女オリ主による原作介入モノ(非転生、女オリ主、習作)   作:杭打折

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一章14

 本日の戦闘の分析を終えた私達はそれほど時間を置かずに解散した。まだ本調子とは言えない彼に気を遣っての事だが、私にはまた別の用件があったからでもある。

 解散し、そのまま寄り道をせずに自室へと戻った私は、ルームメイトである更織簪と机を挟んで向かい合っていた。

 お互いに言葉を発さずに向かい合うだけの状況が数分続く。彼女から話しを始める気配がまったく無い。私はまずクリップで一纏めになった資料を封筒から取り出し、更織簪の方へ机の上を滑らせるように差し出す。一先ずそれを受け取った更織簪はその内容を読み始めた。

 

「これは……」

 

 資料から目をあげ、私の方へと驚きの表情を向けてくる更織簪。私は、彼女にこれが何かを説明する。

 

「貴女が開発をしている打鉄弐式。その完成に対する目途です。つまり、今現在で考慮できる此方からの提案と採用による利点。また、生じる欠点を補う方法についてまとめたものです」

 

 私が彼女に渡した書類には、公表されている範囲で分かる打鉄弐式の開発状況から考えた、完成まで持っていくための計画と導入する技術の提案を記載したものだ。

 ただ、開示されている情報だけでは実際の打鉄弐式の開発状況まで完全に推測できない。なので、現在考え得る案を全て盛り込んでいる。資料全体の厚さとしては数センチにもなるだろう。

 

「…………」

「此方からの誠意と取っていただければ幸いです」

 

 私の言葉には返事をせず、再び無言でそれを読み始めていた彼女だが、半分ほど読み進めたところで此方へと視線を戻す。その目に含まれている感情が、先程までの拒否一色とは違っている事を感じた。

 

「…………いい案、とは思う……」

「光栄です」

 

 一通り読み終えたところで、更織簪は思い動きで口を開いた。

 

「見ただけ、なら……実現も可能……」

「ええ、そのように書きましたから」

 

 この資料は彼女を納得させる為の資料としても書いている。そういう傾向や意図が含まれてしまうというのは仕方のない事だろう。

 

「でも、机上の空論……」

「そうですね。それをどうするかは、貴女次第です」

「…………」

 

 私の提案を生かすも殺すも彼女次第。そう言うと、彼女の視線が手元の資料と私の間を交互に動き、そして俯きがちに目を伏せた。どうやら悩んでいるらしい。

 

「貴女は、独力で完成させることにこだわっているようですが、今の姿を見ている限りでは、貴重な時間の浪費でしかありません」

「どういう、意味……」

 

 一言、相手を決定の側へと押し出すには少々言葉の内容が悪いだろうが、言わずにはいられなかった。予想通り、更織簪からの視線が強くなる。私はそれを受け流しつつ、言葉をつづけた。

 

「完成の目途が、全くと言っていいほど立っていないからです」

「まだ……まだ、わからない」

 

 やって出来ない事は無い。時間を掛ければどんな難事であっても、成し遂げる事は出来るだろう。だが、それでも彼女に言っておく必要があった。

 

「それも一つの可能性ではありますが、誰もそれを待ってはくれません。出来上がるころには、貴女との間にある差は広がっているだけ」

「…………」

 

 最先端を行くものを作るとはそういう事だ。誰もが全力で、先頭を目指して走っている。先へ先へと進んでいく中にあって、少しでも足を止めれば、たちまちのうちに置いて行かれてしまう。少しの差でも、生まれてしまえばその距離を詰める事は困難なのだ。

 躓き取り残され、ようやく立ち上がれたとしても、誰も振り向こうとはしないだろう。

 

「周りに追いつくために、先へ進むために、今ある問題を手早く片づける必要がある。そのように、私は考えます」

 

 それに、更織簪に割り当てられている専用機を上手く仕上げる事が出来れば、今後も起こるであろう事件に直面した時の、我々が持つ手札を一枚増やす事が出来る。

 織斑一夏の学園生活をサポートする上で、このIS学園という舞台を守る事は必須。であれば、私が彼女の手伝いをするという事は役割に対しての矛盾は何処にもない。

 

「ですが、最後の決定権は貴女にあります。なので、此処から先どうするかは更織簪さんに選んでいただきます」

 

 だが、現時点で更織簪に見せるのは此処まで。今回の話を受けても尚、彼女が拒否の姿勢を貫くのであれば更織簪を手札の一枚とする事は諦める。彼女を戦力として組み込めなかったとしても、それは大した問題にはならない。

 黙り、考え込む更織簪に対し、私はこれ以上の事は何も言わずに待つ。ただ、彼女の答えが出るまでの時間を無言で過ごす。

 

「私、は…………」

 

 そして、彼女が答えを出すまでに、思っていたよりも時間はかからなかった。

 

「私は……何とか、したい……から、手伝って……ほしい……」

「了解しました」

 

 彼女からの協力要請を受諾する。手間はかかるが得られるものは大きい。そも、織斑先生に頼まれた事だとは言え、此方からの提案なのだ。要請さえあれば、喜んで受諾するのは当たり前だ。

 

「では、実機については明日、拝見させていただきます。現時点で出来る調整などはありますか?」

「火器管制システムのアルゴリズム……凄いとは思うけど、今の火器管制装置だと、処理できない……容量不足……」

「軽量化が必要ですか……分かりました、考え直してみます」

「お願い……」

 

 その他諸々の、今後私達が協力して開発するうえで打ち合わせる必要がある項目について意見交換を開始する。

 更織簪と意見交換という形で話をするのは初めてだったが、思っていたよりもISに関する知識は深い。特にソフトウェア関係についての知識で言ったら、学生としては勿論のこと、技術者としても一定の水準は上回っているだろう。

 

「此方からも提案ですが、小型の近接装備を一つ備えてみては?」

「薙刀、が……ある……」

 

 此方からの提案に対し、更織簪はその必要性に対して疑念を唱える。確かに、薙刀という武器は他の近接装備と比べてもその間合いが長く、接近に対して素早く対応できる。敵の接近に素早く対応し、だが、決して取り回しが良い武器とは言えない。隠し玉の一つや二つ、持っていた方が良いという話だ。

 そう説明すると、更織簪は数秒だけ考えるような間を空けてから問いかけてくる。

 

「切り札、とか……隠し武器、って事……?」

「そう捉えていただいて構いません」

「……良いかも」

 

 私の提案の説明に対して前向きな返答が帰ってくる。心なしか、更織簪の目が輝いたように感じた。

 

「どんな、のが……あるの……?」

「装甲のように見せかけた中に仕込んでおく、というのは古典的ながら有効ですね……あとは、徒手空拳を武装とするのも一つの手かと」

 

 前者であれば、薙刀を持つ際に前に来る右手に外付け装甲としてハンドガードのように見せる。後者であれば、腕部パーツそのものを換装する必要がでてくる。用意の手間などを考えた場合は前者だが、扱いの容易さで行けば後者に軍配があがる。

 

「素手は……苦手……」

「なら、装甲を増設する案で決まりですね」

 

 先に述べた方の、追加装甲の内側に武装を仕込んでおくという案を採用する事で、私達の方針が決まる。

 

「武器はどうしましょうか。一応、使えそうなものをリストアップします」

 

 方針さえ決まってしまえば話しはすぐに進む。私は自分がすぐに用意する事の出来る武 器をリストアップし、それを更織簪の端末へと転送する。

 7、8種類の武器が表示されているリストを見た更織簪は、その中から候補を絞ってから意識を此方へと戻す。

 

「これ、は……?」

「銃身を切り詰めた小型機関銃です。速射性、威力共に安定しており、総合的な火力は優秀。ただ、少々重いので重心がずれるのと、射程の短さが難点かと」

 

 彼女が興味を持ったらしい武器について問いかけて来るので説明を行う。今行ったのは新式では無く、かなり古い型の機関銃の銃身を切り詰めて強引に近距離における取り回しの良さを高めたものだ。だが、その代償として反動が増加し射程も短くなっており、中距離以遠の運用には適さない。

 

「そう……なら、これは……?」

 

 彼女が次に示したものは散弾銃。

 

「ボックスマガジン式のフルオートショットガン。威力は強力ですが、反動も同様です」

 

 近距離での瞬間火力で行けば随一だろう。だが、ISに標準搭載されている操縦者保護機能があっても手が痺れる程の反動が生じる。使えない訳ではないが、更織簪に扱えるかは疑問が残る。

 代表候補生であるから、彼女の身体能力が低いという事は無いと思うのだが、最低でも篠ノ之箒程度の体格は欲しいかもしれない。

 

「なら……これ」

「エアバースト・グレネードランチャー。弾種を切り替える事で状況に応じた攻撃方法を取る事が出来ますが、ISに対して直撃を狙うのには熟練が必要かと」

 

 射出方法は電磁加速によるレールガン方式。超音速で弾頭を撃ち出し、弾頭の種類に応じた効果を生み出す汎用性の高い武器である。

 だが、小型化の代償としてマガジンは無く、一発ごとに装填する必要がある。使用者の技能によっては、銃内に直接弾頭を展開する事も可能な設計だが、確実に装填が出来る手動方式が基本となる。

 だが高速で移動する敵に単発式の攻撃を当てると言うのは難度が高く、この装備はそれがそのまま欠点として当てはまる。用途を接近された時の迎撃、カウンター用と考えればその点はある程度解消されるが。

 

「弾、の種類……は?」

「公式大会での基準内の物でしたら一通り」

 

 榴弾や対物理装甲弾をはじめとして、公式戦にて使用できるものをリストアップして空間投影ディスプレイに並べる。ディスプレイを回転させ、更織簪にも見えるように位置を変える。

 彼女は画面を食い入るように見つめ、そこに記載されている弾頭の重量やサイズをメモし、計算を開始する。恐らく、打鉄弐式の格納容量との比較を行っているのだろう。

 

「これなら……使えると、思う……」

 

 しばらくして、計算を終えた彼女は顔を挙げ、計算結果などから採用可能であると答えた。

 

「では、装備の発注は此方で行っておきますが、予算は大丈夫ですか?」

「計算、済み……弾も、残りの予算で、何とかなる……」

「そうですか。それなら、大丈夫でしょう」

 

 当然のことだが、この装備で使用する弾頭は電磁加速に耐えれるよう処理が施されている。他の装備の弾頭を使った場合確実に暴発する可能性があり、使用できない。ちなみに弾一発の単価は種類にもよるが、基本的には一発4000円程度である。かなり安い方だとは思う。

 

「では腕部装甲の形状と設計については其方に任せます。仕様書は今転送しましたので、ご確認を」

「確認……ちゃんと、来てる」

 

 更織簪に装備の仕様書を転送した私は装備の発注作業を開始。代金については後ほど彼女から受け取るとして、到着まで二週間程度の時間を要するだろう。ただ、この装備を隠蔽するための装甲の発注と製造にも時間がかかるので、この装備の試作型が完成するのは次に行われるトーナメントの一週間ほど前になる。装備運用の習熟はシミュレータで代用可能だが、実物に慣れてもらうまでを考えるとギリギリと言える。最後の一週間をこの装備に使うのであれば、もっと早くに機体を仕上げておかなければならない。

 余裕と言えるような余裕は、殆どと言っていいほどない。

 

「……あと、一つ最後に打ち合わせておきたいことが」

「なに……?」

 

 打鉄弐式を当日までに、満足いく仕上がりまで持っていく算段を立てながら、私は更織簪と関わる以上回避できない人物が居た事を思い出す。更織楯無――――彼女からの干渉があることも予測できるため、そうなった際の対処について、彼女に聞いておこうと思った。

 

「私以外の人物……例えば、生徒会長殿から干渉があった場合は如何様にしますか?」

「…………拒否、しておいて」

「了解しました。では、そのように」

 

 私の問いに、先程までの迷っていた時とは違った雰囲気の間を空け、更織簪は答えた。




 とりあえず、一章はここで終わりの予定。説明不足なところや、やり終えてないところに気付いたらまだまだ続きます。

 あと、二章に入る前に原作との変更点も含めて現時点で人物紹介のような物を書こうかと思ってます。その中で書いてほしい部分や説明してほしいところなどがあれば、感想などで教えていただけると幸いです。
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