すみません、鏡ボコボコに至りませんでした。誠に申し訳ない。
でも、またすぐに次話を上げます。ええ、それは、もう直ぐに。多分、27時ぐらいですかね?
お楽しみいただければ幸いです。
「独立祓魔官!我々は陰陽塾のものだ」
初老の男、藤原が鏡に向かって話しかける、というより、その声は、叫び声に近い。
理由なら簡単だ。先程から、鏡が鵺を挑発するようにその霊気を放っているのだ。
(あれが現代の天才たちか)
春虎は心で呟く。十二神将は、見たことがある、が、それはまだ20才に満たない体を呪的に改造された少女だった。自らの実力でのしあがってきた者に春虎は興味があった。
鵺がいるという非常事態であるがここは見守ることにしたのだ
とはいってもなにもしないわけにはいかない。おそらく、冬児はもうそろそろ限界だ。このまま鏡の霊気を浴び続けていたら怒り狂った鵺がまた、あの雄叫びをあげるかもしれない。そうなれば、冬児は終わりだ。そして、春虎は呪力を練ると、そっと人差し指を地面につけた。
この行動が幸いした。
ーーーヒィィョオォォォォォォォォ!!
はち切れたように鵺が大量の霊気と共に雄叫びを上げたのだ。
「降魔印」と呼ばれる印がある。邪を退けるとされるそれは、その人差し指を地面につけるという動作から「触地印」とも呼ばれる。春虎がやったのはまさにこれだった。
鵺から雄叫びは、春虎を中心に冬至を囲むようにして作られた結界によって阻まれる。
春虎は印をその結びながら、周りを確認していた。
鏡は、その実力故全く動じずに立ったまま鵺を睨んでいた。そんなことは、春虎も「視て」理解していた。しかし、塾生たちは違った。
なんとか張れたのは藤原を含む何人かによる簡易結界で、とっさのことだったのだろうが流石に脆く、抑えきれなかった部分で天馬などの塾生が気を失って倒れていた。
ここで、鏡が、ようやく動く。
「うるせぇ『黙れ』」
その一言で途端に静かになる鵺。後ろでは、夏目が一人叫んでいる
「甲種言霊だ!……でも霊災相手に……」
帝式に名を連ねるそれは、相手の精神に働きかける強制力をもった言葉だ。その習得難度に加え、人相手ならまだしも、霊災相手にそれを使うことは、いや、使えることは、規格外と言えよう。ただ春虎が抱いた感想は全く異なるものだった。
(……不粋な。力任せな呪術だ)
すると、声を失った鵺が一気に前に飛び出す。その巨体を恐るべき速度で踊らせながら鏡に襲いかかった。春虎は攻防によってもたらされるであろう呪力に備え、触地印に注ぐ呪力を増やしながら見た。
「ウン」
種子。それも外敵を排除する軍荼利明王を表す真言だ。そのわずか一言の種子真言が、鵺の巨体を弾き飛ばした。そして、まるで電気を流されたように痙攣する鵺、その姿に、激しいラグが走る。溜まらずに鵺は、身を翻した。
空中を歩くように突き進むそれは、 物質的に曖昧な霊災ならではと言えよう。
「おいおい、今日は手持ちがねぇんだ。あんま面倒かけさせんなよ」
鏡は、ダルそうに言うと、両手をジャケットに突っ込んだまま鵺を見上げ一息に呪文を唱える
「ノウマク・サラバ・タタギャテイビャク・サラバ……」
不動明王の最も主たる調伏法である、火界咒だ。
爆発的な呪力が迸り、鵺を追うようにして、炎が上へ伸び上がる。鵺は、空中を蹴って避けようとするが鏡操る火は、追尾し易々とそれを捉えた。
「ギョェェアァァァァァァ!」
威嚇するように発していた先程とは異なる本物の叫び、そして、鵺は、そのまま落下した。
真下には、他の塾生を逃がすために尽力していたせいで、逃げ遅れた京子がいた。
「京子!!」
春虎は叫ぶ。京子は、苦しみを表すように声を滲ませると、とっさに二体の護法を操作し、その場から脱出した。
鵺が静まったお陰で辺りにほっとした空気が流れるなか、春虎が鏡に向かって怒鳴る
「おい!周りをよく見ろ!仮にも、倉橋の令嬢だぞ」
すると、鏡は、
「倉橋ぃ~?」
と京子の家の名前の方に反応した。
「倉橋って……いや、そうか陰陽塾っ。ってことは、その女。局長の娘か。ああ、まてよ、とするとその竜も……そいつ土御門の竜だな」
何処か楽しんでいるように続ける鏡。
「つまり、この中にいるんだな?土御門の次期当主のガキが。嘘かほんとかしらねぇが、例の、夜光の転生ってのがよ?」
そう言って辺りを見渡す鏡。春虎はそっと顔を伏せた。
(や、やっぱり、恥ずかしい)
虚勢を張ったものの、鈴鹿に継ぎ、自分が夜光としての、認識を持ちながら、他者を、夜光の転生と言われるとどうにも落ち着かない気分になる。
その間にも、鏡は、見るではなく、『視て』いた。十二神将クラスに、北斗と呪的に繋がっているのが誰か判断できないわけはなかった。そして、夏目の前で固まる
「…………お前か」
そのまま、夏目に向かって歩き出す。
「か、鏡!生徒に手を出すな」
藤原が叫び声をあげるが、甲種言霊で一蹴。
「へぇ、こりゃまた、随分と行儀の良さそうなガキじゃん。お前だろ?土御門」
夏目の前に立ちはだかり、愉快そうに笑っている。先程放った火界咒の炎が未だに鵺を焼き続けるなか、夏目は辛うじて声を上げた
「…………そ、そう……です」
「名前は?」
「つ、土御門夏目」
「ケッ、んな怯えんなよ。別に取って食いやしねぇよ。聞いてるぜ、お前大連寺のゴスロリ娘を泣かしたそうじゃねーか。あんなのでも、一応十二神将だ。そいつを負かしたんだから、もっと胸をはっててもいいんだぜ?」
ニヤリと笑いながら続ける。
だか、次に声を上げたのは、鏡ではなく、夏目の方だった。
「い、いえ、わた、僕はあのときなにもしていません。彼女を負かしたのは彼です」
そう言って、指差す夏目。その先には勿論、春虎の姿があった。
「なに者だ?」
鏡から、霊気と共に威圧をしながら春虎の方を向く。それに対して、春虎は飄々と、しかし、しっかりと鏡を見つめて、言った。
「土御門春虎、土御門の分家の息子だ」
今回、種子を、用いました。というか、鏡くんあれ愛用しているので出さざるを得ません。
しかし!
あんなの書けるわけがない。ということで、カタカナで書きました。
こういうの疎いので、もしかしたらできるのかもしれませんが、私にはわかりません。もし、可能なら是非ともお教えくださいっ!!