女オリ主による原作介入モノ(非転生、女オリ主、習作) 作:杭打折
前話は久々の投稿にも関わらずたくさんの感想などありがとうございました。
また一月ほど間をあけてしまいましたが続きをどうぞ
※追記
今更ながら章内のナンバリングがすごいことになってる事に気づいたので修正。
3と4の終わらないループ……
二人の転入生の紹介が行われたHR。その後の一組の教室は女子だけになっている。織斑一夏は何処にいったかといえば、恐らくはアリーナの更衣室だろう。先程、シャルル・デュノアの腕を引いて慌てて教室から出ていったから、もうついてる頃か。
ちなみにだが、シャルル・デュノアに対しては織斑一夏が主に面倒を見る事になった。まあ、男子同士というのならば納得の配慮である。
「はぁー……デュノア君って素敵よね」
「そういえば織斑君っていつもアリーナの更衣室で着替えてるんだっけ」
「じゃあ、そこにカメラを仕掛けたら……」
着替えながら耳に入ってくる言葉に思わずため息を吐く。表向きにはなかったことにされてるが、織斑一夏の入学当初もこのような盗撮騒動があったのである。
発覚したのは私のシミュレータにまで監視カメラが設置されてたので、織斑先生に相談したところ、それはすぐに解決することとなった。すべて終わった後に生徒会長殿から聞いた話だが、一部の女子生徒の間で織斑一夏の隠し撮りをしようと企むものが居たらしい。見習いたくはないが、感心する勇敢さだ。
さて、流石に解決した一件がまた再燃するようなことを目の前で放置しておくのもまずかろう。彼女らも本気でそうしようと話してるとは思わないが、先程のHRでの喜び具合を見るにいささか不安なものがある。
「一夏さんの時も同じことがあったみたいですね、織斑先生が即座に対処してらっしゃったようですが」
「織斑先生が……」
「わ、私はそういうのは興味ないかなぁ!」
なのでひとつだけ、耳よりな情報を転がしてあげる。こういうときでも織斑先生のネームバリューは非常に便利である。そそくさと話題を切り上げて着替えを再開していく。
「おい、貴様」
其を見て、私も制服を畳む作業に戻ったのだが、私に聞きなれない声で呼び掛けてくるものがいた。基本、こういった時間では話すのはセシリア・オルコットくらいなのだが珍しいことである。そう思いながら振り向くと、私を不機嫌そうににらみつける、転入生――ラウラ・ボーデヴィッヒがそこにいた。
「何か御用ですか?」
「そのような下らないことのために教官の名前を使うな」
「私はあくまでも織斑先生の過去の行動を口にしたに過ぎませんが」
あくまでも私は過去の事例を口にしたにすぎない。だが織斑千冬の名前を利用する意図があったのも事実ではある。そこを指摘するのであれば彼女の言を全否定もできないし、実際他人の名前を当人の居ない場で権利のように行使するのは誉められたものではない。その点についての否は認めようと思ったのだが―――
「なんだ、貴様はこの程度の連中を教官の名に頼らなければ言いくるめられないのか?」
私の問いには答えず、清々しいくらいまっすぐ攻撃的に来る様子にはとりつく島もない。別段、気にはならないが。
ただ、話が噛み合わないというのは少し困る。これではまるで一方的に噛みついてくる狂犬に話しかけてる気分である。
とりあえず、そういった相手には私としては折れてやる理由がないのだ。加えて、個人的な理由だが彼女は私の友人に手をあげようともした。ならば、友好的な立ち位置にはない。
「確かに。織斑先生の名前は様々な場面で効果を発揮します。先の発言がそれを頼りにしたものであったことは、認めましょう」
先も言ったように、自分の不徳とする部分が言動にあったのは否定はできない。なので、それを肯定したのだがラウラ・ボーデヴィッヒは口をへの字にし不機嫌そうに、此方を侮蔑する視線をごく当たり前のように送ってきていた。
「ですが、何か問題でも? 先程も申し上げたように、私はこのクラスの担任である織斑先生の意向を口にしたに過ぎません」
「それが不快だと言っている。貴様のような輩が面白半分に、玩具のように振り回して良い名前ではない」
自分に否はあるという旨を口にした後の、それを問題無しとした私の言葉を聞いたラウラ・ボーデヴィッヒは侮蔑から怒りへ表情を変え、威嚇するように低い声を出す。
「でしたら、次からは貴女に伺いをたててからにしましょう。それなら貴女も不満はないでしょう?」
「………貴様、私の話を聞いていたのか? 何故、そこで私の許可という話になる?」
何故かなどと問われても、理由は実に単純だ。
「貴女が駄目だと言うなら、貴女に許可してもらうのが正しい手続きしょう。私の言葉を気に入らないとしているのは、貴女以外の誰だと言うのです?」
「……」
わかっていた事だが、やはり彼女の怒りは増大している。そして、やはりというべきか彼女は分かりやすく、私に敵意をむき出しにしする。
「どうやら貴様とは、どちらが上なのかはっきりさせた方が良いらしい」
「お言葉ですが、組織における立場とは属する組織にどれ程貢献しているかによって決まるものです。貴女の言う上下とは、そういった物なのでしょうか?」
「甘いな。立場とは力で勝ち取るとのだ。力でもって他者を捩じ伏せ、従わせ――そうして得るものだろうに」
真顔でラウラ・ボーデヴィッヒはそう告げる。彼女は本気でそう思っているのだろう。言葉から包み隠す事無く放たれる力に対しての絶対の信頼、そして信仰。
そういった世界で生きてきたからか、それともそうせざるを得ない強烈な過去と出会ってしまったか。或いは、その両方なのか。彼女が唯一従う素振りを見せた織斑千冬の姿が脳裏をちらつく。
なるほど、たしかに彼女ならばそういう憧れを抱くのも無理はないと納得する。過去に織斑千冬との接点が在るらしいラウラ・ボーデヴィッヒ。彼女にとっての芯はそこにあるのだろう。
「つまり貴女は私を捩じ伏せたいとお考えで?」
「その必要があるだろう? なにせ、私の目の前にわざわざ出てきたのだ。織斑一夏……あの愚かな男に向かう過程で轢かれても文句は言うまい」
貴様も獲物だと、明白な言葉で告げられる。このような状況に対する経験があまり無いため自信はないが、これは彼女なりの宣戦布告なのであろう。というよりかは、他の結論が見えないだけなのだが。
「趣旨は理解しました。その意気込みは結構な事かと」
とりあえず、その気概だけは大層なものである。内容は不穏漂い、危険とも言えるものだが少なからず致命的な事件は起こらないし、起こさせない。もしそうなる可能性があれば、私は私の役割にしたがって対処に回る意向である。
「どこまでもそれか、一から十まで貴様と言う輩は気に入らん」
「生まれつきですので」
「その顔がどう歪むのか、楽しみにしておいてやる」
ラウラ・ボーデヴィッヒは私の言葉に鋭い視線を返し、そしてそのまま教室を出ていった。彼女が出ていったことで教室内の空気が幾らか軽くなるが、しかし皆が皆、どこか気まずそうにしている。
「ね、ねえキャロルさん……」
なぜだかどっと疲れたような気分になっていると話しかける声。声の主は先程、私と話していた三人組の内の一人であった。
「あの子、なんか危ない感じあるからさ……気をつけてね?」
「そうそう……なんていうか、常に殺気立っているって感じするしさ」
その一人に続いて、別のクラスメートも同調して言葉をつなげる。彼女らの言うとおり、ラウラ・ボーデヴィッヒの雰囲気はこの学園の中において異質であった。誰かれ構わず、話しかけていなくても周囲に敵意を振り撒いている。そんなにこの学園が気に入らないのに何故来たのか、とそう尋ねてみたくなる程度に。
目の前の彼女らが言うことは単純で、そんな危険な気配を放つ相手に対して警戒せよという警告。自然な内容であり、それに従う事に何ら否は無い。言われなくてもそうするつもりではあったが、言ってくれたことには素直に対応しよう。
「お気遣い感謝致します、備えはしておきましょう」
「うん、気をつけてね?」
今のとこら彼女から明確に目をつけられているのは私と織斑一夏。そういった認識は他のクラスメート達にもあるようで、目の前にいる残りの二人からも懸念、不安といった視線が送られる。同じような視線は教室内の幾つかの方向からも感じられた。
先程まであった和気藹々とした空気がなくなり、しんと静まり返った空気は微かな圧力となって教室全体にのしかかっている。
「うっわ、なにこの空気。御葬式か何か?」
「あ、りんりんだー」
「その呼び方は止めなさい、というか止めて!」
「えぇ~? りんりんどうしてー?」
「だからりんりんは止めなさいってば!」
重苦しかった空気がのほほんとした声と、騒々しい二つの声でふっと緩む。見ればそこには鳳鈴音とそれに絡む布仏本音の姿。布仏本音は同じクラスだから居て当然なのだが、鳳鈴音の方は何をしに来たのだろうか。
「はぁ……あ、キャロル。転入生ってのはどいつ?」
「どちらの転入生に御用で?」
どちらも今は教室にいないのだが、一応確認する。
「女子の方」
「でしたら、つい先程アリーナに向かわれたかと」
「入れ違いって訳? まあ、別に良いけど」
鳳鈴音の目的はラウラ・ボーデヴィッヒであるらしい。珍しいこともあるものだと思っていると、その視線を察したのか自分からその理由を語りだす。
「もう噂になってるのよ。もう一人の男子と、あいつに手を出そうとしたのがいるってね」
鳳鈴音の声色が変わった。今まで彼女から聞いたことがないほど低く――そのおかげでまた教室内の気温がまた少し下がった。
「だから、そいつの顔を拝みに来たのよ。どんな顔をしてるのか、見てやりたかったからね」
攻撃的な色をその瞳にちらつかせ、鳳鈴音は笑みを浮かべている。その敵意が向かう先は今ここにはいないラウラ・ボーデヴィッヒ。感情的な鳳鈴音彼女の気質に、傲岸不遜を体現したようなラウラ・ボーデヴィッヒ。両者が顔を合わせたらどうなるかなど解らない方がおかしい。織斑先生が目を光らせる授業中であれば互いに大人しくするだろうが、それ以外の時間に顔を合わせたら間違いなく衝突する。
専用機持ち同士の衝突の危険性は言うまでもない。個人の意思で展開、稼働が可能なISという装備の特性上何処でも戦闘を行える。
そして、鳳鈴音は織斑一夏と行動する時間が比較的長く、ラウラ・ボーデヴィッヒは織斑一夏に対して接触を行おうとする可能性が高い。
ラウラ・ボーデヴィッヒだけでも危険であるにも関わらず、対抗する形で鳳鈴音が行動するのは困る。織斑一夏の学園での生活にも影響が出るだろう。そうならないよう、釘を刺しておく。
「鳳鈴音さん、くれぐれも問題は起こさないように」
「分かってるわよ、私だってそこまで考えなしで動いてるわけじゃないけど――」
そう言って、鳳鈴音は口の端を皮肉げに吊り上げた。その姿を見て、やはりかと思いながら嘆息する。
「もう、やるって決めてるから。あとは相手の出方次第、初対面でいきなり人の幼馴染みに手を出そうとしたんだから、文句の一つや二つぶつけてやんなきゃ気がすまないでしょ」
結論から言えば、鳳鈴音にラウラ・ボーデヴィッヒへと向かうことを止める気は一切ない。一直線に猛スピードで突撃し、減速は一切せずにぶつかっていくのだろう。
ラウラ・ボーデヴィッヒがかわすように動けば丸くおさまるのだろうが、彼女の傲岸不遜な様子からして返り討ちにしようとする筈だ。その結果どうなるかまでは見えないが、少なくとも良い結果にはならない。
いや、避けられない事態があるのなら、良い結果を獲得するように勤めるべきだろう。少なくとも、私はそうしなくてはならない。
「では、貴女の行動が我々の益に繋がることを期待します」
「へえ、止めないんだ?」
「止まらないならば、制止したところで無意味かと」
それもそうね、と言って鳳鈴音は肩を竦めて緩い雰囲気で笑う。ラウラ・ボーデヴィッヒに関しての話はもうないようで、普段通りの彼女がそこにいた。
一夏とシャルルが更衣室でなんかしてる裏で……なお話。
現状で言い逃れしておきたい事。
・シャルルの出番が少ない
キャロルが一夏と行動しないと難しい。そのうち、スポットライトは当てる。
・ラウラの扱い悪い
アンチのつもりはない。でも、私の中での初期のラウラはこんなイメージ。そのうち残念になる。
本編を書いてる途中で短編とかサイドストーリーみたいなのの構想を練ったりしてしまう。
息抜きがてらやるかもしれないので、そのときは生暖かい目でみていただければと思います。