前回あんなに増えたのに、今回は逆に少ないです。
何故だ………。
≪side千冬≫
あの夜の後、彼は仕事へ出掛けるようになったものの、変わらず私の家へ足を運んでいた。……抱き合ってしまったからなのか、彼の顔を見る度に胸がドキドキしてしまって、まともに話をすることも出来なかった。ただ、それは彼も同じだったようで、私たちは互いに何も話さない時間が、少しの間あった。ちなみに、元に戻ったのは私がきっかけだ。やはり、天気の話題は便利なものだ。………つい、雨が降っているのに「良い天気だな」と言ってしまって彼に笑われたが。
………それと、五反田一家と彼の関係だが、弾君と蘭には少し避けられるようになってしまったらしい。彼は話したがらなかったが、恐らく私が原因なのだろう。私が謝ろうとすると、「意見の食い違いくらい誰にだってありますから」と言って制止してきた。嫌われることを覚悟した上で言ったのだから気にするな、と何度も言われたため、私は、話題に出さないように努めている。だが、厳さんや蓮さんとの関係は変わっていないどころか、むしろ更に仲良くなり、よく飲みに行っているらしい。何にしても、関係の修復が出来ないほどにならなくて本当に良かったと思う。
そして、
「な、凪……ちょ、ちょっと良いか?」
「…?千冬さん、どうしました?」
……相変わらず、呼び捨てでは呼んでくれないのか。結局、あの夜だけだったな……。
って、そんなことはどうでも………良くはないが、今は良い。
「あ、あのな?その、…今日、病院から職場復帰の許可が出たのだ。だから、」
「本当ですか!?おめでとうございます!」
「あ、ああ。そ、それでだな…。あ、IS学園は全寮制でな?教師も、寮で暮らすことになるんだ。だから……。」
彼が自分のことのように喜んでくれていたのは嬉しい。だが、言わなければ。早く言わなければ、私が言おうとしていることを察して、この『時々朴念仁』は間違いなく先に言ってしまう!そうなれば全てが無駄になる。主に私の決心とか、それまでの気恥ずかしさが!
「あの、その……あぅ……。」
「?…あ、もしかして、」
急げっ、私ぃ!!
「こ、ここ、これっ私の携帯の電話番号とメールアドレス!暇な時にでも掛けてくれっ!で、ではなっ」
「え、あ、わ、分かりました…って、何処に行くんですか、千冬さぁぁぁぁん!!」
私はあまりの気恥ずかしさに耐え切れず、外へと飛び出してしまった。
……帰ってきたのは、それから30分後のことである。
その間の凪
(電話番号を渡された以上、掛けるべきなのだろうけど…。千冬さんは教師に戻るなら、ほとんどの時間は授業になる。昼休みを除いた休憩時間は、およそ10~15分。教室への移動時間を考えれば更に短い!昼休みも、あって1時間程度だろう。つまり、電話を掛けるべき時間は放課後っ!!……だが、生徒の質問への応対や部活動の顧問をしていた場合、仕事が終わる時間は夜になってしまう。夜になれば疲れも増し、翌日の授業の準備もあるはずだ……。………いったい、何時に電話すれば良いんだ!?)
割と本気で悩んでいた。
学園に帰ってきて直ぐに私がやったことは、関係者各位への謝罪だった。学園長もそうだが、元々は私の副担任だったが休職により急遽担任にあてがわれた山田先生、そのフォローに回った他の先生方、そして私が受け持っていた生徒たち、それと学園の関係者ではないがドイツのあの少女にも。連絡もほとんどしなかったので、彼女らには本当に申し訳なく思う。
復帰後の仕事は担任の職務の代わりにアリーナの監視と生徒の学業及び操縦訓練のサポートをする役割に落ち着いた。私のところに質問に来る生徒も数多く、また忙しい日々が始まった。
だが……何故か周りの人たちは、私を奇妙な目で見るようになった。生徒たちも必要以上に畏まった態度で、私が応対すると困惑しているというかオロオロとしているというか……。噂では「中身は未来から来た殺人ロボット説」、「クローン人間説」、「記憶喪失説」があるらしい。……「別次元のそっくりさん説」もあったが、「髪型がトマトでもナスでもない」だとか「彼女は瑠璃ではない」などの意見により消滅していた。…………髪型がトマトやナスってどういうことだ。あと、瑠璃って誰だ?
「織班先生。」
「ん?ああ、山田先生か。」
職員室で昼食を取ろうとしていると、山田先生に声を掛けられる。
「どうされました?」
「いえ、これからお昼なら、一緒に食べませんか?」
「構いませんよ。」
そう言って、私も山田先生も弁当箱を開く。山田先生の弁当は……女性らしいというよりも女の子らしい、可愛い印象のある見た目だ。対する私のは、こう、華やかさが無いというか……女性らしさすら無い。私が心の中で凹んでいると、山田先生が不思議そうな顔をしている。……よし、食事にしよう。
『……先月インドで発生した地震に関するニュースです。被災地では、現地の軍や自衛隊、天王寺グループと所有するISによる支援活動が行われており、……』
1か月前…つまり私が学園に戻ってきた時期に発生した地震の続報が報じられている。
あまり、聞きたくない名前も入っているが……どうやら、復興は進んでいるらしい。
そんなニュースを横目に箸を進めていると、
「た、大変ですっ!」
慌てた様子で、教頭先生が職員室に入って来た。休憩中だった他の先生方(私も含めて)が何事か、と教頭先生のほうを見る。
「だ、だだ、男性…男性がISを動かしました!」
「「「………………え?」」」
全員が固まった。
…と、アナウンサーのほうにも変化があり、
『えー、今速報が入ってまいりました。……って、ええっ!?これ、本当?……え、あ…し、失礼しました。たった今、入ってきた情報によりますと、男性がISを動かした模様です。もう一度お伝えします。男性がISを動かしました!え?現在は逃走中!?………ああ、えっと……現場に藤本キャスターがいるそうです。藤本さん、聞こえますか?』
アナウンサーがそう言った後、ヘリからの景色に切り替わる。………確かに、警察から逃げる男性が映っていた。何故かダンボール箱を手に持っている。……隠れてたのだろうか?男性が逃げる様子をじっと眺めていると、
………………………………………………………あれ?何処かで見たような……?
「す、凄い人ですね…。って織班先生?」
私の耳に山田先生の言葉は入って来なかったが、ニュースの続報はしっかり聞いていた。
『た、只今、男性の情報が入ってまいりました!ISを動かし、現在逃亡中の男性はIS関連の企業に所属する、御波 凪さん。御波 凪さんが、現在、警察から逃走している模様です!』
「……………………………………なっ」
「な?」
「凪ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
次からIS学園を舞台にしていく予定です。
原作メインキャラ、ほとんどいませんけど。
誤字脱字等ありましたら、ご指摘よろしくお願いします。