シズ・デルタに恋をしたナザリックの機動兵器   作:t-eureca

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第12話 マシンナーの装備実験:4

「………」

「…ッ」

 

いや~久しぶりになったな、この形態。なんか全身から力が漲ってくるぞ、最高にハイってやつとはこういう感じなんだろうな。

俺がそう考えて納得していると、シャルティアが先制攻撃を仕掛けてきた。まあ先手必勝って言うしね。

だけど…。

 

バキィン!

 

「生憎負ける訳に行かんのだよ、負けられぬ理由(シズに良い所を見せる)があるのでな」

 

突っ込んできたシャルティアのスポイトランスを腕に装着している斬艦刀で受け止める。

そして後ろからエインヘリヤルが迫ってきたので俺は左手に装備しているシュバルツ・カノーネ・ギガを展開し、エインヘリヤルに向ける。

 

カァオ!!と巨大な光弾が発射され、エインヘリヤルを飲み込み、消滅させた。

 

「そろそろ終わらせようか?」

「……っ」

 

バキィンと力任せにシャルティアを突き放し、追撃をかけるべく突撃した。

 

「……! <清浄投擲槍>!!」

 

シャルティアの手に神聖属性を持つ3mもの長大な槍が出現し、それを投擲する。

 

「しま…!」

 

マシンナーはすぐに回避しようとしたが、このスキルの効果の一つにMPを消費すれば必中効果も付与できるのだ。

従って、マシンナーには避ける術は無い。

 

ズン!

 

清浄投擲槍がマシンナーに命中し、動きを止める。すかさず追撃をかける。

シャルティアのスポイトランスが目の前にまで迫ってきた。

 

「…量子化」

 

マシンナーは全身に金色の粒子を発生させると、全身が金色の粒子になる。

 

「消えた!」

 

その粒子はシャルティアの背後に素早く回り込み、マシンナーの姿に再び戻る。

 

「な!」

(このスキルも無事使えるようで安心した、この状態での切り札の一つだし)

 

先程のマシンナーのスキル<量子化>は相手の攻撃を一回だけ無効化させ、逆に相手にカウンターが取れる一日に二回しか使えないスキルだ。

 

(じゃ、そろそろ決めるか、あんまり長引かせるわけにはいかないし)

 

俺は背後に回ったシャルティアを掴み、豪快に地面に投げつける。

地面に叩きつけられたシャルティアに俺は腕に装着していた斬艦刀の柄を持ち、斬艦刀の刃を大剣にし、全スラスターを一斉に吹かし、斬艦刀を振り上げる。

 

「<機神破壊斬>!!」

 

すぐにシャルティアは体勢を立て直すが、マシンナーはもうそこまで迫っていた。

 

「チェェェストォォォオッ!!」

 

斬ッ!!!!!!

 

勢いよく振り下ろされた斬艦刀はシャルティアに直撃し、更に直撃による衝撃でシャルティアを闘技場の壁にまで吹っ飛ばした。

 

「…………我に断てぬもの無し」

(やっべえぇぇぇ! シャルティア生きてるよな? 一応HPもちゃんと残り、尚且つ大ダメージを与えられるように考えて使ったんだけど)

 

ゼンガー親分の決め台詞でカッコつけるが、内心ではめっちゃ冷や汗かいています。

これでシャルティア死んだら、俺モモンガさんとペロロンチーノさんに殺される…!!

 

「…う」

 

シャルティアは生きていた! 良かったあぁぁ…。でもやっぱりかなり削られてるっぽいな、HPが3分の2ぐらい。

そう考えていると、シャルティアが唐突に跪いた。

 

「も、申し訳ありませんマシンナー様、その…降伏したいでありんすけど……」

 

うんそりゃそうだよね、あんなに強烈に叩きつけられりゃ誰だって降伏したくなるわ。

まあそれにちゃんと装備が使えるのもわかったし。

 

「うむ、ご苦労だったなシャルティア、下がってよいぞ」

「は、はい…」

 

鎧を解除したシャルティアはそのまま下がろうとしたが、俺は「待った」と言った。

 

「<リカバリー・レイ>」

 

シャルティアに向けて手をかざし、緑色の光線を発射する。俺のスキルの一つで回復系スキル、<リカバリー・レイ>だ。

実験に付き合ってくれたシャルティアへのせめてもの礼である。

 

「せめてもの礼だ、ありがとう」

「ああ…マシンナー様、光栄でありんす…」

 

シャルティアの体力もある程度回復させ、俺はアンリミテッドモードから通常形態に戻る。

装備が凄まじい速さで変形していき、最後にAMCマントを装着する。

 

「至高の御方万歳!」

「至高の御方マシンナー様万歳!」

 

ナザリック中のモンスター達による大喝采が、闘技場中に響き渡る。俺は「ここまで称賛されたのって今まで一度もなかったな」と考えながら、闘技場を後にした。

 

 

 

 

「あ~……疲れた…」

「お疲れさまですマシンナーさん」

 

闘技場を去った後、円卓に転移した俺がだらしなくぐったりしていると、モモンガさんが転移してきた。

 

「あ~…モモンガさん、あの、闘技場の事申し訳ありません」

「本当ですよ、今マーレが闘技場直してますよ」

「あ~、後で謝っておこう」

 

モモンガさんの姿を確認した俺はすぐに闘技場の事を謝罪する。

マーレには今度お菓子でも持っていこう。

 

「にしてもまさかあそこまでの火力になるとは…」

「俺も同感ですよ、使った本人が言うのもなんですけど、正直ビビりました」

 

俺はギルド内での火力はトップクラスだったがまさか転移してあそこまでの威力になるとは思わなかった。

 

「そういえば結構魔法喰らってましたけど、大丈夫でしたか? いや、スキルと装備の効果でガチガチに固めているのは知っていますけど」

「正直シャルティアの清浄投擲槍以外全然痛くなかったです」

「マジか…」

 

その言葉を聞いて思わずモモンガは手で顔を覆う。

 

(……たっち・みーさんの本気の攻撃にも耐えきったもんなマシンナーさん。しかも常時発動型スキルで<レアメタル魔法反射装甲>もあるし…)

 

過去にマシンナーがたっち・みーとウルベルトに模擬戦を挑んだ事を思い出す。

結果はどちらともマシンナーの敗北だったが、その耐久力でたっち・みーの<リアリティ・スラッシュ/現断>と<次元断切/ワールドブレイク>を耐え抜き、ウルベルトには装備であるAMCマントと常時発動型スキル<レアメタル魔法反射装甲>で第十位階までの魔法を全て耐え抜き、挙句の果てには超位魔法が直撃しても、3割しか削れなかった程。

そのおかげでワールド・ディザスターであるウルベルトからは「お前とはもう絶対に戦いたくない」と言わせた程である。

 

マシンナーの持つ常時発動型スキル<レアメタル魔法反射装甲>は<魔法反射装甲>の上位互換である。

このスキルは文字通りある程度の魔法を無効化できるスキルだが、物理防御の上昇等はなかった。

しかしその上位互換である<レアメタル魔法反射装甲>は第一位階から第十位階の魔法を完全に無効化、しかも物理防御の底上げという効果まで付いてあるという恐ろしいスキルだった。

 

(ウルベルトさんが本気で焦って、課金アイテム使っての超位魔法の連続攻撃浴びせてようやく倒れたもんな…)

 

装備の変形能力であらゆる距離に対応し、その圧倒的な火力で吹き飛ばし、その耐久力で魔法職の天敵になり、挙句には軍団を率いて襲いかかってくるというマシンナーの存在は、敵対ギルドからはかなり嫌われていた。

 

「まあこれで後顧の憂いなく戦えますよ、汚物は消毒だぁ~!?」

「やめてください本当に世界を焼き尽くしそうですから、マシンナーさんのさっきの火力見ちゃったら…」

「まあこちらに敵対してくる連中がいたら「見ろ! 人がゴミのようだ!」って高笑いしながら撃ちまくりますけど?」

「とりあえずこの世界の生命体の強さがわかるまでしないでください」

「わかってますよ、そこまで脳筋じゃありませんよ、それにこの世界の文明がどれぐらいかが気になりますね」

「そうですね…」

 

後でドランザーに頼んで機獣兵団から、比較的実際にいる動物に似ている機械種のモンスターを使って偵察させようかな。

まあ、今はもう一つ確かめたい事があるから自室に戻るか。

 

「あ、モモンガさん、俺自分の身体整備してくるんでまた後で」

「え? ああそうか、身体が機械になりましたからね」

「ええ、じゃ、また」

「あ、マシンナーさん、待っ…」

 

引き止めるモモンガの声が聞こえなかったのかマシンナーはそのまま転移していった。

 

「ま、いっか…セバス、マシンナーさんの自室に…」

 

モモンガはセバスにある用件を伝えるべくメッセージを飛ばす。

 

 

 

 

「まさか自分の身体を整備することになろうとは……」

 

俺は自室の作業台の椅子に座り、工具とパーツをチェックしていた。

 

「メガネ良し、モンキー良し、インパクト良し、スパナ良しっと」

 

工具が入っている箱を開け、工具が全て揃っているか確認する。

 

「ドライバー良し、うん全部あるな」

 

工具を全て確認した俺は自分の装甲を解除する。

 

<装甲・解除>(アーマー・パージ)

 

俺の装備が自動的に外され、その下の装甲も解除され、金属フレームが剥き出しになる。

なんかターミネーターのエンドスケルトンのような姿だな…。

 

「さーて、始めますかね。まず右手のボルトを外して…」

 

元々現実世界では整備士をやっていたため、俺は慣れた手つきでボルトを外していく。

そこまでは良かった。

 

(え? なにこれ?)

 

ボルトを外し、内装を見てみると、俺は絶句した。

パーツは見覚えのあるものばっかりだ。それはまだいい。

ただあまりにも構成が複雑だった。

 

「おいおい、俺が整備していた作業用ロボットがプラモデルに見えるぞ?」

 

見たことのない配列でつながれた配線。シリンダーや金属パーツも自分のしらない構造で付けられていた。

幸いパーツは見覚えのあるものばっかりだったため、できないことはない、ただ時間はかなりかかりそうだった。

 

「やれやれ、せめてもう1人いればな…ん?」

 

打開策を考えていると扉からノックの音が聞こえてくる。

 

「入れ」

「失礼致します…」

 

扉が開けられて、入ってきた人物に俺は目を見開く。

 

(シズ!?)

「プレアデスはシズ・デルタ御身の前に…」

 

やったぜシズが来てくれた! 俺は心の中で狂喜乱舞するが、一つ疑問が湧いた。

あれ?俺シズ呼んだっけ?

 

「シズか、どうした?」

「モモンガ様の命で…私はマシンナー様の…お世話…命じられた」

「………そうか」

 

マジか! モモンガさんありがとう、そしてありがとう! 圧倒的感謝!!

でも今は仕事ないんだよな…ん? 待てよあるじゃん、仕事。

 

「なら頼みたいことがあるんだが…」

「頼みと仰らず…命令とあらば…即座に遂行…します」

 

仕事熱心だなぁ…シズ。

偉いなぁ…シズ。

可愛いなぁ…シズ。

頭撫でたいなぁ…はっ! 俺は何を!?

ぶんぶんと頭を振って煩悩を払い、シズに向き直る。

 

「では言うが…」

「はい…」

 

 

「今から自分の身体を整備するんだが、補助を頼めないだろうか?」

 

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