東京レイヴンズ~俺の名は土御門夜光~   作:ぶるーちーづ

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ようやく、鏡戦とつにゅうです。

やはり、戦闘シーンは描写が大変苦手です。意味わからないところがありましたらお気軽にご質問ください。可能な限り説明いたします。


出来るだけ鏡のすごさを残したいと思いながら頑張ろうとしてると思います。

ど、努力はしましたよ?ほんとですよ?




予約投稿ですが、節分回の前につまり18話に入ってると思います。お間違えのないように



衝突

 

外から見える鏡とは異なり、彼の頭の中は極めて冷静だった。先程までは、格下にバカにされたと思い込んでいたのだ、だがそれは、もうやめた。春虎を同等、もしくはそれ以上の存在だと認めたのだ。

 

普通なら、ここで弱気になるところだが、彼の場合は違った。強いやつと戦う、一流と呼ばれる奴と戦う。その信念が彼の行動の根底にはあった。

 

既に、なりふり構っていられなかった。プライドより万全に戦うこと優先にばらまかれた呪符を数枚拾う。かなり広範囲に渡って落ちているのでたくさん拾っている暇はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

春虎が戻ってきたとき襲ったのも、鏡の仕業のひとつだった。ただそれだけでどうにかなるなどはなから思っていない。

 

「こいよ、バッテン野郎」

 

こっちを見る春虎の顔に少しイライラするが、そういった雑念は呪術戦においては、邪魔にしかならない。乙種と呼ばれるわけだ。

 

落ち着いて精神を集中し呪力を練り、印を結ぶ。

大日印。

 

春虎は、禹歩で戻ってきたばかりで、準備ができていない。容赦なく一息に鏡は唱える。

 

「ナマサンダ・ボダナン・カロン・ビギラナハン・ソ・ウシュニシャ・ソワカ」

 

数ある陀羅尼の中にあって、最強のひとつとされる尊勝仏頂点の尊勝陀羅尼。『帝国式』にある、尊勝仏頂陀羅尼法だ。鏡の編んだ密呪が怒濤のごとく春虎に肉薄する。

 

 

難度の高い帝国式であり、かつ最強の一つとされる呪術、さらには、鏡の呪力が相まって凄まじいものとなっていた。準備不足の春虎には、止める手立てはない、

 

そう鏡も思っていた。

 

 

春虎を見た鏡の目が驚愕に開かれる。大規模な呪術を前にして春虎は、印を結んでいた。

 

それも、大日印。

 

まさかっ!?そう口に出そうになったのを寸でのところでこらえ、呪術に集中する。

 

鏡の懸念は当たっていた。

 

春虎が流れるように唱える。

 

「 ナマサンダ・ボダナン・カロン・ビギラナハン・ソ・ウシュニシャ・ソワカ 」

 

全く同じ印を結び全く同じ陀羅尼を唱える。春虎の前にも、呪力の奔流が生まれる。今にもぶつかりそうだった鏡の呪術と衝突したのは、春虎本人ではなく、春虎の尊勝陀羅尼だった。

 

巨大呪術が衝突する、互いに大日印を維持したまま、その身から呪力を練り迸らせる。

 

 

鬩ぎ合うこと、数十秒。弾けるように互いの呪術が霧散する。

 

互角。

 

 

周りから見たらそうかもしれない。だが、鏡本人の認識はそんなに甘くなかった。

 

(咄嗟に同じ術を発して、互角か…………これはいよいよ一流だな……)

 

 

鏡は、事前に呪力をたっぷり練ってからの発動、それに対し春虎は、咄嗟の発動。それで、互角。背後関係を考慮すればその実力差は明らかだった。

 

それでも、鏡は止まらない。ここで止めるわけにはいかない。拾った呪符を全てを投げ捨てる勢いで乱打。自らの術式を仕込んでおいたそれらはその一つ一つが鏡の呪力を受けて猛獣を象り、春虎に襲いかかる。

 

対する春虎も呪符を構えていた。

 

鏡の顔が歪む。そこからの行動が予測できたからであろう。その通りに春虎が投擲した呪符は、蛇を象る。

 

猛獣たちは蛇に噛みつき、蛇は巻きつき互いに殺しあう。またもや、それらの呪術の動物たちは、一斉に霧散した。

 

ここで、戦闘開始後初めて春虎たちの会話が挟まる。

 

「テメェ、マジでなに者だよ、クソ」

「言ったろ?土御門の分家の息子。陰陽塾の一塾生だよ」

「カッ、テメェみたいな塾生がいてたまるか」

「まぁな」

 

「まぁいい、明かさねえってんならそれまでだ。既に、そんなことどうでもいいしな。ハハッこの高揚感、久しぶりだぜ。そこら辺のやつじゃこうはいかねぇからな!」

 

そう叫んでまたもや、戦闘に入る。話しながらも呪力を練っていたのだ。

 

「ノウマク・サンマンダ・バサラダン・カン」

 

唱えたのは鏡。不動明王の小咒だ。

長い呪文だと発動まで遅く、今までの二の舞になってしまう。それゆえ、呪文が短いのと、自分が使いなれているということで、鏡は採用した。

 

 

だが、苦しくも春虎が用意した呪術も不動明王の真言だった。

 

「ノウマク・サンマンダ・バサラダン・センダマカロシャダ・ソハタヤ・ウンタラタ・カンマン」

 

結んだ印は剣印、不動明王の慈救咒だ。

 

鏡にとって相性は最悪。じわじわと春虎の呪力の奔流が鏡のを押し始める。なんとか耐えようとするも、相性の悪さでその差は拭えなかった。ますます勢いの強くなる春虎の呪術に、とうとう鏡の姿が飲み込まれた。

 

 

が、春虎は、気を抜かなかった。

 

突如として、さっきいた位置のほぼ隣に現れる鏡。多少の疲れは見えるものの、先程の呪術のダメージがあるようには見えない。目線をずらすとその足元に濃密な呪力が集まっていた。

 

 

「禹歩を使ってギリギリ避けたのか。なかなか面白いことすんじゃん」

 

「ガキに言われちゃ世話ねぇぜ」

 

「いや、実際に大したものだぜ。十二神将とはいっても鈴鹿とは、大違いだ」

 

「ケッあんなガキと一緒にすんじゃねぇ。現場に出てねぇで引きこもってる奴がそうじゃねぇ奴に実戦で敵うわけがねぇんだよ」

 

春虎の発言に心底嫌そうに鏡も答える。誉められたことに対しても大して嬉しそうにない、というか、むしろ怒りすら抱いていた。年下に褒められると言うのは、嫌なものなのだろう。実際には夜光のほうが圧倒的に年上なのだが……。

 

「でも…………」

「あん?なんだ?」

 

「でも、これでお遊びは終わりにしよう。なるほど、お前は確かに凄い術師かもしれん。だが、まだ足りん」

 

春虎の話し方が変わる。人格が夜光よりになってきている、つまり、本気になってきている証拠だ。

 

陰陽塾の制服の前ボタンを全て開きその胸元をさらけ出す。鏡には、その行動の理由がつかめない。

 

そして、一枚の呪符を取り出すとその胸に張り付けた。鏡は、なんなのか理解するとその口を裂き、言った、

 

「なんだぁ?お疲れなのか春虎」

「まぁな」

 

短く返す春虎。鏡の言葉からも分かるように、その呪符は、治癒符だった。

 

「戦いの最中に……警戒してみればこの様かよ、クソが」

 

急に見下すような口調になる鏡。そして

 

「まぁまぁ安心してくれ。これから、考えている暇もなく、苦しみのどん底に落としてやるから」

 

それから懐から四枚の符を取りだし、鏡から見て口元を隠すように構える。

 

(あの裏でなにかしら呪文を唱えてんのか?)

 

陰陽師が口元を隠すのは珍しくない。故に、こういうときの対処法を鏡も心得ていた

 

(術を構成させる前に潰すっ!)

 

拾った呪符は、先程の乱打で本当に全てを使ってしまった。故に、邪魔するなら何かしらの呪術を用いるしかない。

そのために、体を動かそうとした。

 

そしてやっと、鏡は、異変に気付いた。

 

 

(体が…………動かねぇ!)

 

 

見ると木が体を縛り付けるようにして、鏡の体を覆っている。出所を追っていくと、回りの地面、そこにある春虎がばらまいた呪符からだった。春虎がただばらまいただけでなかったことにもここでやっと気づく。

一枚ならまだしも、ばらまかれたのは、かなりの量だ。それらほぼすべてによる拘束。依然として春虎が何らかの呪術を構成しているなかで、鏡も最善と思える行動を始めた。

 

「ノウマク・サラバ・タタギャーーーー」

 

 

不動明王の火界咒。

 

木は、木気からなるもの。ゆえに木生火。

一歩間違えれば自分も危険にさらされる行為だが、そこは十二神将。天才的な呪力コントロールで春虎の作った木気を起点に、自分の拘束を解き、勢いを更に増したそれをそのまま春虎への攻撃にした。

 

これ以上ない機転。ただ拘束を解くだけでは遅いし、そのまま拘束されたままだと後々苦労するのは想像に難くない。

そこでの、拘束を解くのと攻撃をほぼ同時に行う、鏡自身も最適な行動だと思っていた。実際、それに間違いはなかった。

 

 

だが、時既に遅し。それからの現象に愕然としたのは、鏡の方だった。

 

 

 

 

 




ありがとうございます


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