将来はのび太に静ちゃんNTR確定している出木杉。
名前を出来杉と間違い覚えられていること多数の出木杉。
そんな不遇の出木杉君を一人でも多くの人が好きになってくれれば幸いです。
出木杉英才は考える。
結局は、コイツだよりになってしまうのだ。
〈もしもボックス〉
公衆電話ボックス型のひみつ道具。中に入って電話をかけ、「もしも○○○だったら」と言うことで、そのとおりの世界になる。
この道具で実現される架空世界は、無数の可能性の中で「もしかしたらありえたかもしれない」まごうことなき「現実」である。
世界を移動する道具であるため使用者には元の世界の記憶がある。
野比から最後にもう一度、スペアポケットを借り取り出した〈もしもボックス〉。
これを使って俺は、未来を変える。
おそらく、猫型兵器の手持ちの中で最強の道具に違いない、〈もしもボックス〉。コイツの特筆すべき点は、改変した世界が、「紛れも無い現実である」ということ。
シュ○ゲ風に説明するなら、「別の世界線に移動する道具」ということになる。
説明するなら、現在のAという時点で何らかの操作を行うことで、これからの歴史はA1かA2に分岐する。
この「何らかの操作」が無数に行われて、歴史というものは紡がれていく。
未来の情報を知り、作為的に操作を行うことで可能になるのが、「未来の改変」。
だが、〈もしもボックス〉は、過去に行われた操作に干渉することで、Aというから、別のBのという世界に飛ぶことができる「現在改変」装置だ。AとBの世界は、過去のどこかαという地点で、何らかの操作により分岐した世界だと説明ができる。
だが、どうしても解決できない問題が一つ。
歴史の修正力のせいで、どうやったって、あの猫のいるような未来世界に繋がること。
〈もしもボックス〉では、どうしても、「この道具自身が生まれないような世界」を作り出せないのだ。
おそらく、“親殺しのパラドックス”を反映させた結果、そういうときは装置が作動しないようになっている。
これが意味することは、どんな世界を創りだそうと、未来からの干渉があるということ。
こちらが「過去」の存在である以上、「未来」の意にそぐわないことを行えば、「未来」の存在には、後出しジャンケンのように、その手を潰されていくのだ。
何とかならないか、真剣に考え、思いついたのは。
ジャンケンのように手が潰されるというのなら、
ジャンケンで何を出したか、わからなくすればいいだけの話なのだ。
〈アベコンベ〉で〈もしもボックス〉の性質を反転し、「本来なら、使い途のない」道具を作り出す。
〈もしもボックス〉(※反転中)
中に入って電話をかけ、「もしも○○○だったら」ということで、そのとおりの世界に絶対にならなくなる。
すべてがIFになる。
「過去」ではなく、「未来」に干渉し、ありえたかもしれない世界をなくしていく装置。
もちろん、実験した結果、「親殺しのパラドックス」が起きるような場合には、装置は作動しなかった。
これは〈アベコンベ〉にもどうにもならない話だったらしい。
だが、これでいい。
この道具を使って、俺はタイムパトロールの目を欺くことができるはずなのだ。
俺がコイツで無くしてしまった可能性は。
「俺が、あらゆるひみつ道具の生みの親であると、未来で認知されている可能性」
そして。
「俺が、時間航行技術の生みの親であると未来で認知されている可能性」
この2つだ。
〈もしもボックス〉から出て、深呼吸をする。
大丈夫だ、頭は冴えている。
一番危惧していた、〈もしもボックス〉の「使用者には干渉できない」という性質までは反転しなかったらしい。
考えてみれば、アタリマエのことか。
あれは、あくまで乗り物だ。もともと、使用者に干渉するとかしないとか、そういうシロモノではなかったのだ。
これで。
野比がスペアポケットを回収し、〈もしもボックス〉を元通りにして返却するまでの1時間の間、
俺がやっていることは、誰にも知られることは無い。
俺が、〈タイムマシン〉、そして多数のひみつ道具を作り出すことは。
本来なら、俺が〈ハツメイカー〉なぞに触れようものなら、タイムパトロールが血相を変えてこの時代に飛んでくる。
〈ハツメイカー〉
箱型の機械。ほしい道具をこの機械に注文すると、つくり方を教えてくれる。 できた道具には未来技術も使用され、その性能はひみつ道具に匹敵する。
この〈ハツメイカー〉から出てくる説明書を解読することで、俺は未来技術を理解することができるのだ。
あくまで、この時代の人間であるはずの野比がこれを使用しても咎められないのは、奴がそれを理解し悪用しようという気を起こさないため。
俺が触れると、歴史そのものが大きく狂うことになるというのだ。
だが、今なら。タイムパトロールに捕まるという愚を犯さず、未来の時間航行技術を、その他の多くの事象改変技術を盗み放題だ。逸る気持ちを抑え、〈ハツメイカー〉に命令を出す。
〈タイムマシン〉の作り方を。〈もしもボックス〉の作り方を。
別に、タイムパトロールを出しぬき、世界の覇権を握ろうとか、そんなつもりは全くない。
俺の望みは唯一つ。
静ちゃんと将来で結ばれたい。
ただ、本当にそれだけなのだ。
元々なら、俺が結ばれていたであろう相手。
だが、あの忌々しい猫の手によって、それはなかったコトにされてしまった。
だが、要は将来、野比の奴が幸せになり、野比の子孫が幸せに暮らせていれば、そんな未来にならなくてもいいのだ。
だが、そんなこと具申できるはずもない。あの猫は野比の味方なのだから。
俺は、このひみつ道具、未来技術の数々を墓場まで持っていくつもりだ。
だから、静ちゃんだけは、俺にくれないだろうか。
今から、俺は未来を変える。
万感の思いを込め、完成した〈タイムマシン〉のスイッチを入れた。
〈完〉