シズ・デルタに恋をしたナザリックの機動兵器   作:t-eureca

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第9話 マシンナーの装備実験:1

とりあえずアルティマ達が落ち着くのを待つ。う~ん、ちょっと空気がしんみりとしちまったな、俺のせいなんだけど……。

よし、こうなったら……気分転換にアルティマ達と飲みに行こう、酒でも飲んでパーっと行こうではないか、確か第九階層にバーがあったはず……て俺この身体で飲食できんのかな?

そう考えてるうちに、モモンガさんからメッセージが来る。

 

「こちらマシンナー、モモンガさんか? どうした?」

 

先ほどと違って、全員の顔に緊張が走った。アルティマは、思わず「ゴクリ」と唾を飲み込む。

 

『あ、マシンナーさん、いまどこですか?』

「いまか? 第六階層の『機械の楽園』の司令部にいる。今アルティマ達と話をしていたところだ」

『あ、そうなんですか』

「うむ」

 

アルティマ達の心配は杞憂に終わった。マシンナーがこちらに腕を向けて親指を立てて「大丈夫」のサインを送る。この御方の事だから、我々に配慮して下さったのだろうとアルティマは確信する。マシンナーに生み出され、直属のシモベとして長く仕えているアルティマ達にはマシンナーがどんな御方かを知っているのだ。

 

『マシンナーさん、まだスキルや装備の実験はしてませんよね?』

「実験か、そういえばしていなかったな……」

『俺も闘技場で自分のスキルや魔法を実験しましたからね、マシンナーさんもしてみませんか?』

「そうだな……いざというときに使えなければ、目も当てられん…それに専用の武具がなければ、満足に戦えんからな」

『わかりました、じゃあ宝物殿で俺がマシンナーさんの装備をとってきますよ』

「いや、そこまで世話になるわけにはいかん。自分の物ぐらい、自分でとってくる」

『え…』

「あ~いや……心配するな、とってきたら、すぐに戻ってくるから」

『……本当にすぐ戻ってきますか?』

「大丈夫だ、問題ない」

『…わかりました、でもとってきたらすっっっぐに戻ってきてくださいね?』

「お、おう……では、すぐに向かう」

 

俺はモモンガさんからのメッセージが終了するのを確認し、アルティマ達に視線を向ける。

 

「すまん、少しモモンガさんと話をしてくる」

「畏まりました。それでしたら、アル達は本来の職務に戻ります」

 

アルティマ達は、マシンナーがモモンガと個人的に話をするとなれば、自分達は邪魔になるだろうと判断した。我々の創造主である至高の御方、その総括直々の呼び出しともなれば、自分達シモベ等よりも優先すべき事だと理解している。

 

「すまんな、暫くしたらまた戻ってくる」

 

そう言って、マシンナーは転移していった。転移した後の司令室には、アルティマと他の隊長格のみとなっていた。

マシンナーが転移した後、暫くして、アルティマを筆頭に次々と立ち上がった。

 

「また、再びあの御方にこうしてお仕えできる日が来るなんて……」

 

アルティマは流し終ったはずのものを再び目に浮かべる。そしてそれは他の隊長格も同じ気持ちであった。

 

「そうだな…」

「うむ!」

「アア…」

「至高の御方の為に我々は更なる忠義に励まなくては…」

「そうだね、アル達のマシンナー様とモモンガ様の為に……」

 

それぞれが強い意志で決意する。再びナザリックに帰還したマシンナー。

その御方から直接生み出された我々は今まで以上に創造主である至高の御方に恥じない働きをしなければならない。

 

「それに我々は、モモンガ様の前で大きく取り乱してしまった、この醜態を雪(きよ)がねばならん!」

 

アルティマ達はマシンナーが意識不明と聞いた時、全員、卒倒しそうになった。

アルティマはショックのあまり崩れ落ち、ローグは拳銃自殺を考え、ゴルドは「嘘だ!」と慟哭し、ドランザ ーは悲しい咆哮をあげ、ソニックは「理解不能、理解不能…」と煙を上げてしまうほどだった。

 

「そうだね、ゴルド、アル達は少しでも早くこの汚名を雪がないと、マシンナー様に顔向けができないよ」

「…そうだな」

「応!!」

「グルル…」

「ああ…!」

 

至高の41人の総括であるモモンガと、その1人にして、自分達の創造主であるマシンナーの為にアルティマ達は更に忠誠心を固める。

 

(こうしちゃいられない、更に戦力を増やしてナザリックの防衛力の強化、そして再びマシンナー様が率いられるに相応しい軍勢にしなくちゃ、ふふ……これからもっと忙しくなるぞ♪)

 

再びマシンナーに率いられる<マキナ>、そしてナザリックに刃向かう愚か物を蹂躙し焼き付くし、勝利の剣を掲げるマシンナーの姿を想像し、アルティマは、思わず笑みを浮かべる。

 

 

 

 

『機械の楽園』から、俺は宝物殿に転移していた。

 

「さてと…行きますか」

 

転移したマシンナーは、一歩歩き出す。転移した先は数え切れないほどの金貨や宝石、アイテムなどで溢れかえっている。

 

「いざ現実になって見てみると、まるでお伽話に出てくる宝の山だよ…」

 

いままで貯蔵していたナザリックの運営資金、アイテムなどが周りに散らばっているのを見て、「ドラゴンでも住んでそうだな」とマシンナーは言った。

 

「《フライ/飛行》」

 

マシンナーは《フライ/飛行》を使い、空に舞い上がる。しかし、普通の《フライ/飛行》とは違い、彼の場合は、背中と足の裏のスラスターを使って飛んでいた。

自分の身体に対して、改めて彼は驚く。

 

「いやはや、本当に機械の身体になったんだな…」

 

俺は自分の身体に改めて驚く。自分の思った通りに速度を調整でき、しかも思った通りに進めるのだ。少し感動している。

 

「そろそろだな」

 

目的地の奥の扉を見つけ、スラスターのパワーを落とし、ズン、と着地した。

目的地の宝物殿の奥の黒い壁のような扉、その扉に浮かび上がった金の文字にあうパスワードを言い、扉を開ける。

 

『Ascendit a terra in coelum, iterumque descendit in terram, et recipit vim superiorum et inferiorum. 』

「えっと……『かくて汝、全世界の栄光を我がものとし、暗きものは全て汝より離れ去るだろう……』だったな…」

 

開かれた扉の向こう。先ほどの宝の山とは違い博物館の展示室のような中を俺は歩く。

目的地は終着の待合室だ。その部屋にはソファーとテーブルだけがおかれ、目の前にはあの『宝物殿領域守護者』がいた。

 

「ようこそおいで下さいました、至高の41人が御一人マシンナー様!」

 

ピンク色の卵に似た頭部、ナチスSSの制服に酷似した軍服を身に纏っているNPC。

そう、ご存知モモンガさんが生み出したNPCであり、黒歴史である「パンドラズ・アクター」

設定上ではアルべドやデミウルゴスと並ぶ、ナザリックトップクラスの頭脳と知略、そしてギルメンの能力の八割ほどを行使できるドッペルゲンガーとしての能力に特化したすごい奴である。

 

 

カツンと踵を合わせる音と共に、パンドラズ・アクターはオーバーアクションで俺に敬礼をした。

俺は「ご苦労」と、ジャキンと敬礼を返す。

 

「それで、本日はどのような御用でこちらに?」

「なに、俺の装備を取りに来ただけだ」

「おお! あのマシンナー様専用の装備、『黒の機神』ですね!」

「お、おう...これから霊廟に行ってくるから、指輪を預かってくれないか?」

「承知いたしました…」

 

なんか劇団の俳優みたいな感じだな、まあアクター(俳優)だからそんなもんか。

さてと、早く我が装備を探さなければ…。

俺は指輪をパンドラに預けて奥の霊廟に入っていった。

 

 

 

 

「いや~なんか圧巻だな…」

 

霊廟に入ると、そこにはモモンガさんを除いた、他のギルメンを模したゴーレムがずらりと並んでいる。

指輪を付けたまま入ると、ギルメンの装備を付けたゴーレムから、一斉に攻撃されるという恐ろしい仕掛けがある。

こういう作業はモモンガさん苦手って聞いたんだけど、そんなに不格好じゃない。

俺は味があっていいと思うんだがな…。

 

「あった、あった、俺のゴーレム…」

 

少し歩いた後に、自分の装備を付けたゴーレムを発見する。

黒い装甲と武装、そして黒いマントが着いた鎧のような装備を付けていた。

 

「職場が倒産寸前までいってたから、最悪引退するかもしれないって言って、モモンガさんに託したんだっけ?」

 

まあこうして戻ってきたわけだし。再び纏うとしようじゃないか。

俺はゴーレムから、自分の装備をとっていった。かつての「ナザリックの機動兵器」にへと戻るべく…。

 

「最後にマントっと…」

 

ゴーレムから装備を外し、それを自分自身に装着していく。最後に残ったマントを掴んでそれを剥ぎ取り、自分の身に纏う。

 

「…うん馴染む、実に馴染むな」

 

上半身には、頭と肩、そして胸を保護するアーマー、背中には翼状のスラスターが収納されており、その上に鎖がついた黒いマントを纏う。下半身には腰にアーマー、脚部には増加スラスターとブレードが着いているアーマーが装着されている。

色は自分と同じ黒で、細かい部分には赤いライン等が入っている。

 

俺の専用装備シリーズ「黒の機神」こいつを作るのに、かなりの額の課金とアイテムをつぎ込んだものだ、しかしそのおかげで一つ一つが神話級の装備にまでなった。

装備の性能だけなら、ワールドチャンピオンのたっち・みーさんの装備にも引けを取らない。そしてこいつには、ちょっとした面白い機能がある。

 

「さて、早いところモモンガさんの所に行くか…」

 

俺はパンドラから預けていた指輪を貰い、礼を言って、モモンガさんがいる玉座の間に転移する。

 

 

 

 

「お待たせしました、モモンガさん」

「お帰りなさい、マシンナーさん」

 

転移した玉座の間で、モモンガさんが玉座に座っていた。

……なんかアンデッドなのに疲れている感じがするけど俺は気にしない。

 

「どうでしたマシンナーさん、隊長格の様子は?」

「いや~感動しましたよ、アルティマ達を見て、改めて命が宿ったんだなって思いましたよ」

「ハハッ、アルティマ達を製作する決心をした時のマシンナーさん、すごい熱意でしたもんね? 他の人達がNPCを見て、「なら俺も俺のロボ愛を詰め込んだNPCを作ってやらぁ!」って意気込んで、7体も制作しましたからね」

「ユグドラシルで自分だけの軍団を作るのが夢でしたからね、ディアヴォルスとアンヘルは領域守護者にしましたけど」

「それ聞いて思ったんですけど、何であの2体を領域守護者にしたんですか? スキルビルドを見ると2体とも高い方でしたし……もしかして俺と同じ理由ですか?」

「ああ、それは違いますよ」

 

一応あの2体を領域守護者にしたのには相応の理由がある。

 

「ディアヴォルスはモモンガさんの知っての通り眷属を制作して、物量で押しつぶす戦闘スタイルです。ディアヴォルス自体も戦闘力なら階層守護者にも匹敵しますが、普通のNPCより大きいから結構的になりやすかったんです」

「アンヘルは熾天使(セラフ)級の天使を真正面から潰せるスキルビルドに調整されているんですが、ステータスが結構偏ってて…」

 

あの二体は確かに強い、俺が生み出したNPCの中で性能だけならこの二体がダントツだ。しかしアルティマ達に比べれば、少々汎用性にかける。だから切り札的な意味も含めて、第八階層の領域守護者に設定したのだ。

 

「パンドラも元気にしてましたよ? 後で会い行ったらどうです?」

「ああ~…考えときます」

 

オオゥ…やっぱり黒歴史扱いされてる。こりゃ会うのに時間がかかりそうだ。そう思っているとモモンガさんが「まあそれより…」と話題を変える。

 

「装備も揃いましたし実験やりましょうよ、闘技場でアンデッドやモンスター召喚しますから、それ練習相手に使って下さい」

「ありがとうございます、久しぶりにはっちゃけますか!」

 

久しぶりの戦闘に俺は気合を入れるために両手の拳をガン、と打ち鳴らすと、金属同士の衝突で少量の火花が散った。

フェイスガードを下していない顔がニヤリと笑っているのが自分でもわかる。

 

「気合はいってますねぇ…そうだ、シャルティアとも戦ってみます? 本気形態のマシンナーさんの性能チェックの為に」

「まあいいですけど…大丈夫かな? 相性ではモモンガさんよりかはいいけど」

「危なくなったらなんとかしますよ、じゃあアウラにメッセージを送るので、ちょっと待ってて下さい」

「了解です」

 

早く暴れたい気持ちを抑えながら、マシンナーはモモンガのメッセージが終わるのを待った。

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