女オリ主による原作介入モノ(非転生、女オリ主、習作) 作:杭打折
とりあえず一ヶ月以内に投稿できた。いや、どうなんだろうという滑り込み具合な感じで投稿した二章7です。
因みに、アリーナでの授業ではキャロルも真面目にやっているだろうということで書いてたら何もイベントが起こらない淡々としたものだったので飛ばしました。
時系列的には当日の放課後とでも思ってください。では
アリーナでの授業は何事もなく終わった。
いや、何事もなくというのは語弊を招くだろう。
実際に幾つかの特別な出来事はあった。
まず一つ目が山田先生対鳳鈴音、セシリア・オルコットの変則的な模擬戦が行われたこと。因みに模擬戦の結果は山田先生の圧勝。質で劣らず、数で勝った二人が敗北したのは連携の失敗といえる。
この模擬戦においては、開始と同時に鳳鈴音は双天牙月を分裂させて両手に構え、二刀流で突撃。セシリア・オルコットはスターライトMk-Ⅱで援護射撃。セオリーに従った行動。私も同じ選択をするだろう。
当然ながら山田先生はこれに対応してみせるが、そこに鳳鈴音がくらいつき、接近戦を展開する。
鳳鈴音の特性を考えれば順当にも思えが、この戦いにおいて選択の過ちがあったとするならば此処だろうと私は考えている。
恐らくだが、彼女らの構想としては接近戦で有利をとり、大きく隙を作ったところでセシリア・オルコットが追撃するというものと推測できる。しかし、山田先生は常に鳳鈴音を楯に出来る位置か、回避が容易な位置にしか飛ばなかった。結果、鳳鈴音への誤射を避ける為にセシリア・オルコットの攻撃は慎重になり、撃てるタイミングで撃ったものは回避される……と、簡単に言ったもののこれは容易なことではない。
何せ、目の前にはパワーで勝る接近戦タイプが迫っているのだからそれを相手にしながら常にもう一方の射線を読み続けて被弾しないように接近戦でのやり取りをコントロールする。それを可能にするためには経験と技術に知識量が必要だ。それを兼ね備えているということは、山田先生がかなりの実力者であることの証明と言えるだろう。
普段の様子からは想像できない姿と言ってしまうのは彼女に対して失礼かもしれないが、他の生徒たちも同様なのか驚愕を露にした表情を浮かべている。教員としてそれくらいはと見込んでいたが、セシリア・オルコットと鳳鈴音とは織斑一夏たちも加えて訓練を行う事もあって少なからず衝撃を受けてもいるのが正直なところだ。
まあ、山田先生の実力へ驚愕する空気も、先に墜落してきた二人より後に降下してきた彼女のやりきったような笑みで幾らか和らいで、歓声が沸き上がる。
「山田先生すごーい! かっこよかったー!」
「ふふっ、ありがとうございます」
湧き上がる歓声に笑顔で対応する山田先生。非常に嬉しそうだが恥ずかしさや照れもあるのだろう。わずかに頬が赤らんでいる。
「正直、あんま強くなさそうとか思ってました!」
「やまやは伊達じゃない!」
「ええっ!? って、やまやはやめてくださいっ!」
そこに繰り出される生徒たちからの変化球に、先程までの出来る教師といった雰囲気は霧散してしまう。此方のほうが彼女らしいと言えば彼女らしいが……と、そんなこんなで行われた二対一の変則マッチがまず一つ目の出来事である。
そしてもう一つだが、シャルル・デュノアはやはりあのデュノアであったということだ。
フランスの最大手IS関連企業のデュノア社。元々は航空機関連の企業であったという件の企業。その社長の息子だと言う。
これで、彼の素性に対しての疑惑はますます強くなった。実を言うと彼の素性に興味はないのだが、織斑一夏に対して何かするのではないかという懸念がある。それが晴れない限りは、警戒を続けておくべきだろう。
さて、それが少し前のことで、その振り返りの話はここまで。しかし、私の現在に話を引き戻すのも退屈を誘うものになる。
何故かと言えば……
「あー!また負けたー!」
「今のに対応するなんて器用すぎじゃなくって!?」
「作戦!作戦タイムよセシリア!」
二台のシミュレーターから鳳鈴音とセシリア・オルコットの二人が出てくる。かと思えば、二人とも喧しく騒ぎ立てながら貸しスペース内に設置していたテーブルにかじりつきになって、顔を付き合わせながら作戦会議を開始している。私はそれを横目に戦闘データをシミュレーターに記憶、学習させる。
「二人ともやる気に火がついてんなあ」
「でしたら、一夏さんも混ざってみては?」
私の腰掛けている椅子の横に椅子を持ってきて腰を下ろしている織斑一夏は感心したように言う。それに対して指は止めず、感心するのならばと提案を口にする。
私の提案を聞いた彼は、二人のところへと目を向けてから首を横に振った。
「あれは俺が入っていける空気じゃないだろ」
「……確かに」
彼の言うとおり、今の二人の間に入ったとしてもそれに対応する余裕は二人にないだろう。そもそもシミュレーターは二台しかないので三人体制であたることのメリットは少ないのもある。
「では、アリーナで訓練をしてみては? 転入生の彼とは良い交流になるでしょう」
「それも考えたんだけどさ……ほら、シャルルが来てから、みんな朝の調子だから居心地が悪くってなあ」
織斑一夏は、シャルル・デュノアのいる方向へと目を向ける。私もそれにつられて目を向ければ、そこにはシミュレーター内での戦闘を映像として映し出しているディスプレイに釘付けになっていた。
「一夏さんの入学当初もそうでしたね。二度目ですが、流石になれましたか?」
「慣れてたら此処には逃げ込んでないな」
「それもそうですね」
私と織斑一夏はどちらからでもなく苦笑を浮かべる。
鳳鈴音とセシリア・オルコットから時間をつくって欲しいとせがまれた私はそれを承諾した。彼女達からの要請でシミュレーターを使うことも同様に。それに乗っかってくる形で織斑一夏もシャルル・デュノアをつれて同行してきたのである。篠之乃箒は足早に何処かへ行くのを見たのでなにか用事でもあったのだろう。
さて、私たちが今いる生徒用の貸し倉庫だが、使用者以外は入れないようになっている。加えて、常に監視もされているので、もし入ることができたとしても、怪しげな行動をとっていれば警備員がすぐにとんでくるのだ。そうなったら担任へと話がいき、次に厳しく判決が下される。
なので織斑一夏とシャルル・デュノアへの野次馬も迂闊に踏み込めずにいるのだ。そう言う事情もあって織斑一夏とシャルル・デュノアは此処にいる。
「しっかし、シャルルがシミュレーターにあそこまで食いつくなんてな」
「私も想定外ですが、シャルルさんも訓練で苦労したのかもしれませんね」
「なんでだ? シャルルの家って大企業なんだし、むしろそういうのはやりたい放題じゃないのか?」
織斑一夏の理屈もわからないでもないが、彼の事情を思えばそう簡単にいくはずがない。
彼の発言や行動、代表候補生という肩書きから推察するにシャルル・デュノアはそれなりに長くISに関わっている。私としては年単位の経験を持ってると踏んでいる。
「シャルル・デュノアさんは今まで表に出ることのなかった存在です。公式の大会などにも参加は不可能でしょうし、存在の露見を避けるならば頻繁に機会を設ける事も困難だったでしょう」
「ほー……立場ってのは面倒だな、いや俺もあんまり人の事は言えないけどさ」
なるほど、と合点を心の中で得る。忘れていたが、彼は初代ブリュンヒルデ織斑千冬の弟であった。しかも篠之乃束とも親しく、少し前までの織斑一夏自身は一般人とあまり変わらない。色々な意味で格好の獲物になっていたのだろう。
「そういえば、貴方も他に類を見ない数奇なものでしたね」
「そういえばって、忘れてたのかよ……」
苦笑交じりに織斑一夏は抗議をしてくるような視線を私に向けてくる。いや、決して忘れていたわけではない。それはただ単純に――――
「ただそういった情報は、私の知り得ている貴方の情報のわずか一部に過ぎないというだけです。私はそれ以上の貴方の情報を持っています」
それはまあ、入学して半年と経たない内に知り得た事で、全体から見れば私の知っている情報ですらほんの一握りに過ぎない筈である。
しかし、それでも、彼の家族や交友関係、経歴などから読み取れるであろう情報とどちらが上かというのは比較対象にもなるまい。
「誰でも知り得る情報と比較して、そちらの方が重要だったというだけ。それ以上の理由はありません」
私が関わり、知ったこと。それは織斑一夏という人間を理解したとはいえなくても、情報として対象を眺めるだけでは決して知り得なかった事なのだから。
「真顔で淡々と言うセリフじゃないだろ、それ」
私の言葉を聞いた織斑一夏はそう言って、呆れたように肩を落としながら笑っていた。
……………………
…………
……
既に何度目かの墜落となるセシリア・オルコットと鳳鈴音のタッグを映し出したシミュレーション映像を眺めながらシャルル・デュノアは一人、ため息を吐き出した。
「困ったなあ……これじゃあ僕、戻れるタイミング、ないよ」
シミュレーターの操作端末を操作するキャロルとそれの近くで腰掛けて話す一夏。その二人を見て困ったように呟く。そして再びセシリア・オルコットと鳳鈴音がシミュレーターから慌ただしく出てくるのを見て、また苦笑を深めるのであった。
つまり、貸倉庫は個室ということ。スミカ。ユーティライネンです(´・ω・)ノシ
ぱっと見た限りでは過去の描写と矛盾はなかったと思う。もしあったら教えてくださると嬉しいです。今回のを都合のいいように訂正しますので。
次は何時になるのかわかりませんが、出来るだけ早めに仕上げられるように頑張ります。それでは