せーはいせんそー   作:鎌鼬

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ふぁーすとこんたくと・2

 

 

「ーーー」

「ーーー」

 

 

ランサーとキャスターは言葉を失う。一つは先日に遠坂時臣のサーヴァントに殺されたはずのアサシンが存命していること。だがその時の映像を見た彼らはその戦いに言いようの無い疑問を抱いていた。なのでその疑問に従いアサシンはまだ生きているかもしれないと可能性の一つとして頭の隅に置いていたので驚きはそれほどでも無い。

 

 

原因はもう一つ、アサシンをこの場へと叩き出したあの時代錯誤な格好をしたサーヴァント。見るからに理性の欠片も感じられない姿からあのサーヴァントはバーサーカーのクラスだと推測出来る。そしてーーーそれと同時に格の違いを思い知らされた。説明は出来ないがその存在そのものが格上だと、同じサーヴァントであるはずなのに事実として受け入れてしまった。

 

 

「Gaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!」

 

 

咆哮と同時にバーサーカーがクレーンから飛び降りる。そしてーーー破砕音とともにクレーンがこちらに向かって飛んで来た(・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーなんとまぁ、デタラメな」

 

 

その様子を橋の上から見ていたボサボサの灰色の髪の青年が誰に告げるでもなくそう呟いた。

 

 

「ちょ!?何が起きたんだよライダー!!」

「バーサーカーがクレーンを蹴り飛ばしたんだよ」

 

 

ライダーと呼ばれた青年が自身の隣で鉄骨にしがみ付いている少年の疑問に答えた。クレーンを飛ばすこと自体サーヴァントであるライダーもできなくはないがやろうとなど考えないだろう。それを当たり前の様にやってのけたことにライダーはデタラメと称したのだ。

 

 

「んなアホな……」

「アホでもバーサーカーは実際にやってのけたんだ。だけどこれでバーサーカーの筋力が高いってことは予想出来るな」

 

 

今回のライダーの目的は偵察。アーチャーの戦力はアサシン戦で対処可能と判断した為に他のサーヴァントの戦力について調べる為に繰り出したのだ。マスターである少年ーーーウェイバーを連れているのは一人にして襲撃されるのを防ぐため。その結果人間なのに橋の鉄骨にしがみ付いているという情けない姿になっているが命には代えられないだろう。

 

 

「さて問題だ、俺らが取れる手段は二つある」

「このまま傍観するか、他のサーヴァントと共闘してバーサーカーを倒すかだろ?」

「正解だ。どちらを選ぶかはウェイバーに任せる」

 

 

ライダーにそう言われてウェイバーは思考を始める。このまま傍観することのメリットは情報の入手とライダーの秘匿、そしてあわよくばのサーヴァントの脱落と言ったところか。デメリットは間違いなくバーサーカーが生き残ること。剣で切り裂かれ、槍で貫かれ、拳法で砕かれていると言うのにバーサーカーは死ぬ気配を見せない。共闘することのメリットはバーサーカーを確実に仕留められること。ライダーのスキルや宝具は神秘の存在に対して天敵とも言える、それと他のサーヴァントの協力があるのならバーサーカーは脱落させることが出来る。デメリットはライダーの存在がバレること。ライダーの情報を知られれば間違いなく他のサーヴァントたちは共闘してライダーを倒そうとする。

 

 

「……ライダー、勝てるか?」

「勝てる。俺は神秘に対する天敵だ。例え六騎のサーヴァントが同盟を組んだとしても勝つ」

 

 

ウェイバーの心の内を読んだのかライダーは迷い無く口にした。それを聞いてウェイバーの決意が固まる。

 

 

「行こうライダー。バーサーカーを倒そう」

「お前ならそう言うと思ってたよ。良し」

「え?なんで僕のこと掴んでるの?ま、まさかーーー」

 

 

ウェイバーの首根っこを掴んだライダーが足場にしていた鉄骨を蹴って跳んだ。それでウェイバーが絶叫してしまっても仕方の無いことだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンテナ置き場は様変わりを見せていた。貨物の収納されたコンテナの大半がひしゃげて潰れ、コンテナを持ち上げるはずのクレーンがコンテナを押し潰している。

 

 

「アイリスフィール、大丈夫ですか?」

「えぇ……ありがとう、キャスター」

 

 

被害の出ていないギリギリの位置にいるのはキャスター。戦闘用では無いただのホムンクルスであるアイリスフィールではクレーンに押し潰されて死ぬと判断して連れて逃げたのだ。幸いなことに対峙していたランサーと乱入させられたアサシンは手を出すことは無かったーーー否、手を出す暇が無かったと言える。

 

 

サーヴァントは神秘を介さない物では傷を負うことは無い、だが影響は与えられる。もしもあのままだったなら無傷の状態でクレーンに押し潰されて身動きを取ることができなくなっていただろう。ランサーとアサシンはクレーンの被害が出ていないギリギリのラインまで退避しておりーーークレーンの残骸の上に立っているこの惨状を生み出したバーサーカーを警戒していた。

 

 

バーサーカーは無手の両手をダラリと下げている。そして周囲を見渡した。ランサー、キャスターと視界に入れて反応を見せずーーーアサシンを入れた瞬間、爆音と共にアサシン目掛けて突貫した。

 

 

「っ!?【千の剣】!!」

 

 

それを見たアサシンは守りに入る。自身の周囲に大量の剣を作り出した。マトモな思考の持ち主ならばそれを見て回避行動に移るだろうがここにいるのは理性を無くした狂戦士、躊躇うどころかさらなる加速をして剣の群れに飛び込んだ。

 

 

「穿て!!全てを切り裂く斬撃を!!放て!!全てを切断する刃を!!我は千の剣をもって、汝を刺し殺すものなり!!」

 

 

アサシンは手を緩めない。詠唱をするとアサシンの背後に剣が現れる。その数は百、剣は光に劣らない速度で射出されてバーサーカーを穿つ。

 

 

「Aaaaaaaaaahaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!」

 

 

だが、それでもバーサーカーは止まらない。全身を剣によって切り裂かれ、穿たれているというのに一切の防御を見せないでアサシンとの距離を詰めていく。

 

 

そして、アサシンとの距離が手が届く程に狭まった。

 

 

「Gaaaaaaaaaaaaaaーーー」

「ーーーシィッ!!」

 

 

アサシンが剣を握りバーサーカーを迎撃しようとした瞬間、バーサーカーの頭部をランサーの槍が穿つ。無論バーサーカーはこの程度では死なないが貫くのではなく弾くことを意識した刺突により弾き飛ばされる。

 

 

「えっと……ランサー?どうして僕を助けたのかな?」

「マスターからの指示だ。アサシンと協力してバーサーカーを倒せとな。私もこれには賛成だ。あれ程までに規格外なサーヴァントを野放しにしておくなど出来ない」

 

 

そう言ってランサーは弾き飛ばしたバーサーカーを見る。狂戦士は体調を確かめるように首を回している。アサシンの剣によって切り裂かれた傷も穿たれてた傷も、ランサーの槍の傷も全てが塞がっていた。

 

 

「あれだけやってまだ生きてる……しかも消耗した様子も無し」

「正しい意味での化物だな。スキルなのか宝具なのか……どちらか分かれば良いのだがな」

「一応こっちには殺せる手段はある、そっちは?」

「奇遇だな、こちらにも殺せる手段はある。だが条件付きだ、それを満たさねば殺せない」

「だったら僕が本命で」

「囮は引き受けた」

 

 

ランサーが前に立つのを見たバーサーカーは笑みを深め、一瞬でランサーの眼前まで移動した。武術であるような無拍子や縮地などという御丁寧な物ではなく、ただ筋力に任せた加速。だがそれにランサーは食らいつく。幸いにしてというべきかバーサーカーの攻撃は全て大振り、一撃必殺に等しい威力を持っているだろうが挙動は読むことができる。風を切るバーサーカーの攻撃を捌きながらランサーはバーサーカーの肘や膝などの関節を穿ち、壊す。現在のランサーではバーサーカーを殺しきるのは不可能、ゆえにバーサーカーの行動を阻害する。バーサーカーの動きが刹那の時間だけ鈍り、即座に再生して何事も無かったかのように腕や脚を振るうがこの僅かな時間があるだけでもランサーの生存率が跳ね上がっていることは事実だ。

 

 

さらに状況は動く。横合いから放たれた光の矢がバーサーカーの四肢に突き刺さる。新手の乱入にバーサーカーが距離を取り、乱入者ーーーキャスターがランサーの隣に立つ。

 

 

「手伝います」

「良いのか?バーサーカーと共闘すれば私を倒せるぞ?」

「バーサーカーに近づいたら殺されるって分かって言ってますよね!?……マスターからの指示ですよ、あれを放置するのは危険だからランサーたちと共闘して討てとね。僕もそれには賛成です……あれはやばい」

「そうか……さっきまで殺し合っていたというのに協力するとはおかしな話だな」

「バーサーカーを倒すまでの話ですよーーー固定(スタグネット)!! 掌握(コンプレクシオー )魔力充填(スプレーメントゥム・プロ )術式兵装(アルマティオーネ )疾風迅雷(アギリタース・フルミニス)!!!」

 

 

キャスターが両手に留まらせた雷を握り潰すように己の体内に取り込む。それを皮切りにバーサーカーが動き出す。先ほどと全く同じ筋力に物を言わせた爆発的な加速。それに反応したのはランサーでは無くキャスター。全身から雷を出しながらバーサーカーの懐に潜り込み、震脚と同時に発勁を叩き込む。

 

 

「グギィッ!?」

「ほぅ?変わった魔術の使い方をするな」

「さっきしようとしていたことですよ。アサシンとバーサーカーのせいでおじゃんになりましたけど」

 

 

発勁の内部破壊によりバーサーカーが呻くがすぐに再生し、ランサーとキャスターに襲いかかる。

 

 

ランサーの槍術とキャスターの魔術と中国武術を組み合わせた独特のスタイルに対してバーサーカーはまるで野獣、ただ腕を振るい突き出し蹴りを繰り出す。まるで喧嘩のようなそれだがバーサーカーの再生能力と反応しづらい箇所に撃ち込まれることで一打一打が必殺の脅威となっていた。間違い無く削っているはずなのにバーサーカーは止まらない。

 

 

「ーーー虐殺王の魔眼発動。全てを”死”へ移行する」

 

 

終わらない理不尽な戦いをしているとアサシンがバーサーカーの上から落ちてきた。手に握られているのはナイフ、これまでアサシンが作ってきたものに比べれば殺傷能力に乏しいこと等わかりきっている。

 

 

「っ!?」

 

 

なのにバーサーカーはそのナイフを全力で避けた。ランサーとキャスターの攻撃を受けながらアサシンのナイフだけを脇目も振らずに範囲から逃げる。

 

 

「ーーーなるほど、これが危険だってことは分かるみたいだね」

 

 

アサシンが蒼く光る双眼を向けながらバーサーカーに語る。バーサーカーが受けた攻撃は全てバーサーカーを殺しきることが出来なかった物。バーサーカーのスキル生存による理不尽な再生を乗り越えられないとバーサーカーが判断して受けていたのだ。つまりーーー今のアサシンの攻撃はバーサーカーを殺せる一撃だということに他ならない。

 

 

「にしても、君も不運だよね……何せ、ここに来て増援が来るんだから」

「ーーードライグ」

『Explosion!!!!』

「ギガァッ!?」

 

 

アサシンを警戒していたバーサーカーの上からの奇襲。バーサーカー並みの一撃がバーサーカーを押し潰した。

 

 

現れたのは茶髪のどこかの学校の制服を纏った少女。左手には紅い籠手を付けている。バーサーカーをねじ伏せた少女は飛び退いてアサシンの隣に立つ。

 

 

「アサシンさん、大丈夫ですか?」

「ありがとねアーチャー。トッキーやかましく無かった?」

「確かに渋っていましたが貴方のマスターが淹れた紅茶を飲んだら眠ってしまいました。きっと疲れたのでしょう」

「マスタェ……」

 

 

間違い無く一服盛った言峰のことを思ってアサシンは何とも言えない表情になる。夜空を見上げたら何故かピースをしている言峰の姿が見えた気がする。

 

 

「なので私の一存で来させてもらいました」

「それは素直にありがたいけどね……まだまだだよ」

「ですね……一応十回の倍加した一撃だったのですが」

 

 

さアーチャーの一撃で上がった砂煙を払いながらバーサーカーが姿を現わす。身体の左半身を吹き飛ばされながらバーサーカーは未だ健在、無くなった身体を再生させながらバーサーカーはアーチャーを睨んでいた。

 

 

「……何ですかあれは」

「バーサーカーだね」

「そういうことを聞いているのでは無いです」

「ーーーん?また増えてるな」

 

 

そしてさらに駄目押しと言わんばかりに機械仕掛けの大剣を担いで黒髪の少年を脇に抱えた鎧が落ちてきた。間違い無くサーヴァントだろう。

 

 

この場に六騎のサーヴァントが出揃った。

 

 

「ーーークヒッ」

 

 

それを見たバーサーカーは顔を笑みで歪ませ、跳んだ。

 

 

「ちょっ!?」

 

 

鎧のサーヴァントが驚きの声を上げるもののバーサーカーはそれに一切答えずにコンテナとクレーンの残骸を越えて海に飛び込んだ。それは迷いの無い逃走だった。

 

 

「えー……」

 

 

困惑の声を出したのはアサシン。彼はバーサーカーを倒すために使用回数の決まっているスキルを解放したというのに逃げられたのだ。バーサーカーのまさかの逃走にこの場が微妙な空気に包まれる。

 

 

「えっと……その……どうしますか?」

 

 

折角バーサーカーを倒すために集まったというのに肝心のバーサーカーが逃げたせいでその目的が失われた。真面目な性格なのかアーチャーがこれからどうするかを尋ねる。

 

 

「……ふむ、私は退かせてもらおう。マスターから帰って来いとの指示だからな」

 

 

それに答えのはランサー。蒼い槍を肩で担ぎ、キャスターやバーサーカーと戦っていた時の殺意はなりを潜めている。

 

 

「……僕も退きます。ランサーさん、次は勝たせてもらいます」

 

 

続いたのはキャスター。彼はその目に闘志を燃やしながらランサーに向かって宣戦布告に似た宣言をした。ランサーはそれを笑って受ける。

 

 

「俺はどうするか……正直どっちでも良いんだけどな……」

 

 

悩んでいるのは鎧のーーーライダーのサーヴァント。彼はマスターであるウェイバーが折角やる気を見せたというのに戦いの場が無くなった事に不満げだった。だが、そのウェイバーはライダーに抱えられて目を回している。

 

 

「……ん?」

「どうしました?」

「いや、何か暗くなってるような……」

 

 

異変に気がついたのはアサシン。月明かりがあった明るめの夜だったというのに急に暗くなった気がしたのだ。気のせいかと思いつつ上を見上げる。

 

 

「ーーーは?」

 

 

そしてアサシンは言葉を失った。何故ならアサシンの眼前に広がるのはーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Aaaaaaaaahaaaaaaaaaaaaa!!!!!!」

 

 

落下してくる巨大な船、そしてその先端で腕を組んでいるバーサーカーの姿だったからだ。

 

 

 





サーヴァントステータス公開、今回はバーサーカーとアーチャーとライダーのステータスです。

クラス バーサーカー
筋力 A(EX)耐久 B(EX)敏捷A+(EX) 魔力 A(A)幸運 D(E) 宝具EX(EX)

スキル
狂化EX
クラススキル。高ければ高いほど筋力、耐久、敏捷に補正がかかる。EXになるともはや測定不能のレベル。
生存EX
生きることに長けたスキル。EXになると頭部だけでも生存可能、さらに自身やマスターからの魔力で即座に再生する。

クラス アーチャー
筋力:C-耐久:C-敏捷:A++魔力:EX幸運:A宝具:EX

ライダー
筋力:B 耐久:C(★) 敏捷:B 魔力:★ 幸運:A 宝具:★
 ★:測定不能です。公式でEXより上らしい。


バーサーカーが不死身過ぎる……どうやったらこいつ死ぬんだ……

なおアサシンは回数限定で、ライダーはスキルや宝具でバーサーカーを殺せるらしい。

そして最後にタイタニック(イメージ)オンザバーサーカー。狂ってる……けどバーサーカーじゃなくてもこの人普通にやりそうなんだよな……

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