東京レイヴンズ~俺の名は土御門夜光~   作:ぶるーちーづ

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と、いうことです。



話はそれますが……この書き方、ヤンデレみたいですねぇ





誤字脱字注意報が発令されております


恐怖

 

 

 

カサカサカサカサ

 

と、生徒たちが黒板に書かれた講師の板書を書き写す音が教室に響く。

 

この授業が終わると昼休憩ということで、普段ならばどこか疲れた雰囲気が漂うものの、まして、その講師がどこか胡散臭い大友であるのにも関わらず、今日に限っては、そのような緩い空気は存在していなかった。

 

 

むしろ、緊張した空気が蔓延していた。

 

 

教室に特に変わったところはない。

 

 

ましてや、偉い人や凄い人が来ているわけでもない。

 

 

 

ただ少し女の子たちの視界の片隅に一人の少年が入っていたり、男の子たちの厳しい視線が注いでいるだけである。

 

そして、それも授業の終わりを告げるチャイムで一度霧散する

 

 

「ほな、ここまでにしよか」

 

 

手を止めて、大友が言った。生徒の反応はない。

 

それぞれ、机の上に出していた筆記用具等をしまっている。彼らのノートに黒いシミが出来ていないの言うまでも無いことだ。

 

 

カツカツカツカツ

 

 

今度の音は、大友が歩く音、義足が床と奏でる音楽だ。もう聞き慣れた音だと思っているし、実際そうであるはずなのだが、一人の少年ーーーー春虎には、自分に死の宣告をしに来た死神の足音のように聞こえる。

 

 

えもいえぬ、緊張感がまた教室を包む。

 

 

教室を出る寸前、扉に手をかけた状態で大友がふとその足を止めた。微かな呪力を感じたからだ。そして、なにげなく生徒の方を見るとこっそりとその手に呪符が握られているのを確認する。目線の先にはーーーまあ若干外してはいるがーーー春虎の姿が。

 

 

 

「あー春虎クン…………」

 

「は、はい!」

 

死の宣告が止まったことに少し安心していた春虎がどもりながら返答する………………が、それは、緊張しているように見えて、わざとだった。

 

 

(よし、これで自然に立てた!)

 

 

逃亡するとき、座っている状態と立っている状態では、明らかに対応できることに差が出来る。なにから逃げるのかと問われても、具体的なものはないが、強いて言うなら恐怖だろうか。本能的に逃亡を選択していた。

 

 

 

「なんや、ボクにはよー分からんけど………」

 

 

一度目を伏せ、一呼吸おく。顔を伏せたのは、悪い笑みを浮かべた顔を隠すためだ。しかも、それを春虎にだけ、つまり、立っている人間にだけ見えるように隠した。

 

 

(おい!おいおい……なんかやるつもりじゃないだろうな)

 

 

いい先生だということにわずかな願いを込めて、心の中で祈る。

 

顔を上げたあとの発言は衝撃的なものだった。

 

 

 

「昼休憩明けの授業、春虎クンいっつもぼーっとしとるやろ?今日はキミだけ自習でええわ」

 

 

 

 

 

(…………あぁ仕返しか)

 

 

春虎は分かってしまった。あの笑みの理由が。それと共に後悔した。いかにつまらなくても知っていても、真面目に授業を受けるべきだと。

 

 

後悔先に立たず。先人の言葉は本当に偉大だ

 

 

「後悔先に立たず……先人言葉は偉大だな」

 

 

後ろで冬児がなぜか去り際にそう残していった。気がつけば春虎の周りにはぽっかりと空間が出来ていた。

 

 

 

 

大友の扉を閉める音が合図だった。

 

 

「お「「「「「急々如律令!!」」」」」」

 

 

春虎が何か言いかける前に、クラスの大半が呪符を投擲。呪術の気配は感じ取っていたさすがにここまでの人数とは思ってたいなかった春虎が一瞬反応を遅らせる。

 

パッと「視て」呪符に込められたものが木気を帯びたの捕縛系だと理解する。

 

 

呪文を唱える暇も無いので、即座に印を結び周囲に結界を展開、かろうじて呪符の影響を防ぐ。

 

春虎にとってこの状況は難解だった。

 

無論、力業で押し通るのは容易い、がそうすれば少なくない被害が生徒にも建物にも及ぶだろう。それに、クラスのほぼ全員を相手にして逃げだせるほどの実力をもっているという証明にもなってしまう。

 

まだ、力を隠しておきたいーーー裏の意味は、暗躍していたいーーー春虎にとってそれは、最悪の選択だった。

 

ただ、逃げないという選択は選べそうになかった。

 

理由は簡単だ。

 

「恐いから」

 

 

 

 

「コン!焼き払ってくれ」

 

結界にまとわりついた呪符を焼き払うように自らの護法に頼む。こういうとき、護法の存在は本当に安心する……

 

 

「はっ!」

 

元気の良い返事が後ろから掛かる。

 

 

「はぁぁぁあ!!」

 

 

気合いを入れた声と共に、青白い炎が……

 

 

 

「どわぁぁぁあ!!」

 

 

…………春虎に襲いかかった。

 

 

 

「コンてめぇ!!何してんだ!」

 

 

「はて、私は焼き払え、との命令に従っただけですが」

 

 

「呪符に決まってるだろ!どこに自分を焼き払えっていうやつがいるんだよ」

 

 

と、ここで春虎は気づいた。

 

 

(コンの状態なのに、飛車丸がどもってねぇ)

 

 

見ればその目には、心なしか光が宿っていない。さらには、怪しげな雰囲気でふふふとか笑ってる。怖い。

 

 

「それは、年端もいかぬ少女に接吻をした誰かさんでございましょう、誰とは申しませんが」

 

 

年端もいかぬと言ったその幼女は、若干のラグをその体に起こしながら、呪力を、いや、もはや妖力と言っても良いほどの力を迸らせつつ春虎をその眼光で威嚇する。

 

 

「こ、コンさぁーん?もしかして……なんか怒ってるのでしょうか?」

 

 

「はて、何のことを仰ってるのでしょうか?コンは、全く怒ってなどおりませぬ。ええ、全く怒ってなどいません。それとも、春虎様には心当たりがおありなのですか?」

 

 

 

……お、怒ってらっしゃる……

 

 

 

「残念だったわね。今回に限ってはコンちゃんは、こっちの味方よ。既に話しはついてるわ」

 

 

そう言う京子の目にも光は宿っていなかった。

 

そして、いつの間に召喚したのかその後ろには白桜と黒風が佇んでいる。

 

 

 

春虎以外の完全優勢

 

 

周りの生徒がじりじりとその包囲を小さくしていく。唯一頼れるはずだった護法にさえ敵に回られた春虎に逃げ道はない

 

そして、その優劣が明確になっていけばいくほど人間の心には生まれていくものがある。意識していなければ、必ずや出てきてしまう

 

 

 

それは、余裕だ。

 

それすなわち、心の緩み。

 

 

そして、それは苦しくも、呪術を用いる際恰好の的になる。

 

 

 

だから、その声は突如として響いたように聞こえた。誰の耳にも入ってしまった。

 

 

 

「光閉ざせ、眩め眩め!急々如律令!!」

 

 

 

 

 

教室にいた生徒に呪術が襲いかかる。当代天才と言われ、さらに、心の隙を突くタイミング、それは絶大な効果を及ぼした。

 

 

「な、なんだこれ!?」

「見えねぇ」

「暗い!なんだよ、今やったのだれだ!」

 

 

優勢から一転、教室中が混乱に陥る。

 

さまざまながら叫び声が上がる中、他と同様隙を突かれた春虎は、しかしながら、他とは異なり冷静だった。

 

故に、その声がよく聞こえた。

 

 

「春虎君、こっちです!!」

 

 

呼び声と共に腕を引っ張られる感触。引かれるがままになり、駆ける。

 

情けなくも、今回は助けるべき主に助けられたのだった…………

 

    それが悪夢の始まりだと知らずに

 

 

 

 

 

 

しばらく走ると、

 

 

 

「ここまで来ればいいでしょう」

 

 

 

という声とともに足を止める。二人とも息を切らしている。どちらにしろそろそろ夏目は走るのが限界だったのだろう。

 

 

音から察するに廊下をひたすらに走った後どこかの空き教室に入ったようだ。

 

 

「助かったよ。ありがとな夏目」

 

 

「……………」

 

 

返事がない。何となく気配と呪力の高まりは感じるから、いるはずなのだが

 

 

 

(…………………呪力の高まり?)

 

 

 

咄嗟に、夏目によってかけられた呪術を解呪しにかかる。春虎の力を持ってすれば、落ち着いてやればすぐに終わる程度のものだ。

 

クラスの生徒は苦労するだろうが。なにせ、天才が隙を突いて放った渾身の呪術なのだ。

 

 

 

ものの三十秒で術を解き、網膜が刺激を受け取ることによって脳内に映った映像は…………

 

 

 

「……………は?」

 

 

 

 

 

教室のドアに呪符を貼る夏目の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、貼ってあるのはドアにだけではなかった。

 

周りを見渡せば、というか、見渡す必要もなくすべての壁に、むしろ隙間の方がないくらいに呪符が貼ってある

 

 

(い、いつの間に…………まさかっ)

 

 

「あ、春虎君解呪しちゃったんですか?流石ですね」

 

 

思わず漏れてしまった声に反応する、女の子モードになっている夏目。

 

 

「い、いつの間に……」

 

 

春虎が驚愕の声を上げると顔をドアに向けたまま手を止めずに、とても優しい声で言う。

 

 

「あぁこれですか?これは、朝のうちにやっておいたんです。入学式の後すぐに準備して…………まぁそのせいで少し授業に遅れちゃいましたが」

 

 

そう、今日は珍しく授業に遅れてきたのだ。あの夏目が。だが、春虎はそんなことに気を止めてはいなかった。

 

 

(や、やられた!)

 

 

「あとは、どうやって春虎くんをここまで連れてくるかでしたけど………ふふふっ丁度良いくらいに釣れて良かったですっ」

 

 

夏目は、誰に聞かれているわけでもないのに話し続ける

 

 

「大変だったんですよ?これやるの。春虎くん逃げるの上手ですから、逃げないように逃げないようにって」

 

 

しかも、それをずっと呪符を貼る作業を続けながら

 

 

「もしかしたら、それだけじゃ駄目かもしれないって、私の血を使って呪符を書いたりとかもしました。すごく痛かったんですけど……春虎くんのためだと思うと頑張れましたよ?」

 

 

 

まだ止まらない

 

 

 

「あー春虎くん、無駄ですよ?この空間は春虎くん専用ですから。春虎くんは何も出来ません。他の人には効果はないんですけど、春虎くん一人だけを封じ込めるものなら、なんとか作れたんです」

 

 

夏目が春虎の呪力を感じ取ったのかまだ振り返らずに答える。しかも、声色は優しいままで

 

 

「まぁ作り始めたのは今じゃないんですけどね?春虎くんは、いっつもどこかにふらふらっと行っちゃいますから……ずっと作っていたんですよ」

 

 

またもやふふふと妖しく笑う。そして、手に持っていた呪符がなくなって、準備が終わったのか、振り返ってにっこりして言った

 

 

 

「今回役に立って良かったです。まさか。こんなことのために使うとは思ってませんでしたが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ………………終わった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジャア、オハナシをしましょうカ、春虎くん?」

 

 

 

 

 

 








あぁ太陽よ、なぜそなたは、そんなにも早く回るのか……………
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