女オリ主による原作介入モノ(非転生、女オリ主、習作) 作:杭打折
それ二巻時点で予定していたプロットを元に作成しているので、番外編的な気持ちで読んでください。
因みに、これ読まなくても次の話には何の影響もありません。
操縦者にとって身長、体重などは非常に重要なデータである。
使用者の体型によって機体の外観が大きく変わる可能性のあるISという機械にとっては尚更に重要だ。身長が伸びればPICの及ぼす力場の形状や出力の配分、体重が上がれば基本的な出力を向上させる必要がある。また、手の長さや太さに合わせて装甲の形状や大きさも変化させなければならないのだが、専用機の場合は登録後に行うフォーマットフィッティングにより調整される事が大半だ。私が織斑一夏の代表決定戦の時にしたように事前に身体データを読み込ませておくことで所要時間を短縮することも可能だが、通常であればあのような状況で最適化処理を行う事の方が少ないので使われることは殆ど無い。
だが、此処までの話は専用機についてのみの話だ。学生全員が共有して使う訓練機や専属操縦者の存在しない機体で最適化処理を行う事は出来ない。だが、個人に向けた調整を行わなければその性能をフルに発揮することができない事もまた事実として存在する。この問題を解決するために、専用機でない機体には拡張領域の一つに個人向け調整用の機能が搭載されている。
これは先述した操縦者の身体データや生体認証データを登録することで一時的に機体を専用機と同等の状態にするもので、ISのコアの絶対数に対して何倍もの数のIS操縦者が居る現状なくてはならないシステムの一つである。
無論良いことだけという訳ではなく、危険な一面も存在する。一時的とはいえ、誰でも専用機登録を行う事が可能ということは強奪を目論む者達にとっては付け入る隙となる。専属操縦者が存在していない新型の機体などがこの標的にされることが多く、このシステムが実用化された当初はそういった事件も多かったという。実用化されて暫くが経っている現在では複数のデータベースに登録されているデータを参照するなどの対策もされているが、未だに抜け穴とされていたりもする。
様々な欠陥を抱えているシステムだが、それでも使われているのはISを操縦者分用意出来ない現在では必要不可欠な存在だからなのだろう。当然、この学園の持つ訓練機にも搭載されていて、今回の身体測定のデータはそれに使用するためでもある。
そういう重要なデータなので、測定される数値には一般的な身体測定以上に正確さが要求されるわけだが、それは学生達に無慈悲な現実を叩きつけるものであるらしい。
私よりも先に測定を終わらせた学生達の絶望したような表情やため息混じりの声が私にその現実を教えてきた。今朝食堂でクラスメート二人に教えられた時は大げさだろうと思っていたのだが、その認識は誤っていたらしい。
「次の人、来てくださーい」
私の番が来た。測定の際には極力衣服の着用は最低限にすべきと言われており、下着姿で臨む事が最も望ましい。シャツを脱ぐと心なしか視線が集まっているような気がする。気にならないかと言われれば嘘だが、恥じる要素もないので意識から除外して私は測定を行う装置へと向かう。
「黒……っていうか思ってたよりも大きい……!」
「しかもラインも綺麗だし、羨ましい……」
身長、体重、座高などそれぞれ専用の器具を用いて測定されていく。こういう部分は未だにアナログなのだなと感心しながら私は学園の専属医に身を任せる。
二度程それらの作業を繰り返し、全てのデータを取り終わった所で私は結果の記された用紙を渡されて元の場所へ戻る。制服のボタンを付け直して身だしなみを整えていると弾んだ様子のセシリア・オルコットが此方へとやってくる。
「キャロルさん、結果はどうでしたか?」
「いつも通りの結果でした。可もなく不可も無く、差当りのない数値かと」
「あら、そうでしたの。まあ、わたくしもそのような所でしょうかしらね」
「その割には随分と嬉しそうですね。何か良いことでもあったので?」
「あら、そう見えてしまいます?」
見えるというか、こちらからは聞いても居ないのにいきいきとした様子で語られれば私でも気付く。
「結果が良かったのですか、おめでとうございます」
「ふふっ……まあ、このセシリア・オルコットともなれば当然の結果ですわね」
実はあまり興味はないのだが、それを言うと何だか面倒なことになりそうな気もしたので黙っておく。
「むぅ……」
聞き覚えのある唸り声が私達の耳に届く。声のした方向を向くと、そこには篠ノ之箒が結果の書き込まれた容姿を睨んでいた。
「箒さんはどうでした?」
「…………別に、そういうセシリアこそどうだったんだ」
普段以上に胸を張りながら話しかけたセシリア・オルコットにムッとした篠ノ之箒が応じる。
「わたくしですか。まあ、誇る程のものではありませんが……」
そう言ってセシリア・オルコットは結果の書き込まれた用紙を篠ノ之箒に差し出す。篠ノ之箒は半眼でじろりと睨んでからそれを受け取って、目を通していく。彼女の視線が下に移って行くにつれて篠ノ之箒の放つ雰囲気はどんよりとしたものになっていく。
「……ま、まあ別に大したこと無いではないか?」
測定結果の用紙を突き返すと篠ノ之箒はなんとでもないかのようにそう言った。だが、その引きつった表情や声音からは虚勢だということがありありと見て取れる。当然、それにはセシリア・オルコットも気づいたらしい。
「声が震えてましてよ、篠ノ之さん」
「くっ……!」
悔しそうにする篠ノ之箒と勝ったとばかりに高笑いをするセシリア・オルコット。
「箒さんの結果は如何でしたの?」
「別にどうということはないが、少々体重がな……」
「篠ノ之箒さんの場合は同年代女子と比較して筋肉量が多いので問題では無いのでは?」
「筋、肉……」
私の言葉を聞いた篠ノ之箒は表情を凍らせた。反応から察するに地雷を踏み抜いたのかもしれない。フォローのつもりだったので申し訳ないことをした気分になっているとセシリア・オルコットが苦笑交じりの表情を浮かべながら口を開く。
「キャロルさん、中々痛いところをえぐっていきますのね……」
「申し訳ありません、そういうつもりではなかったのですが」
そういうつもりではなかったのは本心なので早めに謝罪する。篠ノ之箒の身体は引き締まった良質な筋肉がついており洗練された美しさがあると思うのだが……今回の教訓として、筋肉関係の話題はタブーだと記憶しておくことにする。
「あんた達はそんな余計な物をぶら下げてるから気になるのよ。私みたいに無駄のない洗練されたボディーを保てば、気にすることなんて無いわよ」
「あら、二組の代表さん。私のこの美しい肉体の何処が無駄なのかしら?」
挑発的な口調で更に会話に加わったのは凰鈴音。
「色々と否定したい部分はあるのですけど、同意できるのは貴方の身体には無いという部分だけですわねえ」
「あぁ?どういう意味よ」
「いえいえ、わたくしはただ思ったことを口にしたまでですので」
「いい度胸してるじゃない――――表出ろ」
いつの間にやら二人は互いを睨み合い、一触即発の空気を漂わせている。流石に場所が場所であるし彼女らが私闘を始めるというような事は無いと思うが、周囲から視線が集まり始めている。仲裁人がやって来て私達が巻き込まれるのは不本意であるのでそろそろ離れておいた方がいいだろう。
篠ノ之箒に視線を向けてアイコンタクトを取ってから彼女の方に歩み寄る。
「離れておきましょうか」
「そうだな……それが無難だろう」
同様の考えを持っていたのか篠ノ之箒は首肯し、私達はスタイルに関する独自の論理を展開して討論を交わしている二人から距離を取る。
「そういえば、一夏は測定どうするんだろうな?」
「学園外で測定のようですよ」
「わざわざ学園外まで行くのか……いや、そこまでする必要はあるのか?」
「盗撮防止、一部の学生が授業を抜けだして覗きに行くのを防ぐなどの理由があると聞きましたが」
「そんな馬鹿な事「あーあ……織斑くんの裸写真とか撮れたら高く売れたのになあ」…………」
私もこの話を聞いた時は考え過ぎではないだろうかと考えたのだが、可能性としては十分にありえるらしい。私と篠ノ之箒は互いに顔を見合わせる。
「聞かなかった事にするか」
「了解です」
かかわり合いになりたくないと思った私達は、その呟きを聞かなかったことにした。
「と、ところでオルフィレウス……」
「はい」
測定も終わり、着替も済ませた私はこれからどうしようかと考える。身体測定が始まる前に「測定の終わった生徒は自由行動」という指示が出ている。今現在の時刻は午前11時20分。昼食の時間まではまだ時間があるが、学食でお茶でもしていようかと考え始めたところに篠ノ之箒から声を掛けられる。
「お前の結果はどうだったのだ? ずっと会話に加わらずにいたが教えてくれてもいいだろう」
「まあ、構いませんが……どうぞ」
「失敬する」
私が差し出した身体測定結果の記された用紙を受け取った篠ノ之箒は先程セシリア・オルコットのそれを読んだ時のような雰囲気を纏っていく。
「何か?」
「おのれ、貴様もセシリアと同じ側だったか……!」
「私の体型からすれば妥当な所だと思いますが」
同じ側とは言うが、いつも通りの結果なので私には実感がわかない。言えるとすれば、私の体型から計算した場合重すぎず軽すぎず、最適値の体重という事くらいだ。
「篠ノ之箒さんは見たところ引き締まった綺麗な身体ですし、然程気にするようなことでも無いと思いますが」
「綺麗だと……?」
「はい。貴女がどう思うかは自由ですが、一般的な感覚を持つ第三者からすればこの評価が妥当かと」
「そ、そうか……綺麗な身体か……」
篠ノ之箒だってあらゆる方面から測定したデータで計算を行えば悪くない結果だと思うのだが、彼女は若干勘違いをしているらしい。大体彼女の体型や外見から推測できる数値から計算をしてみたが、超過したのは平均から1キログラムかそこらだろう。決して気にする物ではないし、彼女のボディーラインが太く見えるという事もない。そんな状態にあるのにも関わらず、数字に一喜一憂している様子は少々滑稽なので、老婆心だとかお節介だろうが客観的に見た彼女の印象を伝える。すると彼女はどうだろう、私の感じた印象が正しければ嬉しそうにしている。ポニーテールの先が小さく上下に跳ねている様子からしても恐らく間違いではないと思う。
「うむ。言われてみれば確かに、細かい事に拘り過ぎて居たかもしれないな」
「悩みが消えたのならば何よりです」
先ほどまでの苦虫を噛み続けているような表情から一転し、セシリア・オルコットと同じような表情を浮かべる篠ノ之箒。こうしたのは私なのだが、些か単純すぎやしないだろうか。
「では私はこれで」
「ああ。また後でな」
満面の笑顔を浮かべている篠ノ之箒に別れを告げて私は特別教室を出て学食へ向かった。
その後の特別教室――――
床に倒れ伏すセシリア・オルコットと凰鈴音。その二人を見下ろすように立つ織斑千冬。
特別教室全体を包む水をうったような静寂を破ったのは織斑千冬だった。
「はしゃぐのは構わんが、限度は考えろ貴様ら。それと……」
一度言葉を区切り、織斑千冬は取り巻いて眺める女子生徒たちへとその視線を向けた。
「織斑の身体測定は貴様らが測定中の時間に別室で実施済みだ。なので、よからぬ事を考えている者は諦めるように」
「そんなああああああっ!」
織斑千冬の宣告に悲鳴を上げる女子が多数居たとかなんとか。
もっぴーってヒロインsの中では一番筋肉質なイメージが有ったりする。
あと服がキツくなってきて太ってきたような気分になて悶々としてそう。実際は胸がちょっと大きくなっただけでお腹まわりに変化はなしというオチ。
セシリアはカロリーコントロールとかしてるのに当日になって不安になって朝食を抜いたりしてそう。
鈴は何を食べてもそのまんまなイメージ。この三人の中では一番真面目かつ願いを込めながら測定に望んでいそう。