女オリ主による原作介入モノ(非転生、女オリ主、習作)   作:杭打折

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本当はもっと少し長かったのですが、保存前にPC再起動という事態になってしまいました。
細かに保存するって大事ですね。


序章7

 授業を幾つか終えて昼休み。空いた時間を活かして企業から送られてくる機体と装備の確認を済ませようと、私は貨物搬入所に来ていた。織斑一夏に一緒に昼食をと誘われたが、受取確認を優先すべきと判断して此処に居る。

 担当と思しき受付の女性に自分宛の貨物が届いてないかを尋ねると、二番搬入口に届いているようだ。IS学園に搬入される貨物や荷物は、日本政府による厳密な検査を通りぬけてから専用の大型貨物船で運び込まれる。その際に強奪を警戒して、護衛機のISが日本政府とIS学園から一機ずつ派遣される。そうしてIS学園へ届いた貨物達はIS学園に搬入され、学園によって再度行われる検査を通過して生徒の元へ届けられる。随分と面倒な手順を踏んでいるようだが、機密やセキュリティの都合上省くことは出来ない手間である。

 本来ならこの流れの中に生徒が関わる必要は無いのだが、今回は貨物の一部を貸し倉庫へと送らなければいけないからということと、送られてくるものの中に私の専用機がある。そして送られてくるものに使われている技術はほとんどが企業の最高機密、万が一を警戒して足を運んでいるというわけだ。

 第二搬入口に行って作業員に確認を取ると私宛に送られてきたコンテナは3つあるらしい。コンテナ外部の操作パネルで中身を確認すると、まずはISが積まれているコンテナのハッチを開く。

 コンテナの中には一つの大きな異生物を彷彿とさせる機械が鎮座していた。その外観は曲線的で有機的ながら、しかし装甲の放つ無機質な輝きがそれを否定している。全体的に細身であり、特に腕部や脚部などは他のISに比べた場合特異な形状をしていると断言できる。人よりも別の生物に近い形状は飛行能力を高める為の設計であり、機体もそれを活かす為に作られている。企業の他の研究者にセンスが悪いなどと言われてしまったが、私はこの形状を美しいと感じている。飛ぶための能力を追求したこの形状こそ、機能美という言葉に相応しいと感じる。

 第四世代を目指して企業によって設計開発された第三世代IS――

 

「ブラックバード」

 

 それが、彼女の名前だ。

 

 

 放課後。私は織斑一夏との待ち合わせ時間にはまだあったので、食堂前で企業への連絡を行なっていた。

 

『あーあー、キャロル? 機体と装備の方はそっちに届いたかなー?』

 

 繋ぐ相手は主任。いつものように人を食ったような話し方をする彼は好んで話したいと思う相手ではないが、企業には上司が彼しか居ない。仕事はしっかりとこなすので信頼は出来るのだが、こういう楽しむようなところがあるのが残念だ。

 

「手違いなく。IS及び発注した装備全ての到着を確認しました」

『それは良かった。そんで、何か変わった事とかはあった』

「特には……いえ、二つほど」

 

 面白がるような口調で投げ掛けられたのは近況報告を求める言葉だった。つい先日したばかりだというのに、そこまでこまめな性格だったと記憶していないのだが求められたのだから答えておこう。そのついでに、入用のものを届けてもらう手配も頼んでおいても文句は言われないだろう。

 

『んー?』

「まず一つ目に、VRシミュレーターを二つ送ってください」

『二つねえ……またどうして?』

 

 主任は、私が二つと言ったところに反応をした。確かに、普段なら使うのが自分だけだから必要ないのだが今回はもう一人いる。

 

「織斑一夏とISに関して教えるという約束をしたので、教材にと」

『出会って一日でそこまでになるか……キャロルは素っ気なくて付き合いも悪いから、浮いてる方だと思ったけどさあ』

 

 ISについて織斑一夏に教えることになった経緯を説明すると主任は感心したような口調でつぶやく。だがすぐに、その口調のまま失礼な事を言う。

 

「余計なお世話です。私に与えられた役割の範疇外であれば、貯金から引いておいてください。個人的に交わした約束と判断されても文句は言えませんので」

『その点は大丈夫。上の方に請求しとくよ』

「了解しました」

 

 VRシミュレーター二台の出費ならこれまでの研究やパテントで得た利益で払えないことはないのだが、シミュレーターはそれなりに高額である。経費で払えるのであれば、それに越したことはない。

 

『それで、もうひとつの方っていうのは?』

 

 私は言う前に自分が妙に緊張をしている事に気付く。これは主任に言う必要の無いことなのにどうして言ってみようと思ったのか。深い理由やはっきりとした理由はないのに気付いて、自分に疑問を抱く。

 疑問を抱いたものの、ここまで言ってしまったのだからごまかす事はできまい。別の話をしてこれは言わずにおこうとも考えたが咄嗟に話が浮かばなかったので、やはり話すことにした。

 

「愛称を付けられました」

『へえ、どんな?』

 

 私がそう言うと、ついさっきまでの面白がるような口調から一転して興味がありそうな口調になる。先程した到着確認の報告と教材の注文よりも興味を持っているような雰囲気を感じるのはきっと気のせいではないのだろう。

 言わなければよかったと今更ながらに思っている。主任の性格を計算しそこねた私が、自分で自分の首を絞めたというわけなのだが本当に何故、主任にこんなことを言おうかと思ったのか。つい先程までの自分の思考が甚だ理解できない。

 

「…………」

『あーあー。もしもしー? もしかして電波が悪いのかなー?』

 

 主任が喚き立てる。早めに言ってしまわないと後々に面倒なことになるのと鼓膜が素敵な状態になるのは間違いない。私は覚悟を決めた。

 

「キャロりん、と」

『…………』

「……主任?」

 

 無言が返される。口調や雰囲気の移り変わりの激しい彼だが無言になるという事は珍しい。無言になるほど引いているのか、それとも予想が外れて普通に呆れているのだろうか。こちらは何らかの反応があると思って言ったのにこういう反応をされてしまうと逆に困る。

 だが次の瞬間には、私はそのほうが良かったという事を思い知らされることになる。

 

『アハハハハハハ――――ッ!』

 

 突然、主任が大きな声で笑い始めのだ。それも、これ以上ないくらい盛大に。

 

『その娘なかなかやるじゃない!? キャロりんねぇ……』

 

 続けて何か言っているようだ。雰囲気から頭が悪いみたいに喜んでいるのはわかるが、私はそれどころではなかった。先程主任が笑い始めた時に私は携帯電話のスピーカーを耳に当てていた。そんな状態で機関銃さえも上回るような騒音を浴びてしまったのだ。過度の急激な振動で鼓膜は甚大な被害を受けていた。

 

「主任」

 

 文句の一言でも言うべく彼を呼ぶが、彼はあくまでも自分のペースを維持して更に聞き捨てならないことを口にするのであった。

 

『今日から俺もキャロりんって呼ぶよ』

「……」

 

 主任はキャロりんと呼ぶと言う。どうしてそういう発想にたどり着いたのか。先程これを彼に話そうと思った事以上に理解が出来ない。

 

『キャ ロ り ん ♪』

「一言ずつ区切って言わないでください。では、以上で通話を終わりとさせていただきます」

 

 私の視界の隅に背の高い人影が入り込んだ。ちょうどいい頃合いだ。他に連絡事項もないのだし、私は連絡を終えることにする。

 

『あはっ? もしかして怒っ――――』

 

 まだ音を発しているスピーカー部分を耳から離して通話を終了し、私の目の前まで来た織斑一夏を見上げる。

 

「待たせたか?」

「いいえ、時間通りです」

 

 ブラックバードの待機形態である腕時計で時間を確認する。時間通り、というよりも約束の時間よりも少し早いくらいだ。企業への連絡は彼を待っている時間を無駄にしないための手段というだけで、待ち人が来たのだからそれ以上の時間を費やす理由も必要もない。

 私が通話を終えたのにそれ以上の理由はないのだ、決して。 




あと一話分訓練風景をやってからセシリア戦の予定です。


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タグの通りACVのネタはありますが、ACVを知らなくても分かるように書くつもりです。
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