東京レイヴンズ~俺の名は土御門夜光~   作:ぶるーちーづ

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予告では、2章までといったのですが、もう少しやります。

少なくとも、鏡くんには会います。とうとつに終了すると思うので、悪しからず。


Dance with chimaira
大祓


 

その病室は外から厳重に鍵がかけられていた。

 

呪的処理のなされた扉に、真横に渡された注連縄、左右に飾られた榊の枝。

 

その真ん中で一人佇む一人の男。自分と同じくらいの男。

 

 

それが彼との初めての出会い。『縁』の始まり

 

 

 

 

 

 

終了を告げるチャイムがなる。同時に、塾生たちのため息が溢れて、教室の空気がだらしなく弛緩した。

 

早くも私語が飛び交うなか試験官の講師は試験用紙を回収して回った。

 

背筋を伸ばして座る土御門夏目の前から、そして、気だるげに寝落ちしている春虎の前からも。

 

春虎にとって、今回のテストで努力したのはただ一点のみ。いかに満点を取らないかということだ。

 

これには、カンニングの疑いと周りの塾生のモチベーションを考慮しての行動である。そのせいで、あっという間に終わってしまい時間をもて余したところ、睡眠を選んだというわけだ。

 

それをどう解釈してか夏目は矢のように飛び出す

 

「春虎っ、今の試験ーーー」

「ん?あぁ今のな。簡単すぎてビックリしたわ…………あ」

「やっぱりわかんなかった…………え?」

 

(や、やらかした。簡単なんて言ったら……飛車丸助けて)

 

まぁここの声など届くはずもなく、しかし、夏から続く、例の事件を境に、半年の間に夏目も春虎の実力に疑問は覚えている。

 

「か、簡単か。そそそ、そうだね簡単だったね」

 

無論、土御門としての名を重んじる夏目も勉学を怠っているわけでもないので、決して悪い点数ではないと確信している。でも…………

 

(か、かんたんかぁ)

 

気を抜いた春虎からの一言に呆気にとられるのは仕方のないことだった。

 

「そういえば、たしか、実技?とかもあるんだよな試験って」

「ええ、そうよ。内容はまだ伝えられてないけど。まぁ、あんたなら、大丈夫っぽいけど」

 

返答は京子からだった。あれ以来、春虎の席の周りに、冬児、夏目、京子、天馬が集まるのがこのメンバーの習慣のとなっていた。

 

「それいつわかるんだ?」

「んーあたしたちも初めてだからわからないけどもうすぐ教えてくれるんじゃないかしら」

「それならいいが、あの教師、忘れてたりしないよな」

 

春虎のその台詞を誰も否定できない辺り大友の人望の浅さがしかと窺えた。

 

「そういえば、冬児は?」

「あぁそれなら、おばあさま、じゃなかった、塾長に呼ばれたそうよ」

「おいおい、あのばか何やらかしたんだ」

 

 

 

 

 

 

「霊災の修祓?」

「ええ。それが今年の一年生に課せられる実技試験の内容です」

 

ヘアバンドをつけた強面の男に、塾長と書かれたデスクに座った老女は言った。

 

「それ、どういった魂胆で俺にだけリークするんすか?」

「それは、あなたの体質よ。一応担当医の方には確認は取ったけど、あなたにも一応話しておいたほうがいいと思ってね」

「ご親切にどーも」

「事情が事情ですから、今回は免除しても構いませんが」

「いいえ、大丈夫です」

「あら、案外軽いのね」

「そんなこと言って逃げてたら始まらないでしょう」

「そうですか、貴方のその勇気ある決断私は尊重します。大いに頑張って来てください」

「はい、それでは失礼します」

 

 

 

そう言って塾長室の扉をあけた瞬間ポケットの携帯が振動した

 

『塾長に呼び出されたって? なにやらかしたんだ?』

 

春虎からだ。あの返答が自分の力だけでは出来ないことを思いながら、返信をうち始めた。

 

 

 

 

 

 

 

男は、焦っていた。

 

かつて、上司がある儀式を行って、丁度二年。さる御方のご助力をいただきながら、計画を進めてきた。

 

それが最近、仲間たちが次々やられている。

 

呪捜部内の仲間でさえその存在を掴めていないらしく、正体をばらさずに標的をちゃくちゃくと仕留めていくその所業と、闇に紛れる黒い服装から『死神』との愛称までつき始めた。

 

さらには、そのさるお方の言葉

 

「ほっほ、すまぬな。釘を刺されてしもうた。儂ができるのはここまでじゃ」

 

かの存在なしにここまでこれなかった故にそれを引き留めるなど出来はしなかったが、やはり痛手だった。それでも、どうにか、その日までに準備を終わらせなければならない。

 

王よ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、陰陽庁祓魔局の第一オペレーションルームは慌ただしかった。午後にはいってから、各地で霊災が相次いだのだ。いずれも、フェーズ1の弱いものであったが、それでも、霊災である、見逃せるはずもなく、忙しくなるのは仕方のないことだった。

 

そのなかで、一人の、いや、次々と職員たちが鋭い声で叫び始めた

 

「霊災発生! 上野です」

「品川にも霊災発生! フェーズ2への移行を確認、直ちに応援要請を!」

 

ほとんど間を置かずに報告をあげてくる。室長は驚きつつもそれぞれに指示をだし、修祓指令室に連絡を入れようとした寸前、彼のデスクの電話が先に鳴った。オペレーターたちとは違う回線、霊視官との直接回線である。

 

そこから聞こえる台詞に「なんだとっ!?」と声を荒らげると受話器をおき、言った。

 

「れ、霊脈に乱れがあるそうです。それも尋常でないみだれが」

「どこに?」

「それが……」

「どうした、どこなんだ?」

「……と、都内全域で少なくとも感知できる範囲では全ての霊脈に異常が発生しているそうです」

 

愕然とするなかさらに追い討ちをかけるように報告がかかる

 

 

「こ、こちら、第6小隊、ダメです、我々だけでは結界の維持が出来ません! 霊災、フェーズ3に移行します!」

 

 

 

 

その後、『上巳の再祓』と呼ばれる事件の始まりであった。

 

 

 

 

 




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