えーっと一ヶ月以上経ってますね。もし楽しみにしていらっしゃる方いらっしゃいましたら本当に申し訳ないです。
頑張りました。
作者の心情の変化や環境の変化が作風にも変わったものをもたらしているかもしれません。つまらなくなっていたら堂々と感想等で言って下さい。そういった意見も楽しみにしています。
今回は、“あのひと”との出会いをかいています。まぁ前回ちょろっと出ましたが、前回っていつの話だってなりますよね。すみません、戻って読んでみて下さい泣
会話文が多いのでそこはご愛嬌ということで汗
私はあの人との出会いとか掛け合いとかとても好きなのでそこにはあまり手をくわえていません。背景とかは結構違いますが……。
でもまぁ、面白いと思ってくださったら幸いです
さて、依然として不定期更新であるのは帰られませんが、頑張ってやっていきます。これからももどうぞよろしくお願いいたします。
「幼女」
童女が幼女という言葉を使うとそこはかとなくシュールだ、と世にも生活にも何にも役に立たない真実を知った春虎。
頭の隅でそんなくだらないことを考えつつ、しっかりと現状は把握していた。
「幼女だわ」
「………………………」
「……可愛い幼女」
「…………………………」
眠たそうな目をダボダボの裾でこすりながらその女の子は言う
「ひぃぃぃっ」
するとどうしたのかーー恐らく身の危険を感じたのだろうがーーコンが物凄い早さで春虎の背に隠れる。
そこからこっそりと覗くようにその童女を見るが、残念可愛い獣耳がその存在をより強調してしまった。
「………可愛い狐の幼女」
そろそろその女子生徒の暴走が危ぶまれると思ったところで、春虎は後ろに隠れたコンの頭に手を置き、言った
「こいつはコン。俺の護法式だよ。それよりーーー」
「可愛い狐の幼女の式神」
「いや、だからーーー」
「つまりあなたが土御門春虎」
突然名を呼ばれドキリとする春虎。
しかし、それほど驚くことではない。天才、土御門夏目の名は言うまでもなく、その式神として、さらには、自身も夏目と同じほどの天才だということで噂が流れている。
すなわち、彼、土御門春虎も陰陽塾内では相応に有名人なのだ。
「なんだ、俺のこと知ってんのか?」
「あなたは有名人」
「いや、それほどでもねぇとーーー」
「幼女を連れた変…………天才」
「おいそれ、作り話だろーな!お前が幼女が好きなだけだろうな!」
いまだに春虎の顔を見ずただコンを見続ける女子生徒に戦慄をおぼえながら、幼女から自分が連想されていないことを密かに願った。
「だいたい、お前は誰なんだよ?なんかおれに用か?」
幼女幼女と内側からダメージを与えてくる女子生徒に耐えかねた春虎がとうとう沸騰してしまった。
そんな春虎の不躾な視線にも、女子生徒は動じず無表情なままだ。いや、春虎の後ろから覗かせるぴくぴくと動く獣耳をみて、どこか幸せそうだ。表情に全くの変化はないが
「私はあなたの先輩」
「え?さ、3年なの?」
春虎は驚く。
明らかに年下と思われる見た目に、ダボダボの制服。新入生だと信じ切っていた。
そして、勘違いに気付く。
彼女は明らかに先程隠形術を使っていたのだ。それも、春虎とコンが驚くレベルの。それを考慮すれば新入生より三年と言われた方が納得できる。
「ゴメン……じゃなくて、済みません。俺てっきり年下だと……」
「私が小さいからね」
春虎のタメ口には全く気にして無いように振る舞っている。実際に気にしてないのかもしれない。
「いや、その……………」
「私が幼女だからね」
「超ちげーよ!」
「いいのよ。よく間違われるから」
「どっちにだっ?1年にかっ?それとも幼女に間違われるとでも言うつもりかっ!?」
「私、すごく若く見られるの」
「安心しろ!少なくとも幼女には絶対見えねぇ!」
はぁはぁとツッコミに精を出しすぎた春虎が息を切らして睨む。
そんな状態でも飄々とした、というより、全く意に介してないような無表情を貫き通すので、さすがに諦めて、春虎は自棄になって
「あぁくそっ、もういいや。……とにかく、えーっと、あんた……」
「すずちゃん」
「呼ぶか!どこまで幼女らしさ求めてんだよ!」
「ちゃん付けただけで幼女……」
「いや、流れからそう考えるだろうが!」
「そう、でも私にそんなつもりはなかった」
「嘘つけっ!」
彼女はただで会話することが出来ないらしい。春虎が一般的に言われる意思の疎通を諦めた瞬間だった
「ああもう、で、その………すず…先輩?は何の用ですか?今結構焦ってるんですけど」
「別に、たまたま見つけただけ」
「なんかうっすらそんな気はしてましたけどね」
「幼女がいたから、つい」
「すきなの!?そんなに幼女が好きなの!?てか、コン隠形してたよな!!」
「私にかかれば、隠形なんてないも同然」
「式神の隠形だぞ!?」
「幼女だから?」
「なんでそこで疑問系!?不思議なのはこっちだよ!」
「幼女だから!」
「疑問じゃなくなったからって解決するわけじゃねぇ!!」
ここまで話していて凄いことは、彼女はどんなにはなしても全く表情に変化が訪れないことだ。
まぁそれと話している春虎も凄いのだが。
「落ち着いた?」
「誰のせいだとおもってる!?」
「あなたは誰?」
唐突な言葉。
さっきまでの会話の流れとそのままに現れたどこか確信を感じさせる台詞。
今までぼんやりしているように見えた目がどこかこちらを見通しているように感じさせる。
質問に答えるのに戸惑っていると、口を開いたのは、スズが先立った。
「またね」
そう一言。
それだけ言って、去っていった。
「何だったんだ……一体?」
最後に残ったのは、その春虎の呟きだけだった。
これが入学式前に誰にも知られることなく起こった、今後大きく関わってくる彼女、早乙女涼との初めての邂逅だった。
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐
数人の女の子(+獣耳+男装)が、一人の少年を囲んでいた。
しかし、そこにピンク色の雰囲気は存在していない。
言うなれば、黒。
近づくだけで生物を怯えさせるような、そんな威圧感をたった一人の少年ーー逃げ道を塞ぐために円上に囲まれた春虎ーーに向けられていた。
かく言う春虎は、丁寧に正座をしている。無論、膝下に柔らかい座布団など存在していない。ギザギザと波打った板の上に座らされていた。
「………………で?」
男装少女夏目君はそれだけを述べた。
補うなら「で、何か弁解はあるのか?」といったところだろうか。
しかしながら、春虎は戸惑っていた。
なぜなら、夏目は全て知っているはずだ。なにしろ、その場にいた人物なのだ。そこが分からない。
そんな顔をしていたのだろうか、思考を察したのか夏目は依然冷たい目で一言。
「ムシャクシャしてやりました。後悔はしていません」
唖然……春虎は、口が塞がらなかった。
どうやら、女の嫉妬に理由は必要ないようだ。それに気付いていれば春虎の未来も明るかったかもしれない。
「そ、そんなのおかしいだろ!?」
「ほぉ……おかしい、ですか。この私が」
そんなことを言ってしまった。再来する夏目の『鬼化』
“ピンチはチャンスに”世の中にはそのような言葉がある。しかし残念、これはほとんどの場合において明確な勝ち負けの存在する中で適応される。
此度は、勝ち負けの存在しない。むしろ、負けしかないものだった。
「ちょっと待って夏目君」
そんなところに天使が舞い降りた。
「今回はそれはだめよ。一つ一つ残さず全て聞き尽くすんだから」
舞い降りてそして、悪魔になった…。
だが、おかげで夏目の『鬼化』は抑えられたようだ。
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐
ギザギザの板に正座し、尋問を受ける、という姿はさながら江戸時代の拷問のようだ。
膝元に忍ばせた治癒符がバレない限りどうにかなるが、その隠形のための集中力と答えるために頭を使うのとで、頭がいっぱいいっぱいになっている。
そんなことはつゆ知らず、彼女たちの尋問が始まった
「じゃあ、まず普通に不可解なんだけど、あのおにぃちゃんってのなに?」
初めの質問は、京子からだった。当然、その目は優しい光を放っていない。
ちなみに、嘘に関してはコンが目を光らせているので、当然つくことなどできない(事前に検証された)
しかしながら、その質問を聞いた春虎は、今までの緊張した面持ちが一転、急にポカーンとした顔になった。
「……なによ?その顔」
一層不機嫌さが増す京子。
このままでは危険だと思ったのか、急いで春虎が言葉を紡ぐ、
「京子、相馬家って知ってるか?」
「は?何言ってんの……とと、そういう魂胆ね」
なにやら、事情は分かったぞ、と言いたげな顔で続けた
「話を逸らそうったって、そうはいかないんだからっ!」
人差し指を春虎に向け、ビシッという効果音のなりそうな勢いでいう。
春虎は、全くの勘違いをされていることにあせったのか少しはどもりながら
「いいいいやいやいや、勘違いだから!そんなことは今さらーー」
「ーー今さら?」ギロ
「いいい今さらに謝罪を申し上げまする」
一字一句に気を付けなければならない状況、ちょっとした語句の選択ミスで彼女たちの機嫌が変化していく。
『今さら』という言葉を使っただけで、睨みを聞かされ、どこかコンの香りのする謝罪をしてしまう春虎。
「ホントに誤魔化す気はないのね?」
未だ疑わしいという目をした京子が問う。
「も、もちろんだ!」
ようやく納得“してやった”とでも言いたげな顔をして、はぁと溜息をつくと、何故かまた不機嫌な顔をして続けた
「な、なんで!?」
春虎が驚愕から声を上げてしまう
「当たり前だろう」
その答えを教えてくれたのは、京子ではなく夏目だった
「倉橋さんは、土御門の傍系たる『倉橋』だ。その質問は馬鹿にしてるとしかとらえようがないだろう」
「そ、そうか?ならいいんだ」
「で?なんなのよ、それが」
夏目の解答が終わり、しびれを切らした京子が追究する
「お前、本当に知らないのか?」
「はぁ?だからなんなのよ!」
「鈴鹿、フルネームで言うと大連寺鈴鹿。この『大連寺』ってのが、その『相馬』の血筋にある。つまりはーーーー」
一息置いて、言った。
「俺らは親戚なんだよ」
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐
春虎がソレに気付いたのは本当に偶然だった。
もともと、鈴鹿の家ーー大連寺家について調べようと思ったのは、鈴鹿に対するあの異常なまでの呪的処置だ。
あれは、ただ単に呪的に強化して、強い陰陽師を作る、と言った目的で行われたものではない。まあ少なからずその目的もあったのかもしれないが、真の目的は他にある。春虎は、それを確信していた。
調べるのは本当に苦労した。
あれをやったのが誰かまではすんなりと分かった。
『導師《プロフェッサー》』大連寺至道
鈴鹿の実父だ。
しかし、そこからが大変で仕方ない。
なにせ、彼は霊災テロを引き起こした張本人だったからだ。犯罪者である彼に関する資料は、陰陽庁に厳重に保管されていた。
呪的結界ならまだしも、夜光の知らない電子的な施錠は、正直どうにもなりそうに無かった。
まぁ職員を時間をかけてじわじわと操り、本人にも、はたまた回りにも分からないレベルで呪術を刷り込ませる、といったやり方でなんとかこぎつけた次第だ。
無論、その彼は依然、陰陽庁の職員として働いている。
手にした資料は、予想以上のものだった。それこそ、角行鬼を呼びつけて話し合う程に。
そんなこんなで色々あったのだ。それの副産物として大連寺が相馬家とかかわりがあるというのを掴んだ、ある意味幸運の出来事だった。
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐
春虎の宣言を聞いてもなお、皆疑わしい目を向けるのを辞めなかった。
だが、とりあえず『おにぃちゃん』に関しては
「しょ、証拠ならある!!」
と言い切った春虎の態度からして信用に足ると判断したようだ。
ここからが本番
誰ともなくそんな雰囲気を醸し出しているそんな時だった。
予想外の乱入者が現れたのは。
彼にとって、ソレは天使か悪魔か
その少女の高い声は、予想以上に響いた
「あぁ、おにぃちゃんみーけっ!探したんだからっ」
キャピキャピルンルン、そんな言葉を簡単に具体化したかのような声調だった。
「だ、大連寺…………」
春虎の声は、悲壮に染まっている。
そんな彼の心中を知ってか知らずかーー恐らく知っていてかつ知らないふりをしているのだろうがーー鈴鹿の顔が悲しさに彩られる。
「お、おにぃちゃん?何で大連寺なんて呼ぶの?いつも通り鈴鹿って呼んでよ、ねぇ」
涙声を用いるトッピング付き。お陰で春虎の涙腺も崩壊寸前である
「ほぉ……またですか、春虎クン」
素が出てしまっている夏目。
まわりには敵だらけ
春虎の受難は続いてゆく……………。
お久しぶりです……
異論反論抗議質問等なんでもお待ちしております。
お気軽にどうぞ!!