東京レイヴンズ~俺の名は土御門夜光~   作:ぶるーちーづ

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お待たせいたしました、あれ、別に待っては無かったですか(´・ω・`)


忙しい。


この時期に自殺者が多くなると言うのも納得ですええ全く。

みなさんも頑張って下さい。作者は何もできませんけど笑


書いていると、ヤンデレの作品を書いているのかと錯覚をしてしまいます。そう言うのが嫌いな方すみませぬ。



遅くなって本当に申し訳ありません。居るかは分かりませぬが、楽しみに待っている方々には大変ご迷惑をおかけします。


誤字脱字は、いつも通りです。赤ペン先生(いつも誤字報告をして下さる方々を作者は敬意を込めてそう呼びます)宜しくお願いします笑




今回は、あの方の登場……………………………?




過去と猧子

 

 

 

 

チリンチリーン

 

 

 

夏の風物詩たる風鈴が風に揺られて、軽やかな音を鳴らす。

 

そこからも分かるとおり、そこは夏を迎えていた。

 

 

風鈴がなったのは、一方を木々に覆われた一つの日本式豪邸ーーー土御門家本邸だった。

 

 

縁側に腰掛ける少年は、夏祭りで買ったのか、ラムネを傾けながらボーッと空を眺めていた。

 

 

「春虎くん」

 

 

それを呼びかける一つの声。

 

 

「どこに行ってたんですか?」

 

 

その声色には、非難が五割、心配が五割含まれていた。

 

土御門夏目、この土御門家本家の現当主によって育てられ、次期当主と見なされている『少女』

 普段なら、その外観に合わせて、家の中では、簡単な着物を着ていることが多い彼女は、今まで外にいたのか、白いワンピースを着て、息を荒げている。

 

少し急いでいたのだろうか

 

 

「まぁ、ちょっとな」

 

 

しかし、春虎は夏目の方を見向きもせず、夜空を見上げながらラムネを傾ける。

 

 

「なんですかその態度は、心配してたんですよ!」

 

 

プンスカと擬音が聞こえてきそうな顔で怒る夏目。その目は心なしか少し潤んできたように見える。

 

 

「大丈夫だって、ちょっとトイレ行ってくる」

 

 

それを察し、逃げるように理由を付けてその場を離れようとする

 

 

「……逃げるんですか?」

 

「お前こそ、おれにおもらしさせるつもりかっ!」

 

 

そう言われると何も言えなくなる夏目、それを尻目に春虎は駆けだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あ、危ねぇ)

 

 

 

夏目の姿が見えなくなると同時にほぉと深く息を吐く春虎。夏目の前では、いつも通りに接していたが、内心は穏やかではなかった。

 

 

鈴鹿の存在だ。

 

 

現在、この屋敷のある部屋に鈴鹿が寝ていた。

 

 

当然、春虎は何かをするわけでもなく、するために連れてきた訳でもない。ただ、それは春虎の主観であって、客観的に見ればそうはならないであろうことは、想像に難くない。

 

 

鈴鹿は、その態度こそ大人ぶっているものの、その服装はゴスロリであるし、そもそも大人“ぶって”いるわけだから、大人なわけがない。しかも、その容姿も悪くない。寧ろ、美少女と言える分類に易々と乗り込んでくるだろう。

 

 

 

見知らぬ美少女を連れ込み、部屋に寝かせている男子高校生

 

 

 

もはや、有り余る青春のリビドーを解放寸前にしているようにしか見えない。

 

相手が夏目ならなおのことだ。

 

 

 

緻密な呪力のコントロール。

 

それによって、呪術発動の際の余波さえもコントロールし、秘密裏に呪術を用いる。因みに、春虎も現在夏目の視野から外れた時点で隠形を始めている。

 

鈴鹿の寝る部屋を囲む二枚の結界

 

 

1枚は、それ自体を隠すための認識阻害の結界

 

もう1枚は、仮に認識阻害が破られたときのための侵入妨害のための結界だ。無論、春虎は破られることはないと思っているため、ほとんど保険のようなものだ。

 

 

 

これで、たとえ夏目が前を通ったとしても、気づくことはないだろう

 

 

春虎はそう考えていた。

 

確かに、夜光の転生たる春虎が作った結界、未だ陰陽塾にかよう学生なぞに見つかるはずはない。

 

 

そう“外からなら”

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん、さすがね。でも……これなら…」

 

 

少女は、悪い笑みを浮かべて舌なめずりする。そして、両手を前に掲げながら大層不気味なことを呟くのだった。

 

 

悲しいかな、それを春虎が聞くことは不可能だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅いです、何していたんですか?」

 

 

急いで戻ったつもりだったが、待っている側と待たせている側では時間の進み具合がちがうのだろう。

 

夏目はわずかに頬を膨らませ、私不機嫌です!と言うような雰囲気をぷんぷんさせながら、腕を組んでそう言った。残念ながら、女性としての“ある”部分が強調されることはなかったが。

 

 

「…………聞きたいのか?」

 

春虎がそう返すと、何を想像したのか顔を赤くして、俯いてしまった。

 

 

「それにしても、本当に何をしていたんですか?」

 

夏目が再び問う。今回は、今の話ではなく今日のことについてだ。それをわざわざ夏目は口に出すことはしなかったが、春虎にはちゃんと伝わっていた。

 

 

 

「そりゃまあ、冬児とさ……?」

 

 

呪術の真髄は嘘である

 

 

そんなことを言ったのは誰だったか

 

 

「嘘だね」

 

夏目は、息を挟まず即座に否定する。

 

 

信じる心。それなくして、いかなる嘘が輝きましょうか

 

 

そういったのは誰だったろうか……

 

 

 

「冬児には先に確認をとっておいた」

 

 

夏目は続けてそう言う。どうやら既に裏をとられていたらしい。

 

春虎からしてみれば今の発言は『墓穴を掘った』ことに他ならない。なにか後ろめたいことがあります、といったようなものだ。

 

 

「で?」

 

夏目の言葉はそういって締めくくられた。最も短く簡潔に、そしてど迫力に脅すように。

 

春虎は、数多の戦術や呪術を開拓してきたその脳力を絞り出して考える。

 

人間は、窮地に追い込まれたとき過去の記憶から次の発言を呼び起こすという。

 

今、春虎はまさにそんな状態だった。ただ、昔と言っても単なる『昔』ではなく『前世《むかし》』だったが。

 

そして、その脳裏にはある映像が浮かんでいる。

 

 

「夜光様?夜光様?なんで応えないんですか?

ふふ、夜光様?いかがなさいましたか?夜光様夜光様夜光様夜光様夜光様夜光様夜光様夜光様夜光様夜光様夜光様夜光様夜光様夜光様夜光様…………」

 

 

ブルリ、と背筋が凍る。美女が死んだ目をして、何度も名前を呼ぶのは物凄い恐怖を覚えさせられる。この場合、美女は美女でも、狐耳狐尾付きだったが、そんなものは関係なかった。怖いものは怖い。

 

実際に頭のなかでしか今は起こっていないそれのせいで、春虎の背中は冷や汗でびっしょりとデコレーションされていた。

 

だが、そんなことは関係ない

 

 

(おれは、この時どうしたんだ、思い出せ!思い出せ!)

 

 

この程度で脳が悲鳴を上げるはずはないが、そんな気分になるくらい考える。そして……

 

 

(……思い……………出した!!)

 

 

春虎はその通りに行動する。

 

 

まずは、夏目との離れていた距離をなくす。およそ3メートル。歩いて一瞬だった。

 

 

「な、なんですか?」

 

 

その行動に夏目も少し慌てた様子を見せる、が不機嫌ですオーラはまだ消していない。

 

 

 

そして次、何も言わずに右手を差しだし、夏目の左手を掴む。そして、思いっきりひっぱる

 

 

必然。夏目はひっぱった方、つまり、春虎にむかって勢いよく引き寄せられる。

 

春虎は、それを優しく包み込むように受け止めた。

 

一言で言うなら、抱きしめた。

 

 

「はははは春虎君!?」

 

 

驚いたような、しかしながら、とこか好感が混じっている声を上げる夏目。

 

 

「は、離して下さい!!こんなことで誤魔化されません!」

 

 

そう言う彼女の手は、既に春虎の体をしっかりと抱きしめている。

 

夏目が本心から離れたくないことを理解すると、右手を上げて、彼女の頭を撫ではじめる春虎。夏目は現在、春虎の右肩甲骨に額をぶつけるようにしている。

 

撫でるのは難しいことではなかった。

 

 

「う、うにやぁ~~」

 

 

謎の声を上げる夏目。それを聞いて、そこに不機嫌さと疑いが無くなっていることを確認し、春虎は今回の作戦の成功を心で祝った。

 

 

これでダメ押しと言わんばかりに撫でるのを継続する。

 

 

「うにゅうぅぅ~~~」

 

 

またもや、変な声を上げながら、今度は顔を上げる。

 

 

顔を上げてしまった。

 

 

 

 

「春虎君?」

 

 

夏目が急におとなしくなって春虎の耳元で囁くように言う。

 

 

「なんだ?」

 

 

大丈夫だと、高をくくっている春虎は何の気なしにすぐに応える。

 

 

「春虎君」

 

 

「ん?だからなんだ?」

 

 

しかし、帰ってきたのはまたもや同じ問いかけだった。まだ一回目だからか、春虎はわずかな疑問を覚えつつも同じように答える。

 

 

「春虎くん」

 

 

しかし、夏目は変わらない

 

 

「春虎クン」

 

 

しかも、春虎の返事すらまたなくなった。心なしか『春虎君』という呼びかけも変化していように感じられる。

 

 

「ハルトラクン?」

 

 

 

 

 

 

 

「ナンデスカアレハ?」

 

 

 

「ッッッ!!!」

 

 

そこでやっと気づく違和感。しかし、時既に遅し。

 

呪力の感知を広げれば一発だった。

 

 

ギギギギ、と長年油を差していない機械のようにゆっくりと後ろを振り返る春虎。

 

 

その先には……………

 

 

 

「おはよう、おにぃちゃん?」

 

 

金髪の美少女が物凄く悪い笑みを浮かべながら立っていた。

 

 

 

「あ、あぁ……………な、なんで」

 

 

ふとした隙に洩れてしまう本音。人間本気で驚いたとき隠し事はできない。幸運にもーーーまあバレた時点でそう言えるかはあやしいが、その声は大変小さいものだった。

 

 

「……ほう?」

 

 

耳元に人が居なければ良かったが

 

 

「ハッ!いや、な、何でだろうなぁ?ど、どちら様でしたっけー?」

 

 

春虎、渾身の演技。

 

しかし、義妹は、優しくなかった。義兄が女の子を抱きしめていて腹を立てているのか?それは分からないが

 

 

「え、何言ってるの?おにぃちゃん。さっきだってあんなに…………」

 

 

顔を赤く染めて、またに手を挟みながらモジモジといきなりしだすその少女ーーー鈴鹿。

 

 

 

「い、痛い痛い痛い痛い痛い痛いってか、締まってる夏目締まってる締まってる!」

 

 

背中に回されていた夏目の手はいつしか上に上り、首元に来たやいなや、万力のような力ーーー修羅場の馬鹿力とでも名づけようかーーーを込めていた。

 

 

「ふんっ」

 

 

ツンデレの女の子が好きな子にだけ見せるときの、アレのようなものではなく、それは、ただ単に鼻で笑ったようなものだった。ゴミを見るような目と、声と同時に投げ捨てられる春虎というのがよく証明していた。

 

 

「で?」

 

 

無論夏目のセリフ。しかし、何時ぞやの比ではない。思い返せば、夏目の“鬼”が発現したのはこの時ではなかったろうか。

 

 

「ヒッ!」

 

 

本物の鬼と対峙したことのある春虎さえもがそれに怯んだ。そこに駆け寄る天使が一人。ただ、春虎主観では悪魔。

 

 

「だ、大丈夫?おにぃちゃん?」

 

 

夏目に投げ捨てられ、尻餅をついたような恰好でいる春虎の元へ鈴鹿が駆け寄る。左手で頭を後頭部から支え、右手で体中をペタペタと触る。その時の声は甘える猫のように可愛らしい声なのは、言うまでも無い。

 

 

春虎に被さっているようになっているため、夏目からは顔が見えないが、春虎には、その顔がしっかりと確認できた。

 

 

ニタァ

 

 

そんな擬音語がピッタリの笑み。声とはおよそ真反対の代物だった。

 

 

 

「で?」

 

 

夏目の台詞は変わらない。春虎には、それに立ち向かう力は残されていなかった。しかし、彼女は違った

 

 

「おにぃちゃんをいじめないで!!」

 

 

そう叫んで、春虎の顔をつかんで自らの胸元に思いっ切り寄せる。年は明らかに鈴鹿の方が下であるはずなのに、僅かに鈴鹿の方が勝っているその部分の柔らかさに春虎の顔は一瞬緩む。男の性だ仕方ない。

 

そういって収められるのは、男だけだ。

 

 

そして、この行動がより状況を悪くすると知って鈴鹿はやっている。まさに悪女。

 

 

「ほう…………」

 

 

ふたりは座り込んでいるため、自然立っている夏目が上から見下ろすように二人を見る。その迫力は倍くらいに感じられるだろう。

 

 

鈴鹿は、“わざと”それに気圧されたような“ふり”をして、何を思ったのか、春虎の顔を離すとその頬に唇をくっつけた。

 

 

「ッッッ!!!」

 

 

辺りが驚愕に包まれる。おかげで春虎も対処は叶わなかった

 

しかも、一瞬触れるような子どもっぽいものではない。ヂューーーーー、と下品な音がなっている。

 

いくら頬とはいえ、それだけ長くやるとなんだかいろいろと変わってくる。

 

 

止めたのは、鈴鹿が自分からだった。しかし、春虎の頬は内出血して青くなっている。

 

通称または別名キスマーク

 

 

「えへへ、初めてチューしちゃったっ」

 

 

それがとどめだった。

 

 

 

「春虎、ちょっと話死合おうか?」

 

 

 

 

これが、これから数多渡る春虎のお仕置きの記念すべき第一号。冬児をして、心臓が止まっていたというアレである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論を言えば、『ファーストキス』は、ほっぺにしたもので、『初めての人』は、寝ていた家が春虎の家であると勘違いした鈴鹿が『初めて男の人の家に入った』と言うのも都合良く意訳したものだった。

 

そんなオチだった。

 

 

 

 

 

⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し遡り、入塾式が始まる少し前。

 

春虎は、一人で廊下を歩いていた。

 

 

 

冬児の朝練があるにもかかわらず、本日の準備をしておらず、誰も彼もが「今日は入塾式だから……」と言う理由で先に行ってしまったからだ。

 

因みに、冬児は、ちゃっかり準備を整えていたため、夏目や天馬、京子と一緒に陰陽塾に向かっている。

 

 

「っち、薄情者共め」

 

 

故に、自業自得にもかかわらず、春虎がそんなことを言うのは、お門違いというものだった。

 

 

簡単に言ってしまえば遅刻なので、春虎は、それなりに急いで校舎を歩いていた。校門?に居る二匹の小さな狛犬達にも若干窘められたほどだ。

 

だから、と言うわけではないが、“ソレ”に気づくのは、春虎よりも飛車丸の方が先だった。

 

 

「何者だっ!」

 

 

コンの姿で叫び声と共に突如として実体化する。

 

それによって、今までボーッとしていた春虎の頭も働き出した。そうしてようやく分かる霊気。

 

 

「すさまじい隠形だな」

 

 

 

その感想は、感じると一緒に言葉になっていた。事実、ふたりとも“そこまで近づかれるまで”全く気がつかなかった。

 

 

制服はダボダボだが、陰陽塾の女子用のものであることは間違いない

 

つまり、いま一人の童女?が二人の前に立っていた。

 

 

 

 

「………………幼女」

 

 

 

 

妙な呟きと共に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます



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