女オリ主による原作介入モノ(非転生、女オリ主、習作)   作:杭打折

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今回は区切りが良いのでちょっと短め。



二章3

「この事は、もう誰かに話しているのか?」

 

 たっぷり数分間黙り込んだ織斑千冬は、口を開くと私にそう問いかけた。

 

「いいえ、織斑先生以外にはまだ」

「成程……お前が最初に話を持ってくる相手を私に選んだ事は正解だ。こんなこと、私以外に知られれば、教員の間でも大事になるのは目に見えている」

 

 織斑千冬は頭を抱えつつそう言った。彼女の言った事は、私にも容易に考え付く。篠ノ之束という人物は世界的な重要参考人であり、その存在を各国政府が躍起になって探している。そんな人物が何者かと接触した、あるいは、何らかの行動を起こしたと言う話があればどうなるか。事態の把握に向けて様々な思惑が動き出す事は、疑うまでもない。

 

「よく分かった。この件については私に任せておけ……お前には、迷惑を掛けたな」

「お気になさらず。私としても早期解決につながるのであれば、協力は惜しまないつもりです」

 

 織斑千冬は申し訳なさそうに謝罪を口にするが、その謝罪を私が受ける事は本来ならば間違っている。この事件に関して、私はただの巻き込まれた人間という立場ではないのだ。主任が――企業が関わっているならば、私はこの件については当時者だ。

IS学園の生徒としての立場で最も正しい選択肢は学園に拘束され、情報を与えるというものだろう。しかし私は企業。故、企業によって与えられた役割こそが何よりも優先する。私に与えられた役割は、織斑一夏のサポートを行うというものであるのだから、それが可能な状況は守らねばならない。

 

「……ところで、一つ確認しておきたい事がある」

「なんでしょうか?」

 

 会話も終わりかと思っていると、確認があるという織斑千冬の言葉に顔を向ける。私からの情報は与え終った事であるし、何を確認するというのだろうか。疑問を抱きながら、私は織斑千冬の言葉を待つ。

 

「あいつは、束は、お前と会話をしたのか?」

「はい」

 

 肯定。織斑千冬の質問の意図は計り兼ねるが、私が彼女の言葉に応じ、彼女は私の言葉に反応を示していた。会話と呼ぶ為の最低限の要素は成立していたと私は思う。

 

「一方的ではなく?」

「私の認識が誤っていなければ」

「そうか……」

 

 織斑千冬は再び黙考し、腕を組みながら私の事をじっと、品定めをするように見つめている。目の前の相手から贈られてくる視線に居心地の悪さはあるが、大して気になるものではない。

 

「……今後お前には今後も色々頼む事があるかもしれん。その時は、よろしく頼めるか?」

「喜んで」

 

 私に向けられた視線の後に投げかけられた織斑千冬の言葉からは、いつものような強権的な雰囲気は消え去っていた。こちらの承認を求める問いかけの形式を用いた言葉。私が篠ノ之束と会話したと言う事実の何がその変化を与えたのか分からないが、織斑千冬の頼みを二つ返事で受諾する。一年一組の私がそれを拒否する理由は無いのだから。

 

 

 時刻は8時過ぎ。シミュレータの片づけとデータの受け渡しに少し時間がかかった為、普段よりもかなり遅い時間に食堂に到着した。私は朝食のセットメニューを購入し、空いている席を探す。しかし、何時もより遅い時間に来てしまったからか、空席はどこにもない。

 

「おーい。こっちの席が空いているぞー!」

 

 席が空くのを待つか、何処かに混ぜてもらうほかないだろうと考えていると、聞き慣れた声が耳に届く。見れば、テーブル席で片手を振っている織斑一夏の姿があった。有り難い誘いだったので私は彼の居る席へと向かう。

 

「おはようございます。席が無かったので助かりました」

「気にするなって。それにしても今日は遅かったな、寝坊でもしたのか?」

「朝に少々用事がありましたので」

 

 テーブルに朝食セットの載せられたトレーを置いた私は、彼の言葉に否定を返しながら織斑一夏と向かいあうような位置関係で腰を下ろす。すると、横からセシリア・オルコットが割り込んでくる。

 

「そうですわ、一夏さん。キャロルさんが寝坊などするはずがないでしょう?」

「そうそう、あんたじゃあるまいし」

 

 言葉の集中砲火を受けて、小さく唸って縮こまる織斑一夏。円状のテーブルを囲むような席で、織斑一夏は両サイドを鳳鈴音とセシリア・オルコットが固めている配置だ。そんな状況であるから、両サイドからの同時攻撃の逃げ場が無く非常に居心地が悪そうである。

少しだけ、織斑一夏の援護射撃をしてやろう。

 

「そう言えば、セシリア・オルコットさんは、最近は朝も早いですね」

「ええ……早起きは三文の徳と、そう言いますでしょう?」

 

 若干、挙動不審になりながらもセシリア・オルコットは態度を崩さない。だが私は知っている。彼女が誰かに起こして貰えないと眠り続けてしまうという事を。

 朝に慌ただしくしている姿を目撃している生徒は多数居て、かくいう私もその一人。放送機材の調整を朝に行う事があった際、目撃してしまったのだ。

 

「え、私はルームメイトの子に起こして貰っているって聞いたけど?」

「り、鈴音さん!」

「有名な話だよな」

「一夏さんまで!?」

「本人に聞いたんだけど起こして貰う時は「わあ!わあああああっ!」むぐっ」

 

 何か言葉を続けようとした鳳鈴音に跳びかかり、口を抑え込むセシリア・オルコット。織斑一夏はそんな二人に挟まれる。

 

「俺を挟んで取っ組み合いするな! ってか、当たってる! 当たってる!セシリア、柔らかいのが!」

 

混沌とした状況に一変し、騒がしくお互いに取っ組み合う二人と挟まれる一人。私は彼等と向かい合うように腰を下ろしながら、ここしばらくの間に見慣れた人物の姿が無い事に気付く。

 篠ノ之箒の姿が、此処にはなかった。

 

「篠ノ之箒さんは?」

「朝練だからって、さっさと行っちまったよ」

 

 ようやく二人を引きはがし、一息つけると言った様子でため息を吐きながら織斑一夏が答える。朝練という事は部活関係か。何にせよ、頑張っている様子で感心する。

 

「そういや、例の件はどんな調子だ?」

 

 そんな風に、とりとめのない事を考えながら朝食を撮っていると織斑一夏から問いかけられる。

 

「順調です。数値の調整はあと少しで終わります。それが終わったら実際のデータを収集して細部の調整をする予定です」

「何の話ですの?」

 

 私達の話に頭上に疑問符を浮かべたセシリア・オルコットが入ってくる。そう言えば、以前にこの話をした時に彼女は居なかったか。彼女には今後の訓練などで協力してもらう事もあるだろうから、私達が計画してる事について説明をしておくこととする。

 

「――――というわけです」

「まあ、素敵ではありませんか」

「だろう?」

 

 私達からの説明を受けて好感触を示すセシリア・オルコット。協力を取り付ける事に関しても、何の問題も無かった。

 




シャルとラウラ、いつだそうかなあ……(白目)
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