シズ・デルタに恋をしたナザリックの機動兵器   作:t-eureca

39 / 72
37話を投稿した後にある夢を見たんです。
何故か作者の目の前に夢の国のアイツが現れ、いきなり作者の胸倉を掴んでこう言いました。
『次僕をネタにしたら君にお仕置しをしに行くからね?ははっ♪』
と警告された直後目が覚めて夢だとわかり安堵していると、壁にアイツのマークが血のような赤い色で描かれていました……。






クソつまらない茶番は終わらせて始まります!


第37話 襲ってくるんなら返り討ちにされる覚悟もあるんだろうな?

「そろそろ着くかレイヴン?」

 

「ああ、もう少しだモモン」

 

レイヴン達がリ・エスティーゼ王国の都市エ・ランテルの付近まで来た頃、もう日は沈みかけ、都市では魔法の街灯が灯り始めていた。

エ・ランテルの大通りを歩いていた通行人はレイヴン達から距離を置き、小声で驚きと称賛の声を上げ僅かな恐怖の視線を向けていた。

 

その要因の一つに力強さと知性を併せ持つ事がその見た目で理解出来る白銀の魔獣、その魔物をしたがえる大柄の黒騎士。そしてそんな彼の隣に居て平然と会話している黒甲冑武者。そして何より……。

 

その魔獣の雄大な背に平然と大の字になって背中にへばりつく眼帯を着けた気品さと可憐さを持つ黒髪の姫のような少女が特に注目を集めていた。

 

『あの……マシンナーさん?』

 

『なんですか?』

 

『時々ハム助に若干嫉妬の籠った目でチラ見するのやめてくれません?ハム助メッチャ怯えてるんですけど…』

 

『…………すいません』

 

そう、これはレイヴン達がカルネ村から出発する前に遡る。

事の始まりはカルネ村から出発するとき、漆黒の剣のメンバーと森の賢王からアインズは「是非とも乗って帰ってみては?」と提案されたのだ。

 

正直恥ずかしくて乗れないアインズはマシンナーに<メッセージ/伝言>で助け舟を要求するが、マシンナーも良い考えが浮かばなかったのだ。

 

少し考えている時に丁度シズが目に入り、シズの好きなものがモフモフな小動物だということを思い出し、シズに乗らないかと言う。

 

内心シズは騎乗したいと考えていたが、プレアデスとして至高の御方の1人であるアインズを差し置いて乗る事はできないと思い、最初は断ったがマシンナーからも『モモンが良いって言ってるんだし乗れ乗れ』と言った。

 

シズはナーベラルとアルティマの方を見ると「至高の御方が許可したのならと特に言うつもりはない」という視線で言っていた。

 

そういう訳でシズは表情に現わさなかったが内心大いに喜びながらハム助に騎乗した。

その光景を見たマシンナーは(俺もモフモフなモノに変形できれば…)と思った。

 

「殿~、何故か御屋形様が時々凄い迫力の視線で某を睨んでくるでござる、某とても怖いでござるよ~…」

 

「気のせいだ」

 

「えぇ…でも本当に感じるでござ……」

 

ハム助が何か喋ろうとしたが、隣でアルティマがちょいちょいとハム助を小突き、指で自分の方へ招く仕草をする。

それを見たハム助は頭に?マークが浮かんでそうな顔をしながらアルティマの方に顔を向け、小声で会話をする。

 

『なんでござるかジナ殿?』

 

『マシ……んん! レイヴンさんが君の方を見ているのは君に乗っているマグノリアだよ、落ちないか心配だからね』

 

『なるほど!従者であるマグノリア殿を気遣ってちょくちょくこっちを振り向いているでござるね!でもそれならなんで時々凄い威圧感だしながら見てくるでござるか?』

 

『それは「絶対落とすんじゃないぞ?絶対だぞ?」って目で言ってるんだよ、レイヴンさんはとても従者思いだから』

 

『御屋形様も殿と勝るとも劣らない器でござる!』

 

アルティマがハム助にマシンナーが見てくる理由を説明し、それを聞いたハム助の中でマシンナーの株が上昇していく。そんな話をしているとは知らないアインズとマシンナーは「何話してんだろ?」と考えたが、話している雰囲気を考えると怖い話ではなさそうだと思いそっとしておくことにした。

だがマシンナーはハム助を見てあることを思う。

 

『俺だって動物に変形できるのに…』

 

『マシンナーさんが変形するの動物じゃなくって恐竜でしょ?しかも見た目がT-REXに限りなく近いじゃないですか、どう見ても可愛いとは程遠い見た目の生物です本当にありがとうございました』

 

『こうなるんだったら恐竜型じゃなくてゴリラ選べばよかった』

 

『いや大して変わらないと思いますけど…』

 

『変形できる形態に"モフモフなモノ"入れときゃよかった…』

 

『いやモフモフなロボットって聞いた事ありませんよマシンナーさん、前代未聞ですよ』

 

『なら作ればいいんですよ!まず全身モコモコの……』

 

『やめてくださいマシンナーさん!気持ち悪い見た目のイメージしか湧きませんから!?』

 

『モモンガさん酷い!』

 

そんなくだらない会話をしながら歩きながらアインズは別の話題に切り替える。

 

『マシンナーさん、例の"2人組"は?』

 

『いますね、ンフィーレア少年の工房の中に……』

 

『2人だけですか?』

 

『はい、2人だけです』

 

『やれやれ、帰ってくるまでが遠足だっていうのに…』

 

『遠足の割には面子がほとんど武装しているんですがそれは…』

 

ンフィーレアを狙っている例の2人組の事はマシンナー達がカルネ村に出た後からエ・ランテルに潜伏しているアンドロイド型の機械系異形種で構成している偵察隊から報告が来た。

他にも小型ドローンタイプが何機か2人組を随時偵察している。

因みにンフィーレアの祖母であるリィジーは今留守にしており、彼女の身柄は今のところ安全だ。

念のためリィジーにも偵察隊から何名かがばれないように護衛に付いている。

 

「モモンさん、レイヴンさん」

 

そこにンフィーレアがアインズに依頼完了の話をするために2人に近づいた。

ンフィーレアの異能を知ったマシンナーは今度会ったら自分の持っている魔法道具を彼の異能で起動する実験をしようと考えている。その為にも例の2人組から彼を何が何でも守ろうと決めた。

 

「あの、お二人とも報酬の件ですが、モモンさんと森の賢王のお陰で高価な薬草を大量に手に入れられた分の追加報酬をお渡ししたいので、組合に寄った後でお店に来ていただいても良いですか?」

 

「ん?ンフィーレア少年もしかして俺達も含まれているのか?」

 

「ええ、勿論ですレイヴンさん、追加報酬だけですが…」

 

「いやいや、俺達は手伝いみたいなもので勝手についてきたようなもんだ。貰う資格なんてないよ」

「そんな! 滅相もありませんよ、せめてもの御礼です。是非貰ってください」

 

頭を掻きながらマシンナーはアインズの方を向く。

アインズの方も『貰っても良いんじゃないか』という視線を向けている。

マシンナーは少し考えてからンフィーレアに話しかける。

 

「なら…俺の分の報酬を少しモモンの報酬に上乗せしてやってくれ、それぐらいが妥当だ」

 

「それはかまいませんが良いんですか?」

 

「言ったろ?勝手についてきたようなもんだって、だからそんなに多くは要らんさ」

 

「レイヴンさん…わかりました」

 

「ああ、それとモモン、俺達はンフィーレア少年の店に先に待ってるからゆっくり来い」

 

「ん?ああわかった、レイヴン」

 

「あれ?レイヴンさん、モモンさんと一緒に組合まで行かないんですか?」

 

「ああ、それにまだ薬草の積み下ろしなんかもあるんだろ?ならそれを手伝わせてもらうさ」

 

「すみません、ありがとうございます」

 

「シ…マグノリア、そろそろ降りろ」

 

「ん……はい」

 

勿論これは建前で本当はンフィーレアの護衛だ。モモンは魔獣を連れ込むには組合に登録する必要がある為組合に一旦寄らなければならない。

それを聞いた2人はやってしまったと内心思うが、すぐに計画を修正し、マシンナーがンフィーレアを逃がした後アインズが保護するという手筈になった。

 

というわけでマシンナーは例の2人組を"ちょっと"本気で倒そうと決意していた。

 

 

 

 

 

俺達はモモンガさんと一旦別れた後ンフィーレア少年の薬屋の扉まで来ていた。

 

「お疲れさまです、果実水が母屋に冷やしてあるはずですから皆さん飲んでいって下さい」

 

「そいつはいいねぇ!」

 

(アル、首尾は?)

 

(ご安心を、偵察部隊から戦闘がそれなりにできるもの十数名を待機させております。最悪保護対象をアインズ様のもとにまでおくり届けるよう命令してあります)

 

(そうか……シズ、ボウガンをいつでも出せるように準備しておけ)

 

(…………了解)

 

(よし…なら始めるか)

 

「待て」

 

「え?」

 

「レイヴンさん、どうしました?」

 

俺の言葉を聞いてンフィーレア少年と漆黒の剣のメンバーが俺の方を見る。

俺はすぐに説明した。

 

「……一瞬だが中から殺気を感じた」

 

「えぇ!?」

 

「おいおい、レイヴンの旦那流石にそれは気のせいじゃ…」

 

「いや、レイヴン殿のような強者にしかわからない類のものかもしれないのである!」

 

それぞれ様々な反応をするのも仕方ないだろう。

俺も偵察部隊からの報告が無ければ多分知らなかったろうし。

だがぐずぐずするわけにもいかず俺とアルティマとシズはンフィーレア少年達の先頭に扉を開けた。

 

室内は暗くシンと静かで誰も居ないように感じる。

 

「……あの誰もいな『はぁいお帰りなさ~い』え!?」

 

「本当にいた!?」

 

「マジかよ…」

 

ンフィーレア少年が言い終える前に例の2人組の女の方が先に姿を現した。

装備は露出度の高いモノを着ており髪は金色のミディアムヘア。

多分この女の武器であるスティレットを両手に持っている。

顔も綺麗な方だったが、目が少し危なそうなので性格は良くなさそうだ。

 

俺達以外の他の連中が気づかなかったという事は何らかの阻害魔法による可能性も高い。

装備と持っている武器を見ると多分コイツはスピード型の可能性がある。

 

「あれ~?なんだか思ってたより違う反応~?まあいっか~全員殺すだけだし」

 

「クレマンティーヌ、やはり貴様最初からそのつもりだったか…」

 

「ごめーん、カジッちゃん。でもどのみち見られてただろうし、どのみちこいつら殺すしかないよ?」

 

「ふん、全く」

 

もう一つの片割れである老人が相方の『クレマンティーヌ』って女に不満を口に出しながら出てきた。

ローブを纏った痩せこけた土気色の肌で死人のようにも見えた。(あとハゲ)

装備から見るとネクロマンサー辺りの人間だろう。

 

(反応から察するにそれなりの腕前を持ってるんだろう。クレマンティーヌとかいう女が前衛でカジッちゃんとかいう奴が後衛だろうな、ならば…)

 

俺は後ろにンフィーレアさんをここから逃がすよう伝える。

それと同時にアルティマが偵察部隊に漆黒の剣とンフィーレア少年を護衛するよう伝えた。

 

「ぺテルさん、ンフィーレア少年を連れてここから離れろ」

 

「え?でもレイヴンさん!?」

 

「早く行け!」

 

「は、はい!おいみんなンフィーレアさんを連れてモモンさんの所に行くぞ!」

 

「わかったのである!」

 

「旦那!モモンさん見つけたらすぐ戻るから持ちこたえてくれよ!?」

 

「ンフィーレアさん早く!」

 

「は、はい!レイヴンさん!」

 

「ん?」

 

「絶対戻ってきてください!」

 

「へっ!あいよ!」

 

『こちらアルティマ、目標が動いた。アインズ様がおられる場所まで絶対に死守しろ!』

 

『は!命に代えても必ず!』

 

「おやおや感動的だね~、良い台詞だね~、けど無意味だよ~?」

 

「呑気に言っている場合かクレマンティーヌ!?早くこやつらを殺せ!」

 

「は~いはい、わかってるよカジッちゃん」

 

あまり長引くと何使われるかわからないので早めに決着をつける事にした。

アルティマやシズにもそう目配りし、俺の後ろに控えさせる。

 

「見たところコソ泥や薬泥棒には見えないな?」

 

「ん~?まあそうだね~どちらかというと人攫いかな~?」

 

「目的はンフィーレアだな?」

 

「ぱちぱちぱち!正~解~、でもその前に君たちをとっとと殺さなきゃいけないんだよね~?残~念~。まあ運が悪かったと思って諦めてね~?」

 

「元から貴様はそのつもりだろうに…」

 

「そうかい、教えてくれてありがとう。なら……」

 

俺は一歩前に出て指の関節を鳴らす。

シズやアルティマも俺の後に続く。

目的は言うまでもない。

 

「盛大にボコボコにして返り討ちにしてやんないとなぁ?」

 

「あ?」

 

「聞こえなかったか?ならもう一度言ってやる、お前ら2人とも死なない程度にボコボコにした後牢屋にぶち込んで臭い飯を嫌って言う程味わわせてやる。新聞の見出しにはこう書かれるだろうな……『ハゲとクレイジーサイコ女、人攫いをするも無様に返り討ちに遭い捕まる』って見出しで……」

 

「……ぷ、アハハハハハハ!聞いたカジッちゃん?あいつカジッちゃんの事ハゲだってさ!」

 

「え~い黙れ!クレマンティーヌ!」

 

「まあ冗談はさて置いて~、私大っ嫌いなんだよね~…」

 

そう言いながらスティレットを構えて正面から突撃を仕掛けてきた。

 

「そういう冗談がさぁ!?」

 

右手に持っているスティレットで俺の左目を穿とうとする。

なるほど、このスピードなら漆黒の剣の人たちだったら皆殺しにされてただろうな、おまけにこのスピードなら抜刀する隙も無い。だけど……。

 

ガシンとスティレットを左手で鷲掴みにする。

クレマンティーヌは一瞬少し驚いたがすぐに左手のスティレットで刺突してくるがこれも右手で掴んだ。

 

「お前……」

 

「速さが足りねえぞ?そんなスピードだったらス◯ライドのクーガーの兄貴に説教されるぜ?」

 

俺がスティレットを掴んでいるとアルティマとシズが話しかける。

 

「別にレイヴンさん自ら始末される程の相手でもないと思いますが?」

 

「……私達だけで十分」

 

「ならコイツ一回ぶっ飛ばした後で始末頼めるか?」

 

「了解しました…」

 

「………承知しました」

 

(な!こいつら……舐めやがって!!)

 

自分が舐められている事にクレマンティーヌは怒りを覚え、コイツはタダでは殺さない、他の連中を殺した後じっくり嬲り殺してやると決意した。

 

一方俺はそのままスティレットをへし折ろうとしたが、スティレットは思ったより頑丈に作られているのかそこそこ硬かった事に驚いて少し興味がわいた。

 

(へぇ、コーティングしただけのオリハルコン製の割には頑丈だな?)

 

一方のクレマンティーヌも、自分の攻撃を受け止められた事に少し驚いている表情をしている。だがすぐに先程の余裕の笑みになる。

 

「へぇ~…思ったよりやるじゃん?」

 

(あ、これなんか仕掛けてくるな?)

 

「でも受け止めるのはすごいけどさ~」

 

そう言うと、クレマンティーヌのスティレットの先から目が眩む程の眩い電流が迸り出した。

 

「こういう事も想定しなきゃ命取りになるよぉ!」

 

(……あ、コイツスティレットに<魔法蓄積/マジックアキュムレート>仕込んでいたな)

 

「「!?」」

 

恐らく武器に蓄積させてたライトニングの魔法で一時行動不能にさせて痛めつけようとしたんだろう。

ライトニングを受けた俺の姿を見てアルティマ達も動こうとするが、メッセージで制止させる。

 

『心配すんな』

 

『ですが…』

 

『この程度どうってことはない』

 

俺は2人を制止させたあと意識をクレマンティーヌの方に向ける。

クレマンティーヌの顔が笑っている。

多分これで俺を仕留めたと思っているんだろう。

ならその甘っちょろい幻想を粉粉塵してくれるWA!

 

「あのさ、ドヤ顔してる時にわるいんだけどさぁ…」

 

「……え?」

 

「その程度の電圧じゃあ俺の回路は焼き切れねぇぞ?」

 

「何!?」

 

クレマンティーヌとカジッちゃんの顔が驚愕の色に染まっている。

この世界の常識だとそれなりに高い階位魔法かもしれないけど俺の装備とスキルで完全に無効化されてダメージすら入っていない。

 

「まああれだ、『奇跡も魔法もあるんだよ!』って奴だ」

 

「嘘をつけ!貴様マジックアイテムを装備しているな!?」

 

「正解だハゲ君。というわけで君らの魔法は一切俺には通用しません!次はこっちのバトルフェイズだ!」

 

俺は掴んでいる右手を離し拳を握りしめ腕部装甲に収納されていた打撃用ナックルを装着する。それを見たクレマンティーヌは急いで俺から離れようと蹴るなり空いた左手で攻撃するが無駄だ、パワーと装甲が違う。そしてそのままクレマンティーヌの腹に拳を叩き込んだ。

 

「ふがぅ!?」

 

「さっきお前こう言ってたな?」

 

俺の文字通りの鋼の拳は深々と腹にめり込む。

喰らったクレマンティーヌの顔は凄い事になっており目には涙を浮かべ、口から嘔吐物と血が入り混じった液体を勢いよく吐き出した。

 

「『こういう事も想定しなきゃ命取りになるよぉ!』って」

 

「がぁ! はぁ…はぁ…てめぇ……!?」

 

「まだ、反抗する元気があるのか?思ったより頑丈だな?」

 

涙を浮かべながらも俺に般若のような顔をして睨んでくるクレマンティーヌ。

人間の頃の俺だったらしめやかに失禁していたであろう。

正直ちょっと怖い。

 

そういえば相方がやられている時にハゲのカジッちゃんはなにしてんだろ?

そう思って俺はカジッちゃんの方を向くと何やら魔法を繰り出そうとしている、これは止めなければ。

 

「おいクレマンティーヌ、ドッジボールやろうぜ?お前ボールな?」

 

「は?何言って…うわ!」

 

俺はクレマンティーヌを持ってドッジボールで球を投げる構えをとる。

狙いは勿論カジッチャンだ。

 

「チャージなどさせるものか!」

 

このネタわかる人いるかな?まあそれは置いといて。

俺はカジッちゃんに向かってクレマンティーヌをぶん投げる。

 

「なに!ぐぅ!」

 

カジッちゃんはクレマンティーヌが当たる前にギリギリで回避する。

回避されたクレマンティーヌは壁に思いっきりぶち当たり、ハウスダストを大量に撒き上げながら突っ伏している。

 

(おっと…相方のカジッちゃんも行動不能にしなきゃな?)

 

「ええい!貴様…!」

 

「マグノリア」

 

「…はい」

 

カジッちゃんがまた魔法を繰り出そうとしようとしてたが、俺は後ろに控えているシズに指示を出す。

シズはすぐにクロスボウを出し矢を発射した。

矢は見事にカジッちゃんの右腕に命中、カジッちゃんは痛みで悲鳴を上げ、腕を押さえる。

だけどそれだけで済ませる程俺は甘くない。

 

「爆破しろ」

 

「了解」

 

シズは左手に持っていた小さなスイッチを取り出し、ボタンを押すと「ピッ」という音がなった。

次の瞬間、派手な音と閃光とともにカジッちゃんの右腕は血しぶきを上げながら爆散する。

 

「が、ああああああああ!?」

 

「ナイスアシストだ」

 

「……光栄でございますレイヴン」

 

腕が爆散したカジッちゃんは失った右腕を押さえて大きく声を上げる。

先程シズが放った矢の鏃に腕が爆発する程度の爆薬を装着させておいたのだ。

それにしてもいつも愛用している魔銃じゃないのにあそこまでの命中精度を持つとは流石シズだな。

いつもの魔銃だったらあの2人を見た瞬間射殺していたかもしれない。

 

(さてと、それじゃ気絶させてワッパ掛けちゃいましょうかね?)

 

俺はアイテムボックスから手錠を取り出す。

勿論こいつらが暴れても壊れない丈夫な奴だ。

まずカジッちゃんの左手と両足に掛けようとしたがアクシデントが起きた。

 

「こ……の……!」

 

なんと気絶してたと思っていたクレマンティーヌが起き上がってきたのだ。

あれだけ激しく壁に叩き付けられたのに目は闘争心で漲っており、先程まで余裕で満ちていた顔は既に余裕が無くなっており俺に対する殺意で顔を歪めている。両手にスティレットを持って今にも飛び掛かってきそうな雰囲気だ。

 

「クソがあぁぁぁ!?」

 

あまり広いとは言えない部屋で先程よりも速いスピードで突撃してくる。

ならこっちはカウンターで迎え撃ってやろうと構えるが俺とクレマンティーヌの間に入ってくるものが1人いた。

 

「! どけガキィ!?」

 

「痴れ者が…」

 

アルティマがスティレットを両腕から展開した手刀で受け止めクレマンティーヌを押さえ込んでいた。

クレマンティーヌを汚物でも見るかのような目で見ている。

そして力任せにスティレットを掃い腕のみを戦闘形態に部分変形させ腕の推進器を作動させながら顔面を殴る。

 

「口だけのゴミ屑の分際で僕の主の手を煩わせるなよ……この糞サイコビッチがあぁぁ!?」

 

とんでもなく汚い言葉を吐きながらクレマンティーヌを殴り飛ばす、その勢いはクレマンティーヌが店の壁を突き破るほどだった。

どうしようリィジーの婆さんとンフィーレア少年になんて言えば良いか…。

 

(やべぇ……これ弁償だよな?)

 

「クレマンティーヌ!…ええい、クソ!!」

 

カジッちゃんは無くなった右腕を押さえながらよろよろと立ち上がりクレマンティーヌの所に向かう。

俺はアイテムボックスから相手をスタン状態にさせる<電磁ワイヤー銃>を取り出し、発射する。

しかしまだ抵抗する余力が残っていたのか灰色の壁のようなモノを出し、それを防ぎ、クレマンティーヌのもとに向かう。

 

(外に行ったか…)

 

俺はさっきの戦いで開けた穴に向かい、カジッちゃんの後を追う。

穴を出た先には、そこまで遠くない距離でクレマンティーヌに回復魔法を使いある程度回復させているカジッチャンが居た。

回復が終わったのかクレマンティーヌも立ち上がり俺を睨んでいた。

 

「ぐ…う…てめぇ…」

 

「何をしておる今は取りあえず逃げるぞ!?」

 

「ちっ…!」

 

クレマンティーヌはカジッチャンを抱えそのまま逃げようとし、俺は追いかけようとするがクレマンティーヌは先程の数倍以上の速度で駆け出し、そのまま闇夜に消えていった。

 

(なんだアレは?ユグドラシルの魔法じゃないぞ?という事は今あいつが使ったのは武技ってやつか?)

 

となるとクレマンティーヌは捕獲してナザリック送りにした方が良いかもな。

なにせ武技自体がこの世界だけの特殊能力だ、研究する価値もある。

後でメッセージでモモンガさんにも伝えよう。

 

「マシンナー様、奴らは?」

 

「逃げた、まあどこにいるかわかるけどな」

 

俺はアルティマに携帯型レーダーを渡す。

レーダーには赤い点が移動しながら点滅している。

さっきクレマンティーヌと組み合ってた時に念のため小型発信機をつけておいたのだ。

先日の諜報部隊からの情報でエ・ランテルの墓地を拠点にしているので、十中八九そこに向かっているとは思うが、万が一の為にコイツを使って後を追わせるか。

 

俺はマジックボックスからディスク型のアイテムを取り出し、上に投げる。

するとディスクは瞬時に鳥型メカに変形する。

コイツは機械系異形種に変形できるマジックアイテム『変形円盤機/ディスク・トランス・ロイド』の1体、『ファルコン』。

このマジックアイテム自体の攻撃力は低いが、小型で小回りが利き偵察に向いているので機械系のマジックアイテムの中では人気のあるアイテムだ。俺もその利便性で重宝している。

他にも犬型や猿型もあるが、それはいずれお見せしよう。

 

「ファルコン、追え」

 

「キー!」

 

俺の命令でファルコンはクレマンティーヌの跡を追う。

後はアルティマにンフィーレア少年がちゃんとモモンガさんの所に着いたかどうかだ。

 

「マシンナー様、先程偵察部隊からの報告で目標がアインズ様の所に向かったと」

 

「そうか、偵察部隊にご苦労と伝えておいてくれ」

 

「承知しました」

 

「マシンナー様…一度アインズ様の所に合流した方がいいと思う」

 

「ああそうだな。というかアルティマ、お前あの女ぶっ飛ばす時目茶苦茶汚い言葉言ってたけどあれ何処で覚えたんだ?」

 

まさか普段(ナザリック内で)比較的な温厚だと思っているアルティマの口から「糞サイコビッチ」なんて言葉聞くとは思わなかった。お前生み出したお父さんである俺にとって色々と衝撃的だよオイ……。

 

「え?あれですか?う~ん…あの身の程知らずのメス猿が事もあろうにマシンナー様に対して無礼な発言とお手を煩わせると言う大罪を犯したので思わず頭に血……じゃなくてオイルが上ってしまったので思わず言ってしまったんですが……」

 

「駄目だったでしょうか?」と言うアルティマだが別に俺は責めるつもりなんて毛頭ない。

それに俺の為に怒って言ったんだから尚更だ。

 

「嫌、普段穏やかなお前からそういう言葉が出たから色々と衝撃的だっただけだ。助けてくれてありがとう、礼を言う」

 

「いえ、シモベとして当然のことをしたまでです……」

 

そう言ってお辞儀をするアルティマ。

けどアルティマがつい言ってしまったのなら、もしかしたら俺の影響があるかもしれない。

実は昔映画(邦画、洋画面白ければジャンル問わず)を結構見ていた影響で、ガシャを引いてハズレアイテムが連続で出た時等につい思わず「ファック!」とか「クソったれぇ!」とか叫ぶ事があったのでもしかしてその影響だろうか?だとしたらもの凄くカッコ悪い所を見せてしまったという事実に申し訳ない気持ちになってくる。

 

そこにモモンガさんからのメッセージが入ってきた。

 

『マシンナーさん』

 

『あ、モモンガさん。ンフィーレア少年は?』

 

『ええ、今合流しました。漆黒の剣の皆さんも無事です』

 

『そうですか。でも申し訳ありません実は例の2人組逃がしてしまって、あぁでも発信機は付けておいたので今から追うつもりですけど』

 

『あ、なら一度合流しましょうそこで待っててください』

 

『了解です、それでは』

 

俺はメッセージを切り、アルティマ達にモモンガさん達と合流すると話す。

 

「アルティマ、シズ。これからここでアインズ達と合流した後奴らを追う、いいな?」

 

「は!」

 

「了解……」

 

2人も了承し俺達はモモンガさん達を待つことにした。

 




カジッちゃんってああ見えて30代って知ったときは「嘘やん」って思いましたね、顔老けすぎだろ。

今回出てきたアイテム『変形円盤機/ディスク・トランス・ロイド』はトランスフォーマーのカセットロンや仮面ライダー響鬼のディスクアニマルを元にしてあります。

追伸、違う原作の小説を投稿しました。詳しくは新着活動報告に書かれております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。