。
その瞬間、熱斗達の周りにも電磁バリアが張られ、熱斗達はその場に閉じ込められてしまった。
「閉じ込められた!?」
「またダークロイドか!?」
みんな辺りを見渡し、誰か隠れていないか探す。 しかし、どこにも誰もいない。
『フハハ!! どこを探している? 私はココだ!!』
熱斗達の前に、ホログラム画面が現れた。 そこには、下半身が暗雲に包まれたあのネットナビが映っていた。
「クラウドマン!!」
『チッ、今度はお前かよ!!』
ウォーロックが舌打ちする。
『光 熱斗、星河 スバル! 私はあの日、お前達に倒された日の事を決して忘れない!!』
クラウドマンはそういうと、電磁バリアを発生させている柱を指差した。
よく見ると、左右の柱にはそれぞれプラグイン用の端子が取り付けられ、プラグイン出来るようになっていた。
『さあ、この柱にプラグインしろ!! そして私と戦うのだ!!』
「クッ、戦うしかないか・・・!?」
熱斗は柱のプラグイン端子の前に立つ。
「プラグイン!!」
___電磁バリアの電脳___
『早く来い、星河 スバル。 今度こそお前を我が雷雲の餌食にしてくれる・・・!』
クラウドマンは一人笑みを浮かべ、スバルがプラグインして来るのを今か今かと待つ。
そうしているうちに、誰かが電脳世界に送り込まれてきた。
しかし・・・
『なんだお前は!? 星河 スバルはどうした!!?』
クラウドマンの悲鳴にも近い非難の声が電脳世界に響く。
それもそのはず、今クラウドマンの前に立っているのは・・・
『私はロール!! あなたの相手は私がするわ!!!』
「メ、メイルちゃん!?」
熱斗が自分を押しのけてプラグインしたメイルの名を大声で言う。
他のみんなもメイルのいきなりの行動に驚いてしまっている。
「熱斗、先に行って! ここは私がやるから!」
そういうとメイルは一枚のチップをホルダーから取り出す。
「バトルチップ・トップウ、スロットイン!!」
『トップウ!!』
メイルがバトルチップをスロットインすると、ロールの目の前にウインドボックスが出現した。
ウインドボックスから発生した風は、クラウドマンを後ろへと吹き飛ばす。
『ヌオォオオォ・・・!?』
突然の風に、クラウドマンは必死に吹き飛ばされないように堪える。
しかし、その為か熱斗達を閉じ込めていた電磁バリアが消え、先に進めるようになる。
「道が・・・!?」
「これで先に進める!」
「みんなは先に行って、あいつは私が倒すから・・・!!」
メイルは先に行くように促す。
炎山もやいとも、ここまで来るまでの事を思い出せば何も言うことはないらしく、黙って進もうとする。
しかし、熱斗だけが動こうとしない。
「メイルちゃん、あのさ・・・」
「・・・・・・」
メイルは黙ってそっぽを向いて、熱斗の次の言葉を待つ。
「デカオやミソラちゃんに、それに銀色さん・・・何人もその場を任せて先に進んで来て、今更メイルちゃんを残して行けないなんて、言うつもりないけどさ・・・」
熱斗は必死になって言葉を捜してメイルに言いたい事を伝えようとする。
そして、少しの沈黙の後、やっと言葉を見つけた熱斗がメイルに言った。
「・・・任せたよ、メイルちゃん!」
「・・・・・・!!」
熱斗の言葉に、メイルは思わず目頭が熱くなった。 今まで、熱斗に助らてばかりの自分が、熱斗に信頼されて、この場を任せられたと思うと心の底から熱い何かが込み上げてくる。 無意識の内に、メイルの頬を涙が伝う。
だが、メイルは熱斗に背を向けているため、熱斗からはメイルの涙は見えない。
「・・・私・・・」
メイルの口から自然に言葉が漏れ出す。
「今まで、熱斗に助けられてばかりだったから、熱斗を助けられるような強い人になりたかったんだ・・・」
「好きな人のために、ここに残って戦えるような人に・・・・・・」
「・・・・・・!」
メイルの思いかげない告白に、熱斗は思わず赤面する。
メイルも、自分が心の中で思っていたことを思わず口にしてしまったことで我に返り、赤面する。
しかし、すぐに熱斗がメイルの腕を掴み、自分の胸に当てた。
「・・・ありがと」
熱斗はそれだけ言うと、メイルとは視線を合わせず、先へと続く道を走っていった。
メイルは熱斗が走っていくのを見送ると、袖で涙を拭い、PETを握り締めた。
「さ、戦うわよ! メイルちゃん!!」
「きゃあああああああああああああ!! や、やいとちゃん!!?」
いつの間にか、メイルの横で同じようにPETを握り締めているやいとに、メイルは思わず悲鳴に近い声を上げる。
「や、やいとちゃん、いつからそこに?」
メイルがしどろもどろに聞く。
「一番最初から。 ずーっとここに居たわよ」
やいとはごく自然に、当たり前のように答える。
メイルは『まったく気配を感じなかった』と、驚くしかなかった。
やいとはそんなメイルに構わず話を続ける。
「正直、ロール一人で戦うのはまずいと思うし、って言う私とグライドも一人じゃ多分ダークロイドと戦えない」
『だから・・・』と、やいとはそこでいったん区切る。
「私も戦わせて!!」
「やいとちゃん・・・」
メイルは自分も戦うと言うやいとを見る。 しかしすぐに、目線をPET画面に変えた。
「分かった、一緒に戦おう!」
「OK! この綾小路 やいとに任せなさい!!」
メイルは、そう言うやいとに思わず微笑んでしまった。
(やいとちゃん、あんな事言ってるけど、本当は私のこと心配して残ってくれたんだよね・・・)
メイルはやいとの分かりにくい気遣いに嬉しさが込み上げてきた。
「行くよ、ロール!!」
「負けんじゃないわよ、グライド!!」
『女の子の力、甘く見ないでよね!』
『行きます!』
『小娘どもが、雷雲の餌食にしてくれる!!!』
クラウドマン
『小娘どもが、雷雲の餌食にしてくれる!!!』
グライド
『あの、私は男なのですが・・・』
クラウドマン
『かかってこい!!』
グライド
『無視!?』