女オリ主による原作介入モノ(非転生、女オリ主、習作)   作:杭打折

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今回はずっとキャロルのターン、というか1組の生徒は出て来ません。


序章4

「キャロル・オルフィレウスです。主任にお繋ぎ下さい」

 

 放課後。私は自らの所属している企業の研究室へと電話をかけていた。それは主任に頼まれていたからで、無事に到着しているかどうかの報告を上司にするためだと言っていた。

 

『もしもーし、そっちの様子はどうかな?』

 

 明るい声。私をこの場に送り込む決定的な要因となった研究所主任のものに違いない。声の様子から主任はいつものニヤニヤという笑顔を浮かべながら話しているんだろうなと想像する、主任の笑顔を容易に想像できたことが少しだけ悔しかった。

 

「良好です。研究所の様子は?」

『うん、何も問題なし。キャロルが居なくても研究は進んでるから、安心して学園生活を楽しんで来てねー』

 

 それはそうだろう。研究所では個人個人が好きなような研究をしている。そして、私は違う内容を研究しているので私が居なくても他のメンバーの研究が進むのは当たり前だ。もし、私が居ない事で研究が進まなくなるなんていう事が起こったのなら、それは異常事態以外の何物でもない。

 

「それは何よりです。では、本日の連絡はこれにて終了とさせていただいてもよろしいですか?」

『ああ、ちょっと待って。キャロルの機体だけど、昨日そっちに送り出しておいたから明日には届くだろうね』

「そうですか。では、明日到着を確認したら再び連絡をさせて頂きます。それでは」

『クールだねえ……んで、切る前に一つ聞いておきたい事があるんだけど』

「どうぞ」

『あっはっは、ごめんねえ時間を取っちゃってさあ。…………例の"アレ"、ご希望通りそっちに送っておいたけど何に使うつもりだ?』

 

 主任の声に真剣みが帯び、私が発送を要請した装備についての話になる。

 

「使う予定は今のところありません。ですが、あれでも私の作った大事な装備なのですから手元に置いておきたいというだけです。お守りとでも言っておきましょうか」

『じゃあ、そういうことにしておこうか。いやー意外だねえ。キャロルにもそういうところがあるなんて思ってなかったよ』

 

 遠回しだったが意図は伝わった。主任は私がこの学園に来る事になった理由を作った張本人だから伝わって当然だが。

 

「それでは」

『うん、それじゃあまたねー。学園生活を存分に楽しんできな』

 

 プツリという身近な切断音によって通話にピリオドが打たれる。主任の最後の一言にどんな嫌味かと内心で愚痴をこぼしながら、それなりに楽しかっただろうかと今日の出来事を思い返す。

 授業は知っている事をなぞるようで楽しいとはいえない。織斑先生は容赦がなく、山田先生は見ていて不安になる。クラスメート達の雰囲気や空気には付いていけないが、私が見ているだけで済むのならば構わない。織斑一夏は任務の対象であるため、個人的な評価の対象外とする。

 

「楽しむ、ですか……」

 

 一言、無意識の内にでたつぶやきに自分が何を思っているのかが分からなくなる。落ち着いた場所が欲しいと思った私は企業からの支給品である携帯電話をしまい、私は渡り廊下からテラスへと脚を踏み入れ夕暮れに染まった海を一望する。遠くに太陽光の反射とは違う光を見つけて目を凝らす。どうやらそれは学園の警備に用いられている教員用のISだった。このようにIS学園は定時に教員や高学年の生徒達による周辺空域のパトロールが行われている。今日はどうやら我等が山田先生が当番らしい。彼女の機体が描く軌道はなめらかだが基本に忠実で実戦的。教室での温和で天然気味な雰囲気とは全く違う。ISに乗るだけでこうも印象が変わるものなのかと思いながら、渡り廊下からテラスへと出て手すりに手を置く。潮風に混じった微かな磯の香りが心地良い。夕食までにはまだ時間がある。ギリギリまでここで太陽の動きを眺めていくのもいいかもしれない。

 

「あら、先客かしら」

 

 気配が近づいてくるのに気づくと同時に背後で声が聞こえた。顔だけ向けると水色の髪が特徴の平均的な身長の女子生徒――学年を表すリボンは彼女が二年生だと示している。

 話しかけられた訳ではないので視線を元に戻し景色を眺める事に没頭し始める。だが、彼女はそんな私も無視して頬を手に持った扇子でつついてきた。

 

「つんつん♪」

「…………生徒会長殿。私の頬を扇子の先端で突く事に意味はあるのでしょうか?」

 

 私は彼女に見覚えがあった。彼女は更識楯無、このIS学園の生徒会長でありロシアの国家代表。入学前からもIS関係者の間では名の知れた人間だったため、私は彼女の名前を知っていた。

 

「私の事を覚えててくれたんだ。嬉しくて会長さんは泣いちゃうかも♪」

「生徒会長殿は先客と仰られていましたが、普段から此処に?」

 

 頬を突くのをやめた更識楯無は私の隣に立ち、同じように景色を眺め始める。先程の発言に対して私が問いかけを行うと、帰ってきたのは肯定の返事だった。

 

「ええ。困ったことがあった時とか、たまにね」

 

 それからお互いにいくつかの言葉を交わしていく。私は意識の一部を彼女へ向けながらも景色からは視線を外さないでいた。別段警戒をしているというわけではないが、それでも必要以上に自分を知られたくはないので心的距離を測りながら会話を続ける。

 

「学園は気に入ったかしら?」

「まだ初日ですので……まだ、よくわかりません」

「そう。私としては貴女がこの学園を気に入ってくれると嬉しいわ」

 

 クスっと笑ってどこか楽しげそう言った更識楯無。彼女の口調に雰囲気。どれをとっても絵に描いた理想の先輩を体現しているようであり、私もそう言った人間が居てもいいと思えるほどのカリスマ性に似たものがある。だからこそ、更識の意味を知っている私は、彼女への認識を確かにしていた。

 更識楯無。対暗部専門の暗部を称する家系の彼女はこの学園の全てを知っているといっても過言ではない。敵に回した場合、この学園で最も厄介な相手の一人となるのは間違いがない。そう考えて内心で苦笑を漏らす。私は別に彼女との衝突が必須となるような目的で学園に来てはいない。知られたくはない事はあるが、知られて困る事は無い。

 彼女が此処に来たのは単なる偶然か、彼女の言うとおり困ったことがあったからなのだろうと考えて肩の力を抜く。肩肘を張る必要は無い、私は落ち着ける場所が欲しくて此処に来たのだから落ち着いていればいいのだ。更識楯無からは探ろうという意志は感じるが、それは私も同じ物がある。いわゆる職業病というやつだろう。

 肩から力を抜いた私は気晴らしに言葉を交わす相手になってもらおうと思って更識楯無に学園と関わる質問をし、更識楯無から質問を受けていた。

 それからはしばらく世間話のような雑談をしていったが、黄昏から宵へと移り変わっていく空によって夕食の時間が迫ってきている事に気付いて会話を終わらせる。

 

「そろそろ時間ですので私はこれで」

「あらもうそんな時間? 付きあわせちゃってごめんね。貴女の名前を聞いておいてもいいかしら?」

 

 そのままテラス歩き出すが呼び止められ、そういえば自己紹介がまだだったということを思い出す。たしかに、知り合ったのだから名前は教えておいたほうがいいのかもしれない。

 

「企業所属キャロル・オルフィレウスと言います。お見知りおきを」

「ええ、よく覚えておくわ。私は更識楯無、生徒会長をやっているわ」

 

 互いに名前を交換してからそれでは、と最後に一言口にして渡り廊下へと戻り、学生食堂へと向かう。別れ際に更識楯無が浮かべた表情に、どこか安心にも似た感情が混ざっていた事は私の気のせいではないだろう。私はその理由を考えることで移動の間の時間を潰すことにした。

 

 

 

 

 

 

「ほら、Aセットだよ」

「どうも……それにしても結構な混み具合ですね、いつもこうですか?」

「ああ、まあね。今日は年度初日だからなおさらだろうさ」

 

 夕食を摂りに来た私は食事をカウンターで受け取り、従業員と話をして混み具合について尋ねる。いつものことだというその混み具合に、明日からは時間をずらして食事を摂りに来る方がいいかもしれないと思いながら全体を見渡し、空いている席を探す。少し手間がかかるかもしれないと思ったが予想外に早く、一つだけだが空席を見つけることが出来た。他の生徒に先をこされる前にそのテーブル席にトレーを置いて場所を確保する――しようと思ったのだが、視界の隅で自分と同じ席を狙っていたらしい生徒がいた事に気づいてトレーを置くのを一旦止めた。

 

「…………」

「……お一人ですか?」

「……ええ」

 

 どうせ私も一人だ。一人がテーブル席を独占するのもこの混み具合では単なる迷惑行為だ。彼女のリボンの色は一年生を示す青。ならば特に気を使う必要も無いだろうと考えて、彼女に提案をしてみることにした。

 

「相席を提案します。そちらがよろしければ、ですが」

「私は……構わない……」

 

 提案された側の彼女は少し戸惑っているような、驚いたような雰囲気を放ちながらも答えた。

 

「では、そうしましょう」

 

 円形となっているテーブル席の椅子の一つに腰を下ろし、続いて女子生徒が反対側に腰を下ろした。向かい合うように座って食事を始めた。注文した料理のレベルは高いといえる出来だった。一流とまではいかなくても大抵の人間が合格点以上の評価を下すだろう。食材もいいものを使っているようで、サラダなどはドレッシングがなくても十分に楽しめる。

 

「…………」

「…………」

 

 向かい合うように座って食事をしている私達だったが。偶然食事の席を共にすることになっただけの他人なのだが、相手の女子生徒が私の方を盗み見ている事に気付く。おどおどとした様子に内向的か根暗と呼ばれるタイプの人間なのかと思いながら、私から声をかけることにした。

 

「何か?」

「あ、いいえ……なんでも、ない……」

 

 そういう割には何か言いたげな雰囲気をはっきりと感じ取れるのだが、当人が言わないのなら私は別にそれでいい。言う機会は作ったのだからそれ以上をする必要はないし、そこまでの興味が有るわけでもない。私は彼女からの視線を気にしない事にして食事を手早く済ませていく。

 最低限に味を楽しみながら効率を重視して食事をしていく。

 

「では、お先に失礼します」

「う、うん……」

 

 同席者にひと声かけてからトレーを持って立ち上がり、それを返却棚に置いてから未だに混雑の度合いを増している食堂を後にした。

 

 

 




同室のキャラをオリジナルにするか原作にするか――原作にするとしたら誰にするかで結構悩みましたが、当初の予定通り原作キャラにすることにしました。
 オリジナルキャラ複数をレギュラーとして出した場合自分は動かしきれなくなります。なので、オリキャラ複数でssを書けている人はすごいと思います。ただし、キャラの設定自体は沢山浮かんでくるのだから困ったものです。
 自分で書いてて思ったことなので、章分けについて話をしておきます。序章1~4という感じでもう第一章にした方がいいんじゃないかというくらい序章が長引いてますが、これはセシリアと一夏の決闘までが序章です。そしてキャロルの専用機も序章では活躍する機会はないでしょう(笑)
 それとキャロルの設定ですが、作ってあるので見たいという方がいたらプロフィールという形式で公開しようと思っています。


 気をつけていますが、入力ミスや変換ミスで誤字が混ざっているかもしれません。見つけたら教えてくれると幸いです。


※投稿した後読みなおして文章に納得がいかず、改訂しました。
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