と、とうとうこの章までやってきました。
私も待ちに待っていましたよー!!!
ここまでこれたのも、ひとえに読者の皆様のおかげです。ありがとうございます。。
しかしながら、不幸?なお知らせです。筆者は、現在インフルエンザを患っております。いつも以上に、誤字脱字が多いと思われますのでご了承下さい。
あ、あと、新連載はじめてます。
私の好きなタイトルのひとつである魔法科高校の劣等生のssです。
気になる方はどうぞ
襲来
深い緑の茂る山々に囲まれた、ぽっかりと空いた空間、そこに二人の男が向き合って立っていた。
片方は、その体から角や牙をあらわにし、その身は立派な鎧で覆われている。さらには、その体から迸らせている鬼気からも彼が鬼に関する何かであることが容易に見受けられる。
対して、もう片方の方は、特になにもない人間だ。しかしながら、その身に内包する呪力と異様な雰囲気は見る人が見れば卓越した実力者であることが分かるであろう。
現状、鬼気を迸らせている鬼の子の殴り、蹴り、呪符、とありとあらゆる攻撃をかわし、いなし、反撃していた。
既に、この特訓が密かに行われ始めて数ヶ月が経過している。その結果も如実に表れており、鬼の少年ーーー冬児は、春虎によって設けられた封印の1つ目を開放した状態での戦闘が可能となっていた。
「はぁはぁはぁ………」
対峙する少年ーーー春虎が、その正体を暴露してから早数ヶ月、その間毎日のように二人で訓練を重ねていた。冬児は息を切らした状態で初日春虎に言われた言葉を思い出していた。
ーーーーーーー
「悪かったな、こんなとこまで連れてきちまって」
冬児は、いつの間にか人気のない森の中に連れてこられ、その相手ーーー春虎から浴びせられた第一声がそれだった。
「まぁ気にするな……………で、こんな回りくどいことしたんだ、何か特別な話でもあるんだろう?」
「あぁ、あの時は話せなかったことについて……な」
あのとき、それはおそらく、冬児が鬼化しかけ
それを抑えに来た春虎と一悶着あった渋谷の一角でのことについてだろう。つまりは、冬児にに憑いている鬼についての話ということだ。
「これから、色々するに当たってこれだけはハッキリ言っておきたいと思う」
すこし迷いを見せながらも、そして、苦しい顔をしながら春虎は冬児に向かって言った。
「陰陽師には、才能が不可欠だ。最低限の見鬼の才を始めに、それには様々なものが存在する。が、しかしだ、冬児………お前には全くもってその才能がない。多岐にわたるそれのたった一つももっていないんだ。というよりも、ただの一般人で霊災に巻き込まれただけという奴に才能がある方が珍しい。だから、俺はお前に鬼を憑けたんだ。生成りになれば、少なからず見鬼の才は得られるからな」
「それは……つまり?」
「つまりは、お前の自己防衛のためだよ、冬児。一度憑かれたお前の体質は既にそういうものになってしまっている。たがら、例え俺が鬼を祓ったままにしたところで、またすぐに何かしらに憑かれてしまったであろうことは想像に難くない。それこそ、巻き込まれるのではなく、引き寄せても、だ」
「…………………」
「ま、これは、後付けのいいわけにしか聞こえないかもだけどな。だから、俺はお前に憑けたんだ。例え暴走しかけても俺が無理矢理にでもとめられるように、そして……………」
「……そして?」
「そして、いつか強大な敵に立ち向かう必要が出てきたとき、それを退けるほどの力が得られるように」
はっと、息をのむ音が静かな森の中に響いた。それは、無論当時の口から発せられたものだ。春虎は、現段階で既に冬児にボコボコにされることを覚悟していたし、それに抵抗しないことを決めていた。いくら将来のためとはいえ生成りになったことで負った冬児の傷は苦しみは、春虎に計ることは出来ない。が、しかし、春虎の想像したような冬児の拳は残念ながら?飛んでこなかった。
「……………………はぁ」
春虎の表情から彼の考えを正確に読み取った冬児の口からため息が漏れる。一時はそういうつもりがあったことを否定するつもりはないが、あの渋谷の段階で既にそのつもりはなくなっていた。
「そんなことはしねぇよ、バカ虎」
冬児の一声に、バッと顔を上げ、え、でも………という顔をする春虎。それを冬児は、笑顔一つで消しさり、本題に入るように催促した。
「そんなことより……だ、春虎。こんな人気のないところにわざわざ呼び出したんだ、そういうことでいいんだよな?」
さっきも同じような質問が成されたが、その意味が違っていることは、お互いに気づいている。無論、そっち系の話でもない。
「あぁ、お前の想像通りだ。俺がお前を鍛えてやる。望むなら自己防衛のため以上に陰陽師として、だ。ただし、かなりきつくするがな。あ、因みにこの場所は特殊な呪的な結界に囲まれてるからどんなに鬼気飛ばしても大丈夫だ。暴走しかけても俺なら抑えられるしな」
「はっ、かの有名な土御門夜光にマンツーマンで教鞭を執っていただけるなんざ夜光信者共に話したら、発狂して殺されかねんな」
「冗談はよしてくれ、俺は夜光じゃない。今は、土御門春虎だ」
「おう、分かってるよ」
冬児は、いつものニヤリとした笑顔と共に発した。実際に思ってもない嬉しい申し出だった。しかも、その相手は土御門夜光の転生、条件が良すぎて詐欺を疑いたくなるほどだ。
「それは、OKということでいいんだな?」
「あぁ、頼まれても断ってやらねぇ」
ーーーーーーーーー
そんなこんなで、未だに未熟も未熟であるが、上達するにつれ、目の前の男の規格外の凄さを実感するようになっていた。
それはまさに、知れば知るほど知らないことが増えていくように。
そんな風に考え事をしながら戦っていたのも今日が特別な日であるからだ。
因みに、春虎の訓練は、最初に少しの勉強をしたあと、その後のほとんどの時間を実践の中で教えて行くタイプである。当然、考え事をしながらなんてことをしてしまった冬児は、その隙をつかれ、大空を見ることになった。
「今日はここまでにしようか」
冬児が大の字になって、仰向けで寝転がっている横で春虎がそう言った。いつもより、30分ほど早い。因みに、この特訓を行っているのは、登校前の早朝である。宿舎には、霊力もそっくりに作った簡易式を置いていくという徹底ぶり。
ここまでの移動には、兎歩を使っているが、後になって冬児が調べたところ、とてつもない高等陰陽術だと知ったのはまた、別の話である。
とにかく、今日は特別な日なのである。
「今日は入学式かぁ。どんな子たちが来るんだろうな」
徐に、春虎が呟く。そう、本日は入学式、新入生とのはじめての出会いの日なのだ。
「最初が肝心だな。なめられたらそこで試合終了ですよってな」
「なんかそれちがくねーか?ってか、元ヤン魂巡らせんじゃねーぞ?」
「まぁ、それは、その時ってことだな」
二人の新たな日常が幕を開け始めていた。
そこは陰陽塾。まだ、春休みの最中ではあるが、明日に入学式を控えた日でもある。
少女が一人、そこに居た。
綺麗な金髪をツインテールにまとめ、まだ制服を着る必要はないと感じたのか、ゴスロリと呼ばれる服をその身に纏っている。
以前は、大々的に、その存在を外に押し出し、陰陽師のイメージアップにまで使われたその少女も、ある事件の日以来、逆に秘匿扱いのようになっていた。
その原因として、幼少時代の教育にあると判断されたため、ここ、陰陽塾に「陰陽術」のためではなく「対人関係」や「一般教養」を備えてもらうためという珍しい理由で入塾することとなったのだ。
彼女は、その光景が珍しいのか、生徒の居ない校舎のあちこちをキョロキョロと見回している。
「ここが、アイツの通ってる陰陽塾ってとこか」
独りでにそう呟く少女。前を歩く老婆もその「アイツ」が誰であるかを察したのか、それに対してなんらかの反応を示すことはなかった。
しかし、次の言葉には、真の意味で反応できなかった。それは、少女が意図的に小さな声で言った為だ。
「会いに来たよ、お兄ちゃん♪」
少女の顔は、まるで新しい玩具を見つけた子供のように、しかし、再会を喜ぶ一人の女のように、笑っていた。
春虎たちの日常に、また新たな風が吹き始めようとしていた。
ありがとうございます。
感想評価質問異論反論講義雑談等何でも受け付けております
お気軽にー