せーはいせんそー   作:鎌鼬

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せかんどないと・5

 

 

アインツベルンの森に沿う様にして走っている山道、そこではライダーとセイバーが戦っていた。

 

 

セイバーは手にした黒い剣とキャスターが使っていた魔術と類似した魔術、それと影から時雨と雁夜の追跡に使った狼を創り出して攻める。セイバーが正面から切り掛かったかと思えばライダーの死角から魔術と狼が襲い掛かる。剣は技術を重視した一撃、魔術は速度を重視した連撃、狼は力を重視した噛み付きと複数による波状攻撃。

 

 

それをライダーは剣は大剣で防ぎ、魔術は身体に触れた瞬間に掻き消され、噛み付きは牙が通ること無く終わりライダーとウェイバーが載っていた馬に蹴られて身体を二つに分けられた。

 

 

「……対魔力に一定の攻撃の無効化か」

 

 

何度か繰り返したことでライダーのスキルと宝具らしき能力を看破する。対魔力自体は珍しいものではないが一定の攻撃の無効化の能力を持つと思われる宝具は厄介だ。それを超えてライダーに届かせようと思えば大技を使う必要がある。それはつまりセイバーの切り札を切る必要が出てくるということ。聖杯戦争が序盤の段階でそれをするつもりはセイバーには無かった。

 

 

「そっちは面白いの使ってるな。召喚系の宝具か?」

「いや、それにしては妙だ……」

 

 

ライダーの予想にウェイバーが否定する。それを隙と見たセイバーが魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)を使用して新たな魔獣を創り出した。

 

 

セイバーの使う魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)は言ってしまえばイメージした魔獣を創り出すとある世界で神殺しと称された神器の一つである。本人の想像力に左右される不安定な面があるものの、逆に言えば想像さえ出来るのなら本人の精神力が持つ限りどんな理不尽な魔獣でも創造することが出来る。

 

 

例えばーーーギリシャ神話に登場する三つの頭を持ったケルベロスや複数の生物が合わさって出来たキマイラ、人間の身体と牛の頭部を持ったミノタウルス、修験者の格好の烏天狗など。

 

 

「いろいろ出てきたぞ」

「んな馬鹿な!?」

「行け」

 

 

セイバーの指示と同時に創り出された魔術たちが動く。ケルベロスは口から火を零し、ヨダレを垂らしながらライダーへ飛び掛かる。炎馬がそれをかわそうとしたが烏天狗が手に持った扇で扇ぐと強風が発生して炎馬を拘束してしまった。その隙にケルベロスは炎馬の足に噛み付き、頭を振ってライダーを炎馬ごと地面に叩き落とした。ライダーはケルベロスに噛み付かれた瞬間にウェイバーを掴んで逃げたが炎馬が落ちた先には斧を振り上げたミノタウルスの姿がある。

 

 

「まっずい!!」

 

 

ライダーが炎馬を還すと同時にミノタウルスの斧が振り下ろされる。その一撃は周囲のコンクリートを砕いて大きなクレーターを作った。

 

 

「っ!!ライダー!!」

「分かってる、よぉ!!」

 

 

ライダーがウェイバーを抱えたまま振り向きざまに一閃、死角から襲おうとしていたキマイラを切り裂く。だがキマイラから吹き出した血に何かを感じたのかライダーが退いた。そしてキマイラの血はコンクリートに落ちて煙を上げて溶かしている。

 

 

「酸性かよ……」

「……妙だな」

「何か気づいたか?」

「さっきからセイバーが呼び出してるの、どこからどう見ても人間のイメージしたそのままの姿じゃないか」

「……言われてみれば確かに」

 

 

ウェイバーが感じた違和感はセイバーの魔獣があまりにも人間の想像した姿そのままだということ。セイバーが呼び出しているのはすべてが想像の産物の生物、魔術師の世界では認知されているがケルベロスやミノタウルスなどの神代の存在など詳しく知っている者などいない。本物が呼び出されたとしても多少なりとも実物とは誤差があるはずなのにそれが無いのだ。

 

 

「もしかして……セイバーは呼び出してるんじゃ無くて創ってるのか?」

「生物の創造か?そんなのこの世界じゃ魔法の領域じゃなかったか?」

「だけどそれしか思い付かない。それにそうだとしたらセイバーの呼ぶのの違和感の正体も納得出来る」

「けどそれがどうした?出てくるなら倒せばいいじゃないか」

「分からないのかよ馬鹿!!あれが呼び出してるんじゃ無くて創られてるんだったら魔力が続く限り出続けるって事だぞ!!」

 

 

そう叫んだ瞬間にも新たな魔獣が創り出される。百の腕と五十の顔を持つ巨人、八つの頭を持つ巨大な大蛇、九つの尾を靡かせる狐、翼を持たない蛇のような身体の青い鱗の竜などなど。人が想像した幻獣が想像した姿そのままに創造された。

 

 

「……あはは、ここまで来ると笑うしかないね」

「俺のマスターも中々に剛毅になったのもだな……さてっと」

 

 

ライダーは大剣をしまい、ある物を取り出した。それは一冊の絵本。この場に似つかわしく無いのだが、セイバーは一目でそれに宿る桁外れの魔力に気付く。

 

 

「素に夢と(うつつ)。礎に幻と契約の因果。願いし色は黒白(こくびゃく)

 降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、偽りの王冠より出で、現(うつつ)の王国に至る三叉路は循環せよ

 閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

 

 

絵本から馬鹿げた量の魔力が放たれてライダーを挟むようにして魔法陣が展開される。その魔法陣はセイバーも見覚えのあるサーヴァント召喚の魔法陣。止めなければと思うが魔力の放出に魔獣諸共身体が凍てつき指一本動かす事すら叶わない。

 

 

「――――告げる。

汝の身は我が下に、我が祈りは汝らの下に。

夢幻の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応え、誓いを此処に。

我は常世総ての幻を討つ者、我は常世総ての現を望む者。

汝共に異邦の箱庭を砕きし者、因果の縁より来たれ、夢現の乙女たちよ。我と共に歩め、なれば我が命運は汝の絆に預けよう――!」

 

 

魔力が爆ぜた。それは失敗などでは無く、成功した事の証。視認できる程に濃密な魔力が晴れた時には魔法陣が展開されていた場所には二人の人影が立っていた。

 

 

一人は艶やかな黒髪のショートカットに中性的な整った顔立ち、そして特徴的なとがった耳の手に機械仕掛けの杖を持った少女。もう一人は完成された西洋人形のような神秘的な容姿をした手に機械仕掛けの突撃槍を持った少女。

 

 

二人は目を開きライダーの事を視認すると嬉しそうに微笑んだ。

 

 

「久しぶりだね、シンマ」

「あぁ、ホント久しぶりだな。ユーシェ、雫。状況だけど……」

「分かってるよ、心真君。聖杯戦争だよね?私も頑張るよ」

 

 

三人の親しそうな雰囲気からセイバーはライダーが所縁のあるサーヴァントを召喚したことを察知する。サーヴァントがサーヴァントを召喚するとは馬鹿げていると思うかもしれないがセイバーにもクラスのせいで十全に使えないものの似た様な効果を持つ宝具はあるし、かの征服王は繋がりのある部下をサーヴァントとして召喚する固有結界を宝具として持っている。

 

 

これ以上の戦いは得策では無いと判断したセイバーは即座に後退、そして創り出した魔獣に指示を出してライダーたちを襲わせた。

 

 

「ーーー氷よ!!」

「フッ!!」

「オラァ!!」

 

 

ユーシェと呼ばれた少女が杖を振りかざすと魔獣たちが凍てつく。雫と呼ばれた少女が突撃槍で刺突を放つと魔獣たちに風穴が開く。ライダーが大剣を振り回すと魔獣たちご薙ぎ払われる。互いが互いの足りない部分を補う様なコンビネーションによりセイバーが創り出した魔獣は一分も持たずに掃討された。

 

 

だが、その僅かな隙にセイバーは逃走に成功する。 魔獣を掃討し、セイバーがいなくなった事に気付いた時にはすでにセイバーは霊体化して逃げ去った後だった。

 

 

「逃げられたか……」

「みたいだね」

「なんかスッキリしないな〜」

 

 

雫が物足りなさ気な顔をしているものの三人から戦意はすでに喪失していた。

 

 

そしてその瞬間、遠坂邸から巨大な魔力弾がアインツベルンの森に放たれて真っ二つにされる。

 

 

「……魔力弾の方はアーチャーか?にしてもあれを真っ二つに出来るってすげえな」

「多分宝具じゃないかな?」

「切れたってことは多分剣だと思うけど」

 

 

さらに次の瞬間には、上空から音速を超える速度で遠坂邸に何かが落下したのが見えた。

 

 

「……なんだありゃ?」

「……棒みたいなのが落ちたのはみえたけど」

「あれも宝具なのかな?」

「ウェイバーはどう思う……って、ありゃ」

「きゅ〜……」

 

 

遠坂邸に落下した何かについての意見を聞こうとしたライダーだったがウェイバーは目を回して気絶していた。炎馬から降りてからずっとライダーに抱えられた状態だったのだ。寧ろここまでよく持ったものだと褒めたい。

 

 

「シンマ、どうするの?」

「ウェイバーがこれだしな……しゃあない、今日は戻ろう」

 

 

ライダーたちにはまだ余裕があったがウェイバーが目を回して気絶していたので今夜はここまでにして引くことにした。

 

 

そしてライダーたちはまた再会できたことを喜びながらウェイバーの拠点である民家に足を進めた。

 

 

 




ライダーの宝具公開
冥府を駆け抜ける炎馬(ゴーストホース)
 ランク:B+
 レンジ:2〜50
 由来:生前、メアムスで災いを呼ぶと呼ばれた白馬の死骸を丁重に弔い、その恩義から人を轢き殺すゴーストホースになって彼に従ったとされる青白い炎を持つ炎馬ゴーストホース。
 その突進はAランククラスの威力を誇り、燃え上がる炎の蹄で空を駆け抜けることができる。
 しかしその真価はその身にまとう自身と主を守る冥府の炎である。この炎はメアムスでは光属性――すなわち聖なる力でのみ防御を破ることが出来るのだが宝具化したことでB+ランク以下の攻撃を無効化するに留まっている。
・◆◆◆◆◆◆(文字化け)
 ランク:★
 レンジ:★
 ・異世界:メアムスを生み出した核となっていた思念を閉じ込める絵本。
 多くの思念の塊であり、宝具として扱われないはずのものだが無数の思念を一つの器として封印した彼が所有している。
 これ自体が魔力炉を内蔵しており、当人のスキルと相まって魔力切れを絶対に起こさないと断言する。
 またこの本は生前関係を持っていた仲間の中でも関係の強い結ばれる可能性があった『黒の髪を持つ四分の一人間のクォーターエルフの魔術師』と『白の髪を持つ神槍を持つ人間の少女』をサーヴァントとして呼び出すことが出来る。詳細不明。

以上が今回使用されたライダーの宝具です。説明中にある異世界メアムスというのはライダーが英霊になった世界のことです。

ライダーVSセイバー
魔獣創造でセイバーが数で押して有利。だけどライダーが宝具でサーヴァントを召喚したのを見て即座に撤退。予想外の出来事に対して冷静に対処してます。結果だけを見れば魔獣創造一つでライダーの宝具と情報を複数集めれたセイバーに軍配が上がったと言えなくもないが、それを対処出来るかと聞かれれば怪しいところがある。


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