使えないひみつ道具なんてありはしない(完結)   作:連鎖爆撃

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まったく、アベコンベは最高だぜ!!

出木杉英才(できすぎひでとし)は考える。

 

―――――アベコンベ、マジ万能。

 

〈反対グローブ〉

このボクシンググローブを手にはめて他人を殴ろうとすると、自分を殴ってしまう。

 

〈アベコンベ〉

あらゆる性質および常識を逆転させることのできる棒。両端にやじりがついている形で、その先でなにか物体に触れると効果があらわれる。逆さに使えば元に戻すことができる。

 

目の前に転がるデカゴリラ野郎(※中学生の不良)を見下ろす。

自分は文武両道の天才とはいえ、ケンカという土俵でならコイツは俺より上だ。

 

結局のところ、何を成すにも練習というのは大事だ。俺も何の努力も無しに俺も今の成績を手にしたわけではない。

 

その意味で、毎日ケンカに明け暮れるコイツは俺より努力しているといえる。

 

だが、頭の使い方一つでそんな優位性あっという間にひっくり返るものだ。

 

かつて野比の奴に〈スペアポケット〉を借りた際に、いくつか汎用猫型決戦兵器の秘密道具を拝借しておいたのだ。

 

あの猫が「使えない」と評していた道具ばかりを、数点。

 

なぜ、使い勝手の良い物を盗まなかったのか。

 

まぁ、小学生でも少し考えればわかることだ。

汎用性の高い道具をパクることは難しい。

 

〈どこでもドア〉みたいな使用頻度の高いものは論外。すぐに無くなっていることが露見する。

 

〈もしもボックス〉みたいな影響力の大きい道具は、問題が発生した時に小学生の自分では対処が難しい。

 

そんな諸所の問題も、あのポケットがまるごと有れば解決すると思ってしまうが、正確にはそうではない。

 

この時代で秘密道具無双などしようものなら、タイムパトロールに目をつけられてしまう。

あのポケットが有っても、秘密道具そのものを無力化する化け物には勝てない。

 

だからこそ、盗むのは使えないものばかり。紛失したとしても猫が必死に探そうとしないものを数点のみ。

それなら、パクってもしばらくは問題ない。下手すると、あの猫が未来に帰るまで、帰っても気がつかないかもしれない。

 

……え?

使えない道具ならパクっても意味が無いだろうって?

 

そこで、〈アベコンベ〉だ。「使えない」というなら、それを逆転させれば「使える」道具になるはずだ。

 

そこで今回、〈反対グローブ〉をあべこべにしてみたのだが。

 

 

 

 

……想像以上にひどいものが出来上がった。

 

〈反対グローブ〉(※反転中)

このボクシンググローブを手にはめて他人の前に立つと、半自動的に相手を殴り続ける。君がッ 泣くまで 殴るのをやめないッ!

 

これを両手にはめ、デカブツの前に立ち、相手の攻撃が当たらないようにフットワークを気をつけただけで、このザマだ。

 

敵の攻撃をかいくぐって、一方的に殴り続けることができた。

最後の方なんか棒立ちになった相手の顔にひたすら拳を叩きこむだけの作業になっていたし。

 

おっと、考え事していてグローブを外し忘れていたぜ。

既に意識がない不良に馬乗りになり、さらに拳を叩き込んでいた。

 

はずすとき、ベットリとグローブは血で濡れていた。

あれ、殴る途中で拳が切れちゃったかな(すっとぼけ)。

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